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Sagittarius さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/09/12

    この録音は、ブルックナーの交響曲第1番のヴィーン・フィルによる演奏と言う事も手伝い期待される方も多いと思う。ここでは確かにヴィーン・フィルには目立った破綻なく、録音も悪くない。しかし、そこで聞かれる「音楽」は早めのテンポで、威勢は良いが、感性に乏しく乾いた印象を与える。アバドは若きブルックナーの新鮮な感性に満ちたこの作品を前にほとんど何のインスピレーションもなく振ってのけたように見える。ブルックナーの交響曲第1番はもっとずっと感動的な曲であろう。もしこの録音で、曲に疑問を感じるようであれば、例えばヴァーツラフ・ノイマン指揮ゲヴァントハウス管弦楽団の録音を聞いて見る事をお勧めする。そこには全く別の世界が広がっている筈だ。(HMVのホームページでは、ノイマンのこの録音はブルックナーの交響曲で探しても出てこない。指揮者検索からノイマンの項目で探すと見つかるので、HMVでもまだ入手可能な筈)

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     2015/09/11

    ベルリン‣ドイツ国立歌劇場 (Deutsche Staatsoper Berlin) の1960年、ベルリンの壁が作られる前で、東西の歌手が入り乱れての録音。中ではフィッシャー=ディースカウの若々しく伸びと深みのある歌唱が群を抜いて素晴らしい。端役ではあるが若きフリッツ・ヴンダーリッヒがヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデを素晴らしい声で歌っていて重唱の中でも耳を引く。グリュンマーのエリーザベトは手堅い。ハンス・ホップのタンホイザーは評価が分かれるところだろう。美声ではないし、あまり聞き易い声でもない。年を取ったタンホイザーのように聞こえる。しかし、その渋い声は逆に悩める男、タンホイザーのある面を表現するのに有利に働いているかも知れない。マリアンネ・シェヒも美声ではないし、聞き易くなく、しばしば批判されてきたが、歌唱の内容自体は手堅く、役をこなしていて存在感もある。
    この録音の素晴らしさの一角は合唱のすばらしさだと思う(テノール約1名が突出して聞こえてしまう箇所があるのはご愛嬌だが…)。オーケストラは、弦に問題があり、当時のベルリンが置かれた政治的不安定さの影響を受け、メンバーにかなり出入りがあったようで、コンヴィチュニーの指揮の下であっても音の厚みやアンサンブルの面で問題なしとはしない。一方、管楽器では未だ名手を保持していたようで、例えば1幕の第3場の狩のホルンの合奏の厚みがあり勇壮で抜けの良い響きは、この時代のホルン‣パートがベルリン・フィルを凌駕するレベルにあった事を示唆している。
    スタジオ録音なので、うまくいった実演のような白熱の盛り上がりはないが、タンホイザーと言うオペラをじっくり聞く為の良い音源であると言える。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/09/09

    小説「1Q89」で引用されたことで必ずしも広く知られているとは言えない作曲家Janacekとその代表作のひとつSinfoniettaが知られる機会が増えた事は良かったと思います。
    村上春樹はアメリカと深い縁があり、JanacekのSinfoniettaを出すのにわざわざGeorge Szell/Cleveland Orchestraの音源を出したのでしょう。私がこの曲を最初に聞いたのもこの演奏(録音)でした。それは全曲ではなく抜粋で、当時(1960年代終わり) CBS Columbia の日本での契約先が日本コロンビアからソニーに代わり、日本コロンビアがまともに扱ってこなかったGeorge Szell/Cleveland Orchestra の録音も可也力を入れて売り出し始めたところでした。そのCBSソニーのサンプルLPに他の録音に交じって、JanacekのSinfoniettaのFanfareがSzell/Clevelandで入っていたのでした。その印象は鮮烈でした。全曲を聞いたのは、それから何年か経った後の事でした。しかし、実際に全曲を聞いてみて、Szellには珍しく迷いのある演奏、どこか主体性に欠けた演奏だったのに戸惑いました。そう、この録音はSzellには珍しく、まだ勉強が十分進んでいない時点で録音してしまったような印象を与えます。どこか歯切れのよくない演奏です。彼らしくない!
    JanacekのSinfoniettaはすぐれた作品で好きですが、Szell/Clevelandの演奏はこの曲の真価を聞かせてくれる代表的演奏の中には入りません。
    なので、村上春樹がわざわざJanacekを世に知らしめる機会を作っているのに、その音源の例としてSzell/Clevelandの録音を挙げてしまったのが二重の意味で残念な気がします。
    即ち、JanacekのSinfoniettaはSzell/Clevelandが残した録音が聞かせてくれるよりずっと良い音楽なのにと言う点、それにSzell/Clevelandの残した録音は他の多くが水準以上の優れたものであるのに、よりによって出来の悪いJanacekのSinfoniettaの録音で彼らの演奏の印象が決まってしまう人がいるかも知れないと言う点で。
    Szell/Clevelandの優れた演奏記録には枚挙の暇がないでしょうが、JanacekのSinfoniettaならば、例えばKarel Ancerl/Ceska filharmonieが優れた録音を残しています。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/23

    このCD集の圧巻は、意外にもハチャトゥーリアンの「仮面舞踏会」だ。この曲は近年日本の花形フィギュア・スケート選手が伴奏に使った事から広く知られるようになったが、それまではガイーヌの陰になって、演奏されることは希だった。「仮面舞踏会」には作曲者の指揮による録音も残っていて、ロシアの代表的オーケストラや人気指揮者によるディジタル録音もあるが、音楽的にはシュタインとN響のこの演奏が断然優れている。シュタインの手堅い指揮でN響が規律ある演奏をしているばかりではない。ロシア音楽に欠かせないパワフルさ、勢い、活き活きとしたリズムまで出せている。更に独特のペーソスまで感じさせるところがこの演奏を他の演奏から引き離している所以だ。
    シュタインはこの曲を得意としているらしく、1950年代にはベルリン放送交響楽団 (戦前からあるRundfunk-Sinfonie-Orchester Berlinの方で、戦後俄かに作られ、長らく Radio-Symphonie-Orchester Berlinと呼ばれていた方ではない)と録音もある。これも好演ではるが、1990年のシュタインの深み、翳りを持った彫りの深い表現には及ばない。
    嘗て優れた音楽家が並んでいたN響の名誉指揮者の中で、シュタインは、マタチッチやスイトナーと比べた場合、白熱の演奏が無かった事が惜しまれる。そうした中で今回水準以上の演奏だった「仮面舞踏会」が紹介される意義は大きいと思う。
    彼のN響での成功した演奏会だったカルミナ・ブラーナがCD化される事を待ちたい。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/23

    アルヘリチがDGに残した協奏曲をまとめたもので、廉価で彼女の協奏曲のレパートリーが一通り揃う為、落穂拾いをするのにも比較的気軽に買えるところが便利。
    内容は録音された時代が色濃く反映されていて、DGの専属である事からアッバードとの共演が多いのは仕方ないが、気の毒とも言える。例えばリストの協奏曲第1番には晩年のジャン・マルティノン指揮ハーグ・レシデンティ管弦楽団との華やかな演奏が放送録音として残されている筈だ。実演ならではの盛り上がりもさることながら、マルティノンに触発されたのか、アルヘリチとしても珍しく、繊細な音楽まで見事に表現している。こうした音源もCD化されればと思う。

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     2010/07/10

    これはジュゼッペ・パターネとドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ)、ライプツィヒ放送合唱団(ホルスト・ノイマン指揮)が残した歴史的演奏だ。ドイツ語訳で抜粋であり、スタジオ録音であると言うハンディーを乗り越えて、この演奏が与える印象の強さは、有名歌手達による原語上演の全曲演奏が与える演奏を凌駕していると言っても過言ではない。
    まず何と言っても知る人ぞ知る鬼才G.パターネの指揮の徹底した譜読みに基く緻密で力強く、華々しい音楽作りが開口一番で飛び込んで来る。次にライプツィヒ放送合唱団の力強いが透明感を失わない合唱、そして名手ペーター・ゾンダーマンの胸の透くようなティンパニと続く。
    歌手はトゥーランドットがイングリット・ビョーナー、カラフがルードヴィック・シュピース、リューがアンネリーゼ・ローテンベルガー、ティムールがジークフリート・フォーゲル、中国皇帝がハラルト・ノイキルヒ、ピン・ポン・パンはヴォルフガング・アンハイサー、ホルスト・ヒースターマン、H.ノイキルヒ(皇帝と掛け持ち)、中国の官吏がヴォルフガング・ヘルミッヒ。歌手の中ではローテンベルガーのリューが可憐な歌唱と役作りで特に成功している。ビョーナーのトゥーランドットでは冷徹で十分力の篭った歌唱が聞ける。シュピースのカラフは泣き節になっているところが気にならないではないが、中々力強い。力余って出身地のスラブ訛りが出てしまって、トゥーランドットがトゥーラニドットになってしまっているのは御愛嬌だ。
    この抜粋盤を聞くと、パターネが全曲録音を残してくれなかったのを残念に思うのだが、一方、ドレスデンのオーケストラとライプツィヒの合唱団それぞれの戦後の絶頂期に録音を残してくれた幸運に感謝したい。(1972年10月ドレスデン・ルカ教会での録音)

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/01/06

    協奏曲の演奏は、恐らく何らかの事情で、殆どぶっつけ本番で行われた様子が伺える。「協奏」と言うよりは「競奏」に近い状態だ。喧嘩と言うのとは少し違うが、ピアノも指揮も丁々発止とやりあっている。ただし、合わせの練習不足は覆い難く、オケも所々でポロポロと間違えているし、ピアノも負けじと(?)間違えている。この録音にはこうした傷はあるものの、実演としてのスリリングな熱気は伝わってくる。
    指揮のマズーアは、ドイツ古典派やロマン派の作品をやると構成力・彫塑力不足が目立つ人だ。ここでもそれは変わらないのだが、その弱点を演奏のスリリングさが多少ともカバーしている。
    ひどい演奏だとも言えるし、ひどいけれども面白いと思う人もいてもおかしくない。
    何れにせよ、冷静なギレリスではなく、熱いギレリスを聞く事が出来るのがミソ。

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     2009/10/03

    クライバー親子が、2人揃って「このレベル」の音楽家になったと言うのは、殆ど前例のない、奇跡的な事ではないだろうか?
    2人とも残した録音の数は多くない。エーリヒは経歴上の最盛期に戦争による中断や早過ぎる突然の死等外的理由だが、カルロスはレパートリーの狭さと比較的早かった自主的な隠棲等自己原因が主だったと思う。そうした中で「魔弾の射手」では親子共録音を残しているところが面白い。
    2人の違いは?カルロスは、その天才的な閃きを感じさせる指揮で同時代の同業者から羨望の目で見られる存在だった。彼が残した幾つかの実演の録音にはその刻印がはっきりと残されている。一方、エーリヒには天才的な閃きはなかったか?私はあったと感じる。違いは、エーリヒにはその天才的な閃きを実際の音として間違いなく実現するより鍛え上げられた、該博で揺るぎない技があった。その為、天才的な閃きだけが目立つと言う事がなかったのだと思う。
    エーリヒ・クライバーの「魔弾の射手」は、戦後出来たばかりのケルンの西ドイツ放送局の交響楽団と合唱団と言う新しいアンサンブルを相手に1955年3月15〜20日に行われた放送録音が音源だ。序曲だけを聞くと俄仕立ての楽団に特有の生硬さ荒さが目立つのだが、オペラが進むに連れ、劇的な起伏に富み、流れの良い音楽運びが醸し出す緊張感、歌の魅力等でオーケストラ、合唱とも巻き込まれて行き、すばらしいアンサンブルになって行くところがエーリヒのすごさだ。
    録音はモノラルだが、この時代の録音としては質が高い。音楽的にはこのオペラの最も成功した録音だと思う。
    配役はアガーテ:エリーザベト・グリュンマー/エンヒェン:リタ・シュトライヒ/マックス:ハンス・ホップ/カスパール:マックス・プレープスト/隠者:クルト・ベーメ/オットカール:アルフレート・ペル/クーノ:ハイナー・ホルン/キリアン:クルト・マルシュナー等、当時のドイツを代表的な歌手を主体としたアンサンブルだ。特にアガーテのグリュンマーとエンヒェンのシュトライヒは役柄に与えられた性格を巧く歌い出している。ホップの悩めるマックスも悪くない。

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     2009/10/03

    クラリネットの音色は国や場合によっては地方により大きく異なる。主な理由はキーシステムが異なる事だ。ザビーネ・マイヤーのクラリネットの音は、ドイツ系クラリネット(エーラー式)の最も美しい音だ。それに加えて彼女のタンギングやフィンガー・テクニックはずば抜けて優れている。ベルリン・フィル入団問題当時の主席だったカール・ライスターが脅威を感じたとしても不思議ではない。
    残念な事に彼女はそのテクニックに溺れている。彼女が吹く早いパッセージは音楽を感じさせるよりも、曲芸になってしまっているのだ。指揮者もこうした逸脱を止められるような器の人ではなかった。
    楽器を勉強する人にとっては、この録音からある意味では達成すべき目標と共にやってはいけない事を同時に学ぶ事ができる教材になるかも知れない。
    ヴェーバーの音楽を聞きたい人には、少なくとも真っ先にお薦め出来る録音ではない。

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     2009/10/03

    ベルリン・コーミッシェ・オーパーの主席を務めたオスカー・ミヒャーリクとザンデルリング指揮シュターツカペレ・ドレスデンがヴェーバーの2曲あるクラリネット協奏曲を演奏している。
    日本で紹介されているミヒャーリクの録音は少ないので、この録音は貴重だ。
    ミヒャーリクのクラリネットは、ドイツ系のクラリネットの最も美しい音を持っている。それだけでも殆ど感動的だ。ヴェーバーのこの2曲の協奏曲を聞いていると、ヴェーバーが正にこのような音色の楽器のためにこれらの曲を書いたのではないかと言う感慨を持つ。また、元々曲がそのように書かれているのだが、この演奏で聞く第1番の1、2楽章や2番の2楽章などオペラのアリアを聞くが如く表情豊かだ。クルト・ザンデルリング指揮のシュターツカペレ・ドレスデンも安定した演奏で独奏者を支えている。
    ただし、ミヒャーリクのフィンガーテクニックは例えばザビーネ・マイヤーやカール・ライスターほど完璧ではない。早いパッセージではしばしば撚れて聞こえる。クラリネットを勉強している人達には馬鹿にする人もいるかも知れないが、この演奏での彼の音楽性には学ぶべきものが多いと思う。

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     2009/10/03

    ベルリン・コーミッシェ・オーパーの主席を務めたオスカー・ミヒャーリクとザンデルリング指揮シュターツカペレ・ドレスデンがヴェーバーの2曲あるクラリネット協奏曲を演奏している。
    日本で紹介されているミヒャーリクの録音は少ないので、この録音は貴重だ。
    ミヒャーリクのクラリネットは、ドイツ系のクラリネットの最も美しい音を持っている。それだけでも殆ど感動的だ。ヴェーバーのこの2曲の協奏曲を聞いていると、ヴェーバーが正にこのような音色の楽器のためにこれらの曲を書いたのではないかと言う感慨を持つ。また、元々曲がそのように書かれているのだが、この演奏で聞く第1番の1、2楽章や2番の2楽章などオペラのアリアを聞くが如く表情豊かだ。クルト・ザンデルリング指揮のシュターツカペレ・ドレスデンも安定した演奏で独奏者を支えている。
    ただし、ミヒャーリクのフィンガーテクニックは例えばザビーネ・マイヤーやカール・ライスターほど完璧ではない。早いパッセージではしばしば撚れて聞こえる。クラリネットを勉強している人達には馬鹿にする人もいるかも知れないが、この演奏での彼の音楽性には学ぶべきものが多いと思う。

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     2009/10/03

    ザビーネ・マイヤーの日本でのデビュー盤だ。モーツァルトのクラリネット五重奏曲他をベルリン・フィル団員で作るフィルハーモニア・クヴァルテット・ベルリンと共演している。
    しかし、この盤の目玉は、モーツァルトではなく、もう1曲の伝ヴェーバー、実はキュフナー作曲の導入、主題と変奏変ロ長調だ。この曲ではマイヤーの美しい音色を堪能する事ができる。ドイツ系の抜けの良い、澄んだ滋味に富む明るい音色だ。ヴィーン系の抜けは良いが軟らかくくすんだ音色とは明らかに異なる美感だ。
    モーツァルトでは、マイヤーのクラリネットを云々する以前に共演のフィルハーモニア・クヴァルテット・ベルリンの演奏が邪魔をしている。一番不味いのはテンポが不安定な事だ。

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     2009/10/03

    クラリネットの音色は国や場合によっては地方により大きく異なる。主な理由はキーシステムが異なる事だ。ザビーネ・マイヤーのクラリネットの音は、ドイツ系クラリネット(エーラー式)の最も美しい音だ。それに加えて彼女のタンギングやフィンガー・テクニックはずば抜けて優れている。ベルリン・フィル入団問題で当時の主席だったカール・ライスターが脅威を感じたとしても不思議ではない。
    残念な事に彼女はそのテクニックに溺れている。彼女が吹く早いパッセージは音楽を感じさせるよりも、曲芸になってしまっているのだ。指揮者もこうした逸脱を止められるような器の人ではなかった。
    楽器を勉強する人にとっては、この録音からある意味では達成すべき目標と共にやってはいけない事を同時に学ぶ事ができる教材になるかも知れない。
    ヴェーバーの音楽を聞きたい人には、少なくとも真っ先にお薦め出来る録音ではない。

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     2009/10/02

    ヒンデミットの代表作3曲が、異なる演奏家を通し、それぞれ優れた演奏で聞ける1枚。
    「高貴なる幻影」はハインツ・ボンガルツ指揮ドレスデン・フィルの演奏。後期ロマン派から新古典派の音楽で堂に入った表現を示すボンガルツの指揮の下、ドレスデン・フィルが何時になく充実した演奏をしている。
    「白鳥の肉を焼く男」は、同名の古謡が終楽章の主題に使われた実質ヴィオラ協奏曲。ソリストはアルフレート・リプカ。ベルリン国立歌劇場がオペラとして初来日する以前にベルリン国立歌劇場弦楽四重奏団のヴィオラ奏者として来日した事もある名手だ。ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプツィヒ放響の管を中心とした伴奏も手堅く、楽しめる演奏だ。
    ヴェーバーの主題による交響的変容では、若きスイトナーとシュターツカペレ・ドレスデンによる折り目正しい演奏の中にも、当時このオーケストラにいた名手達の名技を聞ける。

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     2009/09/27

    チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と言う、ロシア作曲家の人気のあるピアノ協奏曲2曲をリヒテルのピアノでカップリングしているところが、この盤の売りだ。
    カラヤンとのチャイコフスキーでは、カラヤンは音を引き伸ばし、リヒテルが何処まで付いて来るか試しているようなところがある。もしリヒテルが人一倍確りしたリズムの持ち主でなかったならば演奏はもっと崩れたものになっていただろう。しかし、リヒテルはカラヤンの挑戦に持ち堪えており、自分の音楽を奏でている。この演奏はこの曲の最も輝かしい演奏ではないかも知れないが、もっとも美しい演奏だ。カラヤンの遅目のテンポが、彼の意図とは別にリヒテルのピアノの美質をじっくり堪能する機会を与えてくれた事になる。リヒテルはこの録音でベーゼンドルファーを弾いているのではないだろうか?それに山場でのリヒテルの燃焼度も高く感動的だ。2楽章始めのフルートソロで音程が悪いのは少し気になるが・・・
    ラフマニノフでは大分様子が異なる。リヒテルの演奏は基本的な解釈では数ヶ月前に録音されたザンデルリング指揮レニングラード・フィルの演奏と同じなのだが、ここではオーケストラと指揮者の技術的限界のために相当手加減した演奏になっている。録音の物理条件はずっと良いのだが、オーケストラ演奏全く脇役になってしまっていて、協奏曲としては片肺飛行のような状態だ。ヴィスロツキの指揮は真面目で低俗さはないが、如何せん、定見もないようだ。なお、この録音では3楽章終りで第2主題が高らかに謳われるところでのピアノは通常の楽譜通りの演奏になっていて、ワルシャワでは真正な楽譜が手に入った事を伺わせる。
    この録音のオリジナルのLPでは協奏曲に引続き録音されたラフマニノフの前奏曲が6曲カップリングされていて、それがこのLPの魅力だったのだが、このCDのカップリングではそれが聞けない。

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