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Sophie Milman インタビューB

Wednesday, June 25th 2008

無題ドキュメント
Sophie Milman interview

Sophie Milman インタビュー


D・クラール、H・コール、E・C・バーロウ、そして勿論私が
ここまで来れたのは、カナダ政府が支援してくれたおかげ


--- 「Agua De Beber」(アントニオ・カルロス・ジョビン)など、Sophieさんの作品は、歌い回しも含めて、ボサノヴァ・ミュージックからの影響を強く感じさせるのですが、いかがでしょうか?

Sophie  実は、「Agua De Beber」を歌う前までは、全然ブラジル音楽を聴いたことがなかったの。もちろん歌ったこともなかったのだけれど、この曲をレコーディングしてから、本当にブラジル音楽の虜になってしまったの!それから、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲のようなボサノヴァや、ラテン系の曲などをレパートリーに加えるようになったの。「Agua De Beber」は、ブラジル音楽に親しむきっかけとなった大事な曲よ。

--- 今年、ボサ・ノヴァは生誕50周年を迎えるのですが、個人的には、そのタイミングで、ソフィさんがボッサ・アルバムを作ってみたら面白いんじゃないかなと思うのですが。

Sophie  すごくいいアイデアね!実現できたらいいけど・・・でも、次の3枚目のアルバムには、絶対、ボサ・ノヴァ風な曲は入れたいと思っているの。もしかしたら、キャリアの後期の方で、ジョビンのトリビュート・アルバムなんかを作りたいなってちょっと考えているわ。彼は、本当に偉大なミュージシャンよね。

--- 英語、フランス語、ロシア語、ヘブライ語、4つの国の言語で歌われているのですが、それぞれで伝わるニュアンスが微妙に異なってくると思います。それぞれの言葉で歌うときに、最も注意を払っていることなどはありますか?

Sophie  言葉自体が音楽だと思っていて、それぞれの言語にはリズムがあると思うの。例えば、日本語を話しているのを聞くと、その独特な音楽的な要素があることに気付くと思うの。フランス語で歌うと、もっとセクシャルでメロディアスな感じになって、ロシア語で歌うと少し暗いトーンになって。英語で歌うのが一番楽かも知れないわね。歌い馴れているっていうこともあってね。英語では、色々なキャラクターを演じることが簡単なの。この言語自体、とてもリズム感があるから。ヘブライ語では、奥の方から「こぶし」をふるい出す強い歌い方になるわ。

この四言語で歌う時はそれぞれ、特別声を変えたりしようとしているわけじゃないのだけれど、それぞれの言語の要素があるから、自然とそれぞれの言語に合わせた形で独特の色が出てくるんだと思うわ。

「Agua De Beber」は、実は「♪Agua de beber、Agua de beber camara〜」っていうところだけがポルトガル語で、他は全部英語で歌っているの。あの曲を聴いて、みんな「ポルトガル語でも歌うんだね」って言ってくれるんだけれど(笑)、英語なのよ。ポルトガル語って、あらゆる言語の中で一番セクシーな言語だと思うの。特にブラジルのポルトガル語はね。だから、あの言葉で自由に歌えたらいいなって。これからヒマができたら、ポルトガル語を勉強したいなって思っているわ。


Sophie Milman


--- ホリー・コール、ダイアナ・クラール、エミリー・クレア・バーロウのような、同じカナダ出身のシンガーの作品は、よく聴いたりしますか?

Sophie     ホリー・コールとは直接の知り合いなの。トロントのシーンで一緒に活動している仲だからね。彼女達の作品はよく聴くけど、ダイアナ・クラールがこの中では一番好きかな。もう少し若い頃によく聴いていたの。ナット・キング・コールのトリビュート・アルバム『All For You』がすごく好きで、この頃の彼女がベストね。

基本的には、もっと古いシンガーからの影響が強いかなって感じるわ。エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ。私と同世代ぐらいのシンガーだと、ダイアン・リーヴス、リズ・ライトとか、それからもうひとり、日本ではリリースされていないけど、同じカナダ出身のケリー・リー・アダムス。私の友達なんだけれど。彼女は、信じられないぐらい素晴らしい声の持ち主よ。ダイアン・リーヴスみたいなの。多くのインスピレーションをもらっているわ。

--- カナダのジャズ・シーンは、やはり、しっかりとした土壌があって大きいものだから、ソフィさんよりさらに下の世代の優秀なシンガーなども、次々と出てくるのでしょうね。

Sophie     そうね。それはカナダに限らずアメリカもそうだと思うわ。アメリカでもいいシンガーっていうのはどんどん出てきてる。カナダには、良いジャズ・クラブが日本なんかに比べるとそんなにないの。

カナダのクラブがあまりオープンじゃないのは、ジャズのファン層が多く存在するわけではないから、サポートすることが中々できないからなんだと思う。カナダに移住した当時の方が、シーンはしっかりしていたかもしれないわね。でも、カナダでユニークなのは、政府がアーティストを支援するっていうプログラムがあるところなのよ。ポップじゃないジャンル、ジャズとか、ワールド・ミュージックとか、民族音楽とか、一般的になかなか届きににくいジャンルをやっているミュージシャンに対しては、政府から支援を受けられるの。支援によって、こういったタイプの音楽がもっと多くの人に聴かれて、日本やアメリカといった海外に紹介されるようになるの。

もう大スターになってしまったけど、ダイアナ・クラールをはじめ、ホリー・コール、エミリー・クレア・バーロウ、そしてもちろん私がここまで来れたのは、カナダ政府が支援してくれたおかげと、エージェントが、そういった場を提供してくれてチャンスをくれたからなのよ。

--- 少し前に、同じカナダのライラ・ビアリにお話しを伺ったときに、「母国トロントの音楽シーンの誇りは?」と尋ねた際、「何といってもジョニ・ミッチェル!」というお答えが帰ってきたのですが、これについてはソフィさんも同じご意見でしょうか?

Sophie     ジョニ・ミッチェルは今、L.A.に住んでいるけれどね(笑)。ライラが言いたかったのは、やっぱり彼女の存在の大きさなんだと思う。私にとってジョニ・ミッチェルは、カナダのレナード・コーエンなの。カナダには伝説的で素晴らしいミュージシャンがたくさんいると思うんだけれど・・・ジョニ・ミッチェル、レナード・コーエン、オスカー・ピーターソン、それから、ニール・ヤングもたしかカナダだったかしら?実際にジョニ・ミッチェルがカナダのクラブにいるなんてことはありえないけど(笑)。

     一般的に言えるのは、私たちカナダのアーティストは、彼らのような伝説的なアーティストのレベルを継承していくように、しっかりやっていかなきゃならないの。それは、かなりプレッシャーがかかるところでもあるんだけれど。やっぱり、ただ単にカナダ出身だっていう話ではないのよね。例えば、昔カルメン・マクレエや、エラ・フィッツジェラルドが歌っていた曲を、今私が歌っている。ヘタに歌えないわよね(笑)?彼女たちのようなアーティストの後に付いていき、続けていかなければいけないっていう自負を強く感じるの。私もシンガーを始めて数年しか経っていないし、この先どこまでやっていけるのかも分からないっていう部分も含め、まずは伝統的なものを引き継ぐために音楽への深い理解力を養って、と同時に、音楽に対するしっかりとした情熱をもっていなければいけないんだって思うわ。

     若い頃っていうのは、経験も浅いということもあって、こういった偉大なアーティストたちが築いてきた歴史がバーンと後ろにあることに、とても大きなプレッシャーを感じてしまうものなのよ。年をとってキャリアを重ねる中で、こういったものに対するプレッシャーはなくなってくるのかもしれないけれどね。もしかしたら、長年やっていてもなくならないかもしれないけれど(笑)。


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ソフィー・ミルマン
1983年、ロシアのウラルに生まれ、イスラエル、カナダと巡ったソフィー・ミルマンは、7歳でクラシック・ピアノを始め、 10代でジャズに開眼。クラブで歌っていたところを、カナダを代表する音楽プロデューサーであるビル・キングにスカウトされた。2004年のデビュー・アルバム『Sophie Milman』がアメリカ、ヨーロッパ、そして日本で、新人としては異例の大ヒットを記録。続く『Make Someone Happy』では、スティーヴィー・ワンダーの「Rocket Love」を取り上げるなど、更にレパートリーの幅を広げ、エンターテイナーとしての成長ぶりを強く印象づけた。ロシア語、ヘブライ語、英語を完璧に操るマルチストぶりと、フレッシュで颯爽とした歌声、そして完成度の高いパフォーマンスで、多くのヴォーカル・ファンを魅了する。

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