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風信子 さんのレビュー一覧 

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     2017/10/25

    ヒンデミットのサクソフォン作品と言っても 他楽器と置き換えてだったり編曲だったりでオリジナル曲は”コンチェルトシュトック”くらいか ホルンや弦楽の四重奏がそっくりサックスに置き換えられてもいる 作品として充実している点からもピアノが加わる”ヘッケルフォーン・トリオ”や ”アルトホルン・ソナタ”は聞き応えがある オリジナルの楽器とはまた一風変わった味が出て面白い 演奏も精妙で愉しめる 後半の7曲からなる”電気機械”が作品名辞典にも発見できずオリジナルか否かも判然としない 最後は”ミニマックス”からの数曲で締めくくるのは憎い ドナウエッシンゲン音楽祭で演奏するために弦楽四重奏用に書いた冗談音楽 軍楽隊のレパートリーをパロディー化している ここではスッペの”詩人と農夫”とタイケの”旧友”が登場する サクソフォンのソノリティは風刺色が濃く出て弦楽以上に滑稽で面白い 吹奏楽に通じている人は一層愉しめる お聴きになっては如何

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     2017/10/24

    ゴーベールに”交響曲”があったとは 愛用する”音楽作品名辞典”にも記載がない ただフルート曲を中心とした室内楽が見えるばかりだ 四楽章から成るへ長調交響曲は優れた曲だ 豪快な第1楽章に続く第2楽章は問わず語りをする人のように語りそして追想や物思いに耽る スケルツォはモチーフのパズルを組み上げていくようで音彩が煌めく フィナーレは憧憬が溢れ幻想性が高まる 四つの楽章の対比と均衡が保たれ四つの性格が明瞭だ いずれの楽章の主題も魅力を持ち印象深い コンサート・プログラムに載っていくことを期待する 次の”絵画交響曲 - 海の歌”は三楽章から成る 1.歌と香水、海の色 2.崖の上のロンド 3.そこに、非常に遠い、海に とそれぞれ表題が付いている ドビュッシーよりサン=サーンスやダンディの世界に親近感がある 小さい曲だが聞き応えがあり明確なイメージに届き易い曲だ 第3曲の”協奏曲”は”海の歌”同様20分にも満たない小曲でも”オーケストラ・コンチェルト”だ バルトークのそれと違って牧歌的長閑さがあり悲劇的な緊張感とは無縁だ 概ねゴーベールの音楽は穏健だが退屈からは最も遠いところに息づき躍動している お聴きになっては如何   

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/23

    クラリネットの音が深い印象を残す OPOのクラリネット奏者を知らないが優れた演奏家だと確信する 20世紀初頭その初めの10年で マーラーは第5シンフォニー以降の全てを書いた ハイドン以来受け継がれ変容してきた交響曲の系譜が一つの終焉を迎えようとしていたと言っても好いだろう 時を同じくして 北のロシアで新たな交響曲像を築こうとする男がいた スクリャービンの第2シンフォニー以降もこの10年に生まれている マーラー以上に短命で終わってしまったスクリャービンは第6番を書き掛けて没する まだロマン派の残り香を強く放つ”第2番”だが ペトレンコ=OPOは音楽の自然な流れを大切にする演奏で克明な表情を描いていく 決してデュナーミクの差異に頼らずノーブルな響きを醸成して深い情感を引き出している ピアノ・コンチェルトも交響楽に負けない濃密な管弦楽が愉しめる ゲルシュタインのピアノもオーケストラと拮抗する生命力と技巧を披瀝して雄々しい風情だ これだけ美しい”ことば”で歌いだされたスクリャービンはとんと聞かなかった お聴きになっては如何   

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/22

    30年振りのゲーベル=ブランデンブルクC.は華麗に溌溂と鳴り響いた テンポもキーも上げていることに加え演奏者にベルリンpoの楽員を含み積極的な表現意欲が前面に出ているからか MAKの演奏とは趣を大きく変えたゲーベルはロマン派的奏法や表現を払拭したと述べながらもさらに多岐にわたり細かな疑問が生じていると言う 18世紀の”テンポ・オルディナリオ”の概念についても触れているが詳細が語られていない つまり”普通のテンポ”=4/4をどう捉えていたかだが ブランデンブルクC.の第一楽章は第4番以外は全てCにIを組み合わせたアラ・ブレーヴェと表記されているが ゲーベルは速いテンポの4/4で演奏している これが18世紀の”習慣”だったのか 確かに第5番など速い2/2では演奏不可能にスコアは見える しかし第1番から第3番までならAllegroの2/2が可能だとも見えるが果たしてどうだろうか ますます多くの演奏家が挑戦してほしい 目から鱗が落ちる時が来るかもしれない お聴きになっては如何  
      

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 19人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/22

    何という至福だろう 全曲を一気に聴いてしまって二度目はスコアを見ながら聴いている 半世紀以上前に始まった原点回帰へ楽譜・楽器・奏法の検証が結実した成果をここに見る 現代のメジャー・オーケストラに拠るベートーヴェン演奏がかくも変貌したかと胸を熱くした 聴いていると胸ならぬ足裏からむずむずと這い上がってくるものがある 何かを為さずにはいられない希望と意思が沸き起こる かつて現代作曲家の一人が言った ”繰り返しばかりでベートーヴェンは退屈だ”と この演奏を聴かせたい 退屈な繰り返しなど何処にもない 千変万化する緊張感に溢れているではないか ブロムシュテットはヴァイオリンを対向配置にしテンポをスコアの指示通りにしているが それ以外は楽器の変更を含めピリオド楽団の真似など一切していない いつものゲヴァントハウスO.だ これまでと何が違うのか ピアニッシモのヴァイオリンは神秘的になりフォルティッシモのティンパニーは度肝を抜く ここまで来るのに一生を使ったのだ 音楽は恐ろしいそして素晴らしいもの ブロムシュテットに改めて頭が下がる 何より凄いのは”ベートーヴェンが面白い”と告げていることだ これはお聴きにならなければ       

    19人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/21

    人は風土に根ざす感性から逃れられない フランスのエスプリを象徴するかのように持て囃されるラヴェルだが その音楽には楔のように打ち込まれた異国情緒が色濃く影を落とす 間接的影響とはいえ明瞭に聞き取れる それは父母の出身地であるスペインとスイスだ 特に 母がピレネーの西 バスク地方の出身でスペイン色は拭い難い トルケマダの時計店がトレドにある必然はない 身持ちの良くないコンセプシオンがスペイン女である謂れもない 下品な大人たちの騙し合いの茶番劇を進行するにラヴェルは血の中に流れるスペイン音楽の要素と素材を起爆剤にしたのだ オペラの舞台あるいは映像を見ている時には心に引っ掛からず流れていた音楽の玄妙が聴き取れて 音だけで愉しむオペラもいいものだと改めて思った ラヴェルのオーケストレーションには閃めきが溢れている スラトキンは音楽の行き先を見据えてアンサンブルを織り上げている 見事なゴブラン織のごとく色とりどりに声とオーケストラが綴られていく 言葉が分かる分からないを超えた面白さだ お聴きになっては如何  

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     2017/10/19

    三部の気色変化を鮮明に描出した”ダフニスとクロエ” 神秘夢幻の1部から声に導かれて2部の戦いと願いの踊りへ 躍動の3部は自然の美と愛の賛歌 刻々と音楽の彩は移る 一瞬たりと弛まぬ展開に過ぎ去る時を忘れる スラトキン&ONLの息遣いは静かで深い 自ずと音楽は流れ出で自然な表情が浮かび出る フレーズの出し入れに細心を傾けるが無用な緊張感は皆無だ 地球の壮大な大気や海潮のせめぎ合いと調和を見たような不思議な感覚に捉われる 自然も人も同じ生成を繰り返す ”ダフニスとクロエ”は全曲版で聴きたいもの 他のラヴェル曲とは一線を画す傑作で ベートーヴェンの”第9”やブルックナーの”第8”交響曲と並ぶ生涯に唯一つでありエポックを打ち立てた作品となった また嬉してことに余白に”海原の小舟”を聴くことができる これは意外にも全集から漏れることが多い曲なのだ ”鏡”からの小品だが 魅力あるオーケストレーションが施されている お聴きになっては如何   

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/19

    もう40年を超える時間が流れたのだと思い知る 30代に入ったキース・ジャレットがヤン・ガレバレクと組んで間もない頃に書かれまたインプロビゼーションされたアルバム この”青い世界”を愛していた 弦楽オーケストラとコラボレーションしたキースの創作はその後展開することはなかったが 今もわたしの脳内で忘却されることはなく鳴っている 未知なる世界へ捧げられた”Runes”  パブロ・カザルスと太陽に捧げられた”Solara March” 教師たちに捧げられた”Mirrors” ”ルーンズ”ではチャーリー・ヘイデンのベースがリードし ”ミラーズ”ではガレバレクのサックスがリードとトリオに映えの場を用意する作曲構成になっている 均整のとれた三曲とその組み合わせになっている 中でも”ソラーラ・マーチ”をわたしは愛聴した 音楽があらゆるものとの対話であり共鳴への飽くなき追求なのだと教えてくれた もしまだなら 或いは彼方に忘れてしまっていたら お聴きになっては如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/19

    ”展覧会の絵”を聴き終わるやピアノ版(原曲)が聴きたくなった 四度も五度も録音しているというスラトキンの”展覧会〜”をこれまで聴かなかった不明を恥じた ラヴェル管弦楽曲全集に編曲集を加えたことへの驚きと慧眼に瞠目してこれを求めたが どちらかといえば シューマンやドビュッシー、シャブリエが聴きたかった これらを愉しんだ後に それこそラヴェルが省略した”第5のプロムナード”をどう管弦楽化したかの興味だけで”展覧会〜”へ聴き進めた なんというナイーブな感性が生き通った演奏か これを見よ張りの虚仮威しなど影もなく 澄んだ眼差しで朋の画を見てゆく穏やかな気が漂いだす そして”第5プロムナード”の掉尾を曳いてトランペットが消えてゆくと 楽曲はガルトマンへの追悼の色を濃くしてゆく ムソルグスキーがそうピアノで語ったようにスラトキンも思いを馳せる 失った朋の記憶と尽きせぬ思いを語りだす これほど”キエフの大門”で胸を熱くしたことはない 惜別の想いに締め付けられた お聴きになっては如何

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/18

    P.ダニエルのウォルトンは素晴らしい 交響曲も愛聴しているがこの管弦楽曲集がまた傑作だ 協奏曲と交響曲を分離して発想できない”シンフォニア・コンチェルタンテ”は両ジャンルの傑作群誕生前夜にもたらされた逸品でありウォルトンの音楽性の象徴でもある ラプソディカルな運びを旨とし華麗なヴァリアントを駆使した歌謡性を軸に展開するユニークさを英国風と言っては枠に収まりきらない この2年後に仕上げられたヴィオラ協奏曲はヒンデミットがソロを弾くために書かれた さらに34年後ヒンデミットのチェロ協奏曲のテーマを主題に変奏曲を書いた この”ヒンデミット・ヴァリエーション”がウォルトン最後の管弦楽曲になった 戦争を通り抜けた20世紀の友情がここにある この二曲を2つの”マーチ”が挟んでいる ”マーチ”のウォルトンを聴く歓びは何ものにも代えがたい 繰り返し聴いてしまう 先ずはここからかも知れない お聴きになっては如何  

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/17

    早坂文雄畢生の大作”ユーカラ”は未知なるものだ 武満徹が指摘するようにそれは”古代”と同義だった 四十有余年の生涯を締めくくる早坂渾身の一作 フランス音楽とストラヴィンスキーに憧憬を抱いていた人が西洋の弁証法的様式を捨てて 非西洋的言い換えれば東洋的概念で一から音楽を組み立てた 対位法も和声法も用いない 線を生かす 線と線を組み合わせる抽象性を押し詰めた音楽 わたしは”水平なる音楽”と呼ぼう 早坂は5つの要素を上げている 単純性 無限性 非合理性 平面性 そして植物的感性 50分にも及ぶ全六楽章を堪能した 面白い この二枚組Discでは 他に芥川&新響による早坂文雄の代名詞と言い得る4曲の名演を愉しむことができる 是非を添えて お聴きになっては如何 と言いたい 

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     2017/10/16

    JCBが1782年に47歳で逝った時 Sinfonieと題されたハルモニームジークが残されていたという わたしたちが知っている所謂Simphonieの編曲版ではないオリジナルだ 絶筆に近いものと考えられる ハイドン兄弟とほぼ同世代でありながら 69歳と77歳まで至った二人に比べて短い寿命を憾む ”6つのシンフォニア”が書かれた年 FJHは76〜78番のシンフォニーを書いていた 前年には”ロシア四重奏曲”と呼ばれる37〜42番の弦楽四重奏曲を書き上げている FJHが着々と交響曲や弦楽四重奏曲という新しい音楽形態を完成しつつある時 JCBの中では”Symphony”が歌劇らのOvertureやアンサンブルのSinfonieと垣根を隔てることができないでいた 短命を惜しむ以上に機運の皮肉を見た思いにたじろぐ 時代というものは皆同時には巡ってこないのだと知る 時間を共有していても人それぞれに別の空間を歩んでいるのだと JCBは偉大な父や兄の時代に囚われて出られない だが何処の馬の骨とも知れぬFJHは新しい時代を切り開いている このシンフォニアが美しいだけに残酷だ でもJCBが20年余命を得ていたらどうだったろうか お聴きになっては如何
     

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/15

    ここに幸福なオーケストラがある 地元カリフォルニア生まれの指揮者ティルソン・トーマスと一緒に長年にわたり自分たちの音楽を奏でている それは紛れもなく彼らの音でアメリカからしか出てこないオーケストラ・ソノリティなのだ 風土が音響の性格を決める MTT&SFSOのサウンドはカリフォルニアの青空のようだ 明るい光が降り注ぐ大地を吹き抜ける風は乾いている 得意のマーラーやアイヴズが聞かれる前半はその明眸が見通したどこまでも明晰な風光なる音楽に見惚れてしまう 後半東欧北欧の曲が並ぶと違和感を覚える向きもあろうが MTT&SFSOがここで各曲の郷土色を出したらむしろ不自然で嫌らしい それこそらしくない スコアを無念無想で読み切って自分たちの音楽を歌う潔さに気持ちよさを感じる 小品12曲とはいえ聞き応えがある ライヴの愉しさが伝わってくる好いディスクだ お聴きになっては如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/14

    栴檀は双葉より芳し ロッシーニが12歳時に書いた作品とは驚く 音楽教育を受ける手前だったと聞くが 創造は記憶から生まれるものとするならば ロッシーニが置かれた環境の豊かさと記憶力は驚異というべきものだった証だ 日々聞こえた音楽が漏れず脳内に蓄積されたとはいえ 天賦の才を授けられていたからこそ創造の再構成もできた それにしても旋律を紡ぎ出すセンスに舌を巻く 言葉のリズムではない音の連なりから心情情感を伝え得るメロディーを書ける作曲者は決して多くいはしない もちろん今もである 時間を忘れさせるイタリア合奏団の演奏は完璧故に木で鼻を括るが如く評されてしまうが 美しいことを誹られては身の置き場がない もしこの演奏に退屈を感じるなら それはロッシーニ少年に限界があったか もしくは聞き手が無い物ねだりをしたか または入る庭を間違えたのではないかしら いつまでも聴いていられる音楽に満足した お聴きを 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/14

    パルム・コートは喫茶や軽食を楽しむサロンのこと お茶をしお菓子に舌鼓を鳴らして憩う人が集う場を和ませ彩るのに音楽があれば言うことのない”午後のひと時”が生まれる それが生演奏であればなおのこと好し ここにパルム・コート劇場の誕生で御座い サロンの片隅を拝借するに大オーケストラとはいくまい 弦だってそれぞれ一人か二人か とにかく省エネ楽団 音楽の色が変われる程度に頭数が揃えば開演 オリジナルのケテルビーはそれなりの体裁が整ったオーケストラ・トーンを響かせた筈だ でも パルム・コート版のケテルビーが好きだ なんたって軽やかで時間って奴が何の蟠りもなく流れやがる 人生なんて気楽なものさって具合にね こんなのあるようでなかなかあるもんじゃない もともと音楽って人の気持ちを軽くして遊んでくれるものじゃなかったっけ 時にこれは要るでしょ お聴きになっては如何 

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