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Tan2 さんのレビュー一覧 

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     2021/06/25

    音楽の都ウィーンを中心としてヨーロッパに君臨したハプスブルク帝国は、大きく現在のオーストリア、ハンガリー、ボヘミア(チェコ、スロヴァキア)を包含する多民族国家であり、1917年の第一次大戦終結まで存在した帝国なので、消滅したのはわずか100年ちょっと前、日本は大正年間だった。
    その領内では多くの作曲家たち、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンからシューベルト、ブラームス、ブルックナー、マーラー、シェーンベルクなどがウィーンを舞台に活躍するとともに、それ以外にもハンガリーからはリストやバルトーク、ボヘミアからはスメタナやドヴォルザークなども輩出した。
    ドイツ音楽を中心とするクラシック音楽を楽しむ上で、その主要な舞台となったハプスブルク帝国の歴史や文化を理解しておくことが大きく役に立つと思う。というより、むしろ不可欠で必須ともいえる。そのための、一般向けに平易に書かれた通史である。

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     2021/06/21

    作曲家ヴェルディの生涯や代表作品を網羅した一般向けの本って、意外にありそうでないようなのです。ドイツ音楽が主流で、しかも交響曲がクラシック音楽の最高峰と考えられている日本の「クラシック音楽界」では、もっぱらイタリア語でオペラを書き続けたヴェルディはややマイナーな作曲家なのかもしれません。しかし、「歌」を愛する人にとっては、イタリアこそ音楽の本拠地であり、その中にあってヴェルディは頂点に君臨する作曲家でしょう。
    そうはいっても、はっきり言ってヴェルディの生涯にはそれほどの「波乱万丈」で「感動的」な逸話もないので、伝記を読んでも大して面白くもなく、かつそれでヴェルディのオペラの聴き方が変わるというものでもなさそうです。
    そういう前提で、ヴェルディのオペラが好きなので、ヴェルディを骨の髄までしゃぶってみたいという方には、とりあえずこれ1冊という絶好の指南書にはなり得ると思います。

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     2021/06/21

    ブルックナーの一般向けの評伝としてはいろいろ出ていたような気がするが、現時点で調べてみるとこの本ぐらいしかないようだ。
    もっとも、ブルックナーの交響曲を聴く上で、あまり「人間ブルックナー」を知ることは必要ないかもしれない。むしろ、音楽と人間のあまりの乖離に呆然としてしまい、音楽を聴く耳が曇ってしまうかもしれない。
    そうはいっても、弟子たちの意見を聞いて改訂の手を加え続けたことや、弟子たちが勝手に「現代風(当世風)」に書き換えて出版したりとか、そういう「楽譜の改訂・改変」にまつわる事実関係を知ることが、この種の本を読むことで得られる最大の成果なのだろう。そういった事情が、特にブルックナーに関しては不幸にして多かったという事実があるのだから。
    演奏ごとに必ず付随する「○○版」(使用楽譜)の意味合いを正しく理解するという観点で、ブルックナーの音楽を深く聴く上では、この種の本は必読なのかもしれない。

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     2021/06/21

    作曲家フランツ・リストに関する一般向けの評伝って、ほとんど存在しません。それほどまでに「たいした人気のない」作曲家なのだと思いますが。
    その意味で、その生涯を一望し、代表的な作品を網羅したこの本は貴重といえます。
    リストの音楽に興味があり、その生涯やいろいろな作品を知りたいと思ったら、非常に役に立つ本だと思います。
    リストは、「ピアノのパガニーニ」を目指した超絶技巧派のヴィルトゥオーゾでその作曲したピアノ曲は多岐にわたりますし、管弦楽の分野では「交響詩」の創始者であり、娘コジマはワーグナーの妻となるという、ロマン派音楽の本流を歩んだ中心的人物であることは間違いなのですから。
    でも、その音楽に深い感銘を受けたりして作曲家リストを深く知りたいと思うかどうか、そういう人がどれだけいるか、という方が問題なのですが。

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     2021/06/20

    絶対音感を持たない一般人には、「調整で音楽の特性、色合いが変わる」といわれてもにわかには信じられませんが、優れた作曲家あるいは演奏家にはそういう「色の違い」が見えていたのかなあ、と想像しながら読むと、少し音楽に向き合う姿勢が変わるかもしれません。
    吹奏楽などで、原曲と異なる調に編曲されていると、何となく「違和感」を感じることもありますが、そういうものもあるのでしょうか(といっても半音高いとか低い程度では、そこまで違和感は感じませんが)。
    聴き慣れて「イメージ」が出来上がっている曲が、同じイメージの他の曲と「調」が同じであることを知って、その調だからそのイメージなのか、そういうイメージなので作曲者がその調を選んだのか、いずれにしても「ニワトリか玉子か」というところはついに解決しないまま読み終わります。
    自分の「耳」を豊かにするというよりは、「頭の中」の知識を整理する・豊富にするという意味で読んでみるとよいかもしれません。

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     2021/06/20

    音楽の友社から刊行されている「作曲家・人と作品」シリーズの1冊。ショパンについてまとまった一般向けの本は少ないので、内容の充実度、信頼性、客観性などの点からは真っ先に選択できる本だと思います。ショパンを弾く人も聴く人も、音楽の中にもう一歩踏み込みたいときに、作曲者の考えていたこと経験していたこと見ていたことを知ることで、いろいろなヒントやイメージを与えてくれると思います。

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     2021/04/23

     岡田暁生さんが一般向けの新書本として書いた「目から鱗が落ちる」本の中の1冊。よくある「作品史としてのオペラ史」ではなく、いわゆる「プロトタイプとしてのオペラ」つまり「豪華絢爛、上流社会の紳士淑女、社交界、天井桟敷の通たち」といった「ヨーロッパ社会における場・空間としてのオペラ」の形成の歴史とその末路を追った意欲作である。
     日本では、オペラは敷居が高く、クラシック音楽の中でもとりわけ「難しい」と考えられ、コアな「通」を除くとファンの数はそれほど多くない。上演機会が少ない、仮に上演があってもチケットが非常に高いということもある。ただ、それ以上に、タキシードやイヴニングドレスなどの正装に身を包んだ「上流社会」の雰囲気や、ワーグナーに代表される「総合芸術」という高尚さが、生半可な知識や興味では近寄りがたい「格調の高さ」を形成しているからだろう。
     この本では、そういった「オペラ的なもの」がどのように形成されていったか、19世紀後半の民族の自覚と「後進国の国民オペラ」の持つ政治性などについても触れて行く。そして20世紀にはオペラは「オペラらしくない」様相を呈し、伝統的な「娯楽」オペラの世界は映画に移っていく。そういった「流れ」を、岡田氏は「オペラの運命」というタイトルに込めたようである。
     オペラを楽しむ人も、これからオペラというジャンルに足を踏み込んでみようかと思っている人も、一度「全体を俯瞰した」この本を読んでみてはいかがでしょうか。新しい「視点」が得られると思います。

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     2021/04/19

     う〜ん、どこが「科学」なのでしょうか。タイトルからすると、一見「これさえ知ればだれでも作曲ができる」という「科学的法則」が出て来そうですが、残念ながらそういうものではありませんでした。サブタイトルに『美しい音楽を生み出す「理論」と「法則」』とありますが、そんな内容にはなっていません。
     第1楽章『作曲は「足し算」である』〜これは横に流れる旋律やリズムのこと。
     第2楽章『作曲は「かけ算」である』〜これは縦に積み重ねられた「和声、和音」のこと。
     第3楽章『作曲のための「語彙」を増やす』〜これは「いろいろな楽器を知ろう」ということ。
     第4楽章『作曲の極意』〜既存の曲も参考に、まずはやってみろ!
     これで作曲が出来たら、苦労はないと思います・・・。
     いかに「科学の一般向け啓蒙書」のブルーバックスであっても、やはり「たった1冊で作曲できるようになる」ことの啓蒙は無理なようで・・・。

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     2021/04/19

     ピアニストであり、かつ物書きでもある青柳いづみこさんの、ピアニストであることにこだわった1冊。つまりは「自分自身」を肴に書いた本です。私も少しはピアノを弾きますが、ピアノを弾く人には非常に参考になり、プロとしての見方や考え方、ああそんなこともあるのか、といったことが満載です。「テクニック」といったせこいレベルではなく、「音楽の捉え方」とか「音のイメージ」という点で。
     ピアノを弾かない方でも、ピアノ演奏を聴いて楽しむときに、ピアニストはどんなことを考えているのか、どんなことを気にしているのか、それが演奏にどう関係するのか、といったことを想像する上で役に立つと思います。一種の「裏の事情」ということで。
     ところどころに挿入された「コラム」が、ピアニストの「本音」の部分に触れていてとても面白い。

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     2021/04/18

     ご自身がピアニストである青柳さんの書く文章はどれも非常に面白い。
     一流のピアニストから見た他の一流ピアニストの姿、その中の何人かは実際の交流もあったわけで、そういった「裏の顔」や「同業者としての推測」も含めて興味深く読める。特にマルタ・アルゲリッチの「ソロの孤独」では、ある時期以降室内楽やピアノ・デュオは弾くがソロをめったに弾かなくなった気持ちの推測にも触れておりなかなか興味深い。また、青柳さんの師であるピエール・バルビゼを通して語られた早世したヴァイオリン奏者クリスチャン・フェラス(バルビゼとデュオを組んでいた)の話もなかなか興味深く読んだ。
     音楽を一段二段深く掘り下げて聴くための「着眼点」をいろいろ与えてもらえる貴重な本である。(この本は、もともとが白水社から2005年に出版された単行本の文庫版である)

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     2021/04/18

    ピアニストで日本ショパン協会の理事であり、一流の物書きでもある青柳いづみこさんによる2015年の第17回ショパン・コンクールの密着ドキュメント。
     スポーツと違って、音楽コンクールは「審査員の採点」によって結果が決まるため、その基準や判定結果には常に「不明」なものがつきまとう。そもそも審査員は「客観的」に審査しているのか、そもそも音楽や演奏における「客観性」などあり得るのか? 「優勝」と「2位以下」では、その扱いが大きく異なることになるので、その辺が大いに気になるところである。
     そういった点で、ご本人がピアニストであり、審査員の多くと「仲間」としてお付き合いのある青柳さんの書くことは、事実や本音に近い「実態」に迫っているのもと思われ、非常に興味深く読んだ。
     とはいっても、それでも多くの疑問点やもやもやは残り、そういったものに青春を賭けないといけない若手音楽家たちに心が痛むし、そこにうごめく(であろう)音楽ビジネスや「大衆人気」のようなものも心に引っ掛かる。(「良いものは良い」はずなのに、「コンクール入賞」の箔が付くと出演機会やギャラが大きく変わるのだろう)
     本来であれば2020年に開催されるはずの第18回ショパン・コンクールも、コロナの影響で今年2021年の秋に延期されたが、予備審査も遅れているようである。今からでも間に合うので、この本を読んで、予備知識なりコンクールの裏側に思いをはせながら、同時進行するコンクールを注視してみてはいかがでしょうか。

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     2021/04/18

     岡田暁生さんの「目から鱗が落ちる」本の中の1冊。「音楽は好みだ、好き嫌いだ」「好みは感性だ」「どう聴こうが人の勝手だ」とよく言われ、好みや感性を共有する人との会話は楽しいものだが、他人と本当の意味で音楽を共有し合うのは難しい。自分の音楽との接し方も、気分次第で一定しない。しかし、と氏は言う。「紅茶を楽しむ習慣を持たない人にとっては、ひとつの銘柄は他と似たり寄ったりの味に思える。しかし、洗練された味を探すだけの暇と意思と機会を持てば、本当の鑑定家になり得る」といった例を出して。「ワイン」や「日本酒」などもそれに近いのかもしれない。
     そのための「音楽の聴き方=聴く型」や「音楽を語る言葉」「音楽を読む(その音楽の背景や作られ方など)」、さらには「再生して聴く」というだけの受動的な態度だけではない「音楽をする」(自分で演奏する、積極的に聴きに出かける、参加するなど)という能動的な行動様式などにも触れている。
     自分はどのように音楽に相対しているのか、どのように接したいのか、接していけばよいのかなど、いろいろなことを考える良いきっかけになった1冊である。
     あなたも、自分の音楽の聴き方、接し方、自分にとって音楽とは何なのかを、この本をきっかけに一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

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     2021/04/14

     この本は決して「入門書」とか「分かりやすい解説書」の類ではない。逆に、かなりクラシック音楽を聴きこんだ愛好家が、300年のヨーロッパ音楽を捉え直して再整理し、「クラシック音楽の大きな流れ」を大局的につかみ直すための本だと思う。個別の作曲家や代表的な音楽を聴きなじんでいる、それらに対する自分なりの位置づけや評価をすでに確立している人が読む本なのだろう。
     そういった予備知識をもってこの本を読むと、帯にあるように「流れを一望」できて、自分なりに納得できる「クラシック音楽史」を形成できると思う。それが「正しい」とか「教科書通り」ということではなく、あくまで「自分にとってのクラシック音楽史」ということで。その意味で、音楽愛好家の一人一人が「自分にとってのクラシック音楽と何か」「自分は何故この音楽を聴くのか」を問うときに、この本は非常に大きな啓示と道しるべを与えてくれると思う。
     さらにいえば、副題に『「クラシック」の黄昏』とあるように、著者は現代における「クラシック音楽の聴かれ方」は、「黄昏」もしくは「既に終わっている」と位置付けているようである。つまり「過去の音楽しか聴かない」ところに「音楽史」などできようがない、ということ。それでは、20世紀後半、そして21世紀のクラシック音楽は、どのような歴史を形成していくのだろうか。

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     2021/04/14

     中山右介さんの「戦争交響曲〜音楽家たちの第二次世界大戦」(朝日新書)の続編ともいうべき本であり、ここでは第二次大戦後の「東西冷戦」の中での音楽家の生きた足跡が書かれている。
     中山右介さんの本は、「点」としてバラバラに持っている知識を、線あるいは面、さらには立体的な複合的視点へとレベルアップしてくれるものが多い。漠然と知っているだけの情報を、いろいろな視点から眺め直すことで、新たな側面や気付かなかった意味があることに気づかされる。
     この本もそんな中の一つで、話の展開軸はアメリカとソビエトによる「冷戦」。その中でも、「西」の代表としてアメリカのバーンスタイン、「東」の代表としてソビエトのムラヴィンスキー、東西分裂国家となったドイツのカラヤンといった指揮者を中心に話が進んで行く。今から思えば、何という面倒くさい世の中だったのだろうということになるが、そういった国家・社会の威信をかけて「芸術家」が利用され翻弄される20世紀社会であったということだ。音楽家も大変な「重荷」を背負わされていたことになる。そんな時代の記録として、後世にも語り継がないといけない「歴史」なのだろう。
     この本も、他の中山さんの本と同様に、初級者を卒業してひととおりクラシック音楽の常識を持った愛好家が、自分の持っている個々バラバラの音楽に関するエピソードや見識を時間順に、そしてそれら相互関係を体系的に整理するため本だということになるだろう。何も予備知識なしに読むのはちょっと辛いかも。

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     2021/04/14

     中山右介さんの本は、「点」としてバラバラに持っている知識を、線あるいは面、さらには立体的な複合的視点へとレベルアップしてくれるものが多い。漠然と知っているだけの情報を、いろいろな視点から眺め直すことで、新たな側面や気付かなかった意味があることに気づかされる。
     この本もそんな中の一つで、「音楽家」という一種の「浮世離れした存在」も、実は歴史の流れの中では過酷な現実の中で様々な毀誉褒貶をくぐり抜けなければならないことを知らしめてくれる。ある者は矜持を保つことで権力や社会から迫害され、ある者は芸術や伝統のためにやむを得ず(あるいは進んで)権力に迎合する。何が正しいかなどと軽々しくは断罪できるものではない。
     この本は、暦年形式で時間が進行する中で、100人近い音楽家(作曲者、指揮者、演奏家など)の身に何が起こったか、その中でどのように決断して行動したかを淡々と記述していく。ある意味で単調ともいえるが、読者はそれらの音楽家のことをある程度は知っているという前提で書かれているのだろう。その意味で、初級者を卒業した「音楽愛好家」が自分の持っている個々バラバラの音楽に関するエピソードを時間順に、そしてそれら相互関係を体系的に整理するため本だということになるだろう。何も予備知識なしに読むのはちょっと辛いかも。

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