HEMO+MOOFIRE インタビュー

着うたとかで試聴してもらったら、
CDで買ってください、
レコードで買ってくださいと。
それはもう声を大にして言いたいんですよ。

--- 今回、2008年7月2日に　2タイトル同時発売、『ヘモムーBEST BOX SET (CD/DVD初回限定豪華3枚組み)』『ヘモムーBEST MIX CD』リリースされたということで。今回ベスト盤をリリースするきっかけとなった理由を聞かせてもらえますか？

HEMO　気付いたら自主レーベル（「BACCHANAL 45 Records --バッカナル・フォーティファイブ--」）を立ち上げて5年経っていて、アルバムを8枚も出していたんです。そろそろまとめてもいいのでは？と思いリリースしました。5年間の集大成です！

--- 今回このような形で2タイトルに分けてリリースしたのは何故なんでしょうか？

HEMO　仕様についてはずいぶん悩みました。 ヒットした曲の他にも入れたい曲とかあったので。 で最終的にBOXSETとMIX CD両方出そうという事になって。 BOX SETのほうは集大成的なものにして、これを買えば私たちのことを全て知れるよ、という名刺代わりにもなる感じで。MIX CDのほうは、ライト・ユーザ向けというか、値段も安くしてあるので車とかで気軽に聴いてもらって私達の事知ってもらうきっかけになったらいいなーと。ヒット曲はもちろん未発表の曲や新曲も入ってますからお得です！

--- 値段もちょうどMIX CDのほうが半額で買い安いですしね。

HEMO　そうなんですよ。でも本音を言うと、うちら的には、MIX CDとBOXを買ってちょうど4,980円！を目指したので両方買ってください！（笑）。

--- （笑）。しかしBOX SETという形をとってますが、安いですよね、これ。　

MOOFIRE　安いですよ！

HEMO　PVも収録されていて、ジャマイカやトリニダードで録ったもの14本すべて収録されていますしね。あと、ジャマイカで活動している場面。私たちがレコードを回している場面とか、スタジオで活動している映像をボーナストラックで入っているので、一家に一台お願いします。

--- もう、5年間の全てを出し切ったという感じでしょうか？

HEMO　いやいやまだまだあるんですよ。これが。もう大量にありすぎて入りきらなかったんです。

--- こういうベスト盤を作るときって、過去の作品を聴き直す作業が発生するじゃないですか？その際に過去の作品を改めて振り返って聴き直して、“恥ずかしい”とか“かっこいい”とか。いろんな感情が出てきたかと思うのですが、実際、どのような気持ちになりましたか？

MOOFIRE　全部かっこよかったです（笑）。

--- 全員（笑）

HEMO　まあ、いろんな思い出と共に作品は存在するので、楽しかったですよ。“この曲を作ったときはこうだったなぁ”とかを思い返したりして。

--- アーティストさんにもよるんですが、過去の作品を聴き直して恥ずかしい思いをしたという人もいるんですがその辺りは？

HEMO　ていうか、選曲に苦労しましたね。あまりにも膨大すぎて。特にBOXセットのほうが大変で。あの、今回は日本で売るというのを前提に作ったので。今までって世界に向けてリリースを続けてきたので。あまり日本語にこだわらずにやってきたんですけど、今回のBOXセットは日本向けだったので、やはり日本語の曲が多いんですよね。だけど、MIX CDのほうは好き勝手やらせてもらいました。

--- 新曲も入ってますしね。

HEMO　もうやばいっすよ。押し曲ばかりです。やばいっす。

MOOFIRE　ふふふふふ。

--- そのやばい曲たち、新曲を着うたで先行配信していたじゃないですか？　それが意外に思ったんですよね。アナログで7inch切ってリリースとかではなく、デジタル配信をしているというのが…。

HEMO　ん…。なんか試聴してください、ってノリですかね。試聴してもらう感覚…。

MOOFIRE　ていうか、もう7inchは殆ど売れないんです。残念ながら。。

HEMO　でもやっぱりレコードの音が好きだから、全ての音源をレコードでプレスはしているんですけれど、レコード自体を知らない若者がいるから。あの、うちのレーベルの通販で、KEN-Uのレコードとかたまに売れるんですけど、聴き方がわからないとか、かけられないとかいうクレームが入るんですよ。返品してください、って。

MOOFIRE　お客さんに、“これなんですか？”って言われるんです。

--- うわぁ…。物凄いカルチャーショックですね、それは。

MOOFIRE　もう3-4年くらい前からですよ。そういう問い合わせがうちのレーベルに来るようになったのは。そういう世代の人達なんかはアナログレコードを骨董品的な感じで買ってるんでしょうね。たぶん。だから新譜の7inchは難しいですね。。。

--- でも、このような場所（HEMO+MOOFIREが経営している「Club CACTUS」（http://www.clubcactus.jp/）にて取材をしました）に来る人達はレコードの存在を知っているはずですよね？

HEMO　うん。私たちのこの箱ではDJブースを隠していませんからね。だから、私たちがセレクトしてDJしているのを観て、ようやく、“レコードってこういうものなんだ！”って初めて知る人がいるのかもしれませんね。点と点が線になるように…。

MOOFIRE　“これか！あのレコードってやつはこういう風に使うんだ！”ってね（笑）。

HEMO　あと、私たちのmixiのページに来てくれる人も、パソコンよりも携帯から来る人のほうが多いんですよ。だからそれを考えると、着うたとかで曲を試聴してもらったほうがリアルに届けられるのかなって。

MOOFIRE　そうそう。あと今の子って携帯で音楽聴いてるからね。知り合いに女子高生がいるんですけど、その子が、前のアルバムをリリースしたときに、“うたフル全部ダウンロードしました！”って言ってたんですよ。で、“それってすごくお金かからなかった？”って。だってCD1枚買うよりもうたフルを全曲落とすほうがお金かかるのに、そうして音楽を聴いているんですよ。不思議ですよね。もう時代は変わりすぎてますよ…。

--- 何かそんな話を聞いていると、改めて、CDというものがこの世の中から無くなってしまうのではないか？って危惧してしまうんですけど…。

MOOFIRE　私もそう思いますね。レコードは残るけど、CDはそのうち無くなると思いますよ。まあ、でもね、今現在の音楽好きは、HMVさんとかにいってちゃんとCDを買ってくれると思うんですよ。

HEMO　まあとにかく、着うたとかで試聴してもらったら、CDで買ってください、レコードで買ってくださいと。それはもう声を大にして言いたいんですよ。ていうか、今って、大手のCDショップさんでもMIX CDってブートCDとかも売られているじゃないですか。でも、このうちらのMIX CDに関しては全部著作権関係をクリアにして作ってますから、胸を張ってリリースしています！

MOOFIRE　私たちのは合法CDです（笑）。

--- なんか、敢えて“合法CD”と言わなければならないのが切ないですよね（笑）。

HEMO　そうそう。だからこそね。私たちの楽曲だけで、合法で、MIX CDを聴かせるっていうのはほんと苦労しましたけどね。だって、同じ棚に並べられたほかのMIX CDには、ショーン・ポールだとかボブ・マーリィーだとかが入っているんですから…。でもそういう中で自分達の作品で勝負していくと考えると、大変でしたけど、面白い作業でしたね。時間はかかりました…。

続く…