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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/02/03

    初めてかもしれない ”すずめばち”序曲は頻繁に聴くものの5曲からなる”組曲”はこれが初めてだろう なかなかに面白い これがギリシャ劇と調和していたかは分からないがRVWを通して味わえる最上のイギリス色に出会える ”ピアノ協奏曲”も’46年の”二台のピアノ”版をよく聴いていたが ’31年の”一台のピアノ”による初版もここで初めて聴いた 作品名辞典には三楽章構成とあったがディスクでは四つの楽章になっているのはどうしたことだろう 演奏時間も二台版より少し長いようだ こちらにもイギリスの風は吹いているが その味わいを超えて神秘的で広大な宇宙が広がっている 二台版の必要性を感じない充足感に満たさる見事な作品だ ウェイスのピアノに賞賛を そしてジャッドとリヴァプールPOのRVW演奏に不足はない おまけに管弦楽版の”イギリス民謡組曲”が聴けるのも嬉しい あなたも如何      

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     2018/02/03

    ヒンデミットはあらゆる楽器のためにソナタを書いたと言われる 驚異の多作家に興味が湧く以上にその中から金管楽器のためのソナタだけをまとめた当ディスクはレコード史のなかで特異な光を放ち続けている それは類似のディスクを見ることがないからだ その特別な録音が誕生し残ることになった原因は明白だ それぞれの金管楽器を吹奏した名うての奏者故ではない 全てのソナタでピアノを弾いたのがグレン・グールドだったからだ ヒンデミットの評価が先に立っている グールドにヒンデミットは重要な作曲家であるという価値観があって可能になった録音だ 事実耳は等分以上にピアノに奪われる グールドは伴奏などしていない グールドの打楽器的ピアニズムが功を奏している 金管楽器と対等なDUOが丁々発止と展開される 驚くのはヒンデミットの金管吹奏の向こうに広がる静寂に気づいたことだ ヒンデミットは音色美を表現の根底に置いている グールドのピアノとて例外ではないことをグールドは自覚していた たった二つの楽器が描き出す夜空をずっと見上げていられる朋と聴こう あなたも如何  

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/02/03

    人生の春秋にあたる肖像を見る思いだ イ長調は気恥ずかしくなるほど憧れに満ちて外に向かって呼びかけ歌う ホ短調はひたすら内に向かっていく 思いに寄り添えば晦渋の路を共に歩くことになる だがそこはフォーレの世界だ 無軌道を疾ったり霧中を彷徨ったりはしない 足取りは慥かだし地を踏みしめている実感を失うことはない フランス音楽をアンニュイと取り違えた時何も聞こえなくなる フォーレは地味な佇まいだが人肌の温もりを伝えてくる フランス人しか歌えない歌はフランス人で有り得ない者には解らない極めてローカルな音楽だ 若きアモイヤルとケフェレックはいとも易々と歌い下していく それは自己の衷心にふつふつと沸き立つものと同じ源泉から湧き出た泉だからだ 分かるか 分からないか ただそれだけだ フォーレの味わいを知った者にだけ対話が可能になる あなたも如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/02/02

    モーツァルトに影響を与えたヨハン・クリスチャンはハイドンに遅れること3年で産まれ27年早く亡くなった その生涯が30年ハイドンより短かった ついに古典派になれなかったJ.C.Bの交響曲はソナタ形式に到達できなかった 音響に工夫を凝らしギャラントで立体的な管弦楽を構築しながらも 拡大された三部形式に止まった 歌劇やカンタータの序曲からの流用もあり 楽章も続けて演奏される これが失われた30年の結果だった これほど魅力ある音楽を創造しながら 楽章を分離独立させたハイドンの交響曲にまで至らなかった もう古い録音になったがコレギウム・アウレウムはJ.C.の音楽の魅力を的確に伝えている 今に伝え知られる21(27)曲の交響曲から4曲しか紹介されていないのが残念だが全てが名曲だ もっともっと演奏されていい音楽だろう 時々聴きたくなる佳曲だ あなたも如何

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     2018/02/01

    ヴィルヘルム・フリードマンはJ.S.バッハの長男だが その音楽が父親のスタイルに似ていないことは驚くに当たらない 寧ろヨハン・セバスチャンが時代の趨勢に無関心だったのだ 対位法の時代は終焉を迎えていた 人々は音楽にもっと感情表現を載せることを求め始めていた 自ずと音楽は色彩感を帯びる傾向を強めていく その時W.F.は一族の家業を継承する環境の中に生活していた 幼少期より父が作った楽譜を基に楽器演奏技術や作曲技法を学ぶのは日課だった 特別な英才教育ではない それがバッハ一族の生活だった ここに並ぶ”シンフォニア”は交響曲ではないが魅力ある音楽だ バロックの技法を下敷きに調性の調和を追究する音楽の運びはブリリアントでアイディアが横溢している 実に愉しい音楽だ ところでBWV1070の組曲第5番が偽作だとは知っていたが これが長男W.F.の作品であったとは知らなかった 俄かに信じがたい さてヘンヒェンの指揮は的確である どの”シンフォニア”も躍動させ音楽の構造を開示してみせる コンサートに取り上げられる価値がある 朋に知らせたい あなたも如何 

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     2018/02/01

    先ず”デメイエルとバッハ・コンセントゥス”が素晴らしいと言おう 大いに注目しよう バッハの三人の息子による”交響曲”という面白いプログラムに惹かれて出会うことになった 次男カール・フィリップ・エマヌエルのWq.177の弦楽合奏版 五男ヨハン・クリストフ・フリードリヒから弦楽合奏のW.1/3と管弦楽のW.1/10 そして末子ヨハン・クリスチャンのOP.6からNo.3と6 作品としてC.P.E.は傑作のWq.180番代を持ってこなかったデメイエルの主眼は弟二人にある J.C.F.は多くの作品が失われたことが分かっている どうしても耳にする機会が限られる それだけにこの録音は貴重であり しかもその作品が極めて優れたものだと知らしめた功を強調したい 特に第10番は傑作であり世に出したい J.C.の作品6はすでに評価され世に知れ渡っている 特にNo.6は傑作中の傑作 ハイドンがモーツァルトとが古典派交響曲を完成させる前夜に輝く明星なのだ 未だソナタ形式の完成に至らず 三つの楽章は続けて演奏され全曲が拡大された三部形式に止まっている これを所謂”交響曲”とは呼べないがもっと演奏されていい音楽だ 朋に届けたい音楽の筆頭だ あなたも如何

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     2018/01/31

    プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世に捧げたクァルテットは王がチェロを弾く想定で書かれたと思われる モーツァルト最後の4年間に書かれたことから バッハやヘンデルから影響を受けたコントラプンクトが展開されると思いきや 確立された古典派の形式の枠に綺麗に納まるどころか 初期の平明さにまで戻っている これはプロイセン王というアマチュア奏者のために書かれたクァルテットだからだ 正直がっかりした しかし美しいことに戸惑う ハーゲン兄弟の決然とした佇まいと突き抜けた透明感が哀切ささえかもしだす これはロココの風情かといえば むしろ正反対の削ぎ落とされた美というべきかもしれない 何れにしてもモーツァルトのクァルテットはハイドン・セットで完結していたのだと思い知る モーツァルトをモーツァルトであるがゆえに愛する人には優しく受け入れられるだろう    

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/31

    また救われている プレヴィンはこれまでわたしの心身が窮地に追い込まれた時 生きる力を取り戻させてくれた それが何物なのかは分からないけれども 心のバランスがとれ身内に静かに精力が満ちてくる 今頃になったが ”ロメオとジュリエット”全曲を聴いた オペラやバレエが苦手なものだから ついつい敬遠してしまう 聴きたくなれば抜粋版で済ませてしまうのが常だ ”ロメオとジュリエット」の毒々しい忌まわしい悲劇は人間の愚かさを嗤っている筈なのだが プレヴィンの演奏にはどこか聖なるものが見え隠れする 清浄な気が流れている 何と能天気な楽天的なと揶揄することもできるのに無心に聴き入ってしまう これもプロコフィエフなのだと受け入れてしまう プレヴィンとは全く不思議な指揮者だ もうお聴きのことと思うが まだならあなたも如何  

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     2018/01/31

    15年前の出版だから新しくはない しかも録音はさらに古く 半世紀前と四半世紀前のものだ だが今聴く価値がある名曲名演奏と言おう 戦後3年に作曲された70年前の”フルート協奏曲” 早逝した尾高尚忠の傑作 名手ランパルの演奏が聴ける ドイツ音楽の構成美を形作りながらペンタトニックやアジア的旋律の主題を縦横に展開してみせる その20年後矢代秋雄は”ピアノ協奏曲”を書いた パリでメシアンに学んだ矢代作品は難曲中の難曲で滅多に演奏されない 故中村紘子が奮闘している ピアノの様々な表情が聴けて面白い 30年前に京響の委嘱で吉松隆は”ファゴット協奏曲”を書く 祇園祭の長刀鉾に描かれたユニコーンを象徴としてその一本角にファゴットを見立てて発想された音楽は魅力的なのだ 戦後民主主義国家となった日本の風土が生んだ音楽はユニークで興味深い 20世紀の音楽を俯瞰した時 日本音楽は聴き逃せない 手に入りづらくなっている当演奏の再発をDENONに願いたい できればあなたもお聴きを    

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/30

    ”冬の旅”はテノールで聴く 愛聴盤はマンメル&スホーンデルヴルト盤そしてパドモア&ルイス盤だ シューベルトの”冬の旅”は出版に際して一部が転調された この初版が流布し歴史の海を渡ってきた 作曲者が承諾したことでお墨付きを得たわけだが シューベルトは調性による構造設計図を綿密に組んでいる 移調は”冬の旅”のデザインを変えたに等しい 楽譜を売らんがための妥協を責めることはできない 今以て作曲で糊口を凌ぐのは難しいのだから しかしピリオド運動がいにしえの名曲から隠れていた宝珠の光を見出した現在 歌曲の原典版による演奏が活発化すべき時が来ている 冒頭に紹介した音盤はその原典版による先鞭を付けた演奏だ そしてここにパドモアが10年ぶりの録音を持ってきた しかもベズイデンホウトによるフォルテピアノと組んでだ 聴き始めて驚く 速い 聴き終わってみれば前回より5分短い 音色と響きが軽やかになり 表情豊かになった 本来の”冬の旅”が聴こえる ”冬の旅”は人生の諦観を歌ったのではない 青春のひとつの挫折と喪失を歌ったのであり 青年はまた憧れと希望を見つけて歩き出す 過去のイメージを捨てて 静謐に耳傾けてみてと朋に言おう あなたも如何 

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/27

    どうした事だろう 不思議なことがあるものだ 正直者がスコアに書かれた音楽をそのまま音にしたら 無茶苦茶に批判された だってマーラーがそう書いているのに 作曲者がこう演奏しろと指示したからそうしたまでなのに 何故かこんなに多くの人を怒らせた そうかマーラーを嫌っているんだな 誰かが勝手に書いたマーラーの似姿を真影と信じちゃったから 本物が姿を現したら偽物扱いするんだ スコアをご覧になったらいい ハーディングはマーラーの希望通り音作りをしていることが分かる それが気に入らないならマーラーを聴かないことだ マーラーは「天上の生活〜私たちは天上の歓喜を受ける」大いなる喜びを讃え歌ったのだからこれでいい ハーディングが後奏に付けた「子供の魔法の角笛」からの三曲は余白を穴埋めしたものではない マーラーが第4交響曲に描こうとした世界を理解する一助になればと言う想いで付け加え演奏したことは明らかだ もう一度と言わず二度三度と耳を傾けたいものだ あなたも如何  

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/26

    これは演奏されなければいけない組曲集とでも呼んだらいい バロック音楽の傑作集だ ヨハン・セバスチャンの又従兄弟(再従兄弟)ヨハン・ベルンハルトの”管弦楽組曲”4曲が素晴らしい 大バッハの前に似たような曲を親戚が書いていたとは面妖な またそれを取り上げるヘンゲルブロックの悪戯な目が見える 面白い以上に立派な曲だ 強いて言えば淡色系だが 引き換え色彩感に富むのは次に控えし四人だ 大バッハとほぼ同時代を生きた今で言うドイツとチェコの作曲家の組曲4つがJ.B.B以上に魅力的だ オーボエとファゴットを前面に押し出したファッシュ 緻密な対位法に拠るテレマンの充実振りは一等地を抜く ヨハン・ルートヴィヒ・バッハは構成力を感じさせる仕上がり ゼレンカは楽器間の対比的協奏関係を際立たせる手法が耳を引く 孰れも確立され成熟した作曲技法による名曲の数々を聴き逃す手はない あなたも如何    

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/26

    ”ソスピリ”から聴き始める わたしの心境に寄り添ってくれる演奏に癒される 下って”気まぐれな女”の皮肉に微笑む いつしか森の中に ”森の静けさ”はむしろ生命のざわめきを感じてしまうのがいつものこと 少しおしゃべりなチェロはそのまま”ロンド”へ ここは曲想の移りゆきが愉しい あっという間に掉尾に達してしまう レスピーギの”アダージョと変奏”がいい曲なんだ ここまで控えめに終始してきたらオーケストラも存在感を持って立ち上がってくるのも良かった さて初めへ戻ろう エルガーの”コンチェルト”だ なんて力瘤の出たような演奏とは隔世の感 自然で伸びやかチェロは情に溺れず知に凝らず行く方を見据えて流れ進む姿が清々しい ガベッタの才は双葉より芳しかったのだから驚くに当たらない ここで瞠目すべきはヴェツァーゴとDNSOなのだ ソリストを立てる演奏とは何ものなのかを示して爽やかだ この協演あってこそガベッタが生きた しかしこの指揮者とオーケストラの優秀さは隠しようもない 見事だ きっと朋らも聴いて微笑むだろう あなたも如何 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/25

    どうしたと言うのだろう わたし愛用の「作品名辞典」グラナドスの項に管弦楽作品が一曲も掲載されていないのだ〈歌劇〉と〈室内楽〉の間に何もない てっきりグラナドスはオーケストラ作品を書かなかったのだろうと思っていた 没後100年を記念としてNAXOSがこんな素晴らしい一枚を出してくれた 行進曲と劇音楽そして組曲 ちゃんと管弦楽曲だ それにしても洒落た音楽じゃないか しかし何故これが今まで陽の目を見なかったのか気になろうと言うものだ 結局グラナドスが無欲の人だったと言うことにつ尽きようか 音楽の才能だけを持って生まれ戦火の犠牲となって消えた天使がいた なんと言う優しい音楽だろう 細やかな詩情が行き渡っている 声高に叫ばず 活き活きと存在して美しい微笑みを残していく 生き方そのものが音楽に足跡として残っている 憧れの地バルセロナのオーケストラが日差しのように吹き過ぎる風のように演奏している 早く朋に知らせたい もう知っているだろうか あなたも如何   

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/25

    ピアノを志した人は一度はラフマニノフのコンチェルトを弾きたいらしい でも手が小さかったり楽譜が買えなかったりで夢に終わる人も多いそうだ ラフマニノフは音楽家として糧を得るためにコンチェルトを書き演奏して歩いた 手も大きく名手と仰がれたので引く手数多だったために肝心の作曲に充てる時間がなかったことを嘆いていた できれば作曲に専心したかった 70年の生涯に45の作品しか出版できなかった プロコフィエフの1/3でしかない だから仮令難曲であってもヴィルトゥオーソが技巧をひけらかす音楽ではない 幾重にも畳まれた抒情の襞に透明な風を通すような演奏をしてこそラフマニノフの心に触れ対話が生まれる 我が小川典子は見事にやってのけている 美しく哀しいが強靭な魂の歌が聴こえてくる 生きんとする息吹が押し寄せる音楽に胸打たれる もう20年も前の演奏だが新鮮だ 名演奏名録音は健在(一部に音に関する不備を訴えていられたが何かの間違いかと思う)ダイレクトでもサラウンドでも豊かに明晰に鳴っている コンチェルト嫌いのわたしが愉しんだ あなたも如何  

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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