「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」「1Q84」等々の長編小説が有名な村上春樹さんですが、実は短編小説の名手なのです。今作の「一人称単数」もとても良い作品ばかりです。今回は主人公が村上春樹さん自身のパーソナリティにとても近いように感じます。村上春樹さんのビギナーにもオススメです。

春樹さんはTシャツ好きですよね。デビュー作の「風の歌を聴け」でも主人公がTシャツを着ているシーンが多いんですけど、映画版ではワイシャツを着ているシーンも多くて、ちょっと違うなと思った。

切ない場面も色々あるのですが、それを過度に感情的に表現せず淡々と描写するのが、村上春樹さんの凄さの一つだなと改めて感じました。 ホシノ青年はとても良い人で、この作品におけるオアシスでした。 登場人物達があちこち移動するので、紀行文を読んでるような感覚もあり楽しめました。

「お願い　ふたつ聞いてくれる？」「みっつ聞くよ」こんな洒落た台詞が出てきます。死者だけがいつまでも十七歳だったというのも深い。

ゆるーく読めるＴシャツをめぐるエッセイ。最近の小説に不満のある私ですが、これは楽しく読めました。これを読んで面白いと思った方には都築響一さんの「捨てられないＴシャツ」もオススメです。こちらの方がディープなＴシャツをめぐる冒険が広がっております。

食わず嫌いというか、読まず嫌いというのか、読んでもいないのに何となくイメージで村上春樹に拒絶反応をお持ちの方も多いようです。気持ちは分かります。本や小説との出会いはあくまで個人的な体験であって、現代日本を代表する作家だからとか、ノーベル文学賞で候補に上がるといったようなお仕着せの評価で強要されたくはないですよね。 村上にはいわゆるハルキストと呼ばれる熱心なファンがいることや「ノルウェイの森」が累計部数で1000万部を超えているという事実もかえって読む意欲を削がれる一因になるかもしれません。また、名作だと言われれば期待値が上がって素直に読めなくもなりますね。 「ノルウェイの森」が出版されたのは1987年で、当時から大べストセラーになりました。でも私は「ノルウェイの森」が売れたのは時代の雰囲気に合わない作品であったからだと思います。トレンディドラマやDCブランド、ボディコンといった当時の軽薄なバブル文化とは全く異なる小説世界でした。時代からは浮いた作品だったのです。 まだ未読の方は「ノルウェイの森」がベストセラーであるからとか名作とされているとか一切考えず、まっさらな気持ちで手に取って欲しいと思ます。

青春時代を彩る一冊です。 いつの日か再読したいような怖いような、、、

青春時代を彩る一冊です。 いつの日か再読したいような怖いような、、

いつか読んでみたい作品です。

村上作品を読み漁っていた頃に、図書館にリクエストして読んだ記憶があります。 その割には余り記憶に残っていません。