トップ > 音楽CD・DVD > ニュース > ジャズ > フュージョン > 本田雅人、初の海外録音新作を語る

本田雅人、初の海外録音新作を語る

2008年9月19日 (金)

無題ドキュメント
本田雅人
本田雅人インタビュー




--- 新作の前に、前作となりますマリーンとのコラボ作『Jazz’n Out』についてお聞きします。HMVオンラインでも大反響、大ヒットを記録しましたが、今振り返られて大きな成果があったと思いますがいかがでしょうか?

本田雅人  ずっと自分のアルバムを創る事をメインに活動してきましたので、マリーンとのアルバム創りはとても新鮮でしたね。ビッグバンドがメインのサウンドですし、単にシンガーのアルバムをプロデュースするというだけでなく、自分らしいサウンドを全面的に出していく方向で創りました。


その辺に関して、すべてを任せてくれて、とっても自由にやらせて頂けたのは大きかったですね。 旧知の仲のマリーンともまたよりいっそうお近づきになれたし、大変有意義で楽しいプロジェクトでした。不慣れなもんで、ビッグバンド書くのムチャクチャ大変でしたけど…。

--- さて、新作『Across The Groove』についてですが、本田さんのリーダー・アルバムとしては、Voice Of Elementsを除くと『Assemble A Crew』以来4年ぶりという事になりますか?この4年の間、ご自身でもいろいろとお考えになる部分もおありだったのではないでしょうか?

本田  前出のマリーンとのアルバムやVoice of Elements、他にもライヴも含めれば、かなりいろいろなプロジェクトをやっていたので、あっという間に1年が過ぎてゆく感じで、自分としてはあまり間が空いたという感覚がないんですけど、もう4年も経つんですよね。


だけど、いろいろなものをやるのって、自分を客観的に見つめ直せるような部分もあったりして、それが単純に楽しいし、自分にはそういうのも必要なんじゃないかと思います。基本的にいろんな音楽に触れているのが好きみたいです。自分の音楽って、自身が一番最初に飽きますからね。


さまざまな刺激を受けながらいろんな作品を創り、そして新鮮な気持ちで自分のリーダー・アルバムを創る。これ位のスタンスが実際には程よいのかもしれません。とは言え、今まで結構詰め詰めで自分のアルバム創ってきましたから、またちょっと精力的に行ってみようかと思ってますが。

--- そういう事もあり、ファンも待ちに待った新作ですが、初の海外録音に臨みましたね?LAという土地選択も含め、お聞かせ下さい。

本田  ホント今まで、海外録音って発想が全然なかったんですよ。イヤだとかの前にムリというか、まず大前提として、僕の音楽を口で説明する事が難しい。


もちろん音楽なので、音を出してしまえば何とかなる部分もあるんですけど、ただセッションみたいなものを創るってのと違って自分の曲、自分のアレンジが活きるものにするには、ある程度説明が必要だったり、そうでなければ、物凄くたくさんの時間が必要になったりしそうじゃないですか。


こりゃぁ現実的じゃないかな、と今まではそういう気持ちだったんですが、今回、レコード会社の方からそういう先入観のない発想として、ポっと「海外ってどうですか?」ってのが出てきて、改めて考えてみたんです。


ちょうどここ最近、海外のミュージシャンとご一緒する機会がちょっと増えてきていて、その面白さみたいなのも感じられる余裕が出てきたのか、以前より違和感なくセッションを楽しめるようになってきたんです。で、今回のお話も、面白そうだな、是非やってみたいなと思って。


タイミング的にいろんなものがちょうど噛み合ったって感じですね。そうなった時、やっぱL.A.ってのは王道の選択の一つというか、こういう音楽の場合、まず出てきますよね。素晴らしいミュージシャンがたくさん居ますし。

--- ボブ、マイク、ネイザン、ハーヴィーという申し分のないキャスティングについて、その経緯を教えていただけますか?

本田  スケジュールその他の問題もあるので、当初は若干違ったメンバーってのも考慮して、もうちょっと幅をもたせてあったんです。超一流の皆さんですので、そんな都合よくスケジュールが合うワケないですし。ところが本当に偶然、ピンポイントに皆さんの都合があったんです。若干の無理はあったんですが、せっかくなら是非このメンバーでと。


何年か前にフォー・プレイのライヴを観にいった事があるんです。やっぱりフォー・プレイっていうとスムース・ジャズ。なのできっとバラードみたいな曲ばっかりだろうなぁって先入観がどうしてもあったんですけど、これが意外というか、なかなか熱いライヴを繰り広げていたんです。


もちろん昔は、皆さん結構ハデなフュージョン系なのをやられてたのも知ってるんですけど、もうすっかり落ち着いちゃったのかと思いきやライヴになるとイイ感じに熱いんですよね。しかもそこにオトナな味というか、深みがある。ゴージャス。僕からすると、この、アルバムのカラーも含めた意味でのトータルバランスがすごくカッコイイんですよね。


きっと一般的には僕の作品の方向性と比べると、真逆な感じがするかもしれませんが、案外賛成というか、レベルは違えど僕の場合も実はそういう傾向があって、その辺の発想が自分にぴったりきたんですよね。で、この人達なら何となく分かってもらえるんじゃないか、という事で是非と。


結果、やはり思った通りのバランス感覚に富んだ素晴らしいプレイヤー達でした。マイクに関してはそれほど詳しくは知らなかったんですが、友達関係にリサーチした感じだとなかなか良さそうだったのでお願いしてみました。実際、素晴らしいギタリストで、すごく真面目。今回いろんな部分で助けてもらいました。


(次のページへ続く)


< 前のページ     1 of 2     次のページ >
本田雅人 プロフィール
高知県生まれ。国立音楽大学在学中から原信夫とシャープス&フラッツのリード・アルト奏者を務める。卒業後、本格的にプロ活動を開始、数多くのアーティストのレコーディングやツアーをサポートする。1991年、T-SQUAREに加入。同バンドのフロントを飾ると共に、作曲やアレンジの面でも新風を巻き起こす。1998年、T-SQUAREを退団、ソロ・アーティストとして活動開始。自己名義のもの以外にも、「Witness」「B.B.Station」「Four of a Kind」「Voice Of Elements」等のプロジェクト、そしてマリーンとのコラボアルバムではビッグバンドアレンジからプロデュースまで担当するなど、その活動形態は多岐に渡っている。

最新作『Across The Groove』詳細はこちら!



ページTopへ戻る