シェーンベルク(1874-1951)
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シェーンベルク(1874-1951) レビュー一覧 3ページ目

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  •  沈みゆく陽の光を受けて「きらめく波」を、聴いた・...

    投稿日:2020/10/21

     沈みゆく陽の光を受けて「きらめく波」を、聴いた・・・。1975年にピエール・ブーレーズとBBC交響楽団の来日記念最新録音として発売された国内盤LPレコードは、作曲家の林光氏がライナーノートを執筆していた。第1部冒頭の壮大な管弦楽序奏についての林光氏の解説が秀逸である。「木管金管群あわせて50人、四つのハープ、鍵盤・打楽器のたぐい、細かくわけられた弦楽器群、これらが総がかりで、それぞれのパートが沈みゆく太陽の光を受けてきらめく波頭のひとつひとつを受け持ち、だがぼくたちは、そのひとつひとつをでなく、総体としての「きらめく波」を聴く。40段のスコアいっぱいに鳴り響いている「きらめき」のそれぞれを、くっきり浮き出させるというのは、だれにでもできることではないだろう。ブーレーズは、やはりそれをやっている。ブーレーズの演奏のちからが、それを可能にしたのだと思う。」そして、林光氏は「ブーレーズのやりかたは、正解にちかいのではないだろうか。」としめくくっている。  当時高校生であった私は、このレコードで初めて『グレの歌』を聴いた。まず、美しい旋律の数々、創意あふれるオーケストレーションとその音たちの魅力に惹きつけられた。そして、「劫罰」と「救済」という劇的な内容を、青春の記念碑といえる壮大な音楽作品に仕上げたシェーンベルクの天才に、今もなお魅了され続けている。そして、現在まで45年間、愛聴盤として繰り返して聴いている。『グレの歌』は、現時点で20種類に迫るレコードが世に出ている。ケーゲル盤・シノーポリ盤・ラトル盤・ギーレン盤など優秀な演奏が多い。だが、私はやはりベスト盤としてこのブーレーズ盤を推す。その理由として、ブーレーズとBBC交響楽団の演奏の完璧さをあげることができる。独唱者と語り手の6人がみな理想的だ。ブーレーズと演奏者たち全員が『グレの歌』を完全にわがものにしている。それもそのはず、ブーレーズとBBC交響楽団と各ソリストは、1973年と1974年のBBCプロムナード・コンサートで、二年続けて『グレの歌』を演奏している。そして、1974年の10月から12月にかけて、入念なセッションを組んでレコーディングが行われた。  ブーレーズは、第1部から第3部まで一貫してやや遅めのテンポを設定している。第1部冒頭の管弦楽序奏の演奏時間は7分16秒である。現在までにリリースされている全レコードの演奏時間の平均は6分54秒であり、標準偏差は28秒である。(ただし、林光氏がブーレーズ盤と比較検討されていたフェレンチク盤は、私は未聴である。)沈みゆく陽の光を受けてきらめく波と、黄昏が訪れて海と陸が蒼暗くなっていく情景の静寂さを描写する管弦楽序奏は、遅めのテンポ設定が必然的である。ヴァルデマルは、『グレの歌』の主役であり、第1部から第3部にわたって全部で8曲を歌う。歌手にとって非常に負担の重い役どころだ。テノールのジェス・トーマスは、張りのある声で力強く、ドラマティックな歌唱がみごとである。トーヴェは、『グレの歌』のもう一人の主役であり、第1部で全4曲を歌う。ソプラノのマリタ・ネイピアーは、美声であり、可憐なトーヴェ役にふさわしい。彼女のドイツ語の発音は正確なため、安心して聴ける。ちなみに、他の盤のトーヴェ役は、英語なまりで適当に発音する歌手が多く、興ざめてしまうことがある。トーヴェの歌の最後の “Denn wir gehn zu Grab wie ein Lacheln , ersterbend im seligen Kuss ! ” (表示の制約のため、Umlautを省略。以下同様。)の絶唱は感動的だ。「森鳩の歌」は、第1部を締める重要なパートである。森鳩役のイヴォンヌ・ミントンの歌唱が、『グレ』の悲劇にふさわしい重さを与えている。ミントンは、ブーレーズの信頼が厚く、私も大好きな歌手である。1977年録音のブーレーズとの『月に憑かれたピエロ』でも、すばらしいシュプレヒ・シュティンメを披露していた。第3部の農夫役のジークムント・ニムルスゲンは、出番は少ないが、亡霊となったデマルと臣下たちの夜行(やぎょう)の恐ろしさを歌う。道化役クラウスのパートは227小節にもおよぶ。斬新な音型とリズムを伴って、『グレの歌』という巨大な音楽に輝く個性を与え、作品の構成をひときわ魅力的にしている。クラウスは、亡霊となってヴァルデマルの狩りに随行しなければならない身の上を嘆く。難しい役どころであるが、テノールのケネス・ボウネンの歌唱がすばらしい。「夏風の荒々しい狩」の管弦楽序奏は、ピッコロ(および特殊楽器?)による非常に高いh2音とh3音が断続的に響く。少し不気味で神秘的な雰囲気が、「語り」の始まりを待つ私をわくわくさせてくれる。植物学者でもあった詩人イエンス・ペーター・ヤコブセンの詩による「語り」は132小節にもおよぶ。“ Herr Gansefuss, Frau Gansekraut, nun duckt euch nur geschwind, ” という始まり方が魅力的だ。夏の嵐の激しさの中に、蚊の群れ、葦、ブナの葉、蛍、霧、麦畑、蜘蛛、蝶、蛙などが描かれる。中盤の “ Still, Was mag der Wind nur wollen ? ” 以降は、死してなおヴァルデマルを愛し続けるトーヴェの愛による救済が暗示される。ヴァイオリンの音色が、まるで夢を見ているように心地よい。終盤の “ Ach, war das licht und hell ! ” 以降は、死が支配する長かった夜の世界が終わりを告げて、生あるものたちすべてが輝かしい朝の太陽の光を希求する。管弦楽と「語り」は躍動し、最後の一節 “ und spaht nach der Sonne aus. Erwacht, erwacht, ihr Blumen, zur Wonne ! ” を、ギュンター・ライヒは朗々と歌いあげる。終曲「太陽を見よ」の混声合唱へなだれ込む演出効果は絶大であり、圧巻と言うほかない。艶があり落ち着いたシュプレヒ・シュティンメが、壮大な音楽作品を格調高く仕上げている。ライヒを「語り」に起用したことが、このレコードの大成功を決定づけている。  1975年のブーレーズとBBC交響楽団の来日時、私は5月24日のNHKホールにおける演奏会を聴いた。曲目は、ブーレーズ自作の『リチュエル〜ブルーノ・マデルナの追憶のために』、ドビュッシーの『遊戯』、ストラヴィンスキーの『火の鳥』(1910年原典版全曲)であった。現代音楽の世界初演と現代音楽の古典的作品2曲という刺激的なプログラムは、私にとって生涯忘れられない音楽体験となった。『火の鳥』は、ブーレーズが来日する4か月前にレコーディングが済んでいたニューヨーク・フィルとの演奏とも少し味付けが異なり、ライヴならではの熱い演奏であった。以来、私はブーレーズの新録音をすべて聴きこんできた。とくに、BBC交響楽団とのコンビによるレコードでは、ベルリオーズ、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン、バルトーク、ベリオなどの作品に親しんでいる。優れた楽曲を優れた演奏で提供してくれたブーレーズとBBC交響楽団に、私は心から感謝をしている。  ブーレーズの『グレの歌』もついにSACD化された。全集・選集・海外盤などいろいろあるが、親しい人へのプレゼントも含めると、本SACDは、国内初出LP盤から数えて8回目の購入である。最近、久しぶりにLPレコードに針を落としてみた。もともとの録音がたいへん優秀であることが確認できる。たとえば、第1部の管弦楽序奏においては、林光氏の指摘のとおり、各パートが鮮明に分離して聴こえている。総じて管弦楽の各パートの分離がよく、バランスもよい。非常に優秀な録音である。ただ、終曲の混声合唱の各声部の分離にはやや不満が残る。20bitマスタリングされたCDによって、以前から音質にはとくに不満を感じていなかったが、 SACDの方式上のアドヴァンテージを確かに感じることができる。より自然な音質で、音楽そのものに浸りきることができる。初出LP盤のジャケットデザインが復刻されている点も嬉しい。

    宗仲 克己 さん

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  • 特に第一部、美しい旋律が力みなく流れる名演にして、...

    投稿日:2020/10/17

    特に第一部、美しい旋律が力みなく流れる名演にして、無調に移る以前に大作・グレの歌を産み出した、シェーンベルクの素晴らしさも実感できる秀逸なディスクです。 SACDの優位性を生かした録音も素晴らしい。 これまでは小澤盤、インパル盤が好みでしたが、今はこのギーレン盤が一番気に入っています。

    ギマロ さん

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  • ウィーンフィルとの浄夜はさすがに熱気のこもった名演...

    投稿日:2020/08/25

    ウィーンフィルとの浄夜はさすがに熱気のこもった名演です。若干こもり気味な音質ですが良質なモノラルという感じです。

    ハート さん

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  • 一位は鮮烈な鋭さを持つギーレンさんが揺るがないが、...

    投稿日:2020/02/18

    一位は鮮烈な鋭さを持つギーレンさんが揺るがないが、二位はこのケーゲルさんです。重厚さの中に、切れのよい響きとしつこくない歌い回しで、コクのある名演が繰り広げられる。じっくり聞き込むには最適で、グレ初心者にもファーストチョイスとしてもお奨めできる。三位にはブーレーズのブルーがかった演奏を据えようか。これら3点のディスクがあればグレの歌は事足りよう。

    silver さん

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  • シュルホフの作品がとにかく素晴らしい! 『フルー...

    投稿日:2018/12/04

    シュルホフの作品がとにかく素晴らしい! 『フルート・ソナタ』は知られざる作品で演奏される機会も録音も少ないと思うが、プロコフィエフの『フルート・ソナタ』には及ばないものの、現代のフルート奏者のレパートリーに是非入れて欲しい作品だ。 『フルート、ヴィオラとコントラバスのためのコンチェルティーノ』は変わった編成で、洒落の効いた面白い作品だ。 フェンウィク・スミスが難曲をそれと感じさせないくらい自然に鮮やかに吹いてしまう所も驚きだ。 シェーンベルクの作品はオリジナルの木管五重奏曲は聴いたことがないが、それほど難解でなく、このフルートとピアノ編曲版の方が作品を理解するのに分かりやすいのかもしれない。

    ユローヂィヴィ さん

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  • ヴォルフのイタリアのセレナードがとても良いです。も...

    投稿日:2018/11/25

    ヴォルフのイタリアのセレナードがとても良いです。もっと現代的な曲かと思ったのですが、すっと馴染める音楽です。演奏も良いです。

    せごびあ さん

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  • 曲名辞典では《独唱・合唱・管弦楽の曲》に分類されて...

    投稿日:2018/07/04

    曲名辞典では《独唱・合唱・管弦楽の曲》に分類されている”月に憑かれたピエロ”は唱わないしオーケストラも登場しない それは朗読劇でありモノローグであり一人ミュージカルである だからシュプレヒスメンテ(独唱というより独演)は女優のスコーヴァが担う 周囲を五人の器楽奏者が囲う ピアノは内田光子 シュタインベルクはVnとVa持ち替え ハーゲンのVc ピッチニーニのFl マクギルはB-Cl, A-Cl, Bass-Clの持ち替え 第一次世界大戦前夜のデカダンの風が吹いている 無調の抒情が生きる孤独と存在の甘さを月光の下に語り歌い叫ぶ 人によっては不気味にまた神秘的に聞こえるだろう 妖しい青い光だけが無機質に人間喜劇を照らしている ここに何を聴くか それは人次第だろう ただ視覚が扶ける効果は大きい あなたも如何

    風信子 さん

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  • (別に中古盤のcdレビューではありませんが、ここしか...

    投稿日:2018/06/11

    (別に中古盤のcdレビューではありませんが、ここしか見つからなかったので‥‥) シュトイアーマンってギーレンのおじさんでシェーンベルクの弟子とか?そういう流れかぁ。納得。新ウィーン楽派の三人の方が馴染みがあるだけ面白いけど、叔父・甥の曲も詰まらないことはない。ギーレン、冷血とかいわれるけど、シャープってだけで不感症じゃないよね。克明だしブーレーズより彫りも深い。録音もとても良い。オケも、歌も良い。

    mari夫 さん

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  • 鮮烈を極めた曲であり演奏である。74年吹き込みとは思...

    投稿日:2018/06/01

    鮮烈を極めた曲であり演奏である。74年吹き込みとは思えないくらい録音も鮮烈。ギーレンの楽曲コントロール能力は全く目覚ましくも厳しい。オケも、シュプレッヒシュティンメが多用される声も、互いに融和されることを拒否して、モダンアートのコラージュに比すべき効果を上げており、それが曲の主題であるユダヤ一神教の苛烈さを余す所なく示している。

    mari夫 さん

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  • ブーレーズの名演のひとつ。彼はこの曲を再録音しなか...

    投稿日:2018/05/05

    ブーレーズの名演のひとつ。彼はこの曲を再録音しなかった。いたってクールで透明感あふれるサウンド。これに比べると他の録音はごたごたと情報量も多いが階層化されておらず平凡に感じる。ブーレーズに選ばれた独唱陣もパンチに欠けるが正確で突出しない。際立っているのは語りでシュプレヒ・ゲザングのニムスゲルンはここで他を圧する名唱を聴かせる。朗誦の後半でいきなり歌い始め、その後に続く混声合唱による賛歌につなぐ。究極の肯定になるこの合唱もこの頃のブーレーズの超人的な手腕に引かれてとても感動的。昔出ていたシェーンベルク選集に収録されている盤を所有しているが、トラックもないしSACDにでもなったら買いなおすのだけど検討してもらえないかなあ。

    ウォンバット さん

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