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ギレリス、ケーゲル、コンヴィチュニーほか

2007年2月24日 (土)


SSS0065-2

ギレリス vs コンヴィチュニー、ケーゲル
モーツァルトとチャイコフスキー

エミール・ギレリスはスヴャトスラフ・リヒテルと並んで、ソヴィエトを代表する名ピアニストだった。名教師ゲンリヒ・ネイガウス門下だけに、腕力は途方もないが、決して力に溺れるのではなく、あくまで厳しいコントロールの下に置くのを旨とした。そのあたりに、感興の赴くままに疾走してしまう現代のアルゲリッチあたりとの大きな違いがある。
 たとえば、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章。センチメンタルに歌われがちな名旋律も決して甘ったるくならず、氷のような美しさを誇る。音のひとつひとつは精密に計量されていて、きわめて明快だ。ギレリスには熱心なファンが多かったが、なるほど、こうした美感に慣れてしまうと、他のピアニストは不潔にすら感じられたことだろう。第3楽章の細かい音の連なりも、真珠の首飾りのようにキラキラした音の粒が並んでいる。とはいえ、時折左手が鋭い低音を飛ばしてくるのは、聴いての通りだ。このようなピアノだと、ついつい耳は独奏ばかりに集中し、オーケストラに行かない。コンヴィチュニーの指揮は、ピアノを引き立てるがごとく、控えめだ。この場合はそれが好ましい。
 一方、チャイコフスキーの協奏曲は、ギレリス得意のレパートリーとして知られていた曲だ。輝かしい音で力感もたっぷりに弾き切る。ただし音色は澄んでいて、むりやり鳴らしている感じはしない。テンポを落として弾く抒情的な部分では、彼ならではの粉雪が舞うような美しさが楽しめる。なるほどモーツァルトも立派ではあったが、こうして並べてみると、このチャイコフスキーにおいて、彼の実力が何倍にも発揮されているのはあまりにも明白。モーツァルトでのギレリスは、やはり羊の皮をかぶった狼だったのだ。第2楽章のピアノの能力を駆使した微細な表現など、瞠目ものである。当然、第3楽章でも感嘆するほかないような名技が展開されている。
 ケーゲルは決してレパートリーの狭い指揮者ではないが、チャイコフスキーにはそれほど熱心でなかったようだ。彼が時として奏でたあまりにも暗鬱な音楽、崩れる一方手前までロマンティックな音楽から察するに、決して相性が悪そうにも思えないが。たとえば「悲愴」交響曲を彼が思う存分に指揮したら、たいへん印象的な演奏となっただろうに。それはともかく、ここではギレリスと歩調を合わせ、歯切れの良い伴奏を行っている。その一方で、弱音部では陰影が濃く、時として実にいい感じの耽美性が発揮される。
 しかし、この1枚、改めてギレリスのすごさを思った。というのも、伴奏はコンヴィチュニーとケーゲルという実力者。それなのに、聴き手の注意は知らず知らずのうちにピアノに吸い付けられてしまうのである。堂々たると言おうか、スター性、カリスマ性と言ってもいいが、いつのまにか、われこそが主人公という存在感でその場を支配してしまう。コンヴィチュニーも、まだ若いケーゲルも、このピアノには貫禄負けしてしまっているのだ。
 モノラルとはいえ、この卓越したピアノを聴くにはまったく不足ない音質である。(許光俊)

・モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
 エミール・ギレリス(P)
 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
 フランツ・コンヴィチュニー(指揮)
 1960年11月3日モノラル録音(ライヴ)

・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
 エミール・ギレリス(P)
 ライプツィヒ放送交響楽団
 ヘルベルト・ケーゲル(指揮)
 1965年3月2日モノラル録音(ライヴ)


SSS0068-2
リヒター=ハーザー vs ケーゲル
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、第5番『皇帝』

私たちが抱いているヘルベルト・ケーゲルのイメージとは、交響曲や管弦楽曲の名指揮者である。何かにつけ徹底的なやり方をするケーゲルであれば、ひとりですべてを仕切ることができる楽曲のほうが向いていると想像されるのも当然だろう。事実、協奏曲の録音は、ブラームスのピアノ協奏曲などごくわずかを除いて、今までほとんど発売されてこなかった。今回は珍しくも彼が伴奏指揮をした記録が発表されるわけだ。
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は、実に柔らかい響きの第1楽章で始まる。このベートーヴェンとしては並はずれて抒情的な、夢見るようで、シューマンやメンデルスゾーンの世界に近い作品を、ケーゲルは、非常にやさしい手つきで扱っている。彼の演奏は、だいたいの場合、非常に線がはっきりした抽象絵画、あるいは熱い情念が吹きこぼれるような表現主義絵画のようなことが多いのだが、これは淡い色の水彩画のようである。旋律はとても大事に歌われ、平和で穏やかな美しさが満喫できる。しみ入るような幻想的な味わいは、ドイツの演奏者ならではだ。
 ピアノは、かつてドイツの実力派として知られていたハンス・リヒター=ハーザーで、ケーゲルが率いる管弦楽に比べると、対照的にがっしり感が強い。第1楽章よりも第2楽章がいい。内省的で、ちょっとベートーヴェンの最後期のソナタのような深い趣を持つ。これは非常に聴き応えがある。このピアノに、非常に注意深いオーケストラが付き添う。特に第3楽章へと移行する前の弱音部分はすばらしい。そして、フィナーレは両者とも一挙に疾走を始める。リヒター=ハーザーは死の2年前というのが関係するのか、ミスタッチが目立つが、やりたい音楽はよくわかる。
 ピアノ協奏曲第5番は、同じ演奏者どうしの共演だが、時期的に7年早いだけあって、ピアノはいっそう確実だ。もちろん颯爽とした管弦楽ともども、第4番よりいっそうストレートに音楽を進めていく。
 ところが、第2楽章ではとろけるようにロマンティックになるのだ。ピアノの上がり下がりやトリルはまるで愛撫するようで、第1楽章とのコントラストは強烈だ。第3楽章でも、力強さと官能性の両方を楽しめる。(許光俊)

・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
 ハンス・リヒター・ハーザー(P)
 ライプツィヒ放送交響楽団
 ヘルベルト・ケーゲル(指揮)
 1978年6月6日ステレオ録音(ライヴ)

・ベートーヴェン:ソナタ第25番『かっこう』〜第1楽章(アンコール)
 ハンス・リヒター・ハーザー(P)
 1978年6月6日ステレオ録音(ライヴ)

Bベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』変ホ長調 Op.73
 ハンス・リヒター・ハーザー(P)
 ライプツィヒ放送交響楽団
 ヘルベルト・ケーゲル(指揮)
 1971年5月11日ステレオ録音(ライヴ)


SSS0070-2
テンシュテット・イン・ベルリン

【ライナーノートより】 私たちが知るクラウス・テンシュテットとは、何よりもベートーヴェン以後のロマン派音楽を得意とする指揮者だった。激烈なベートーヴェン、巨大な音塊が襲いかかってくるようなワーグナー、情念が渦巻くブラームス、そして、凶暴かつ繊細なマーラー・・・。
 しかし、今回陽の目を見たモーツァルト演奏は、とうてい同じ指揮者のものとは思えないほどに美しい。第1楽章は、にわかにテンシュテットとは信じがたいほどに優雅で軽やかな味わいで開始される。弦楽器の溶け合った響きなど、艶美とすら言ってよい。改めて確認すれば、これを演奏しているのはオーストリアや南ドイツではなく、常日頃こうした類の美しさとはなれ合わないベルリンのオーケストラである。
 ただし、ピアノが弾き出すとはっきりするが、独奏を支える管弦楽は、ある時は声を抑えて、あるときはかなり強く自己主張する。いずれにしても、色が濃くなるのである。オーケストラのどんなパートも生々しい存在感がある。決していい加減に鳴っているのではなく、ちょっとした和音にも配慮と意志が行き届いている。その意味で、非常に密度が高いと同時に押しが強い演奏である。
 カール・エンゲルは1970−80年代、モーツァルトの名演奏家、そして歌曲の名伴奏者として評価されたピアニストである。非常に清潔感のある端正な音楽が身の上であることは、これを聴いただけでもわかるだろう。今日のようにさまざまなコントラストや衝突や暴力をモーツァルト作品の中に見出す傾向とは正反対だ。が、これはこれでひとつの完成された演奏様式なのである。そのエンゲルに比べれば、オーケストラは明らかにより雄弁であろうとする。ことに短調の部分や半音階的に音が動くところに両者の違いはよく表れている。
 一方、ハイドンの交響曲第57番は最初からして緊張感が強い。短調のアダージョで開始される序奏は、ベートーヴェンを予告するかのように重々しく劇的な雰囲気をはらんでいる。試みに他の指揮者たちの演奏と比べてみれば、テンシュテットがどれほど遅いテンポで、不気味なまでの闇をひろげているかがわかろう。
 そこから一転してアレグロの快速部分になる。第1主題はさっぱりしたものだが、テンシュテットの手にかかると、第2主題はずいぶんこってりとしたロマンティックな性格を与えられている。
 第3楽章は定型的なメヌエットだが、テンシュテットが指揮すると、上品な宮廷舞踊というより、民衆が酒を飲んで踊るかのような野卑な生気が生まれるのがおもしろい。
 テンシュテットはハイドンの交響曲をあまり演奏しなかったようである。この作曲家は、モーツァルトにもましてゆったりとした余裕のある音楽を書いた。ハイドンの音楽の最大の特徴とされるユーモアとは、ものごとから距離を取って眺める姿勢にほかならない。そうした音楽と、私小説的な激しさを持つテンシュテットの音楽性がずれてしまう可能性は容易に想像できる。結果から言えば、交響曲第57番は、テンシュテットの個性で塗りつぶされた特色ある演奏になった。(許光俊)

・モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番イ長調 K.414
・ハイドン:交響曲第57番ニ長調 Hob.I-57
 カール・エンゲル(P)
 ベルリン放送交響楽団
 クラウス・テンシュテット(指揮)
 1973年9月11日ステレオ録音(セッション)


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