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ぽいぽす さんのレビュー一覧 

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     2021/04/21

    単なるマーラー論に留まらず、マーラー観を通して指揮者の音楽感が垣間見れる良書。評論家のよく分からない言葉でごまかしたマーラー論や指揮者論を読むよりこのインタビュー集を読む方がずっと良いです。バレンボイムやメータらのインタビューではマーラーの直接の弟子、同僚であったワルターやクレンペラーとのなかなか面白いエピソードが語られています。
    残念なのはインタビューの中でドホナーニも指摘しているようにマーラーを指揮することを拒否している指揮者にもインタビューをして欲しかった。彼らのマーラー観にも一聴の価値があるだろうし、本インタビュー集でもバレンボイムやブーレーズ、ギーレンなどマーラーやマーラーのあまりに文学的な受け入れられ方に疑問を持っている指揮者の方が却って深いマーラー観を語っていると感じる。

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     2021/04/20

    書店で著者のミステリーが並んでいたのでメインテーマは殺人、その裁きは死、とともに買ってしまった。が、全て何が面白いのが全く分からなかった。特にこのカササギ殺人は二巻ものであることもあり、読んでてムカムカするほどのつまらなさ。この著者は芸術文学にコンプレックスがあるのかわからないが、いちいち自分の作品を卑下するような卑屈な態度、陳腐なミステリー部分、どっかから持ってきたような繋ぎのシーンの数々、つまらない場面、ありきたりすぎる何となく足しておいた人物描写、もう何もかもつまらない。やたらとポリティカルコレクトネスを意識する風紀委員のような描写。まるで普段差別や偏見に塗れてる人がその言い訳、謝罪として本を書いているみたい。この著者のオリジナルミステリー、4冊はどれもこんな感じだった。ミステリー業界はつまらないものをお勧めしすぎている。つまらないものはつまらないと言わなければいけないと思う。そして、著者はミステリーに自信を持てないなら、自分に正直になって芸術文学でも書けば良いと思う。設定はミステリアスだが、結局何のミステリーもなかった。クリスティーらのオマージュもこのくらいでオマージュと言わないで欲しい。つまらなすぎて怒りを感じる一冊。

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     2021/04/20

    何が描きたいのかよく分からなかった。毒にも薬にもならない。
    こう言った指揮者の解説本は昭和の評論家達の偏見やキャラクター付けを引き継いだような質の悪いものが多いので避けていたのだが、久しぶりに買ってみた。
    著者自身も昔の評論家本と同じようにならないため音楽的な話題は避けられており、あくまで歴史的な観点から指揮者の人生を追っている。その点、激動の時代に音楽の中心を担ったトスカニーニやワルター、フルトヴェングラー 、ミンシュ、ムラヴィンスキー らの記述は既に語り尽くされたものであるとはいえ、私のようにあまり指揮者の人生に興味がなかったものにとっては面白かった。彼らの録音を聴いても勉強にはなっても、あまり楽しめたことがなかったので改めてドキュメントとして聴き直してみようとも思った。
    しかし、カラヤン以降の演奏家は音楽的な視点を抜いてしまうと全く無味乾燥な記述になってしまうのにこの著者は気づかなかったのだろうか。余程書くことがないのか演奏会の演目の羅列や客演記録に終始しており、アバド 、ラトルは特にひどく、指揮者同士の影響や、エピソードなども何もない。ウィキペディアレベルの内容の水増し。
    カラヤン 、バーンスタインについては激動の時代の巨匠らと重なる部分もあるし、小澤については日本人としてそれなりに書くこともあったのだろうが、アバド 、ラトルについてはちょっとこのレベルの内容で章を割くのはあり得ない。この著者がアバド、ラトルにロクに興味がないのが良くわかる。著者によるとアバド については10大指揮者に選んだのはベルリンフィルの首席に選ばれたから私も選んだ、、ラトルについてはビートルズ以外大した音楽家、演奏家のいないイギリスが生んだ平和な時代の指揮者だそうです。(クラシックファンには言うまでもなくイギリスは特に室内楽のレベルからオーケストラ演奏が最も盛んな国の一つであり、19世紀末以降指揮者と音楽家が最も緊密に結びついて働いていたクラシック先進国です。)
    そして、著者が行なったのはアバドがベルリンに選ばれた理由を探るでもなく、平和な時代のラトルがどのような音楽観を持つにいたったのかを探るでもない、ただひたすら演奏記録と経歴の羅列。小澤についても日本国内での出来事は調べてあるが、ウィーン時代の評判はどうだったのか、彼の挑戦は結局のところ成功したかなど全くリサーチがされていない。

    結局この著者は昔の評論家が書いたものをまた書きたかったのでしょう。あとがきにも、10大指揮者を自分で選んでみたが何を書こうか分からなかった。とりあえず書いてみたらこうなった。、と適当に書かれた本だと言うことを自分でも白状しています。10大指揮者を単なる大オーケストラのポスト、権力で決めるというような権威主義ではなく、音楽史観で選べばもっとこのような低レベルな著者でも書けることがあったはず。好みは別としてトスカニーニ以降最も影響を与えた指揮者であるアーノンクールを省いているのも謎。結局、なんのドラマも歴史の流れも追えていません。読み終わったとき著者は音楽の観点からの説明を避けたのではなく、そもそも音楽にはドキュメントとして以外の興味無いのではと感じてしまいます。
    しかし、まあ暇つぶしにはなるでしょう。

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     2021/03/21

    ウィーンフィルのベートーヴェンならこれがおすすめ。
    2020年のベートーヴェンイヤーは過ぎてしまったが、初めて全集を買う方も、ベートーヴェン全集なんてもう最近は全然買ってないけど、久々に新しい録音が聴きたいなあという方にもお勧めできる内容。録音もよく演奏もウィーンフィルの名人芸がよく発揮されている。ベートーヴェン演奏には好みの解釈がそれぞれあるが、そう言ったものを抜きにして改めてウィーンフィル の凄まじさを痛感できる内容。
    このベートーヴェンに限らず、ネルソンスは確かに彼自身の独特な解釈でもって演奏しているというものではないのですが、解釈者というよりも演奏指揮者として抜群の反応の良さがあり、この全集録音でもウィーンフィルにあくまで彼らの伝統に沿って演奏させておきながら、ちょこちょこと悪戯をするかのように細かく指示を出しているのが良く聴こえる。ウィーンフィル に圧倒されながらも聴いていて非常に音楽的で愉快。YouTubeなどで動画を見るとわかるがネルソンスは演奏会では目を分厚い楽譜から離さずに一つ一つ確かめながら演奏していく指揮者。当然譜面なんて頭に入っているであろう今回のベートーヴェン全集演奏でもそのスタイルは徹底されており、10年周期のウィーンフィルの伝統演奏なんて切り捨てるのは勿体無い、当意即妙、まるでインプロのような常に新鮮なものを取り出そうとするような演奏。それでいて迷走せずにバランスを失わない、ハイレベルな演奏。
    現代のベートーヴェン演奏ではやはり古楽団体による、それぞれ個性的な解釈による演奏がやはり聴いて楽しいのだが、今回のネルソンス盤のような素直な解釈と圧倒的技量をもってベートーヴェン像を刷新する試みは称賛されるべきだと思う。つまらない演奏だとは全く思わなかった。
    初回限定パッケージのものはディスクの取り出しが面倒な仕様で、傷もつきやすかった。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2021/03/21

    個人的には過剰で俗悪という印象だった。
    俗悪なんて言葉はあまりにも狭量な、嫌な言葉だと思うのですが、ある意味チャイコフスキーに誰もがずっと望んでいたような、濃厚で激しく、甘い部分は思いっきり甘ったるくそれでいて非常にきめ細やく練られたフレーズを聴かせてくれるという演奏なのだが、実際聴いてみると食傷してしまうというか、何か自分が今まで聴きたいと思い描いていた演奏の浅はかさを思い知らされるというか。クルレンツィスのベートーヴェン5番なども同じ印象でしたが、なんだか共感性羞恥のようなものを感じてしまいます。素晴らしい演奏だと聴き進めるうちに、それがクラシックというよりもなんだか安っぽい昔のハリウッド音楽のような盛り上げ方や、やたら深刻だったり甘ったるいセンチメンタルさに気づいて、なんで今更こんな演奏でうっとりしていたのだろうとなんだか冷めてしまう。
    聴きどころをしっかりと押さえてかなり丁寧に演奏されてはいますが昔のロシアのマイクでも使って録音したのかなと思ってしまうほどのザラザラ、スカスカした録音悪さもあるが、特別美しくはない楽団の音もあり、なんだか安っぽい演奏に聴こえてしまう。昔のロシア楽団風の軍隊的な厳しい雰囲気もあって聴いていて楽しいとも感じない。素晴らしい演奏だが一度聴けばもういいかなという演奏。
    なんだか酷評になっていますが、初めて悲愴を聴く人がこれが一番新しくて評判が良いからという理由で聴くのはおすすめできる。確かに感動的で細やかによく練られた演奏で文句のつけようがないと思う。私も初めて悲愴を聴くならこういう演奏で聴きたかったかもしれない。ただ、私としてはいろんな演奏を聴いた上でこういう演奏を今になって最高だというのはちょっと抵抗があるかなと感じます。チャイコフスキーにはこう言った解釈で表現できる以上の特別なセンチメンタルさがあり、この演奏からはそう言ったものが感じられない。
    クルレンツィスはショスタコヴィッチが素晴らしいですね。そちらは彼の芸風によく合っていると思います。

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     2021/03/20

    小澤征爾に興味があるならとりあえずこれ。
    日本人的には親しみを込めて小澤さんと呼ぶべきなのでしょうか。クラシックの聴衆は私も含めてやはり西洋の演奏家のものをまず第一に置いてしまうのは別に人種的、文化的な偏見というよりも西洋の演奏家の音楽的な魅力の探究心の豊かさ、人数的にもまた音楽教育の質的にもやはり仕方のないことでしょう。しかし、そんな偏見のようなものを飛び越えて、日本人のクラシック好きの誰もがそのアメリカンドリーム(フランスからキャリアをスタートさせたのですが)と言ったような伝説に興味を持ち、その音楽性を文句なく称賛するのが小澤さんでしょう。
    しかし、いざ名盤はと訊かれると誰もがはっきりと挙げることが出来ないのがまた小澤さんではないでしょうか。その答えとして、小澤征爾の名盤といえばこれと言えるのがこのボックスにまとめられていると思います。得意とするフランス音楽、レスピーギ、クレーメルとの共演など改めて考えてみてもこれはベスト演奏と言えるものばかりです。マーラー1番もフィリップの全集盤よりもはっきりと優れた内容で、何も特別な解釈をしているようには思わないのだが、ストレートに素晴らしい演奏。
    残念と言えば、8枚という枚数制限。このコンダクターズアンドオーケストラズシリーズは選曲がどれも非常に良いのだが、8枚という制限があまりに絶妙すぎて、コレクションとしてはあと1、2枚足して欲しいと毎回感じてしまう。確かにアルバムベスト選集としてはこれで良いとも感じるのだが、例えばプロコフィエフのロミオとジュリエットは本当に良い演奏なので全曲収録して欲しかったし、輸入盤では長らく廃盤で国内盤でも入手がしにくいブラームス1番なども収録して欲しかった。
    こう考えていくと DG全集が欲しくなりますし、実際そちらを買っても損はないボックスなのですが、やはりそこまで大きなボックスはコレクションという意味合いが強くなってしまい、多くの人にとっては持て余してしまうでしょう。他にも小澤さんのアルバム選集ボックスとしてデッカからも DG,フィリップスの録音を合わせていくつも出ていますが、こちらは選曲があまりにいい加減というか、意図がよくわからないものばかりで個人的にはおすすめできません。とりあえず小澤征爾のエッセンスをまとめて聴いてみたいという方にはこの8枚ボックスが非常におすすめです。

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     2021/03/20

    ラトルの先見性がよく現れている。
    現代を代表するオーケストラ作曲家のタネジやアデスなどもこの時点で既に演奏しており、非常に多彩。ウォルトンやブリテンもラトル独特の暗い、陰気な、不気味なエネルギーで演奏されており、まさにイギリス音楽と言ったムードを醸している。
    バーミンガム市響はラトル以降でさえ二流オケと言われ続けているが、ネルソンスやグラジニーテ=ティーラの演奏を聴く限り全く素晴らしい演奏、オリジナルのサウンドを持った楽団であると感じる。そのバーミンガム市響を育て上げたのがラトルであり、どの録音も非常に丁寧に、室内楽的に演奏されているので一流オーケストラの演奏と比べても特に不満を感じてしまうということはない。もちろん後のBPO時代の録音の演奏の凄まじさはさすがBPOと感じるが、バーミンガムの丁寧で暖かい、しかし80年代から90年代の複雑な退廃的な感情を感じる演奏とラトルの残酷なブラックユーモアが融合したような演奏と比べると、BPO時代はひたすら暴力的だったり、音楽的というよりはただ粗が多かったり、良くも悪くもラトルの不気味さがストレートに出過ぎてしまっているように感じる。
    このボックスは現代作家の音楽や、シマノフスキなど主流のレパートリーの周辺の作曲家の入門、紹介にもってこいの内容となっているが、主流のレパートリーとしてポーンマス時代の師匠ベルグルント譲りのシベリウスやストラヴィンスキー、そしてマーラーも含まれている。マーラーはどれもラトルの個性がよく現れたものでより素晴らしい演奏というのはいくらでもあるのだが、この独特の優しさと残酷さが入り乱れたような表現はマーラーに入り込みながら突き放しているようで解釈としては聞き応えがあり、5番と9番、10番が欠けているものの、個人的には外せないマーラー全集。また、全く捨て置かれているものだが、ブルックナーの7番も素晴らしい名演。
    選曲から演奏までラトルならではの複雑な個性に満ちた、聴いていて非常に楽しいボックス。おそらく他で聴く機会がなかなかないしかし確かなセンスで選ばれた隠れた名曲も多く含まれ、他のボックスのように知ってる曲ばかりで結局退屈なリスニングになってしまうということもなく、知らない現代曲だらけで頭がついていかないということもなく、バーミンガム時代のラトルのボックスという以上に完成度の高い内容でおすすめできます。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/20

    アバドとCSOとのほぼ全録音。
    残念なのはマーラー6番。こちらは現在高額な国内SACDを除けば発売されておらず、単品としてはガレリアシリーズで廉価盤として発売されたのみのようです。コンダクターズアンドオーケストラズシリーズは全て8枚組なのでこれに合わせたものなのでしょうが、一枚だけシカゴとの共演盤で省かれてしまったので非常に残念。演奏もBPOとのものも良いですが、アバド独特のものとしてはこちらが良いと感じます。
    その他のアルバムもやや入手が難しくなってしまったものも多く、この機会に印刷も非常に綺麗なジャケットで収録されたのは嬉しい。バルトークは最良の演奏と呼べるもので、幻想交響曲は定番ですし、プロコフィエフの組曲もアレクサンドルネフスキーと並び名盤です。マーラー2番はアバドの得意曲ですが後のVPO,ルツェルンとのものよりもやはりこちらの方が素晴らしい。その他、個性的なポゴレリチとの共演、よく練られたミンツとの共演など多彩な楽しめるボックスです。
    現在アバドは50枚くらいの大きなボックスシリーズで纏められていますが、全録音をボックス化するのか微妙なところであり、とりあえずジャケット再現もなされているこの安価な8枚組ボックスはおすすめできます。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/20

    アバドといえばこの時代という時期の録音集。
    先に発売されているBPO,VPO,それからオペラ集よりも、とりあえずアバドの1番評価の高かった時代を聴きたいならまず入手すべきはこのボックスかと思います。もちろんどの時代も捨て難く、アバドはどのレパートリーに関しても現状維持、自己満足せずに表現を模索していった指揮者なので例えば90年代のBPO時代への一般の評価などにそのまま乗っかってしまうのは非常に勿体無いとは思うのですが、このLSO時代の録音はアバドがそのまま彼のセンスとして持っていた力強さ、完璧な見通しの良さ、ほどよくリフレッシュされた細やかな音作りなどがそのまま感じられるものが多く、アバドが指揮者として史上稀に見る地位を得た、その実力への評価を確立したのがこの時代の演奏だったというのは確かでしょう。
    個人的には2,3枚もうこの演奏は聴かないかなあというものもあるのですがこの規模のボックスでここまで捨て盤というものがないボックスも珍しいくらいです。バルトークやベルク、ペルゴレージ、ラヴェル、そしてアレクサンドルネフスキー、チェネレントラなどは最良のものとして何度も聴いたものです。
    再販を集めたボックスとしては現役盤が多く、BPO,VPOのような廃盤だけど隠れた名盤というものは少ないのかもしれません。ファンなら大体持っている定番が多く、現状はあまり把握出来ていないかもしれませんがあまり見かけないレアなものはフィリップスのブレンデルとのコラボ盤、デッカのプロコフィエフやリナルド、後にBPOなどと再録されたブラームスやチャイコフスキーの交響曲くらいでしょうか。国内盤では企画盤や独自盤などでこの辺りのレア盤も再販されているかもしれません。再録されたものは再録盤の方が好みというか、普通に良いと思いますが、いずれも素晴らしく、特にリナルドやブレンデルとのものは一聴の価値が大いにあります。個人的にはプロコフィエフの交響曲も他に好きな盤が沢山ある中で不思議と良く聴くものです。

    音楽内容については全く素晴らしく、言うことなしですが、ボックスの企画についてはやや不満もあります。VPOのボックスの時が酷かったですが、オペラボックスとのダブりがオペラという長大な再生時間の性質上、枚数的に多くなってしまい、これらを省けば、BPOとの共演やCSO(これはマーラー6番以外は8枚組にまとめられていますが)、数少ないバイエルン放送やドレスデンなどを入れられたのですが。単なるわがままになってしまいますが、もっと慎重にシリーズ全体の企画を練ってボックス化すればもう一つユースオーケストラとのボックスを作ればアバドのdg全集が完成することができたのに。まあ、ユースオーケストラとの共演はボックスでパンパンになってしまっていたVPOとの盤よりおそらく多いので、そもそもDGとしてはボックス化は全く考えていないのかもしれませんが。
    オリジナルのCDジャケットが採用されていないことは、確かに残念ですがCDでの発売が既に始まっていたBPO時代はともかくVPO,LSOのLP時代ではジャケットとCD盤との収録曲の兼ね合いが難しいのでしょう。VPOではアバド自身がウィーンの美術とのコラボレーションをしたいということでかなり慎重に選ばれたジャケットを採用していたのでボックスで再現されていなかったのはかなり残念でしたし、LSOのものはCD化された時点で廉価ジャケットなどに差し替えられたためオリジナルジャケットで見る機会が無くなってしまったものも多く、この機会に見たかったものも多い。現在はCDをとりあえずリッピングしてパソコンで管理して聴く方が多いと思うので購入者が公式でボックス内の曲のジャケットを纏めてダウンロードできるページなどを作ってくれたら嬉しいのですが。自分でLPのカップリングに替えて聴くこともできますし。
    いずれアバドもカラヤン のような巨大ボックスが出るでしょう。しかしそれは随分と先になるでしょうし、出たとしてもやはりカラヤンの時のように超高額で取り回しに困らものとなるでしょう。既に単品CDでほとんど持っている方を除けば、このBOXシリーズで揃えることはお勧めできるかと思います。このLSOボックスはベートーヴェンなどのドイツ音楽がメインではありませんが、色彩豊かで時代、ジャンルも多彩、クラシックの楽しみが詰まっており、別にアバドに興味があるでもなく、そもそも指揮者の名前は知らないけど有名指揮者の演奏でクラシックを聴いてみたいというくらいの音楽好きであっても、とりあえずクラシックを安く沢山聴きたい、オーケストラ音楽が好きな人にクラシック音楽をプレゼントをしたいが何が好みか分からないというような時にもお勧め出来るボックスです。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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