Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.5

Quiet Corner クワイエット・コーナー

ジャマイカの方角を向いたピアノ・トリオの静かなる輪郭

名前の如しニュー・ザイオン・トリオはレゲエ/ダブを志向したNYCのジャズ・ピアノ・トリオであるが、キング・タビーが生んだダブともデニス・ボーエルが率いるダブ・バンド等とも異なる。ダニエル・ラノワのブラック・ダブと比較したくなるが、共通項を見出すなら引き算の美学、究極に削り落とされたドラム&ベースがそこにはある。ルーツ・レゲエ・バンドのドラマーであるクレイグ・サンチアゴのレゲエの王道にして究極のリズム、ワン・ドロップを中心としたドラム、パット・メセニーやブラッド・メルドーの共演で知られるラリー・グレナディアのミニマリズム溢れるベースがあるがこそ、そのリズムの上を歌うジェイミー・サフトのピアノがしっかりと浮かび上がり、水面に静かに広がる波紋のような輪郭を見事に描く。ジョン・ゾーン近辺〜マルチ・プレイヤーとしても知られるサフトのこのような静寂なピアノの輪郭の描き方はアヴァンギャルド/フリージャズの往き来も含め百戦錬磨の対話から得られる悟りの境地なのか、正統派も凌駕する美しさと共に僕らに新しい扉を開けさせてくれる。ニュージーランドのロード・エコーのソウルフルでレイドバック感満載なレゲエ/ダブ、ベーシック・チャンネル〜チェイン・リアクション作品で知られるドイツのモノ・レイクのミニマル・ダブらも含め、各々の土地からジャマイカの方角を向きながらオリジナルとは違った新たな創造の出会いはいつも刺激的だ。
文●野見山実

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