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バルビローリ&コンセルトヘボウによるドヴォルザーク第7番とサティ,ほか

2003年2月18日 (火)

バルビローリ指揮コンセルトヘボウによるドヴォルザークの第7番とサティ、それにブリテンのシンフォニア・ダ・レクイエムというなんとも凄い組み合わせのアルバムが登場!

 今回、英国ヒストリカル界の雄、TESTAMENTレーベルからリリースされる1969年1月のライヴ音源は、オランダNPS-Radioによってステレオ収録されたもののプライヴェート音源とのことで、ジャケットにはバルビローリ協会のロゴもあしらわれています。

 コンセルトヘボウ大ホールは、バルビローリが若き日に弦楽四重奏団のチェリストとして演奏した思い出のホールとのことですが(特にチェロを抱えて昇り降りした長い階段!)、ここに収められているのは、それからほぼ半世紀、世界的名声を持つ指揮者となったバルビローリによる最初(そして最後の)のコンセルトヘボウへの客演を収めたものということになります。

 前任者ベイヌムのポストを引き継いだベルナルド・ハイティンクによって現代的なアンサンブルへと変貌を遂げつつあった歴史ある名門、コンセルトヘボウ管弦楽団に初めて臨んだバルビローリは、最初こそオケの反応に落胆するものの、12時間に及ぶ長時間のリハーサルを敢行して、最終的にはオケを自分のカラーに染め上げます。
 その後のインタヴューでは、自らを「ジークフリート」にたとえ、ハイティンクの監督下にあったコンセルトヘボウ管弦楽団を「眠るブリュンヒルデ」にたとえて、「くちづけ」ともいうべき長時間のリハーサルの果てに「目覚めた」ブリュンヒルデ、つまりオーケストラの素晴らしさを口をきわめて絶賛します。
 その美しくも激しいロマンティシズムを湛えた演奏が獲得した当時の演奏評はどれも好意的なもので、ある意味ではニュートラルともいえるハイティンク&コンセルトヘボウ管弦楽団に馴れ親しんだ人々の耳を大いに驚かせたであろうことは想像に難くありません。

 メインのドヴォルザーク:交響曲第7番での情熱的な表現はもちろん大注目。バルビローリにはすでにPYEレーベルにハレ管弦楽団を指揮したこの作品のスタジオ録音(1957年)があり、細部にとらわれぬエネルギッシュなアプローチで一部に人気を博してきましたが、今回は晩年、それも実際の演奏会で名門オーケストラを指揮したということもあって、スケール感やパワーに加え、歌の美しさも申し分のない仕上がりとなっているのが嬉しいところ。
 もともとドヴォルザークの交響曲第7番は、後期3曲の中でも最もドイツ・ロマン派的色あいの濃い作品として知られており、民俗的リズムや素朴さの強調よりは、緊迫感とマッシヴで荒々しい迫力、強靭なカンタービレといったファクターが重要視される傾向にあったのは周知の事実。
 シンフォニー好きのあいだでも、いわゆる「ドボ7」人気にはかなりのものがありますが、中でもコンセルトヘボウ管弦楽団の録音は優れた演奏に恵まれており、これまでにもジュリーニによる雄大な名演(1993年 SONY 廃盤)や、若き日のハイティンクのパワフルな演奏(1958年 PHILIPS)コリン・デイヴィスの端正な演奏(1975年 PHILIPS)に、アーノンクールのラディカルな演奏(1998年 TELDEC)などが取り沙汰されてきたものです。
 今回登場するバルビローリ盤は上記4種とはまったく異なる味わいを持っており、その表現の優しさ・激しさには、バルビローリならではの真情がこもっていて感動の深さもひとしおです。

 当日の前プロ演目で、あまりのカラフルさに批評家が驚いたというエリック・サティ(ドビュッシー編曲)のジムノペディ第1番と第3番も、バルビローリ・ファンには見逃せないところ。
 楽しく色彩的でしかも美しい小品をこよなく愛したというバルビローリにとって、サティの作品は演奏回数は少なかったものの、実際には得意にしていた曲だったのではないかとさえ思わせれる見事な演奏です。
 スタジオ録音こそ行わなかったとはいえ、バルビローリは、手兵のハレ管のほか、ベルリン・フィルや他のオーケストラとのコンサートで幾度もジムノペディを採り上げていたと伝えられています。  この演奏の7ヵ月後にライヴ収録され、バルビローリの小品好き、お楽しみ好きを象徴する名盤ともいわれるプロムスのライヴ盤ともども、ファンにはかけがえのないレパートリーの登場と言えるでしょう。

 ベンジャミン・ブリテンの『シンフォニア・ダ・レクイエム』も要注目です。日本政府からかなりの大金で作曲依頼されたこの音楽は、皇紀2600年を祝い国威発揚を目論むという政府筋の委嘱目的にもかかわらず、反戦主義者ブリテンによって「亡き父への思い出のため」の「鎮魂交響曲」として完成、しかも締め切り後に楽譜を送付し、さらに、「神武天皇ノ神霊ヲ讃フル奉祝楽曲ノ内容ヲ有セザル節」という理由から演奏されずに半年後、抗議文と共に返送され、なおかつ委嘱料の約1000万円(現在の貨幣価値で)は日本政府によって支払われ、その後、1941年3月にはバルビローリ指揮ニューヨーク・フィルによって世界初演されるという非常に興味深い経過をたどります(ブリテンは1939-1942年アメリカ在住)。
 人道主義者で後に兵役忌避裁判でも知られることとなるブリテンにとっては当然のことだったのかもしれませんが、作品はオーケストラによる「レクイエム」という特殊なスタイルを採用して反戦感情を暗喩し、最後は深い平和への祈りの中に魂が昇華されてゆくという内容を示唆しています。
 初演者バルビローリにはすでにBBC響とのライヴ録音(1967年)もありましたが、今回はオーケストラがコンセルトヘボウだけに響きの充実感も著しく、エンディングでのヒューマンな感動がさらに深化している点が注目されるところです。


紀元2600年記念式典

同記念式典の祝賀行事の一環として実際に演奏された4人の作曲家たちの作品は以下の通りです。

・R.シュトラウス(ドイツ):皇紀2600年祝典音楽 Op.84
・イベール(フランス): 祝典序曲
・ピッツェッティ(イタリア): 交響曲イ調
・ヴェレシュ(ハンガリー): 交響曲 第1番 「日本風」

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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ドヴォルザーク:交響曲第7番、サティ:ジムノペディ第1番、第3番、他 ジョン・バルビローリ&コンセルトヘボウ管弦楽団

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ドヴォルザーク:交響曲第7番、サティ:ジムノペディ第1番、第3番、他 ジョン・バルビローリ&コンセルトヘボウ管弦楽団

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発売日:2003年04月15日
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