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Maya さんのレビュー一覧 

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     2011/01/08

    若書きのハ短調、何度聴いてもつかめない妙な曲ですが、どうしようもなく惹かれます。滑稽なほど落ち着かない、未踏の荒地のような魂。これを聴いてこそ、後年の変ホ長調の、一見穏やかな風貌に秘められた熱気が肌に刺さるという感じがします。強靭な構築性と、壊れそうなほど張りつめた抒情のせめぎあいから生まれる熱気でしょうか。私にはなじみのない演奏者(VnとPは中国系?)でしたが、とげとげしくない、しかも明晰な音色と表現は、偏見なく耳を澄ませば、聴きあきない、素晴らしいものです。

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     2011/01/07

    四重奏曲の第1番と2番は初稿で演奏されているそうです。違いは2番で顕著です。出だしが音とびかと思いハッとしたほどです。それに続く繰り返される主題は両ヴァイオリンの掛け合いですがこれは第2Vnが右スピーカーから聴こえるクイケン四重奏団の方が明晰です。とはいえ全体に抑えた色彩で、真摯で張りつめた表情が美しく、練り上げられている感じですが、そこから常に途上にあってあがいているような緊迫感も自然に表されてくるようです。五重奏曲ではツァハリアスの透明感のある音が黒い森を流れる清水のようです。うねるような左手の迫力はアルゲリッチ94年盤でしょうが終楽章の出だしはそれに匹敵する気迫です。それでいて表面に噴出しない内攻する熱気が素晴らしいと思いました。

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     2010/05/14

    聴いたこともない独自の表現です。ほとんど小節線を取り払ったかのように自由で、しかも息がとだえそうなほど悠然と静かに流れていきます。テンポが遅いというより、テンポのことなど眼中にないかのようです。ひたすら作曲者の内なる声に耳を澄ましたいというような。バルトは未知の奏者で、はじめどうしてエッシェンバッハが弾いてくれないのかとも思いましたが、デリケートでほの暗く、「アメリカ」のイメージはありません。独奏による「変奏曲」がこのディスクで最高かもしれません。私は収録曲を3楽章の協奏曲としては聴きませんでした。無理にひとつの完成体を想定しなくても、ひとつひとつの断片にこそ無限の「遠さ」が宿っていると思うからです。好悪を分ける演奏かもしれませんが、私は繰り返し聴いていきたいと思います。なおRCAの交響曲全集と同様オケは両翼配置ではないようでした。最後にエッシェンバッハ自身のピアノで「暁の歌」があったらよかったのですが。。。

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     2010/05/14

    テンペストはきびきびとした運びで音も硬質で鋭利です。フランソワやホロヴィッツが弾くこの曲が、ないものねだりの理想像なのですが、この世に現実に在る素晴らしい「テンペスト」と思います。「幻想曲」はさらに素晴らしいのですが、第2楽章のある反復音が付点リズムで弾かれているのが耳につきます。繰り返されるたびにそう弾かれるので解釈なのでしょうか。これは独特と思います。しかし全体としてカサドシュの60年コンセルトヘボウ・ライブ録音の感銘に近いものがあります。ちなみにインナーの諸氏解説もメジューエワへの共感にみちた素晴らしいものです。

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     2010/04/13

    シゲティのバッハに触れてから20年あまりになりますが、誰の演奏を聴いても繰り返しここに帰ってきます。何よりまず音色が比類なく美しいと思うのです。美の基準はそれぞれなのでしょうが私がヴァイオリンという楽器に望む「美しさ」の究極といえます。言葉にする愚をあえて冒せば、世界の中にたったひとり、遺棄され、踏みとどまって、切々ときしんでいる、といった感じです。世界と和解するような幸福なヴァイオリンを聴きたいならおそらく他をあたるべきでしょう。モーツァルトですらここでは満たされた幸福感でなく、幸福への希求といった感があります。なお世評かんばしからぬアラウとのベートーヴェンですが、両者の齟齬が曲の緊迫感をつのらせていて、私はどうしても、生きれば生きるほど、惹かれてしまいます。

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     2010/04/08

    分売で集めていたところにこれが出たときはショックで、数年断念していましたがやはりどうしてもベートーヴェン作品以外も聴いてみたくて思い切って買いました。まだ途上報告ではありますが、私と同じような理由でためらっておられる方に是非とお薦めしたいです。シューベルト「さすらい人」の若々しい躍動感、ボーナスディスクに入っているシューマン歌曲のピアノ編曲やトロイメライ、モーツァルトのソナタ、いずれをとってもごつごつと、しかし滞らず流れる肉声といった感じがします。ちなみにCDは厚紙に一枚一枚入っていますが外箱は普通のBOXのようでなくとても開けにくいです。しかしそれも内容の比類のなさを思えば些細なことと言えます。無限の音楽がつまった箱ですから。

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     2010/04/03

    「アファナシエフ」という個性に私は拒否感も絶対視も特にありませんが、素晴らしいシューマンを聴いたという思いがしました。精神的か、狂気かは分かりません。ただここにまずはっきりと感じるのは実在感のある建築物のようなピアノの音色です。硬質でありながら冷たくない。作品への敬意に満ちていながら溺れたようなところがない。個性的だが自己宣伝的な感じがまるでない。極度に意志的でありながらどこか人跡未踏の極地の光景が見えます。晩年のクレンペラーやグールドに通じる何か。「交響的練習曲」、その5曲の遺作の散りばめ方も独特ですが私には流れとして知る限り最も納得のいくものでした。「子供の情景」、その「終曲でシューマンはこれまでのすべての美しさは空っぽだと言っている」、力を尽くして「空っぽの」抒情にたどり着く、そのダンディズムに私は撃たれました。

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     2010/03/31

    第1Vnとチェロは1899年製、第2VnとVaはそれぞれ1804年、18世紀末製とあります。内声2人がジキスヴァルト氏令嬢とのことです。第2Vnが右側から聴こえる、つまり弦楽四重奏における「両翼配置」です。これは知る限り私が夢にまでみたことの初めての実現です。このためシューマンの書いた音が目に見えるように分かります。解説は『シューマン黄昏のアリア』や『グールド孤独のアリア』で著明なM.シュネーデル氏で、その示唆に富んだ文章を分かりやすい日本語訳で読める喜びはほかに代えられません(割高でも)。演奏の印象としてはハーゲン四重奏団の緊迫感とエロイカ四重奏団の柔らかさの中間くらいです。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/05/17

    実演を聴いていませんが、ここに遺された音そのものが素晴らしいと思います。とりわけバッハ無伴奏全曲は探していた30年代の録音。肉体に喰い込むような表現です。60、70年代の録音はいい世評を読んだことがありませんが本当に美しい音色と思います。誠実さ極まってどこか壊れているというか、廃墟の中で一心に、ひたすら音楽の意味と非・意味が追求されているというか。一生をかけて聴いていくつもりです。

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