QUEENADREENA インタビュー
Wednesday, November 12th 2008

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昨年1月にBRITISH ANTHEMSにて初来日を果たし、我がHMV ONLINEでもvo.のKatie Jane Garside嬢とのインタビューが大反響を呼んだのも記憶に新しいQUEENADREENAですが、嬉しいことに、今月末、再び日本での来日公演が開催決定! もちろん現在好評発売中の最新アルバム『Djin』リリース後では初めてとなり、ファン必見のパフォーマンスとなりますが、そんな絶好のタイミングで早くもKatie嬢のインタビュー第2弾が到着いたしました! 最新アルバのパーソナルな部分についても深く語っております! ではどうぞ!! あなたの表現の核とは――そんな問いを、クイーンアドリーナのケイティ(Vo)に尋ねると、彼女はとても慎重に、言葉を選ぶようにして「それは、祈りのようなもの」だと答えた。激しく生々しいサウンドをかきわけるかのように叫びをあげて、また時には、小さな女の子のような無邪気さで心をあらわにする彼女の歌、歌世界は、たしかにそう言えるものなのかもしれない。繊細で、複雑な迷路のように絡んだハートを、その体に不器用に押し込めているケイティにとっては、音楽という場は自由に自分自身を解放し、見つめあえるところなんだと思う。 Katie 「わたしは、とくに言葉について話しているときは、とても混乱してしまうの。でも曲を作ることが、いくつもの暗い夜を乗り越えさせてくれた。そうやって、わたしの存在の核を保つことができたの。人生において、それ以外のことは何でも、わたしがやろうとすることはみんな大惨事になってしまうんだけど(苦笑)。曲が私を保ってくれて、キャンバスに打ち付けておいてくれる。そうじゃなかったら、わたしは振り落とされてしまうわ。そして形がなくなってしまう。それがわたしの人生で、わたしの血で、わたしの祈りで、わたしにとってのすべてなのよ」
今年3月、クイーンアドリーナは初来日を果たした。それまでに3作のアルバムをリリースし、独特の耽美的な世界観でファンを増やしていき、あるいはデイジー・チェインソー時代からのコアなファンが待ち焦がれていたライヴだけあって、チケットは瞬く間にソールドアウトとなった。ただただ、オーディエンスを圧倒する彼女たちの壮絶なパフォーマンスにその後も中毒者は増えていき、また一方でクイーンアドリーナのライヴ未体験者たちの想像力を狂おしく刺激していった。約半年後に、4thアルバム『ジン(Djin)』が日本でいち早くリリースされるや否や、さっそくレコード店のチャートに登場した。来日ともども待望の新作だったのだ。
Katie 「テオは、わたしが15歳のときからずっと友達で、わたしたちがやらなくてはいけないことをやってくれる人だとわかっていたの。つまりテオはいつ録音ボタンを押せばいいのかをとてもよくわかっていて、うまくできる人なの。これまでアルバムを作ってきた中で、わたしたちが難しいと感じてきたのはそこだった。わたしたちのやり方だと、なかなかうまくいかなかったから。テオはライヴ・パフォーマンスの自発的な感じをうまくとらえようとしてくれた。そのためには、録音されてるっていうことを忘れなくてはいけないわけだけど、テオはそれがすごく上手なの。最高のわたしたちをとらえてくれたと思うわ」 『ジン』では、即興的なアイディアやアンサンブルを大事にした。これまでのドラマティックな楽曲からすれば、とてもシンプルな構成だ。予め徹底して楽曲を作り込み、練り込むことでなく、ある種、未完成のままでバンドの持ちうる瞬発力、リアルな力に委ねている。ゾクゾクするような臨場感や、凄まじいエネルギーを発しているのはそれゆえ。 Katie 「人生にはものすごく複雑なことが多いわけだけど、クールなアイディアっていうのは大抵シンプルなもので、今回わたしたちはすごくシンプルにやってみたの。部屋に入って、楽器をセットアップして、録音ボタンを押したっていう、ただそれだけのことで、それがはじまりであり、終わりだった。最近はとてもミステリアスなプロセスでアルバムを作る人が多いみたいで、そういうやり方もあるのはわかるけど、わたしたちにとっては……この“スープ”はもう長い間料理してきているわけで、基本的にもう調理済みだから、もうこれ以上調理する必要がなくて、いつでも出せる状態なのよ」
ケイティの発言はとても感覚的なものであるし、また歌詞世界や、アートワークやヴィジュアルに表現されるものも、決してシンプルではない。脆く繊細な美しさもあり、またエゴイスティックで、挑戦的なパワーもある。とてつもなくセクシャルかと思えば、可憐で潔癖な微笑みをも見せる。カオスと呼ぶにふさわしい世界がここにある。そして、これを翻訳し、音で紡ぎあげていくのが、クリスピン(G)でありピート(Ds)であり、新たなべーシストであるノミだ。自由なメロディ・ラインと洪水のようなギター・サウンドを、リズム隊は陰ながらしっかりとコントロールし、メリハリのある仕上がりとなった。
Katie 「そうね……実際、最近そういうことについて考えていて。つまり、言葉が持つ魔力についてね。わたしたちが言葉を使って文や詩を書くとき、何千年もの時間をかけて変化してきた、魔法の言葉を並べ替えているわけよね。でも考えてみると、そんな魔法の言葉を取り出して自分で順番をつけて並べることは、どこか粗野な行いだというか。今朝もいろいろ書きながら考えてたんだけど、わたしの歴史はこれまで何百万回も繰り返し書かれてきたもののような気がして、わたしはこれまで何百万人もの人たちが感じてきたことを繰り返しているだけのような感じがする。言葉や意味をとどめておくことはわたしにはできなくて、蜘蛛の巣みたいにすべての言葉が繋がりあっていて、そこを意味が通り過ぎていくというのかしら。……そうね、詞がどこから来るのかというと、それはわたしたち全員の間から、と言えるかもしれない。あなたとわたしがこうして話していて、あなたは話しながら考えていて、わたしも話しながら考えている――そうやってわたしたちは言葉でびしょぬれになるのよ。言葉の雨が常に降ってきているんだから」 11月には早くも再来日が決定している。言葉の雨にびしょぬれになり、豪快な音に揺さぶられ、そして激しくエモーショナルなパフォーマンスに、酔いしれてほしい。 (取材・文:吉羽さおり)
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