本田雅人インタビュー-2

2008年9月19日 (金)

無題ドキュメント
本田雅人
本田雅人インタビュー




--- 3日間でレコーディングされたそうですが、彼らひとりひとりの印象や、実際のプレイについてはいかがでしたか?

本田雅人  3日目はちょっとしたダビングとかがメインでしたので、実質レコーディングしたのは2日間でした。


その前日にリハーサルをやったのですが、その時はお互い様子見でどんな事になるのかちょっと不安なものもありました。でも、いざレコーディングとなるとさすがプロって感じで、リハと全然違うテンションで迫ってきます。リハ時には「これで2日間で10曲録れるのかなぁ?」ってな感じだったんですけど、見事に出来ちゃいました。


そして、何といってもそれぞれの音がとにかく個性的。普通に上手とかじゃないんですよね。こればっかりは実際に聴いてもらうのが一番ですが、この個性同士が絶妙に絡み合いながら曲が進んでいく感覚は何物にも代えがたいものがあります。これがあるからこそ、長年第一線でやっていられるのでしょうね。

--- 1曲目は、本田さんらしい曲ですが、何かこれまでとは違うというか、ソフトになったというか、そして曲を聴き進めていくとLAの風や香りが伝わってくる気がしました。これは今回の意図するところだったのでしょうか?

本田  「キャプテン・ジョバンニ」は今回のレコーディングをイメージした曲なんです。ジョバンニ、ホントはジョンなんですけど、ニッポン的にどうも犬の名前っぽいのでイタリア風にジョバンニという事で。


僕の田舎の近所に、昔ジョン万次郎っていう偉い人が居て、ご存知かと思いますが、確か江戸時代終わり頃にアメリカに漂流したのをきっかけに大活躍する事になるんですよね。僕も初めての海外レコーディングって事で、ついに大陸に足を踏み入れたぞと。そういうイメージです。


これをアメリカ人に演奏してもらうことによって、異国情緒を醸し出してもらえれば、なかなかの異文化コミュニケーションかなと。そう、ニッポンから大陸に向けての発信型曲ですね。

--- ちなみにタイトル『Across The Groove』の意味するところは何でしょうか?

本田  初海外レコーディングって事で、今までずっとやってきた日本国内という枠を超えて行ってみようみたいな感じですかね。そして、ノリ的な意味でのグルーヴもまた一歩踏み出す感じで。

--- 今回の作品でも随所に様々なホーンの音色が聴けます。使用した楽器と、本田さんが考えるそれぞれの楽器が持つ役割を教えてください。

本田  いつもと比べるとホーンは少なめかもしれませんね。それでも基本的にブラス好きなので、ついアタマに浮かんできてしまいます。


今回はせっかくですからニッポン人は僕以外入れない方向で考えたので、自分で出来る範囲のブラス・セクションになってます。使用したのは「春うらら」のフリューゲル・ホーンとフルート、そして「クール・バウンス」ではフリューゲル・ホーンとフルートに加えてミュート・トランペット。フリューゲルのソロもちょっと入ってますね。


メロディ楽器も含めた意味では、今回はアルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルートの3つがメインですかね。役割はどうなんでしょう、ほとんどの場合、曲を創った段階で楽器のイメージが決まってるので、それに従ってる感じです。

--- ネイザンはフォープレイなどでもお馴染み、お得意のスキャット・ソロ(?)を披露していますが、これは予定していたものでしたか?

本田  元々考えていて、せっかくだから是非やってもらおうと思ってたんです。ただ、1曲は自分の中で決まってたんですけど、もう1曲は普通にベースソロでもお願いしようと思っていたら、ネーザンが「両方とも唄う」って言うので、喜んでやってもらいました。


とにかく、普段喋ってる声からしてムチャクチャかっこいいんですよね。そして、ベースとスキャットのユニゾンでソロをやるんですけど、やっぱ舶来なんですよ、当たり前だけど。


恐らく、別に英語とかではなく、言葉でもない、「ツゥルル…」的な事を雰囲気で唄ってるんですけど、このパートに入った途端、一気に舶来、海外レコーディングなモードに突入します。この威力、物凄いです。

--- リスナーは是非このレコーディング・メンバーでライヴを見たいと思うはずです。実現の可能性はいかがでしょうか?

本田  僕こそ是非ライヴをやりたいんですけど、皆さんホントにお忙しいので、なかなか調整するのが大変みたいです。でも、何とかして実現したいですね。その時は皆さん是非いらして下さい。


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本田雅人 プロフィール
高知県生まれ。国立音楽大学在学中から原信夫とシャープス&フラッツのリード・アルト奏者を務める。卒業後、本格的にプロ活動を開始、数多くのアーティストのレコーディングやツアーをサポートする。1991年、T-SQUAREに加入。同バンドのフロントを飾ると共に、作曲やアレンジの面でも新風を巻き起こす。1998年、T-SQUAREを退団、ソロ・アーティストとして活動開始。自己名義のもの以外にも、「Witness」「B.B.Station」「Four of a Kind」「Voice Of Elements」等のプロジェクト、そしてマリーンとのコラボアルバムではビッグバンドアレンジからプロデュースまで担当するなど、その活動形態は多岐に渡っている。

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