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Abbadian さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/14

     最近のヤルヴィの音楽が,「更に一皮剥けた」ことを実感させられる,見事な「第9」。この演奏や「惑星」で特に感じられるのが,作為を感じさせない音楽の呼吸感の素晴らしさ,絶妙なアーティキュレーション,そして生命力に溢れながら,精妙の極みのリズム感―など,ヤルヴィの音楽の本質的美点が一層磨かれ,彫りが深くなったということである。ベートーヴェン・ツィクルスも,第7辺りでは,小編成のDKPを強力なエンジンでやや強引にドライヴしている感があったが,この「第9」にはそんなところは微塵もない。勿論ピリオド・アプローチによる演奏であるが,DKPの器を無理なく活かしつつ,筋肉質でしなやかな,モダン・ピリオドの枠を超えて最高度に練り上げられた秀演を創り上げている。ソロもコーラスも実力派が揃い,ヤルヴィの意思を全面的に受け止めた,これまた見事な演奏を聞かせている。指揮,オケ,ソロ,コーラスと4拍子揃った,近年出色の名演だと思う。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/10/09

     現在ブレーク真っ最中の河村の7年前の初録音盤である。紀尾井ホールでのリサイタルが完売になり,惜しくも聴き逃してしまったため,この盤で実力の片鱗を・・・・と思ったが,残念ながら期待は満たされなかった。この盤での彼女は,まあ優秀な若手という域を出ない。何より曲目の選定ミスだろうと思う。まずはモーツァルト。これが一番ダメである。どう演奏したらいいか確信が持てないような,自発性・生命力が感じられない演奏だ。表現に素人っぽさが残っていて,評価できない。シューベルトも,まだこの時期の彼女には音楽的に難しすぎたようだ。それなりに弾いてはいるが,このソナタの深みが伝わってこないもどかしさが払拭できない。タッチにも,意外な粗さがある。一番良かったのはプロコフィエフ。この曲になって初めて,思い切りの良さとテクニックの冴えが聴かれるようになり,プロコフィエフの音楽の持つ乾いたロマンとモダニズムが好ましい形で表現されている。プロコのみ★4つ,モーツァルトとシューベルトは★2つ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/09/29

     演奏には直接関係ないが,この作品(商品)へのコメントの「品のなさ」,「センスのなさ」は何だ?正に「2ちゃんねる」そのものではないか。これはヒューイットの演奏,ひいてはラヴェルの音楽への冒涜である。演奏を聴かずにコメントをする者(大阪で何を聴いたのか?私が3度聴いた東京公演で,彼女が雑な演奏をしたことなど一度もなかった),とても聴いたとは思えないとんちんかんなコメントをする者,そしてそれを正に「2ちゃんねる」のノリで揶揄する者。まともなコメントがない。これでは,これから購入しようとしている人に何の参考にもならないし,ヒューイットが単なる「バッハ弾き」でないことも認識されない。
     このラヴェルは,ヒューイットのバッハの豊富な演奏体験が活きた,個性的かつ魅力的な演奏である。ラヴェルの計算し尽くされた音のテクスチュアが,一切混濁することなく見事に弾き分けられているところに,それを強く感じさせられる。また音色が決してモノトナスにならず,ラヴェルに相応しい色彩感や高雅なセンスが感じられるところが良い。難曲である「夜のガスパール」や「クープランの墓」の「トッカータ」等も,テクニック的にもしっかり鮮やかに演奏されている。
     これはヒューイットのピニストとしての幅広い能力を示す,優れた一組である。

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/09/19

     BBC Legendsのテンシュテットのライヴには,評判倒れのものが少なくない。彼の演奏の感情的振幅の激しさにオケが付いていけていないことが主な理由と思われるが,この演奏はその典型。何と言っても,80年代後半以降の録音と比較して,LPOの演奏力は格段に劣っている。特にマーラー,しかも第7のようにオケのアンサンブル力・ソロ能力の双方が求められる難曲では,80年代初頭までのLPOにはいかにも荷が重い。全てのパッセージの「入り」があやふやで,テンシュテットの意思力が全く伝わってこないもどかしさ,いつも「次のブラスは大丈夫か?」と心配しなければならない不安感は如何ともし難い。EMIの’93ライヴでも,特にブラスの不安定さは大きなマイナス要因だが,’90年代の演奏では晩年のテンシュテット特有の,一種独特な感情の振幅の大きさが説得力になっている。しかしこの演奏は,その水準には達していない。録音状態もこの時期のものとしては許容水準以下であり,発掘する意味があったのかどうか,と考えさせられる演奏である。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/08/30

     期待して買ったが,見事に裏切られた。クイケンは奏者としては素晴らしいと思うが,指揮者としては残念ながら超一流とは言えない。全曲を一貫する「表現意欲」のようなものが乏しい。ミンコフスキ盤とは正反対に,安全運転に徹している印象で,「透徹した」表現には至っていない。ヴィオロンチェロ・ダ・スパラやヴィオローネを使うなどの工夫も,特に演奏上の感銘を深くするものではない。何より,合唱(OPPなので,合唱といっていいか分からないが)がバランスが悪く,特にテノールが弱い。ミンコフスキ盤と本盤を聴いて,やはりこの曲はOPPでの演奏は困難というのが私の印象である。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/08/30

     美しく,極めて平明な演奏。合唱をやっている者にとって,完璧に演奏することの難しいこの曲のお手本とも言えそうな,技術的には見事に完成度の高い演奏である。ラテン語の発音も,独墺系の団体のような陰影感には不足するが,日本人の演奏としてはこれ以上望めないレベルであろう。ソロは,注目のサンプソンが特に見事だ。しかし,この演奏には「それ以上のもの」がない。何かよそよそしいのだ。中庸と言えば聞こえはいいが,バッハ音楽の集大成ともいえるこの曲の演奏が,そのレベルでいいのだろうか?例えば,冒頭の「Kyrie」。この内面的苦悩に満ちた曲が,ひたすらさらさらと流れていく。一つの原因として,小節毎の拍頭に鳴らされるチェンバロが挙げられるだろう。これが耳障りな上に,聴き手はじっくり音楽に浸る前に先を急がされているような感覚に襲われる。受難曲のレティタティーヴォではないのだから,無意味どころか,過剰な装飾であってマイナスである。鈴木氏も,もうそろそろ表面的な美しさを超えた何かを聞かせてほしい。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/08/10

     鈴木/BCJのバッハ録音は,演奏の完成度は高く,合唱の精度も非常に高水準であり,何より美しい。美しさという点では最高とも言えるかもしれない。しかし,である。彼らの演奏からは,内面から満ち溢れるパッションがほとんど感じられないのだ。聴き返す程に,その点が気になってくる。聴き飽きてしまうのである。また,日本人としては最高水準といえるラテン語やドイツ語の発音も,やはりドイツ語圏の演奏家と比較すると,どうしても印影や深みに乏しい感が否めない。これはBCJのメンバーから直接聞いた話だが,実は彼らはもっとパッションを感じさせる,テンションの高い演奏がしたいのだが,BISのプロデューサーが,そういうものは犠牲にしても,とにかく完成度の高い,欠点のない演奏を求めるのだそうである。それを知ってこれらの演奏を聴くと,どこか優等生的に澄ました感じの演奏になっているのもむべなるかなと思う。カンタータはまだいいとして,「マタイ」のドラマトゥルギーの欠如(是非再録音してほしい),「ロ短調」の上澄みだけを掬ったかのような訴えかけに欠ける演奏(美しいことは間違いないが)は,個人的には残念で仕方がない。これがBISの関係者の考える「日本人によるバッハ演奏の究極形」なのだろうか?だとすれば,彼らが本領を発揮するためには,このままBISで録音を続けるのがいいのかどうか,という気もしてくる。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 11人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/05/21

     この演奏を「いつものハイティンクか」と思って聴いたら大間違いだ。寧ろ,常のハイティンクでは考えられない「爆演」系の演奏といっていいだろう。ベーレンライター版を基本にしながら,何かが中庸穏健な彼を突き動かし,音楽がめらめらと沸点に達しそうな勢いで内部から燃え上がっている。テンションの高さも尋常ではなく,これが全9曲を貫いているから凄い。しかも演奏に粗さは皆無で,ライヴならではの良い面のみが表に出た稀に聴く秀演といえるだろう。同じライヴでも,最近のシカゴとの冷徹無比なマーラーとは正反対の演奏だ。(続く)

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/05/18

     ○○芸術でかなり高い評価を得ていたが,なんだか小ぢんまりとまとまって,さらさら流れていくような演奏。オケの編成が小さく,ピアノの音も線が細いのでそう聞こえてしまうのかもしれないが,やはりロマン派のコンチェルトは「弾き振り」をすると,どうしてもオケの雄弁さがスポイルされてしまい,薄味のスープを飲んでいるような印象になってしまう。テクニック的には十分水準を超え,どこといって大きな欠点はないものの,「この演奏でなければ!」という特徴も余り感じられない,やや期待外れの1枚。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/05/02

     ヒュー・ウルフはどうも派手な話題好きの日本人にはあまり評判が芳しくないようだが,この演奏は先入観なしに聴いてほしい。久しぶりにFRSOからガッツのあるドイツ的な音を引き出した腕は,並みのものではない。ここでのウルフの演奏スタイルは徹底的に原典主義であり,エキセントリックなことは一切せず,愚直な程潔く真正面からベートーヴェンに取り組んでいる。でも,細かい表現も決して軽視していない。楽器配置はヴァイオリン対向配置,リピートは全て楽譜どおり実施しているが,学問的な無味乾燥は微塵もなく,燻し銀の生命力がある。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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