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ブルノのおっさん さんのレビュー一覧 

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     2018/05/31

    最後まで聴いてみて、須賀田という作曲家の実に多彩な作風を楽しむことができました。よくこの時代の邦人作曲家は、同時代の音楽(ストラヴィンスキー、ラヴェル等)の影響を受けている(もう少し悪く言えば真似っ子)というように書かれることがありますが、だからこそ、むしろその音楽の多様さが面白いのだと思います。最初の「交響的序曲」を聴く限りでも、その重厚さと軽快さの絶妙な対比あるいは調和を感じることができるはずです。確かに、これぞ、という強烈な印象を与えるものは少ないかもしれませんが、何回聴いても飽きを感じさせない作品だと思います。とくに「東洋の舞姫」は、長さも程よく、1回聴くとやみつきになってしまいます。どうしてもマイナーな作曲家というイメージがありますが、いずれも親しみやすい作品ですので、邦人作曲家あるいは近現代音楽ファンでなくても楽しめるのではないでしょうか。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/03/11

    「葬送の歌」の録音がついに出ました!曲自体はそれほど強い印象を与えるものとは感じませんでしたが、後の「火の鳥」を予感させる濃厚なオーケストレーションを堪能できる作品です。決して録音が多いとはいえない、これまた初期作の歌曲「牧神と羊飼いの娘」も収録されており、ストラヴィンスキー初期作をまとまった形で聴くことができる点で有意義なアルバムでもあります。後半の「春の祭典」もやはり好演。クリーヴランド管との録音から実に30年近く経ちますが、シャイーならではの、どこか余裕の感じられるスッキリとした演奏は健在です。今後も大切に聴いていきたい1枚です。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/03/09

    実はエルガーの協奏曲をそれほど気に入って聴いたことがなかったのですが、本盤は違いました!とくに第2楽章の急速な弓さばきは筆舌に尽くしがたいものです。管弦楽もベルリン・フィルということで、さすがの素晴らしい演奏。そして、もう1つ見逃してはならないのが、後半のマルチヌー!ノイマン=チェコ・フィルのスプラフォン録音(チェロ独奏:マイ)ぐらいでしかお目にかかれなかった協奏曲ですが、今回はなんとも貴重な、ベルリン・フィルと俊英ウルバンスキによるライヴ録音の登場ということで、嬉しい限りです。ベルリン・フィルがマルチヌーを演奏すること自体がほとんどなかったのではないかと思いますので、その点でも興味深いものです。第1楽章を聴き始めて、やや早めのテンポでサクッと行くのかと思うと、中間部の抒情的な場面ではしっかりと旋律を歌ってくれました(ここが、たまらないところですね)。そして、チェロと楽器群とのせわしない対話が続く第3楽章でも、見事な掛け合いを聴かせてくれました。ソル・ガベッタには、いつの日か、協奏曲の2番やソナタなども録音してほしいところです。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/28

    本盤は、モンセラート巡礼歌の数ある録音の中でも、最も個性的なものといえるかもしれません。まず、何より編成が大規模であることが特徴です。打楽器群も充実しており、これまでに聴きなれてきた作品も新鮮に感じられました。そして、各曲の前に、その曲の主題などを巧みに用いた即興演奏が収録されている点が、魅力的ではないでしょうか。流石はサヴァール。古い曲を単に蘇生して終わりということはしない、彼ならではの音楽づくりが本盤からも感じ取れます。おすすめは、トラック16番目の「処女なる御母を賛美せん」。他の激しいリズム感を持った曲とは打って変わって、この曲はどこまでも優しくて美しい!曲集中屈指の名曲で、本盤はとくに擦弦楽器の伸びやかな音と落ち着いた歌声とが見事に調和しており、心奪われました。もし本盤をお聴きになって興味を感じたら、他の録音にあたってみると、聴き比べが出来て面白いかもしれません。

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     2018/01/05

    北欧音楽が人気を高めるなか、いまやニールセンもシベリウスにならぶ北欧の代表的な作曲家といえそうですね!6つの個性に溢れた交響曲にも、以前より注目が集まっているように思います。さて、本盤はシンプルに交響曲のみを3枚組にまとめたもので、いずれもかなり満足できる内容です。ニールセンの交響曲は、互いに彼らしい共通点(独特な調性展開やメロディーの進行)を持ちながらも、各番がほぼ異なる雰囲気を持っているのが面白いところですが、ストゥルゴール&BBCはこれを見事に描き分けています。特に第5番の打楽器の強烈な刻みと管楽器の咆哮は圧巻。音質も英Chandosレーベルならではの高水準。通常のCDでも迫力に満ちた演奏を楽しむことが出来ます。少々高値ですが(新しい録音で3枚組でこれはむしろ安いと考えたい)、購入して損はない逸品と感じています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/14

    誠に面白い企画!日本の古典筝曲のオリジナルな魅力を損なわずに、管弦楽の音色が見事に調和しています。六段の調は、箏単体で弾かれる場合の通常の平調子で演奏されており、あくまで箏は原曲そのまま。そこに、箏の旋律を邪魔しない程度の絶妙な管弦楽で味付けされていきます。荒城の月は、いわゆる古典筝曲ではありませんが、日本を代表する名曲です。本来は非常に短いこの曲を、よくぞここまで発展させ、大きな作品に仕上げられたものだと感心してしまいます。そして最後は、筝曲のなかでも抜きんでて優れた名作である千鳥の曲。この編曲版は原曲とはやや異なる高さに調弦され、管弦楽による壮大な序奏と、手事の直前には原曲にはないものと思われるカデンツァ風の手も聞かれます。歌唱も箏奏者による弾き語りではなく、ソプラノによる西洋式歌唱法です。しかし、原曲の旋律とほとんど変わるところはなく、日本語特有の発音にも留意されています。朝比奈といえばブルックナー、ベートーヴェンなどの、純クラシック系の指揮者というイメージが強いですが、比較的若い頃に本盤のような興味深い録音を残していたとは、かなり驚きました。私もそうですが、普段は普通のクラシックを聴いている方々も、ときにはこんなCDにふれてみると、音楽の幅が広がって面白いと思います。

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     2017/09/30

    聴きごたえ満点のプーランク!古楽器云々というまえに、演奏自体が本当に素晴らしいです。プーランクの管弦楽作品といえば、プレートル盤やデュトワ盤が競合盤に挙げられそうですが、ひとまず「田園のコンセール」に関して言えば、今のところ本盤のインマゼール盤が一番ですね、あくまで個人的な感想で恐縮ですが。これまでに聴いてきたものは、大体クラヴサンの音量がオーケストラに対して大きすぎる(これはひと昔前の近代レプリカ・チェンバロにはよく見られた特徴かと思います)、あるいは小さすぎるという感じが否めませんでしたが、本盤はまことに見事に他の楽器群と調和しており、「こんな演奏を待っていた!」と思わずうなってしまうような演奏でした。インマゼールは、手兵アニマ・エテルナをもちろん古楽器アンサンブルとしてまとめあげているわけですが、打楽器を思い切り響かせるなど、大胆で鋭い音楽的アプローチも見せており、単なる時代考証的な態度にとどまらない、音楽家としての自分ならではの美学、芸術観も大いに示しています。古楽器を使っているという点では、「2台のピアノのための協奏曲」が最も鮮烈に耳に響いてきたと言えそうです。本盤の録音に使われているエラール社製のピアノは、どこかフォルテピアノのような古風な響きを備えており、現代ピアノに大いに馴染んでいると思われる我々の耳にはむしろ新鮮に響くでしょう。プーランクが当時こんな音を聴いてイメージし、そして作曲していたのだと考えると、曲に対するイメージや捉え方も相当変化しました。すなわち、旋律楽器としてのピアノというだけでなく、リズムあるいは拍節感を強調する打楽器的な要素もふんだんに盛り込まれているのだということを強く印象付けられたということです。他にも、話そうと思えばもっと多くの色々な発見について話せるのですが、これ以上は控えておいて、実際に皆さんが本盤を聴くことで探してみて頂きたいと思います。古楽器によるプーランクと言ってはいますが、モダン演奏と著しく異なるわけでもありませんので、これまでにプーランクを聴いたことがないという人にもおすすめの一枚です。以上、長くなりまして、失礼しました!

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     2017/08/07

    ラヴェルの管弦楽編曲のみを収めた面白いアルバムです。ドビュッシーのピアノ作品など、オーケストラで鳴らすのは中々骨の折れそうな作品も見事に仕上がっており、いずれも原曲を知る人の期待を裏切らないものになっていると思います。展覧会の絵はスラットキン版とのことですが、一部を除けば、よく聴かれるラヴェル編曲版とそれほど変わりは無いかと思います。バーバ・ヤガの場面など、迫力満点の演奏でお楽しみ下さい!蛇足ですが、ジャケットの額縁がオシャレで良かったですね。笑

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     2017/05/22

    黒澤映画の音楽といえば、早坂文雄、というイメージがありますが、早坂は映画音楽のみならず、様々な名曲を残しています。特に「左方の舞と右方の舞」は彼の代表作であり、雅楽の様式を持ち込む早坂の特質が活かされた作品だと思います。本盤の演奏は、きれいにまとまっている印象は受けるのですが、ちょっとひねりが足りないと感じます。芥川&新響の録音を聴けば、この曲の魅力をもっと感じて頂けるのではないかと思います(本盤には収録されていない「古代の舞曲」も併せてご一聴下さい。)。一方で、「序曲ニ調」は澄みきっていて気持ちの良い演奏。行進曲風な歩調が気分を高揚させます。ピアノ協奏曲も大変興味深い作品で、第1楽章を聴く限りでは西洋的な協奏曲の趣ですが、第2楽章でアジア感、日本感を大放出!早坂の作曲姿勢が聴き手の目前に迫るかのようです。

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     2017/05/19

    冒頭の龍笛風のフルートの音をきいて間もなく、購入して正解だったと確信した1枚です!雅楽を西洋音楽に取り込むことは、松平作品以外にも試みられていますが、彼ほど細部まで忠実に(特に琵琶や箏の模倣には驚かされました)表現しえた人はいないのではないかと思います。セリーを採用した左舞や右舞などの作品を聴いても、何となく雅やかな雰囲気をもたらすためにのみ雅楽を織り込んだのではなく、あくまで雅楽そのものに内在する精神、そしてその本質に迫るような音楽です(これを聴き終えた後に実際の演目(盤渉調越天楽、長慶子など)を聴いてみると面白いと思います)。アルバム発売から大分経てからの投稿となってしまい恐縮ですが、ナクソス日本作曲家選輯の中でもお気に入りの1枚です。

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     2017/04/09

    日本人なら一度は、いや何度も味わって聴いておきたい、まさに邦人作曲家作品の決定盤です!本盤を購入してから数年後のレビューとなってしまいますが、日本狂詩曲を視聴したときに味わったあの衝撃は、今でも克明に覚えています。すぐに購入して、ほかの作品にも食い入るように耳を傾けたものです笑。正直に言えば、かつては「日本の作曲家なんて・・・」、と妙に偏見を持っていたのですが、本盤を聴いて私の考え方は180度変わりました。西洋の真似事なんかではない、真に内から湧き出た日本の熱き心、というと大仰ですが、とにかく理屈抜きに感動しました。その後、邦人による多くの作品を聴いてきましたが、振り返ってみると、本盤は選曲も構成も見事なものです。他のレビュアーの皆さんの仰るように、曲によっては燃焼度が低く感じられるものも確かにありますが、全体的には申し分ないものです。非西洋の作曲家には抵抗がある、という人にこそ、本盤を聴いてみてほしいです。きっと、日本人であればなおさら、何か感じるものがあるかと思います。

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     2017/02/21

    出だしから心を奪われてしまいました…。何と美しい、心にしみる音でしょう。久しぶりに、震えるような感動をおぼえました。このシャマユというピアニスト、今後も注目していきたいピアニストです。素晴らしい演奏もさることながら、「水の上で歌う」に始まり、舞曲、小品などを経て「クッペルヴィ―ザー」に終わる、アルバム構成についてもよく考えられていて、1枚の価値が非常に高いアルバムと感じました。シューベルト・ファンのみならず、多くの人にぜひとも聴かれてほしい1枚です!

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     2016/12/28

    ドビュッシー管弦楽作品集の金字塔ともいえるマルティノン盤。他の指揮者と比較することはあまりしないのですが、「海」の大迫力の演奏は、なかなか他の録音では聴けないものと思います。比較的落ち着いた見方といいますか、分析的な音作りをする指揮者が多いと思われる中で、マルティノンはもっと感覚的で、曲全体のダイナミックな響きがよりストレートに伝わってくるものです。実を言えば、とくに「海」については、何が言いたいのかよく分からない曲、というような印象を少なからず持ち続けてきたのですが、本盤を聴いて、なるほど、こんな風に聴いてもいいのか、と作品の持つ躍動感に打たれ、退屈することなく聴き通すことができました。演奏の繊細さ、綺麗さ、といったものを求めることはできないかな、とも思いますが、大変良い買い物をしたと思っています。名盤と呼ばれるものは、多くの場合、やはりそれだけ人を納得させるに足るものなのだろうと改めて感じるに至りました。

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     2016/12/09

    多種多様な録音のあるドヴォルザークのチェロ協奏曲ですが、本盤もまた独特の味わいがあります。マイのチェロ、強く印象づけられるようなものではないのですが、実に自然で、無理のない演奏です。むしろ本領を発揮しているのは、マルチヌー作品の方かもしれません。マルチヌー特有の、技巧性と叙情性の混在する独特な構造を見事にとらえ、非常に柔軟な演奏を繰り広げています。滅多に演奏あるいは録音されないと思われる作品なので、演奏を客観的に比較することはかないませんが、希少価値の大変高い録音として、お薦めしたいものです。

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     2016/11/10

    アシュケナージがマルチヌーを!と最初は驚きましたが、他にもドヴォルザークやスークなどのチェコ系の録音があることを考えれば、おかしい話ではないかもしれません。それでも、マルチヌー作品は決して録音が多いとはいえないので、とても喜ばしいところです。さて、収録曲はいずれも既に録音のあるもの(ビエロフラーヴェクやマッケラスなど)ですが、とりわけ2曲のピアノ協奏曲については、本家(という表現は少し変ですが・・・)のライフネルらのものに比べ、もっと自由でダイナミックな演奏を繰り広げています。例えば第2協奏曲の終楽章冒頭のピアノの自由独奏部分。本盤の演奏はより柔軟で即興的な印象を受けました。この方が良い、とは一概に言えないものの、聴いた感じの面白さは本盤がより勝っていると思いました。オーケストラについても打楽器が効果的に響いており、ことに「呪文」では、それが見事に活かされています。「フレスコ画」は、個人的にはマッケラスの演奏が好きですが、本盤も十分に良好な演奏。「序曲」に始まり「フレスコ画」に終わる本盤は、そのCDの曲順構成や選曲も含め、大変優秀で充実したものでした。マルチヌー作品の魅力を1枚に詰め込んだものとして、マルチヌー入門にも最適といえるかもしれません。今後も、アシュケナージが実演も含め、マルチヌー等のチェコ作品をとりあげてくれることを願っています。

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