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クーベリック/交響曲7枚組

2011年7月12日 (火)

SONY CLASSICAL MASTERS BOX SET
モーツァルト、シューマン、ブルックナー:交響曲集(7CD)
クーベリック&バイエルン放送交響楽団


20年近くに渡ってバイエルン放送響の首席指揮者を務めたクーベリックは、任期終了後も客演を続け、通算すると四半世紀ほどの親密な関係をオーケストラと構築していたことになります。
 そのクーベリックが長年専属関係にあったDGを離れ、他のレーベルにレコーディングを開始し始めたのは1970年代後半のことでした。中でも目立っていたのは、首席指揮者任期終了の前年から翌年までの3年をかけて取り組んでいたSONYのレコーディング・プロジェクトです。
 曲目はモーツァルトの後期6大交響曲にシューマンの交響曲全集、そしてブルックナーの交響曲第3番と第4番というもので、長年の良好な関係を反映してか、演奏はどれも高水準なものとなっていました。

【伝統的スタイルによる最良のモーツァルト】
レコード・アカデミー賞受賞の名盤としても有名なこのモーツァルト後期6大交響曲集は、伝統的スタイルを基調とした柄の大きな仕上げが特徴的なものですが、楽器配置がヴァイオリン両翼型という事もあって声部の見通しは良く、飛び交うフレーズ群の醸し出す生き生きとした雰囲気が実に魅力的。また、美しい旋律をエレガントに歌わせる一方で、山場では強靱なダイナミズムで決めてくるあたりもこうしたスタイルの美点を行かしたものといえると思います。

【シューマン交響曲全集】
バイエルン放送響の暖かみのある重厚なサウンド・キャラクターと、要所で明晰な響きを確保しやすい楽器配置の効果により、4曲共にシューマンの音楽が細部までじっくり味わえる仕上がりとなった素晴らしい演奏。全体のスケールは大きく、陰影豊かな表現が、コントラストで聴かせる演奏とは異なる複雑な味わいをも感じさせてくれます。組み合わせの『マンフレッド』序曲も悲痛なロマンティシズムの美しい名演。

【ブルックナー第3番&第4番】
実演ではよくブルックナーをとりあげ、その功績からブルックナー・メダルも授与されていたクーベリック。実際、残された録音を聴くとどれも充実した演奏であることがわかりますが、セッション・レコーディングが残されたのは、なぜか第3番と第4番だけでした。
 演奏は力強くスケールの大きなものですが、そこに込められた情感の深さもまたクーベリックならではの素晴らしいものです。
 クーベリックはここで、息の長いフレーズを巧みに扱い、豊かなイントネーションと自然な呼吸感を生み出すことに成功。金管群の扱いも見事なもので、当時、すでに機能的にはベルリン・フィルに肉薄していたバイエルン放送響から立体的で奥の深い響きを引き出しています。こうしたサウンド面の魅力にSONYの録音技術が大きく貢献していたことは確かなようで、ダイナミック・レンジ、周波数レンジ、帯域バランス、解像度、パート・バランスなどすべての要素が申し分なく、また、セッション会場が、音の良さで知られるミュンヘンのヘルクレスザールということもあってか、直接音と間接音のバランスも自然であり、全体に非常にグレードの高い仕上がりとなっています。
 なお、第3番の使用楽譜は第2稿でフリッツ・エーザーが校訂したヴァージョンです。この楽譜は基本的にはレオポルト・ノーヴァク校訂による第2稿と同じですが、スケルツォの最後にコーダが追加されていないという点で識別ができます。
 いろいろな要素を省きスッキリした第3稿に較べて、随所に野趣あふれる音楽が残され、味の濃い部分が多いこの第2稿は、ブルックナー・ファンには人気の高いヴァージョンでもあり、なにか「レオノーレ第2番」と「レオノーレ第3番」の関係に似ていなくもありません。ちなみにクーベリックはアウディーテ・レーベルのライヴ盤(1970年)、NMクラシックスのライヴ盤(1954年、廃盤)でも第2稿エーザー版を使用していますから、やはりこだわりがあったのでしょう。
 また、第4番ではスタンダードなノヴァーク版第2稿が用いられており、隅々まで気配りされた正統派の名演を心ゆくまで味わうことができます。
 なお、このセットにはブックレットは付いておりません。トラック表は、各ディスクの紙ジャケットに記載されています。(HMV)

【収録情報】
CD1
モーツァルト:
・交響曲第35番ニ長調K.385『ハフナー』
・交響曲第36番ハ長調K.425『リンツ』
 録音時期:1980年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:デジタル(セッション)

CD2
モーツァルト:
・交響曲第38番ニ長調K.504『プラハ』
・交響曲第39番変ホ長調K.543
 録音時期:1980年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:デジタル(セッション)

CD3
モーツァルト
・交響曲第40番ト短調K.550
・交響曲第41番ハ長調K.551『ジュピター』
 録音時期:1980年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:デジタル(セッション)

CD4
シューマン
・交響曲第1番変ロ長調Op.38『春』
・交響曲第2番ハ長調Op.61
 録音時期:1979年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:ステレオ(セッション)

CD5
シューマン:
・交響曲第3番変ホ長調Op.97『ライン』
・交響曲第4番ニ短調Op.120
・『マンフレッド』序曲Op.115
 録音時期:1978-79
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:ステレオ(セッション)

CD6
・ブルックナー:交響曲第3番ニ短調『ワーグナー』[第2稿/エーザー版]
 録音時期:1980年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:デジタル(セッション)

・ワーグナー:ジークフリート牧歌
 録音時期:1979年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:デジタル(セッション)

CD7
・ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(ノヴァーク版)
 録音時期:1979年
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:デジタル(セッション)

 バイエルン放送交響楽団
 ラファエル・クーベリック(指揮)
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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