100人の偉大なアーティスト - No. 88
2003年3月26日 (水)
グレイトフル・デッド の中心人物として知られたジェリー・ガルシアは、1942年8月1日、米サンフランシスコに生まれた。ガルシアは1957年、15歳の頃からギターを弾き始めたが、1959年にパロ・アルトに移り、その頃、後にデッドの作詞を担当することになるロバート・ハンターと知り合っている。1962年になるとガルシアはバンジョーを弾き始め、フォーク〜ブルー・グラスのバンドなどでプレイし始める。それから二年後の1964年頃までにはマザー・マギーズ・アップタウン・ジャグ・チャンピオンズのメンバーとなり、そこで後のデッドのメンバーとなるボブ・ウィアーとロン“ピッグペン”マカーナンらと出会っている。ボブ、ロンと出会いエレクトリック・バンドに転向したガルシアのバンドは、ビル・カウツネン、フィル・レッシュらを加え、新たにウォーレックスを結成。また彼らは同時期に共同生活を始めた。その後LSDを常用していたメンバー達は、ケン・キーシーのアシッド・テストに参加するなどといった出来事を経て、バンド名をグレイトフル・デッドと改め活動を本格化させる。
グレイトフル・デッドはビル・グラハム経営のフィルモア・ウエストをはじめ、アヴァロン・ボールルーム、カルーセルといったクラブ、ライヴ・ハウスで活動。地元サンフランシスコではジェファーソン・エアプレインと人気を二分するようになった。そんな彼らに目をつけ契約の話を持ちかけたのが、ワーナー・ブラザーズで、デッドはワーナーと1967年1月に正式契約。3月には早くもデビュー・アルバム グレイトフル・デッド・ファースト(The Greatful Dead) を発表した。またこの契約前後の1月にはゴールデン・ゲイト・パークで行われた大規模なイヴェント「ビー・イン」に参加。マスコミはガルシアに「キャプテン・トリップス」なる称号を与える。その後二人目のパーカッショニスト、ミッキー・ハートがバンドに加入。1968年にライヴ音源にスタジオ録音のサウンドを被せるという実験的な作品で、セカンド・アルバムとなる 太陽の讃歌(Anthem Of The Sun) を発表している。また翌1969年にはサード・アルバム アオクソモクソア(Aoxomoxoa) を発表。ただこの後者二作は商業的に成功せず、デッドはスタジオ使用料含め多大な借金を背負うことになってしまった。なおこの時期までにキーボーディストのトム・コンスタンテンがメンバーとして加入していることを付け加えておこう。
1967年のモンタレー・ポップ・フェスティヴァルや1969年のウッドストック・フェスティヴァルといった歴史的なイヴェントにも出演したデッドだったが、彼らはライヴでこそ本領を発揮する、というタイプのバンドだった。その成果ともいえるのが初のライヴ作品となる ライヴ/デッド(Live Dead) だった。1969年にリリースされた同作では、彼らのサウンドに漂う開放的な空気感やそれまでの作品では大きく展開されていなかった素晴らしいインタープレイといったものが聴かれ彼らの代表作のひとつとして現在でも親しまれている。
1970年にはCSNばりのハーモニー、アコースティック感の強い ワーキング・マンズ・デッド(Working Man’s Dead) を発表。この異色作はファンにとっては驚きの大きいものだったが、しかしながら同作は、同年発表の次作 アメリカン・ビューティ(American Beauty) とともにゴールド・ディスクを獲得(デビュー作以来)。両者は彼らの代表作の一角を担う作品となった。
またワーキング・マンズ・デッド(Working Man’s Dead) の発表前後にはサンフラワーというレーベルから Vintage Dead 、 Histric Dead という二枚のアルバムが市場に出回ったが、これらは1966年に前述のアヴァロンで収録されたライヴ音源を収録したものだった。この後1971年に正式なライヴ盤の二作目となる グレイトフル・デッド(Greatful Dead) を発表。これは同年4、5月に行われたライヴの模様を収録したものだった。
この時期にガルシアはソロ・アルバム ガルシア 、ボブ・ウィアーが Ace を制作。またガルシアはニュー・ライダーズ・オブ・パープル・セイジのデビュー作に準メンバーとして参加したりもした。
キース(key)とドナ(vo)のゴドショウ夫妻をメンバーに加えたデッドは1972年4月から6月にかけて欧ツアーを廻る。この時のステージの模様を収めたのが、同1972年中に発表された3枚組ライヴ作 ヨーロッパ‘72(Europe ’72) 。この売り上げでデッドは長年の負債を返済することができたとも言われているが、しかし一方では悲しい出来事もあった。翌1973年3月8日にオリジナル・メンバーのピッグペンが肝硬変でこの世を去ったのだ。
1973年7月、デッドはオールマン・ブラザーズ・バンド、ザ・バンドらと共にNYワトキンス・グレンのサマー・ジャムに参加。600個以上のスピーカー群がステージに積まれるという巨大PAシステムが話題を呼ぶ中、60万人ものオーディエンスをそのサウンドで酔いしれさせた。またこの時期デッドは自己レーベル、グレイトフル・デッド・レコードとその子会社ラウンドを設立。そこから1973年中に 新しき夜明け(Wake Of The Flood) をリリース。また翌1974年にはワーナーから 火星から来たグレイトフル・デッド(From The Mars Hotel) を発表している。両者とも全米トップ20に入るヒットとなったが、1974年10月になるとデッドはウィンターランドでのコンサートを最後に休業を宣言。同時に解散説も流れた。
しかし1975年になるとデッドは解散説を吹き飛ばすように前線復帰。 ブルース・フォー・アラー(Blues For Allah) を発表したが、これはそれまでにおけるデッド最大のヒット(全米最高位12位)となり、復活を力強くアピールした。またこの後1976年には休業前に行われたウィンターランドでの5日間のコンサートの中から厳選された音源から成る2枚組ライヴ作 凍てついた肖像(Steal Your Face) を発表している。
1972年からデッドはアリスタに移籍し幾つかの作品をリリースしていくが、どちらかというと作品で目立つというよりは年間80本以上というライヴにより安定した人気を保つ、といったほうが近い活動を行った。ガルシアやウィアーのソロなどは発表されたが、デッド本体の作品は長い間リリースされなかった。そして遂にデッドの久々の作品が1987年に発表された。スタジオ作としては7年ぶりとなる イン・ザ・ダーク(In The Dark) 。”タッチ・オブ・グレイ”という全米10位に入るシングル・ヒットも生まれた同作は、アルバム自体も全米6位を記録する、デッド史上最大の成功作となった。また同時期(1986年夏と1987年夏の二回)に行われたボブ・ディランとの全米ツアーも大いに話題となった。
1988年に入っても相当数のライヴをこなしていたデッドは、1989年にディランとのジョイント・コンサートの模様を収録した ディラン&ザ・デッド〜ライヴ(Dylan And The Dead) を3月に発表。その後同1988年10月にはアルバム ビルト・トゥ・ラスト(Bulit To Last) がリリースされている。
同作品と前後してツアーを開始したデッドは、1990年4月まで継続してライヴを行い、その音源からライヴ作を制作することを企画。しかし、同1990年7月26日にドラッグ禍でブレント・ミッドランドが死去。このため10月にリリースされた前述の企画から生まれたライヴ作 ウィズアウト・ア・ネット(Without A Net) は彼の追悼盤となってしまった。ただデッドはこの後も元チューブスのキーボーディスト、ヴィンス・ウェルニックを加えライヴ活動を継続した。
この後もアルバム発表のないまま、デッドはもの凄い勢いでライヴ活動を続けていった。1992年秋のツアーだけはガルシアの体調不良によりキャンセルとなったものの、そのライヴ本数、収益などはこの数年の間、他アーティストを引き離し、常に年間トップを独走するほどのものだった。
その後も相変わらず作品発表のないデッドだったが1995年、久々の新作となる Hundred Years Hall をリリース。しかしながらこのリリースと時期を同じくして悲劇は起こった。デッドの中心人物というのみならず、サンフランシスコ・ヒッピー・ムーヴメントの守護神的存在、60年代アメリカの象徴といえたジェリー・ガルシアが8月9日に永眠してしまうのだ。アメリカでは多くの文化人らが大きなカルチャーを生んだジェリー・ガルシアの死を悼み追悼した。尚その後ミッキー・ハートはじめ残りのメンバーがグレイトフル・デッドとしての活動を続行する、と宣言したが、結局それは実現せず、バンドはそのまま解散となっている。
ジェリー・ガルシアはソロ・アーティストとしても作品を発表していた。初ソロ・アルバムは1971年発表のザ・ホウィール(Garcia) 。その後1974年にコンプリメンツ(Complements Of Garcia) 、1975年にリフレクションズ(Reflections) 、1978年にはジェリー・ガルシア・バンド名義によるCats Under The Stars 、1988年にライヴ作のオールモスト・アコースティック(Almost Acoustic) 、1991年にJerry Garcia Band Live などをリリースした。また共演盤ではデヴィッド・グリスマン、ピーター・ローワン、ヴァッサー・クレメンツ、ジョン・カーンらとのブルーグラス作、オールド・アンド・イン・ザ・ウェイ(Old And In The Way)や、これもグロスマンとのJerry Garcia/David Grisman などが有名だ。
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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