HMVインタビュー: Kerri Chandler

2008年4月3日 (木)

無題ドキュメント
Kerri Chandler
Kerri Chandler インタビュー

「クラフトワークにはかなり影響を受けたな」


--- 今作はタイトルが象徴しているとおり、コンピューターやテクノロジーへの愛情が詰まったアルバムになっています。そういったものに興味を持ち始めたきっかけは?

Kerri Chandler   僕が初めて出会った機材はチャレンジャー2Pというもので、友人がクリスマス・プレゼントに貰ったものだった。友人は使い方が分からなくて僕を呼んだんだ。説明書なんてないから、2人で試行錯誤しながら、ああでもないこうでもないってやっていたよ。いま思えば簡単なプログラムだったんだろうけど、初めて音が出た瞬間はものすごく興奮したことを覚えている。

--- その興奮が音楽家になるきっかけでもあった?

Kerri Chandler   そういっても過言ではないよ。あの経験はある意味で僕の未来を暗示していた。ただチャレンジャー2Pは音楽専用の機材ではないから直接的な影響はないかな。初めて打ち込みに触れたのはZ2001という機材で、いま僕がやっているような音楽の源流はそこにあるんだと思う。今回のアルバムにもZ2001は使用しているんだ。

--- あなたのルーツには、クラフトワークや当時のテクノ〜テクノ・ポップの潮流からの影響もあると思いますか?

Kerri Chandler   間違いないね。クラフトワークにはかなり影響を受けたな。特に『コンピューター・ワールド』。どんな機材を使っているのか調べ尽くしたよ! おかげで99%解決したけどね。

--- 今アルバムの制作にはどのくらいの時間を費やしました?

Kerri Chandler   ちょうど1ヶ月くらいだよ。制作期間中はDJの予定も少なかったから、スタジオ・ワークに集中できた。昔に使っていた機材を引っ張り出して、ちゃんと動くか確認して、楽曲のエッセンスとして加えたりもしたな。そういったことには時間がかかったけど、スムーズに出来たと思うよ。

--- アルバムにはインタールード的にゲームをプレイする音が挿入されてますが、あれはケリー自身が?

Kerri Chandler   そうだ。でも普段はそんなにゲームをしたりはしないんだよね。ゲームを楽しむというよりは、そのコンセプトやアイデアに魅かれることが多いかな。

--- 「Space Invaders」はゲーム自体も日本人にとって馴染みの深い作品です。このゲームをモチーフに楽曲を作ろうと思った理由は?

Kerri Chandler   僕がはじめて買ったもらったビデオゲームがスペース・インベーダーだったんだ。それはもう、時間を忘れるくらい没頭したよ! だって夢の中でもあのデッ、デッ、デッっていう音楽が聞こえてきてたんだから(笑)! そういった少年時代を思い出して楽曲を作っていった感じかな。

--- 制作環境については、キャリア当初から現在まででどのような変化がありましたか。

Kerri Chandler   もう昔とはまるで違うよ。いまスタジオを2つ所有しているんだけど、それらはまったく性質の違うスタジオなんだ。ひとつはアナログ機材専用のスタジオ、もうひとつはデジタル環境に対応したスタジオになっている。その2ヶ所を使い分けてる感じだな。

--- ケリーは現場でのDJもソフトウェアでのプレイですよね。データでのDJのメリット、デメリットを教えてください。

Kerri Chandler   あまりデメリットは感じていないよ。なにしろデータは世界中をツアーするにしても手軽だし、盗まれることもない。家で気軽に買うこともできるしね。アメリカではアナログ・レコードをチョイスしてカウンターに持っていくと、それをデータに書き換えてくれるっていう店舗もあるんだ。アナログ・レコードの商業的不振にも目配せしたサービスで、実際にビジネスとして成立しているようだよ。そういったことはある種の解決策だと思うし、どんなにデジタルDJが増えたところでアナログ文化が死に絶えることはないと思う。僕だって3万枚以上あるレコード・コレクションを処分しようだなんて、さらさら思わないからね。

--- では最後に、ケリーが持つDJとしてのモットーを教えてください。

Kerri Chandler   うーん、難しいな…。とにかくフロアの空気を読むことだよね。そしてそのタイミングに合ったトラックをチョイスすることだ。やってはいけないことや、遠慮することなんかないんだ。自分の特色を然るべきタイミングでアピールすればいい。そういうことだと思うよ。

(取材・インタビュー/高橋圭太)


Kerri Chandler プロフィール

ヘヴィでタイトな独特のスタイルを作り上げた、ニュー・ジャージー出身のディープ・ハウス系トップ・プロデューサー。DJであった父親の影響を受け、13才でプロDJとしての活動を開始した後に、当時のハウス隆盛の機運にのってプロデューサーとしても活躍。自ら主宰するレーベルのMadhouseより発表した傑作『A Basement A Red Light And A Feeling』を筆頭に、数々のクラブ・ヒットをコンスタントに放つ。また、Joe Claussell、Jerome Sydenham、Dennis Ferrerといったプロデューサーたちとの意欲的なコラボレート作品、そしてリミキサーとして手がけたTen City、Femi Kuti、Black Box等々のアーティストの作品からも、幾つもの歴史的名作が誕生。Kerri Chadlerにしか創出する事ができないであろう独特の骨太なグルーヴは、これからもディープ・ハウス・シーンの頂点に燦然と輝き続けるに違いない。

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