トップ > My ページ > アーチ さんのレビュー一覧

アーチ さんのレビュー一覧 

検索結果:30件中1件から15件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2022/10/04

    2022年6月、世界遺産となった三内丸山遺跡の説明を聴いた際、講師が土偶に関して、最近話題になっている本があるがあれも確証はないと見下したような態度をとっていたのが気になり、調べてみてこの本に行き当たった。
    出版されたのは2021年4月25日で、私が読んだ本が5月15日の2刷なので、世間で評判を呼んだらしいことがわかる。
    考古学者ではない著者が、土偶が何を象ったものなのかに関して考察した本で、読み始めの頃こそ半分眉唾で読んでいたのだが、最後はこれこそ「定説」になるべき考え方だと納得した。
    「ハイバックチェア」にもたれかかりながら思考したとか、「アシスタント」に試食させたとか、わざと専門家から反感を買われそうな書き方をしているのではと思われる部分もあったが、その研究態度は真摯で、机の前で思考するだけでなく、土偶が発掘された現場に足を運んだり、貝の採取やサトイモの飼育を実際行って検証するなどの地道な努力が成果に結びついた。
    「おわりに」にあるように、著者が研究成果を縄文研究者たちに見せたところ、大半が「コメントしようとせず」、中には「世に出ないように画策する者まで現れた」という。これは土偶研究の世界にとどまらない、「官僚化したアカデミズムによる知性の矮小化」という学問世界の体質で、この書はそれに挑戦した画期的なものであると興味深く読んだ。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/07/23

    これまでに著者が書いた芸術に関する文章を集めた本。
    著者の政治、武道、宗教などに関する本は、視点の面白さと説得力のある文章に毎回感心するが、芸術となるといささか様子が異なる。
    この本で著者が好きなものとして取り上げている作家や音楽が自分の趣味と全く合わないためだ。それでも読んでみれば、著者ならではの見方になるほどと思う部分はあるが、だからといって今更これらのものを読んでみようとか聴いてみようという気にはならない。
    小津に関しては例外で、小学館のDVDシリーズを買わなければ目にすることもなかった文章ということもあって、作品から読み取れる当時の男たちや家庭がどのようなものであったかという文章は興味深かった。
    最後の平田オリザとの特別対談--平田は内田のお株を奪うように饒舌--のおかげで本が締まった。
    『北斎さんぽ』に続く青幻舎の本だが、これにもやはり誤字・脱字があった。ぬるい仕事をしている。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/07/15

    『日本辺境論』に並置されるような題名に、「習合」というキーワードで日本及び日本人を分析してみせる内容かと期待したのだが、日本人論ではあるものの、件のキーワードで統合されているわけではなかった。
    習合といえば神仏習合がすぐ頭に浮かび、著者も明治期の人々が神仏習合を廃する命令に素直に従ったことに対する疑問を提示し、それについて考えてはいるものの、わかったようなわからないような不十分な印象が残った。
    各章の中では、農業についての文章--これは講演の収録--と民主主義に関する部分が興味深かった。習合について論じた最後に、70年代の日本語ロックを出すのはまったくの蛇足。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/07/04

    2018年6月から2年間の「日乗」。
    この期間の著者の動静で興味があるのは、昨年新作小説が一冊も刊行されなかった理由と、2020年春からの著者の生活。
    前者は師である藤澤清造関連の仕事や調べものをしていたためったためであり、「サナギマン」になっていたのではなかった。著者にとっては、自らの創作よりも優先すべき事項である。それにしても、2019年の夏の首痛によって仕事がはかどらず、月刊誌の連載を中断していく様は痛々しい。
    後者については、著者は変わらない日々を過ごしているのではと想像していたが、ほぼ日課となっているサウナが営業していないため、銭湯に行ったり、マスクが手に入らず往生したり、意外と大変そうだった。編集者は呑みに行くだけでなく、こういう時に助けてあげないのか。
    その前の二年に比べると、「小遣い稼ぎ」のTV出演はほぼなくなり、知人との呑みも減ったことが目を惹いた。よけいなお世話だが、収入面の心配をしてしまう。
    この二年はまさに「堅忍」であったが、この題名は雑誌連載時からあらかじめ決められていたもので、一見無計画に見える著者の日乗について、著者はかなり中長期的な見通しを持っているのかもしれないと思えてきた。ちなみに、今連載している日々は「這進」。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/07/03

    昨年は、公開された本数が少なかったと思うが、この本では減っていないどころか有象無象のものが増えている印象。(昨年の本より30ページ増し)
    題名も初めて目にするし、本当にこんな映画があるのかというものばかりが続く。日本映画界全体が、水面下に沈んでいくようだ。
    巻末に収録されている古澤健監督との対談は、今の日本映画の状況、映画館へ行くことについて考えさせられ、読み応えがあった。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/22

    葛飾北斎の風景画に描かれている切り口で、東京に今も残る場所を紹介する本。
    北斎の絵と現在の写真、地図(北斎とは関係のない名所も紹介されている)の組み合わせはわかりやすく、本を片手に歩いてみたくなる。ことに「隅田川両岸景色図巻」に基づく紹介が興味深かった。
    しかし、富士山の絵の住所だとか年号など、単純が間違いが散見されたのは問題。せっかくの本が台なし。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/22

    『週刊金曜日』に著者が2010年から月1回連載してきた時事コラムをまとめたもの。
    著者は、世の中の動きなど関係ないように自分の専門に没頭している研究者ではないからこそ、映画や文学など比較すべき作品への目配せに独特のものがあり面白くなるのだと改めて認識した。ひとつ例を挙げれば、赤城山の野犬増加やカナダガンの根絶に関しての文章こそ、著者らしさ。また、「オリンピックを開催することは、都市の調和ある景観を破壊し、民衆の慎ましい住居を消滅させること」という見解が何度も登場するところに著者の恨み節が聴こえた。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/18

    高田渡の伝説を剥ぐとばかりに、関係者へのインタヴュウを通じて、高田渡の隠された側面に光を当てている。お兄さんや元奥さんへの話など、著者でなければ実現しなかっただろう。殊に父子で江東区辺に住んでいた頃の話が興味深かった。
    著者の高田への強い思慕はいさささかも減じることがないことが、斯様な本を生み出したと言えるが、一方で自分が一番知っている、思っているという独占欲が垣間見えるのが気になった。
    また、インタヴュウの人選がどうしてこの面子になったか--おそらく断られた人、端から話を聴きたくない人もいただろう--に関する説明は最低限欲しかった。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/17

    もはやハリウッド映画に作家主義は通用しないだろう。日本映画もそうかもしれない。しかしながら、世界には出自に拘泥しながら、政治や経済情勢に抗って映画を作っている人たちがいて、そういう作家ばかりを論じた本と言える。
    彼らの作品は、映画館でかかる作品の範疇からはみ出すようなものであったり、見るのが難しいという特徴を持つ。掲げられた18人の中で、名前を知っていたのは10名程で、さらに見たことがある作品もその程度の数。
    アレクセイ・ゲルマンだとか、ジョアン・セーザル・モンテイロなどの作品に向かい合うには、相当の覚悟が必要に思える。否、ここに名前が挙がっているすべての作家の作品がそうだと言える。
    文中では、作品の題名に原題を日本語訳したものを使っていて、日本公開時の邦題は、巻末の索引で確認するというやり方をとっているのが特徴。たしかにその方が作家の意図がより理解できる。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/17

    この本に収められているのは、著者として名を連ねている四人が昨年オンラインで行った対談六回分と、昨年度のベストテン作品について語った特別対談から成る。
    上映作品に関係した話--その時の上映作品を載せてほしかった--なので、たとえば、この四人でアメリカン・ニューシネマとか高倉健について話しているのが面白い。
    荒井、井上、白石とくれば、若松孝二が共通点としてあって、話されることも何となく予想がつくが、そこに森が入ることによって味わいが深くなる。また、井上が自然に話題提供や、もめた際のとりまとめ役になっているのは、彼の資質によるものだろう。
    本の最後に地味に「構成 高崎俊夫」とあって、最後のベストテンに関する対談には、若干ではあるが彼の発言もあって、この本がまとまりよくかつ迅速に出版できたのは彼のおかげであることが伺えた。
    ぜひ第二弾も出してほしい。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/04/24

    この本も、対談相手に向かって、その時代が反映されている映画を一本ずつ選んで語る内容で、「50年50本」の変奏的内容。時代を熱く語ってしまうので、取り上げられている映画の内容は二の次となってしまった。対談相手が、若者ではなく一回り違うぐらいの世代ため、著者の話が一方的にならなかったところも。
    60年代から70年代にかけて浴びるように映画を見ていたそうなので、同興異種な本はまだまだできそう。(ぜひ日活映画の本を出してほしい。)

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/04/24

    片づけに秘策などない。たまったものを処分することが唯一の方法。著者の本質もそこにある。しかし、捨てることを考える前にまず、物を寄せて空間を作れというのが著者の主張。空間ができればそれによって心の動きが変わり、その空間を使ったやりたいことがでてきて、その空間を維持するため不要なものが見えてくるという。本当にそのとおりかわからないが、心に安い助言である。
    「シニアのための」というのが題名についているが、シニアに片づけをさせたい子ども世代の人こそ読むべき本で、生前整理という間違った言葉の使い方で、好きなものを無理やり捨てさせると、体調が悪くなるというのは、本当にそのとおりだろう。
    家具を真ん中に置いて、部屋を仕切るという考え方は目からウロコだった。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/04/23

    「日本の伝統」と言われる行事や慣習がいつ頃から始まったかを調べた本。例えば初詣のように、正月に寺社にお参りするのは650年ほど前からあったが、元旦に詣でる初詣というのは、明治時代中頃に鉄道会社が始めたキャンペーンだったというように、明治以前からあったと思われるものも、明治時代、場合によってはは昭和になってからというものが多いことに驚く。確かにそれらを「昔からあった」の一言で片づけてしまうのは、考えものだ。
    最後に載っている「一目でわかる伝統の長さ棒グラフ」が文字通り一目でわかって面白い。また、中国由来ではない外来由来のことわざがまとめてあったのも興味深かった。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/04/20

    著者は谷根千地域の出身で、同地域の古き良きものを守りかつ世間に喧伝する役割を長年行ってきた人で、この地域の「正史」を語る内容。古墳時代から始まるかの地の編成はたいへん勉強になった。
    ただし、歴史を語るのであれば、もっと固い表現がふさわしいと思うのだが、ところどころくだけすぎている部分があって気になった。また、今の谷根千の魅力部分をもっと知りたかったが、それは別の著書をあったってくれということか。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/04/18

    日本の歴史的建造物について、文化的価値が見い出されるようになった歴史と、保存方法の変遷について、大変よく理解できる本。今まで気にも留めていなかった、昔の建物を残すことを、どのような意図のもとに行えばよいのか深く考えさせられる。
    それぞれの建築の実例及び写真・図が豊富であることと、観光ブームから一線を画した観点で書かれているところもよかった。
    過去に保存がうまくいったと評価される建物には、リーダーシップをとった人物が必ずいたということと、一般的な保存行為は、最近やっと軌道に乗ったところであり、これからもまだ仕法や考え方が変遷する可能性があることを教えられた。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:30件中1件から15件まで表示