サカナクション 山口一郎『NIGHT FISHING』全曲解説！インタビュー

山口　「うねり」はもともとすごくロックな曲だったんですよ。もう、シンセもいらないんじゃないかというくらいサカナクションの中で一番ギターロックな曲で。
　 でも「ナイトフィッシングイズグッド」という曲が既にあったから、このアルバムには「うねり」のような曲はいらないかなと思っていたんですけど、ディレクターが、“この曲、アコースティックで演ったらいいんじゃない？”って言い出して。それで僕がスタジオでアコギで弾きだしたところにみんなが音を合わせてきたらすごく気持ちよかったんですよ。
　 そこで、サカナクションにこういう気持ちよい曲ってなかったなって気づいて。こういう曲創れたのはでかいなと。改めて真剣に取り組んでみたら出来あがったという感じです。
　 それと、この曲の頭にメトロノームが入っているんですけど、まさにスタジオでメトロノームを聴きながら演奏して出来た曲なので、上手い具合にスタジオでのセッションのような空気感も持ち込めたかなと。
　 でも録った段階ではどういうものになるかわからないぐらいの曲だったんですけど、ミックスのやりがいがすごくあって。今回ほとんど僕がアルバムのミックスをやったんですけど、この曲がアルバムの中で一番ミックスで大化けした曲だったんですよね。岩寺もこの曲が一番好きだって言ってくれてますし。歌詞も純文学的なものにしたいと思っていて…。
　 あの、僕、恋愛の曲書けないんですけど、どうにかその恋愛の歌詞を古くさい言い方で表現出来ないかなぁと考えて書いたんです。

--- 恋愛の歌詞を書けないというのは、“書けない”のか“書きたくない”のか。どっちなんですかね？

山口　書きたくないし、書けないですね。まあ、書いたら楽しいかもしれないんですけど。食わず嫌い的なところがあるんですよ。
　 あの、僕、石川啄木が大嫌いなんですよ。なよなよしくて（笑）。なんか女のことばっかり書いて、お金がないだとかなんだとか。“なんだよ！　この男は！”みたいな（笑）。
　 ていうか、自分が恋愛のことを書くとこうなっちゃうだろうなというのがあるんですよ。僕のようなネガティブな人間が恋愛の歌詞を書いてそれを歌にしてしまうとつまらないと思うし。というか、まず、恋愛の歌詞で、“僕は君が好きだ”とか、“愛してる”とか言ってる人、嫌いなんですよ。だから書かないですね…。
　 あ！　一度書いたことありますね。ふられたときに。タイトルは、「愛の花」（笑）。

--- 書いたときあるじゃないですか？　それにまたべたなタイトルで（笑）。

山口　そうですね（笑）。でも学生のころですからね。無かったことにして（笑）。

「ティーンエイジ」へ続く・・・