以前は、「なんじゃこれ？」という思いが先に立ち、一度購入したものの、売ってしまいましたが、改めて聞くと、やや、もっさりした演奏ではありますが、演奏している本人が楽しそうに演奏している雰囲気が伝わってくるので、これはこれで味わい深いものだな〜、と思います。

1967年というロックの名盤が次々とリリースされた年に本作も世に出た。牧歌的なサイケとブルースの出会い。S.ウインウッド、D.メイソン、J.キャパルディという強烈な個性の融合。たんたんとした音が生み出すちょっとぼんやりとした時間の流れが心地良い。

仕事で疲れて帰ってきて聴くと何とも心地よい。適度な緊張感もあるし、当時聴いた時よりも何故か今の方がハマッてしまう。タイトなリズムセクションも無駄がないし、ウィンウッドの孤高の歌いっぷりが素晴らしい（５）はライヴよりもこちらのヴァージョンが好き。何とも不思議なジャケットを眺めているうちに終わってしまうとまたアタマから聴くはめに…。

トラフィックとして分類されていますが、ジャケ写真を見て判るように、クレジットは、ウィンウッド、メイソンらの個人名の羅列となっています。皆、その通り、自由に気持ちよく演奏しています。一つ残念なのが、抄録時間が極端短いこと２８分しかありません。ＬＰのときのままでこうしてＣＤとして聞くと少し物足りないと感じます。

1曲目はﾌｧﾝｷｰなﾛｯｸﾝﾛｰﾙだが、2曲目以降はゆったりめの曲が並ぶ。淡々とした感じでやや地味だが、聴くほどに味が出る作品。ｳｲﾝｳｯﾄﾞのｳﾞｫｰｶﾙに浸るもよし、隠し味の効いたﾊﾞｯｸの演奏に聴き入るもよしの好盤。ﾘﾊﾞｯﾌﾟのﾊﾟｰｶｯｼｮﾝにも注目。

このシーブーイ格好良さに痺れまくっている。真っ黒グロなＲ＆Ｂを見事に消化した本作はデイブメイソンが怪人ぶりを発揮し、スティーブを凌ぐ勢い。今更に彼らが６０年代のロックシーンに与えた影響力の凄さを思い知らされる。聞けば聴くほどこの格好良さが身にしみる。ミュージシャンズミュージシャンとは彼らのことを言う。

すばらしい。すばらしいけど・・・。あのCREAMの解散コンサートと同じ間違いをしている。コンサート映像にあんな効果処理は要らない。イライラするだけ。表情、運指などを克明に写してくれ。

サイケ時代もポップで最高だが、この辺りからジョンバーレイコーンまでのウィンウッド作品は大好き。１のメイスンも軽さと渋さが適度にマッチング。　 　

ｽﾀｼﾞｵ録音としての前作”Low Spark Of〜”はやけにゆったりとした内容だったが、ﾏｯｽﾙｼｮｰﾙｽﾞのﾒﾝﾊﾞｰも加えた今作はﾘｽﾞﾑ隊も締まり、後期の名盤とも言えるｱﾙﾊﾞﾑ、と思います。個人的なﾍﾞｽﾄはM5だが、最初から最後まで間断した所も無く、地味ながら見事！という感じ。ｲｷﾞﾘｽ的なｽﾃｨｰﾘｰ・ﾀﾞﾝと思えてしまうのは気のせい？

ﾄﾗﾌｨｯｸのｷｬﾘｱの中でも地味な印象を受けるが、こんなゆったりとした彼等もまた良い。新ﾒﾝﾊﾞｰ作曲のM4は単純過ぎてらしくないが、M1の出だしからいかにもﾄﾗﾌｨｯｸで思わず微笑んでしまう。今作のﾍﾞｽﾄﾄﾗｯｸであるﾀｲﾄﾙﾅﾝﾊﾞｰM2と、個人的には30年来大好きなM6が全体を締めている。好盤。