サカナクション 山口一郎『NIGHT FISHING』全曲解説！インタビュー

--- ここまで全曲解説という形でインタビューをさせて頂きましたけど。まあ、その意図するところは、リード曲「サンプル」などでサカナクションの魅力を感じてくれた人や、まだサカナクションを知らない人たちに、「NIGHT FISHING」というアルバム全部を感じてもらいたい！　ということで進めてきたんですが…。

山口　そうですね。まず、第一に、隠れリード曲の「ナイトフィッシングイズグッド」を是非聴いてもらいたいというのが一番なんですけど。
　 とにかく、１曲目の「ワード」から通して聴いて、最後の「アムスフィッシュ」を聴いた後にまた、「ワード」から聴きたくなるようなアルバムになっていると僕は思っているので。それを何度も繰り返してもらって、サカナクションの良さを知ってもらえれば嬉しいと思います。
　 本を読むような、本を読み返すような感覚で聴いてもらえればと。途中から読みたくなるような本じゃなく、頭から読み返したくなるようなアルバムになっているので。
　 車の中で聴いていて、途中6曲目で車を停めて買い物に行って、戻ってきたら、また頭から聴くんじゃなくて、“早く6曲目の続きが聴きたい！”ていう感じになってもらえれば嬉しいですね。

--- それこそ、「アムスフィッシュ」の最後の最後に収録されているギミックに気づいてくれればその一郎君が言わんとしている意図を理解してくれるんじゃないんじゃないかと思うんですけどね。

山口　そうですね。アルバム最初の「ワード」のイントロ部分でヴォリュームが徐々に上がっていく部分。あれ、もともとなかったんですよ。
　 いきなり、“ジャーン”ではじまるはずだったんですけど、その「アムスフィッシュ」のギミック、僕のブレステイクを入れたからこそ、「ワード」のイントロもああなったんですよ。急遽そうしたんです。しかもあのブレスは敢えて録音したわけではなく、何かの曲でたまたま録音されていた本当の僕のブレスなんですよ。それを切り取って最後に付け加えたんです。
　 こう、水中からばっと浮かび上がるような感覚を忠実に表現したいという僕の希望で。結果上手く「アムスフィッシュ」と「ワード」が繋がったかなって感じですね。なので尚更、繰り返し、繰り返し聴いてもらえればと。

--- なるほど。それでは改めて、アルバム全曲解説を終えた今、最後の最後として、締めとして、「NIGHT FISHING」を総括するような言葉を一郎くんから頂きたく思います！

山口　はい。えっと…。サカナクションの良さというものは、曲の良さとか、アレンジの良さとか、色々あると思うんですけど、とにかくきちっと触れて欲しいというか。他のアーティストさんと同じように聴かれると思うんですけど、その中でもちょっとだけ澄まして聴いて欲しいですね。正座して聴いてくれなんてことでは全くないんですけど、ちょっとでもいいので澄まして聴いてもらえれば曲の感情が入って来やすいというか。
　 哀しい気分だったり、寂しい気分になった時に、ヘッドフォンで聴いてもらえれば、気づいたら126のBPMの速度で歩いてしまっていると思うんですよ。そしてその気分をより掴み取ることが出来ると思うんですよね。もっと聴き手の日常にサカナクションの音楽が入っていって欲しいと思っているので。
　 ほんと、一回でもいいから澄まして聴いてもらえればサカナクションの良さがより解ると思うんで、よろしくお願いします。
　 もう、騙されたと思って聴いてもらっても構わないので（笑）、是非よろしくお願いします！

終わり・・・