【第44回】バイヤー寺町知秀のわくわくPOPSランド

2020年03月06日 (金)　10:00

HMV&BOOKS online - ロック

HMV渋谷をはじめ計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当する寺町知秀が洋楽の森からオススメ作品をピックアップするコーナー「わくわくPOPSランド」。社内外から信頼を集める生粋の洋楽バイヤーが、今月の洋楽の森からオススメする必聴の5枚とは？

【第44回】私をテニスに連れてって。

とびっきりロマンティックなモダン・ポップを聴かせてくれる夫婦ユニット、テニス最新作は、彼らの地元デンバーのスタジオとメキシコのコルテス海への4か月に及ぶ航海旅行中に制作されたという。旅は特別な感覚が生まれてくるものだし、それが海の上なんて抜群のシチュエイションですよね。旅情マシマシ。言わずもがな全曲最高。

今月は国内でどうしても紹介したいアーティストがおりまして。tofubeats作品に参加した経歴もあるUG NOODLEは、ソウルやラヴァーズ・ロック、インディ・ポップなどのフォーマットを借りつつも、最終的にカテゴライズなど無意味に思えてくる得体の知れないポップスを鳴らしています。めちゃくちゃフレッシュ。こういう音楽に出会った時ってめちゃくちゃトキめくっす。

トータスやシカゴ・アンダーグラウンドのギタリストとしても知られるジェフ・パーカーの前作『The New Breed』は愛聴盤でしたが、今作はもっと針を落とすであろう超マスターピース。卓越したエディット感覚でソウル/R&B～モード/フリー・ジャズを経由してアンビエント・ジャズに着地する展開は、ここ数年のジャズ作品でいちばんゾクゾクした瞬間。

西海岸オークランドの3人組MARIPOSAS DEL ALMAが昨年リリースした7インチでがっちりハートを掴まれたのですが、同じく同郷で活動するDISCOS RESACA COLLECTIVEとの合体ユニットがアルバムでリリース。ミクスチャー化を重ね進化するモダン・クンビアスタイルとチカーノ～スウィート・ソウルのテイストを織り交ぜ、ベイエリア・ラティーノの旬を捉えた素晴らしい盤。

スペインはバルセロナを拠点にNICE&EASYなロックステディ/ジャマイカン・ジャズを奏でる好バンド、ジ・オーディアンズ新作。8人組の大所帯バンドながら、音数少なめなアレンジとトロピカル感がほどよくブレンドされたライト・メロウ・フィーリングなセンスが光っていて、アルバム全篇を通してシームレスに心地良く聴かせてくれます。
それではまた来月お会いしましょう。