続き・・・
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やっぱり、日本人の顔は白黒ですかね?
松井 僕はね、そう思いますね。風景も、これだけビルが多くなると、欧米なんでしょうね。だからカラーでいいのかもしれないけど、僕は白黒の方が日本の空気に合ってるような気がしますね。
あとね、今回、上田現くんってミュージシャンに音楽をやってもらったんですけど、彼は『追悼のざわめき』を観て、しばらく経って、彼と会うことになって、彼は『追悼のざわめき』の大ファンだと。
で、その時にね、「あの血の色、すっごい赤ですよね。あんな赤、見たことないですよ」って言ったんですよ。で僕は、「あれは白黒映画だよ」って言ったら、「え?」ってなって。
それで僕はね、「よかった」って思って。「人を想像させれるんだよなあ、白黒は」って思って。それで、白黒の持ち味というか、魅力というのを、そこでまた発見出来ましたね。
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そうなんですね。ぜひまた監督の、白黒の作品も拝見したいと思ってますので・・・。
松井 自分でお金を出すんであれば、決めれるんですけどね(笑)。人様からのお金なんでね(笑)。
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さらなる新作も、たのしみにしてますので。監督の作品は一貫して、疎外されている人間を描かれていますが、監督にとって、そういう人間のどういうところに惹かれて、映画にしたいとまで思われるんですか?
松井 うーん、自然にそっちに気持ちが行っちゃうんですよね。ちょっと例えが変かもしれませんが、僕ね、昔野球が大好きで。出身が西宮なんで、甲子園球場が近いんです。高校野球観に行くんですね。その当時の高校野球は、北海道とか沖縄とかって弱かったんですよ。遠くから関西まで来て、1回戦でボロ負けして帰る。これねえ、応援しちゃうんですよね、そっちの方をどうしても。判官贔屓っていうんですかね。負けるかもしれないと思っていても、応援しちゃうんです。一生懸命なんですよ。1点でも多く取ろう、1本でも多くヒット打とうって、一生懸命なんですよ。それがねえ、好きなんですよ。相手、高校生で、僕、小学生ですよ?(笑)。年上の人に対して、そういうことを思っちゃうんですよね。
だからね、どうしても実際生きてると、テレビなんかで嫌なニュースがあったりしますよね。「なぜこんなことになるのかな?」とか「仲良くすればいいのに」って思うんですよね。肌の色が違うとか、目の色が違うとか、宗教感が違うとか。日本であれば、出身がどこであるとか。下らないなあって思って。もっとね、「同じ人間でしょ?だったら、仲良くすればいいじゃん」って。
みんなわかってると思うんですよ、ただそれが目の前に晒されるとどうしても、垣根を作って、バリアを張って、色眼鏡で見て。「なぜそういうことするのかな?」って思いますね。
ですから、よく、『追悼のざわめき』の時も、新聞とか雑誌とかそういうところで、「小人症のセックスがこの映画にはある」とか、奇異な捉え方をされて、そういう言葉があったんですが、「そりゃあ小人症の人だって、好きな人が出来たらセックスもするでしょう」と。なんか、おかしいなあって思ってね。
どうしてもその、恵まれない環境の中ででも、一生懸命生きてると。一生懸命に生きてたら、それで十分美しいんで。そういう人を映画にしたいなあと。
美男美女のラブストーリーは、僕が創らなくても、毎年大量生産されるんで。だったら、「僕でしか出来ないことって何かな?」って思ったら、やはり、僕が真っ正直に考えて、真っ先に浮かぶのは、そういう疎外されてる人たちも一生懸命生きてるし、恋愛もするし。もちろん、偏見に塗られた境遇にもなると。そのあたりを映画にしたいなと。
たぶんそのね、今は、きれい事で済ますような世の中なんで。そういうところに蓋しちゃうんですよね。でも、そういうところは、みんな見ないといけないと思うんで。
疎外されている人たちも、我々と同じ人間だと。そういうことじゃないですかね。
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では、最後にHMVのユーザーの方に、メッセージを頂けますか?
松井 はい。『追悼のざわめき』は、30歳までの松井です。その当時の、世の中に思っていた怒りだとか、悲しみとか。逆に、すばらしいことや美しいことを映画にしました。
で、今20年経って、51歳の松井です。今僕は、同様のことを思って生きている。それを正直に映画にしました。
30代の松井は、ぎらついてました。多少丸みを帯びた松井が、この映画にはあります。そこで、「30代の松井はよかったけど、50代の松井はあかんな」と思われたら、それまでのことで。逆に、「ああ、変わってないね」って思ってくれたら、それでいいし。「前よりいいな」って思ってくれたら、それでいいし。
正直に映画を観てもらって、正直な感想を聞かせてもらえたらうれしいです。そのためにも是非、映画館に足を運んでもらって、『どこに行くの?』を観て欲しいです。
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すごくいろいろなお話しが聞けて、今日は本当にたのしかったです。ありがとうございました。
松井 いえいえ、こちらこそ。僕もたのしかったです、ありがとう。おおきに!
終わり・・・