トップ > My ページ > フォアグラ さんのレビュー一覧

フォアグラ さんのレビュー一覧 

検索結果:445件中256件から270件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/11/27

    作曲家の吉松隆が6番を「銀河鉄道交響曲」と呼んでいたが、尾高の演奏はまさにその表現として理想的なものだ。各楽章のリズムの刻みは「夜汽車」を連想させ、終楽章で「夜汽車」のリズムが戻ってくると、なんとも切ない気持ちで一杯になる。この曲の名演の一つといえよう。7番も同様に極めて内省的な演奏だが、この曲には大自然と人の営みの先に宇宙への飛躍もある。尾高&札幌響の真面目で丁寧な演奏では、そこまでたどり着けなかった印象も残る。札幌響には弦のさらなる厚みと表現力を求めたい。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/11/12

    ヒンデミットは、フーガ、パッサカリアばかりで理屈っぽく金太郎飴的という誤解がまだ残っているが、本当はハードボイルドなかっこいい音楽を書いた人だ。30年代末に書かれた作品では「シンフォニック・ダンス」やヴァイオリン協奏曲とともにもっと評価されていい曲。シュタルケルは気に入っていたようだが、確かに彼にぴったり。一方、プロコフィエフについてはシュタルケルはヒンデミットより下と言っているが、そんなことはない。超絶技巧を交えながら曲想がどんどん変遷し、強烈なロマンティシズムとドライなタッチが交錯する実に面白い曲であり、70年代にはまだその面白さが理解されていなかったのかもしれない。この時代に既にラウタヴァーラを取り上げているのもちょっと驚き。シュタルケルの演奏はどれも素晴らしいもので、この3曲の代表盤といっていいだろう。録音も鮮明。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 11人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/10/24

    「リーダイ」の愛読者だった父がクラシックに興味がないのに見栄で購入したベートーヴェン交響曲全集。書斎の飾り物となっていたレコードを小学生の時に引っ張り出して聴いたのが私のクラシック入門になった。チャールズ・ゲルハルトの解説も何度も読んだ。これが私のベートーヴェンの規範であり、だからこそフルトヴェングラーを聴いた時の衝撃は大きかった。なんだこの、のろい、重苦しい演奏は、こんなのベートーヴェンじゃないと思ったものだ。今ではフルトヴェングラーの素晴らしさももちろん理解しているが、どちらが好きかと言われればレイボヴィッツだ。私と同様の経験をしている方も少なくないようなのも嬉しい。演奏はどれもいいが、特に3番、4番は大好きである。時代を切り開いていく前衛としてのベートーヴェン。ロイヤル・フィルも優秀。今回のスクリベンダム盤では、ベートーヴェン以外のリーダイ、RCA録音が初めてまとめられたのだが、ロイヤル・フィル以外は偽名オケやスタジオ・オケばかりで演奏も玉石混交。(なぜか今回1枚のみパリ音楽院管弦楽団が正式名称になっている。それにしてもインターナショナル交響楽団てなんやねん。)このうちロンドンの2つのスタジオ・オケ(ロンドン新響、ロンドン・フェスティヴァル管)のレベルが低いのが残念。「春の祭典」はリズムもボロボロ。レイボヴィッツがブーレーズの師匠というのが信じられない演奏だ。ロイヤル・フィルとのものはどれもよく、パリ、ローマのオケのものも独特の面白みもある(グロボカールのソロが有名なボレロなど)が、評価は星4つが妥当だろう。でも、ベートーヴェンの価値を含めて満点にしたい。

    11人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/10/19

    プロコフィエフ交響曲全集以来、キタエンコ&ギュルツェニヒは絶好調だ。現在、ロシアものでは最高のコンビだろう。このチャイコフスキーも実に素晴らしい。とにかく1曲1曲聴き終えての充実感が凄い。特別個性的な表現はとらないのだが、どの曲も真摯で高い音楽性と生命力に溢れている。5番が白眉で、3番、6番、マンフレッドが次ぐ。キワモノの7番ですら充分聴かせる。管弦楽曲も名演ぞろい。録音も超優秀であり、価格も安く、広くお勧めしたい。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/10/14

    LPの縦開きジャケットが復刻されていることだけで感涙ものだ。「ペトルーシュカ」はバーンスタイン盤とブーレーズ盤がほぼ同時期に発売され、中学生だった私は大いに迷った。バーンスタイン盤は、虚ろなペトルーシュカのジャケットが魅力的だし、バーンスタインのレクチャー・ボーナスLPが付いているのもポイントだったが、結局1911年版を聴きたくてブーレーズを購入。バーンスタイン盤は暫くしたら買おうと思っていたら廃盤になってしまった。ブーレーズ盤がLP-CDと時代を経ても発売され続けたことからみても、多くの人は私と同じ行動を取ったのだろう。このジャケットを見るのは数十年ぶりだ。演奏は、エネルギッシュでストレート。同じニューヨーク・フィルでもブーレーズの幻想的な演奏とは随分違う。版の違いによるところもも大きいのだろうが、ここでの生命力が溢れ出んばかりの演奏はブーレーズに負けず劣らず素晴らしいものだ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/10/08

    第2集と同じく全て持っているのに買ってしまった。だが、買って良かった。音質改善が著しいからである。特に「春の交響曲」。デッカから出た時はあまりの劣悪な音にたまげ、いくら初演の歴史的ライヴでもこれはメジャーが出すものではないと憤慨したものだが、このスクリベンダム盤では悪い音なりに音楽が聴こえてくることに驚いた。他にもテープの経年劣化によりフラッターのあるものがもともといくつかあったが、この盤では音の鮮度を落とさず目立たないように処理されている。小さくノイズが入る部分もあるので、板起しでカバーしたところもあるのかもしれない。それにより際立つのがデッカの録音の優秀なこと。第2集のフィリップスと比較すると明らかだが、モノーラルとしては最高水準だろう。デッカは鮮明ではあるが、音が痩せて聴こえる難点もあったが、ここではそういう問題は全くない。オケが超優秀なせいもあろうが。演奏の素晴らしさについては他のレヴュアーの方が書かれており繰り返さないが、初めて聴く方は驚くに違いないものであることは一言添えておきたい。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/10/05

    プライがデッカにリート・リサイタルを録音していたことは知らなかった。ヴォルフの機知の音楽はフィッシャー=ディースカウの最も得意とするところだが、正反対のタイプであるプライは正攻法で歌い、見事な出来を収めている。ムーアのピアノの力も大きい。あまり歌われないプフィッツナーも優れた演奏。「孤独な娘」は、これぞプフィッツナーというべき名曲で、ポップらの女声によるものもあるが、プフィッツナーはやはり男声のほうがふさわしい。リヒャルト・シュトラウスでの天衣無縫の歌唱はプライならではの聴きものだ。近年のリート歌手はフィッシャー=ディースカウの影響が強すぎ、センテンス毎に表現を細分化させてしまうが、本来の歌の楽しみは、このプライのようなおおらかなものではないか、と思っている。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/09/18

    第1集、第2集同様テンポの遅い演奏だが、今回はそれがほぼ限界に近いものとなっている。チェリビダッケの晩年の演奏を思い出させるが、マゼールの場合は、このチクルスをたった1年で、大したリハーサルも取れないであろうフィルハーモニアと行い、弛緩も瑕疵もない演奏を成し遂げたという点で驚かざるを得ない。同時期に同じロンドンでチクルスを行ったゲルギエフ/ロンドン響と比べ、表現の練り上げ度、オケのコンディション、合唱のコントロール、更には録音まではるかに上のレベルであることは、指揮者としての「格」の差というしかないだろう。ゲルギエフは既に賞味期限切れ感が強いが、彼に限らず楽壇登場から10年ほどは魅力一杯だった音楽家がその後つまらない存在になってしまう例がどれほど多いことか。その中でマゼールは。好みこそあれ、常にインパクトある演奏で関心を集め、ルーティンに陥らず生涯を全うした人であった。特に今回の3曲は、各モチーフを丁寧に扱い、とてつもない遅さにも拘らず、自然さと不思議な透明さを失わない至芸を披露しており、彼の芸術が次の次元に入ったことを感じさせるものである。この先を聴ける機会が失われた損失の大きさを痛感する。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/09/05

    オペラ・ファンなら主役3人が同じカラヤン盤はまず持っているだろうから、この旧盤を買う価値があるか悩む人もいるだろう。私は十分価値があると思う。主役3人の歌唱は、こちらのほうが上。デル・モナコは後年の変な癖もなく、圧倒的に輝かしいオテロを聴かせる。テバルディの瑞々しさも格別だし、過小評価されがちのプロッティも素晴らしい。脇役もカッシオのピエロ・デ・パルマをはじめ、こちらのほうが強力。エレーデの指揮も決して悪くない。時にもっと音楽を追い込んでほしい場面もあるが、翌55年の「運命の力」でのモリナーリ=プラデッリよりはるかにしっかりしている。カラヤン盤の一番の不満は、開幕の嵐の効果音を強調しすぎて肝心の音楽が聴きにくくなっていることだが(私はカルショウの子供じみたソニック・ステージが嫌いだ)、オロフがプロデュースするこの盤ではそんなこともない。欠点はオケが粗いことと合唱が遠いこと、独唱が左右に分かれすぎることだが、54年にオペラをステレオで録音したのはデッカだけであり、いろいろ試行錯誤中だったのだろう。むしろ、これがステレオ収録されたことを心から感謝したい。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/08/27

    ギルバート/ニューヨーク・フィル盤の持ち味は、オケのパースペクティヴにある。弦のセパレーションと金管のパワフルな厚みを持ったサウンドは、北欧やイギリスのオケでは聴けないものであり、デンマークのダカーポ社の狙いもそこにあったと思う。ギルバートは、遅めのテンポでオケを生かした豊麗な音楽を作っている。ただ、2番の第1楽章や4番ではキレが鈍い印象も残る。4番は最近マルティノン/シカゴの激烈な演奏、録音とどうしても比較してしまうが。成功は1番、3番、5番。3つの協奏曲も付いているが、これが聴きもの。ズナイダーのヴァイオリンは実にすばらしいし、ニューヨーク・フィルの首席が担当する木管の協奏曲も非常に面白い。これがあるので満点としよう。余談だが、ブックレットに載っているニューヨーク・フィルの写真を見ると、ヴァイオリンの半数が東洋人なのには少々驚かされた。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/08/06

    「ローマ3部作」では、噴水、松の順に好きで、祭りは殆ど聴かない。そんな私にとっては、ライナー/シカゴとカラヤン/ベルリン・フィルが双璧であり、特に「噴水」はカラヤンが史上最高演奏だと思っている。「松」は「ジャニコロの松」の濃厚な表現がクサイが、まあ、ここまでやりきっていることは凄い。「リュートのための古風な舞曲とアリア」も、これを聴くと他が聴けなくなる。そして、最後にカラヤン・アダージョの代名詞であるジャゾットの「アルビノーニのアダージョ」がくる。少し前に出た「グラモフォン・オリジナルズ50」にこれは入っていなかったが、私ならマーラーを外してこれを絶対入れる。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/07/27

    HMVで「悲愴」がモノラル表記されているが、真正ステレオである。私が初めて聴いた「悲愴」はこのカラヤン/フィルハーモニアの疑似ステレオ盤で、音が悪かったせいもあるが、地味な印象であった。その後、モノラル盤も買い直したが
    印象は変わらず。ところが、今回ステレオ・バージョンを聴いて印象一変。誠実に緻密に描き出した内省的な名演であり、カラヤンでは、最後のウィーン・フィル盤に次ぐ出来。音質も瑞々しい。次には4番が面白い。ベルリン・フィルがカラヤンの音になっておらず、時にフルトヴェングラーのように響く。その分、カラヤンも懸命であり、珍しくエモーショナル。カラヤンのチャイコフスキー交響曲というと、71年盤が有名だが、確かにオケの音圧は物凄く圧倒されるものの、何度も聴くと弦とホルンばかり目立ち、それが曲を単純化させ飽いてくる。私には、こちらのほうが好ましい。他の演奏もどれも好演だが、この時代のフィルハーモニアのオーボエの音色が好きになれず、特にモノラル録音では悪目立ちして大きなマイナス。カラヤンが、これだけお世話になったフィルハーモニアに対して肯定的な発言をしていないのも、このあたりに一因がありそうだ。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/07/21

    選曲のセンスがいい。売上重視で食傷気味のフランクやラヴェルをカップリングすることなく、本当に問いたい曲を選んだのだろう。確かに2曲ともとびきりの名演だ。ルクーは、この人特有の青白い焔が燃え上がる瞬間が捉えられ、感動した。長年クラシックを聴いてきて、心から感動するなんてことはめったにないことだ。近年ではイブラギモヴァの好演があったが、漆原はそれを凌いでいる。サン=サーンスの音楽は常にキャッチーなメロディを持ち楽しめるが、聴き終った後何も残らないということが多いのだが、漆原とスナイダーは緻密に音楽を構成し、しっかりとクライマックスを形成することに成功しており、こんないい曲だったのかと思わせる。漆原の実演は10年以上聴いていないが、美音も深みも更に増していることは素晴らしいことだと思う。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/06/19

    60年代のバーンスタインらしいダイナミックで閃きと勢いがあり、そして少々雑なシベリウスである。雑な面としては、6番第1楽章主部がテンポが速すぎ上滑りしており、楽器の繋ぎもごちゃごちゃしてしまっている。決してつまらない演奏ではないが。一方、60、61年に録音された5番、7番は緻密に構成され、ウィーン・フィルとの再録よりはるかに優れた出来。当時バーンスタインは超多忙であり、60年代後半になるとアンサンブルの整備に手が回らなくなっていたと思われる。ニューヨーク・フィルの明るくむき出しな音色、デッドな音質が、これじゃない感を助長しており、評価が低かった理由もわかる。それでも、逞しくアグレッシブに変貌した3番、4番など思わぬ聴きどころも多く、価格も安いので充分お勧めできるセットだ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/06/13

    かつて名盤といわれたモントゥー、アンセルメ、マルケヴィチ、それにストラヴィンスキー自演の「いけにえの踊り」でのティンパニの打ち込みポイントが全部微妙にずれており不思議だった。「春の祭典」はリズムの音楽であり、そのクライマックスがきまっていないにもかかわらず、評論家がそこには触れずモントゥーがいい、いやマルケヴィチだといっていたのは無責任の誹りを免れまい。60年代後半からの録音でこういう問題はなく、これは1967年版の登場によるものだろうと推測したのだが、この問題を演奏比較で聴かせてくれた初めてのCDという点でジンマン盤は貴重なものだ。モントゥーの弟子であるジンマンによると、モントゥーは「春の祭典」が好きではなかったが、使命感でひたすら正確に演奏したとのことだが、ここでの1913年版のティンパニとも実は違う。単に下手だったのか、さらに別のスコアを参考にしたのか疑問は残るし、この部分のスコア比較があるとよりよかったが、それでもこのジンマンのインタヴューとレクチャーから得るところは多い。全訳が載っている国内盤を強くお勧めしたい。演奏はインパクトのあるものではないが、1913年版の「いけにえの踊り」のノリの難しいリズムを確認できることで良しとしよう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:445件中256件から270件まで表示