ソウルに浸ったボウイがその方法論をヨーロッパに持ち帰り作ったような作品です。実にヨーロッパ人らしいセンスの曲満載です。♪１は１０分を超える大作です。実験的面と円熟面が溶け合う稀有な作品。

８０年代の音楽の流行、当時の人々の音楽嗜好を見事に捉えた作品です。かつてないほど明るくキャッチーな作風と歌い方は新しいファンを増やしはしたが古いファンには馴染みにくいものになった、ある意味問題作です。

♪１は日本語の歌詞が日本人女性により歌われてます。小野洋子っぽく聞こえる。そしてもう一つの目玉があの「space oddity」の続編にして美しい♪４。全体的にボウイの鋭い感性が冴え渡る傑作です。フリップの危ないギターもＯＫ

ソウルフルな作風のため大抵のファンにはあまり面白くない作品でしょう。ですがこれほど味のある作品はボウイの作品でなかなかありません。ビートルズファンは♪６と♪１（あのフレーズが聴ける）に注目。

イーノのソロ作「before ＆ after science」、「another green world」などを聴いてこの作品がイーノの影響が「ロウ」「ヒーローズ」とは違う意味でよく出てるのがよくわかりました。というわけで評価を上げたいと思います。

旧国内盤にも収録されていた♪１１と１２について解説。１１は♪１０のアラビア路線（？）を踏襲したインスト。アルバムから外す事なかったのでは・・？　１２はモノミックスっぽい感じ。ＬＰの音源か完成手前の様な感じを与えます。♪２には当然敵いません。

しっかりしたバンドサウンドをバックに、ちょっと奇妙なくらいに溌剌と歌うボウイ。全体としてはしっかり出来てるのに何か足りないと思わせてしまう、ある意味損してる作品ですそれを埋めたのが次作ティンマシーン。

「ロウ」、「ヒーローズ」のように前衛的なインストは含まれていないからなのか本作への評価は低いようです。ですが独特の歪んだ捻りある曲（avant-popと呼びましょう）は非常にユニークです。

最高傑作は「ジギー」でも「ロウ」でもない。この「スペースオディティ」だ。聴けば一瞬にしてボウイの星へ連れて行かれます。映画のサントラにも絶好の名盤だと思うのですが。

このアルバム、制作自体は『ジギー〜』の後であったが、ジギーのプロモーションとして発売が前後したというエピソードがある逸品です。実際「Life on...」と「Queen bitch」はジギー用に作られた曲です。そう思うと、グラム全開の『ジギー〜』を作ると同時に全く趣の異なる