続き・・・
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では、キャストのお話の続きですが、今作も含め、監督の過去の作品には全て、佐野和宏さんが出演されていますが、これは絶大な信頼関係からのキャスティングですか?
松井 はい、そうです、そうです。初めね、彼は刑事役じゃなかったんですよ。僕はね、あの変態社長いるでしょ?あの役をやってもらおうと思ってたんですよ。
で、台本を製本したのを配ると、「うわー、この刑事、佐野さんですよね?」って、助監督の粂田くんに言われて。「木下社長なんだけどね(笑)」って言ったら、「そうなんですか?この口調は全部、佐野さんですよ」って言われて。「ああ、そっか。そう言われれば、そうだよね」って、そこで気付かされたんですよ、で、佐野ちゃんになったんです。
彼は、信頼関係もそうですが、たのしいんですよ、明日佐野ちんに会えるなって思うと。睡眠不足も平気で行けるんですね、現場に。
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彼の人柄が好き・・・というか?
松井 人柄はね、嫌いですよ(笑)。
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嫌いなんですか?(笑)。
松井 嫌いですよ(笑)。だってね、『追悼のざわめき』の時あいつ、完成して、僕のいないところで、陰でボロカスに言ってましたからね(笑)。
で、感想を聞きに行ったら、そんなこと一言も言わないの(笑)。「衝撃的ないい映画だよね」って(笑)。
彼の映画仲間が彼に、『追悼のざわめき』のことを言うんですよ。「佐野さん、いい映画出ましたね」とか「佐野さんも、ああいう映画撮らないといけないですよ」とかって言われたりしてるんですよね。
そうすると、「何言ってんだよ!あの映画はなあ・・・」って、またボロカスに言ってるんですよね。直接会うと、僕には何にも言わないんだけど(笑)。
で、こないだイメージ・フォーラムでムーブオーバーしたでしょ?その時もね、「この映画に出れて光栄です」って(笑)。「ふざけんなよ!」ですよね、本当に。「俺が知らんと思ってんのか?」って(笑)。
今回もね、そうですよ(笑)。『どこに行くの?』の関係者試写が終わった後、飲み会に7、8人で行ったんですよ。僕は前日1時間しか寝てなかったんで、ビール呑んだらすぐ眠くなって、寝てしまったんですよね。でも、耳だけは聞いてるんですよ(笑)。そしたら、佐野ちゃんがいろいろ言ってるんですね。
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やっぱり・・・(笑)。
松井 そう。やっぱり、言ってるんだよね、さんざん(笑)。
で、目を覚ましたふりして、パッと起きたら、向かいにいた牛島くんっていう俳優さんがね、「今ね、佐野さんと山本さんね、喧々諤々にこの映画を批判してたんですよ」って言うの。
僕は全部聞いてるからね、で、知らないふりして(笑)。「ああ、そうなの?何言ってたの?言えよ」って言ったらね、違うことを言い出してね(笑)。
「20年経っても一緒やなあ」って思って(笑)。だからね、人柄は嫌いですよ(笑)。ただね、俳優としては、大好きなんで。
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俳優として好きなのは、彼のどういうところですか?
松井 色気がある。あのー、たぶん、まあ語弊があるかもしれない、かいかぶりかもしれませんが、黒澤(明)さんが山崎努さんを「すごく色気がある人」だと。仲代さんにもそう言ってますね、三船さんにも。
まあその、彼らとは比べものにならないくらい僕は下っ端なんですが、僕もそういうことを佐野くんに思いますね。色気があると。で、色気だけじゃなく、ちゃんと勉強してくるので。
今回の刑事役についても、なぜ彼は刑事になって、ホモの刑事なのかっていうのをちゃんと、少年時代からずーっと履歴を考えてきてたんですね。「ああ、やっぱり、使ってよかったなあ」って思いましたね。
だけど普段ね、僕、佐野と会いませんから(笑)。
続く・・・