セルジオ・メンデス、新作を語る(2)
Friday, February 15th 2013
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セルジオ・メンデス・インタビュー
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新作『Encanto』に関して
セルジオ 今回のアルバムはリオ・デ・ジャネイロで作り始めたのですが、その時リオで若い人に人気があったリズム、ファンキを取り入れたかったのです。今回も古い曲をやることになったのですが、66年のヒット曲「Mas Que Nada」に続くヒット曲は68年の「The Look Of Love」だったので、この曲を冒頭に持ってきたのです。また、新しく録音し直すだけではなく、若い子に人気のダンスのリズムを取り入れたかった。今までの「Look Of Love」は自分がやったように、ストリングスが入った、ロマンティックなカバーが多かったですが、もっと新しいものにしたかった。そこで、ファンキのリズムを使い、Black Eyed PeasのFergieという世界で最もヒップなヴォーカリストが参加してくれたので、非常に良い感じに仕上がったと思います。イントロの部分の「ボ・ボ・ボ・ボン」が68年と全く一緒なので、1曲目に持ってきたのです。
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2曲目の「Funky Bahia」と4曲目「Odo - Ya」はCarlinhos Brownの曲ですが、93年のあなたの大傑作『Brasilerio』で共演されていますが、あの時以来全く一緒にプレイしていないのですか?
セルジオ そうなんです、カルリーニョスとは何年もずっと会っていない。去年のクリスマスにブラジルにいた時に、カルリーニョスから電話があって、「いい曲があるからバイーアのスタジオに来てよ!」(笑)と言われ、翌年1〜2月にバイーアに行って録音したんだ。彼は素晴らしいパーカッショニストであり、音楽的才能の持ち主だ。今回のアルバムではコンポーザーだけ取ってもリオのAntonio Carlos Jobimや、ミナス・ジェライスのToninho Hortaもいるし、バイーアのカルリーニョスも、そんなブラジルの様々な音楽スタイルが詰まっている点がとても気に入っている。
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なるほど。「Waters Of March」「Somewhere In The Hills」「Dreamer」「Agua De Beber」とAntonio Carlos Jobimの4曲がありますが、昨年2007年はジョビンが生きていれば80歳という年でした。彼へのトリビュート的な意味があったのですか?
セルジオ 本当に、80歳? 僕の最初のアルバムのアレンジを彼がしてくれたんだ。良い、一生涯の友だった。でも、特にトリビュート的な内容ではないんだ。だって僕は今まで彼の楽曲を何度も取り上げてきたから、リリースしたアルバムほとんど全てに(笑)。だから、今回も特別にというわけではないよ。彼の曲が好きだから、それだけさ。
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日本の音楽ファンにとってはやはり気になるのが、今回参加している唯一の日本のアーティスト、DREAMS COME TRUEの「Lugar Comum」ですが、今回はセルジオさんの方から彼らにオファーしたそうですが、本当ですか?
セルジオ もちろん! なぜかというと、今回のアルバムでは世界中の国々からゲストを招きたかったんだ。今まで僕はポルトガル語と英語でしか録音して来なかったから、今回は日本語、フランス語による曲をどうしても入れたかったんだ。スペイン語もね。ドイツ人のフリューゲルホーン奏者までいるんだよ(笑)!
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国際色豊かですね。
セルジオ そう、インターナショナルな雰囲気が気に入っているよ。世界中の方が僕の音楽を愛してくださっているのだから、世界中の国からゲストを招きたかったんだ。で、DREAMS COME TRUEの吉田美和さんの歌声もすごく美しかったので自分からオファーしたんだ。僕と妻Gracinha Leporaceが歌うポルトガル語の歌詞に、美和さんが日本語でレスポンスするというかたちになった。
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今まで日本を含め多くのアーティストにカバーされてきたJoao Donatoの曲ですが、日本人が日本語で歌うのは初めて聴きました! 美和さんが日本語で歌うことによって、まるで曲が生き返ったような気がします。
セルジオ そうだね。とても大事なのは、色々な国のアーティストが自分の国の言葉で歌っていることなんです。そうでないと、リアルではないと思う。他の国の方がポルトガル語で歌うのももちろん素晴らしいが、他の国のゲストが自国語で歌って、僕達がポルトガル語で歌う、それが出会うことが面白いと思うんだ。Juanesの場合も同じだね。「Y Vamos Ya」という曲、これもドナートの曲で、(日本語で)「イキマショウ!」という意味だよ(笑)! これも初めての試みでスペイン語の曲を入れようと思った。Juanesに電話したら、「喜んで!」ということになり、クリスマスの日に遠いコロンビアの山奥の彼のスタジオへにファイルを送り(笑)、彼が歌を送り返してくれた。同じように美和さんは東京から、ということだね。
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では「イ・ヴァモス・ラ」は2ヴァージョンあるということですね?
セルジオ そう、ポルトガル語とスペイン語。まず、ブラジルはスペイン語圏ではないですね。周りの国はスペイン語なのにブラジルだけがポルトガル語だ。ラジオではスペイン語の曲は放送しないし、だからポルトガル語ヴァージョンも録音した。Juanesのおかげでこれからスペイン語の曲がブラジルのラジオでかかるかもね(笑)! 「Waters Of March」のLedisiとZap Mamaの場合も同じだね。
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セルジオ・メンデス バイオグラフィー
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誕生:1941年02月11日 Niteroi, Brazil生まれ。ボサ・ノヴァ/ブラジル音楽を世界に広めたアレンジャー/ピアニスト。
10代の頃からジャズに親しみ、21歳のときジョビンやジョアンらと共にカーネギーホールでの歴史的なボサノヴァ公演('62)に参加・・・
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