Laila Biali インタビュー
2008年4月2日 (水)
Laila Biali インタビュー
Laila そう。この『海、そして空へ』に参加したプレイヤーも皆トロント出身者なの。トロントは、いわば「カナダのニューヨーク」みたいな大都市ね。ニューヨークといえば、私は最近ブルックリン地区のアパートに移り、現在は、この2つの素晴らしいメトロポリスにまたがって生活をしているの。 --- 元々、大学では音楽ではなく科学を専攻していたそうですね。その後、音楽の道へ進むことになったきっかけは何だったのでしょうか? Laila 元々は、幾つかの大学の科学講義の受講について、全額奨学金のオファーを受けていたの。でも、結果的には両親の期待に反して、気まぐれで音楽を学ぶことに決めたの。というのも、途中でトロントの音楽学校での受講の方も、奨学金のオファーを受けたからなの。当初は、一年間音楽学校に通学して、その後、きちんと「真面目」なことを学ぼうとしたのだけれど、1年後には気が変わり、音楽課程の全学位を取得しようと決めたの。研究の世界には入れなかったけれど、この道を選んだことには満足しているわ。でも、科学の進歩により、情報がダウンロード出来る現在、私は今も科学の世界と結びついていると実感しているわ(笑)。 --- ジャズ以外の、例えばロックやポップ・ミュージックを多く嗜好する中、あえて「ジャズ」(もしくはジャズ寄りな)という表現方法を選んだのはなぜでしょうか? Laila 多くのジャンルの中で、ジャズは、より広いカテゴリーを持ったものの1つだと思うの。だから、私は、ジャズという「レーベル」の下で芸術の多様性を表現できると信じていて、その概念と苦闘もしている。リスナーの期待しているものが何なのか知りたいと、いつも願っているから。それでも、究極的には、私はそうしたカテゴライズから離れて、ビョークがそうであるように、私自身のジャンルを確立したいと思っているの。 --- そのきっかけとなった作品も含め、ジャズのアルバムの中で、Lailaさんのフェイヴァリットを何枚か教えてください。 Laila 私の好きな2人の作曲家、ケニー・ウィーラーと、マリア・シュナイダーの音楽を聴いた時、ジャズという範疇でできる芸術的な表現の可能性に惹かれたの。この2人のアルバム、マリア・シュナイダーの 『Alegresse』、ケニー・ウィーラーの『Angel Song』と『Music For Large and Small Ensembles』は、私のお気に入りのアルバムよ。ケニー・ギャレットの『Songbook』とか、ブライアン・ブレイドの『Fellowship』なんかも好きね。それと、キース・ジャレットの音楽は、いつも私を夢中にさせるわ。彼のソロ・ピアノ録音と、彼のトリオの『Still Live』は、私の永遠のコレクションよ。 --- あなたと同じようなピアノを弾きながら歌うスタイルのシンガーで、最も大きな影響を受けたのは? Laila 私がバンクーバーの高校に通っていた頃、ダイアナ・クラールの音楽に出会ったの。彼女のCD『All For You』は、ナット・キング・コールに捧げたものなんだけれど、私が買った最初のジャズ・アルバムの1つだった。彼女は、上品で、才能があり、人気もある。そういう意味でも彼女は、私が最初に影響を受けたアーティストの1人と言ってもいいわね。もちろん、ナット・キング・コールも大好きよ。そうそう、オスカー・ピーターソンの歌声を聴いたことってある? 彼は、本当に素晴らしいアーティストよね。シーラ・ジョーダンも素晴らしい。あとは・・・え〜っと、あまりにもたくさんいすぎて、キリがないわ(笑)。
Laila 何といっても、ジョニ・ミッチェル。彼女のインターナショナル・シーンでの貢献よ。全ての文化にまたがった音楽の歴史に目を通した時、多くの優れた音楽家の中で一際輝いているの。彼女の歌詞は、とても魅力的で、その歌声は、その特徴、表現能力、音楽のユニークさと、絶えることのない「創意」という部分において比べようがないものね。彼女は、ジャズへの愛情を保ちつつ、ジャンルの垣根をとりはずしていってるの。特に、『Hejira』と、『Mingus』を聴くと、それが感じることができるはずよ。 --- 現在のカナダのジャズ・シーンは、あなたにはどう映っていますか? Laila 正直言って、広いカナダ全土の音楽シーンについては、それ程知っている訳ではないのだけれど。ただ、豊かで多様であることは知っているわ。どの地域に住んでいるかにもよるけれど、恵まれた豊かな文化によって生まれた「カナディアン・ミュージック」には、独特の趣があるわね。「フレンチ・カナディアン・フォーク・ミュージック」、「イースト・コースト・ケルティック」、それから、トロントなどの主要都市で聴くことができる素晴らしいジャズといった具合に。私は、トロントをジャズの「ホット・ベッド」と呼んでいるのだけれど、やっぱり、今でもそう思っているわ。
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ライラ・ビアリ
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1980年カナダは、トロント出身のシンガー/ピアニスト。2005年のナショナル・ジャズ・アワードにおいて「Composer of the Year」、「Keyboardist of the Year」の2冠に輝き一躍注目を浴び、既にN.Y.のカーネギー・ホール、ロッテルダムのノース・シー・ジャズ・フェスティヴァル、リマのインターナショナル・ジャズ・フェスティヴァルといった大舞台でのショーケースを成功させてきた。自主制作となった1stライヴ盤を経て、2007年には初のスタジオ録音作『From Sea To Sky』を完成させた。同郷カナダの先輩シンガー・ソングライター達の名曲カヴァーを中心としたこのアルバムは、カナダのジャズ・シーンのみならず、全米でも高い評価を得た。そして、2008年4月、晴れて日本デビューを飾ることとなる。
最新作『From Sea To Sky: 海、そして空へ』詳細はこちら! Laila Bialiトリオ 来日公演決定!
2008年5月30(金)、31(土)、6月1日(日) (問)COTTON CLUB コットンクラブ:03-3215-1555
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