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遊悠音詩人 さんのレビュー一覧 

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2007/11/07

    ラフマニノフの第2協奏曲は、実はこの演奏を聴いて初めて知ったのだ。その後、リヒテル盤の評判を聞いてからはもっぱらそちらを聴き、ルービンシュタイン盤は売り払ってしまった。しかし今、あの時聴いた甘酸っぱさが忘れられず、再発売を機会に買い直した。本当に美しい。辛口で迫るリヒテル盤とは対照的に、ルービンシュタインのピアノはどこまでも暖かく、柔らかく、滋味深い。聞き手を優しく包み込み、作品のロマンティシズムを飛翔させる。まるで美しい映画を観るような、淡い色彩に満ちている。バックを務めるオーマンディ/フィラデルフィア管もさすがだ。オーマンディは若い頃に作曲者の自作自演で共演したこともあり、今でもSPの復刻盤を聴くことが出来る。またフィラデルフィア管も、ラフマニノフから「世界最高のオーケストラ」と激賞され

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     2007/11/07

    チェリビダッケを過小評価する人の決まり文句は「遅い」だ。確かに数多の演奏と比べれば遅く感じられようが、これはチェリビダッケの演奏哲学によるものであり、決して安易に引き伸ばされたものではない。ただしチェリビダッケの演奏はあくまで実演に重きを置いたものなので、CDの限られたフォーマットに収めようとするとどうしても歪んでしまうのである。さりとて、チェリビダッケの芸風を垣間見るのに録音物の存在は否定出来ない。そうした了承の上で本盤を聴くと、まず一音一音に至るまで綿密に語られているのが良く分かる。とかく力で押す演奏が多い中で、ここまで丁寧に鳴らすものも珍しい。特に木管楽器の存在感が素晴らしく、豊かな余韻を湛えている。慈しみを込めて洗い直された名演である。

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     2007/11/06

    ここに聴くラフマニノフは随一の出来だ。ロマンティックでありながらも、決して溺れず、むしろ辛口な演奏に仕立てたリヒテルはさすがである。この曲は、交響曲第1番が酷評の憂き目に遭い、鬱病になったラフマニノフが、ダール博士の治療により回復し、再起を賭けた曲として有名である。だからこそ、単に甘美であるだけでなく、作曲者の葛藤や迷いや勝利を描かなくてはならないのである。その意味において、リヒテルの解釈は正鵠を射ていて、まことに素晴らしい。対するチャイコフスキーは、悪くはないのだがカラヤンのバックが気に食わない。他の批評にもあるが、私としてもリヒテルとカラヤンの芸風は相容れないものだと思う。曲の厳しさに肉薄するようなリヒテルに対し、カラヤンはやたらと豪快さや華麗さに執着しているように思う。第3楽章など、リヒテルならもっと感情の爆発があっても良さそうだ。ムラヴィンスキー辺りがバックを務めていて、しかも良質のステレオで収まっていたら、きっととんでもないことになっていただろう。やはり、ラフマニノフだけを単発で(前奏曲と組にしてもよいが)出してくれたら、完成度の高い一枚になるだろう。

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     2007/11/06

    追記。因みにラヴェル自身は、《ラ・ヴァルス》を、「ウィンナ・ワルツの礼讃に、幻想的で宿命的に続く旋回の印象が混合したもの」と説明しています。ですから「路線変更」というよりむしろ、ウィーン礼讃を土台としながらも、そこにグロテスクな情感を渦巻くような曲に仕立てたのだと言えるでしょう。“ワルツ”という、ウィーンの象徴とも言える様式から完全には逸脱しなかったのも、むべなるかなと思われます。この曲から、ウィーン礼讃を読み取れないとするならば、それは曲自体の責任よりマゼールの表現に問題があると言わざるをえないでしょう。何故なら、ラヴェル自身が理想とする曲想から乖離してしまった表現だからです。確かに「幻想的で宿命的」ということがグロテスクな誇張と結び付いたと捉えられなく

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     2007/11/06

    音質にいささか難ありな面は否めない。特に《ボレロ》では終盤は殆ど音が割れていて汚い。だが、そうした疵を補って余りある程の魅力がある。特に《ラ・ヴァルス》における妖艶さは素晴らしい。曲の不気味さを誇張によって描くのではなく、ごく自然に振る舞う中に滲ませるのだ。グロテスクな情感は、表に出されるものよりも、美しさの影に潜んだものの方がより幻惑的である。パリの栄華と、影にある戦禍の傷跡、そして肉親の死とのコントラスト。ウィーン礼讃を着想しながらも、苦い経験の中に路線変更を余儀なくされたラヴェルの想い。これらが旋回し、うねり、そして崩壊する。こんな凄い演奏は他にはない。その他の演奏も、冴えた響きによる名演である。音質を考慮するとベストとは言えないが

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     2007/11/06

    蓮華人様、ご意見ありがとうございます。後で調べましたが、ラヴェルは当初こそ「ウィーン礼讃」の曲にしたかったものの、大戦や肉親の死から、グロテスクなワルツへと路線変更したのですね。勉強になりました。確かにグロテスクな雰囲気の描写という観点からすれば、マゼールの指揮も強ち悪くはなさそうです。しかし、驚きこそすれ、感動まで至るか否かは評価が分かれそうですね。もっとも、賛否両論拮抗する演奏というのは、それだけ他の演奏にはない特徴があるものなので、「驚き」を求める向きには良い一枚かも知れません。ただ、私の場合「驚き」に重きを置かないので、評価が下がったという訳です。やはり仰る通り、マゼールは批評が難しいですね。

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     2007/11/06

    追記。音質に関して一言。やはり「まだ20代」さんや「神戸のカラヤンマニア」さんに同意である。CDを聴く限り、低音域が削がれたような雰囲気を否めない。マスタリングも余り手が込みすぎると陳腐な音になるようだ。OIBPも悪くはないのだが、妙に金属的な音がして、長時間のリスニングには向かない。

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     2007/11/04

    真のドイツ音楽の響きを求める人は、カラヤン/BPOが余りにソフィスティケートされ過ぎていて、本来のドイツのオケの姿と乖離していることに気付いている。例えばゲヴァントハウス管やドレスデン国立管のような、重厚で渋みがあり深々とした精神美を感じるような響きは、残念ながらカラヤン/BPOにはない。同じBPOのブラームスでも、ヨッフムの振るピアノ協奏曲は凄いのだが、対するカラヤンは、何をやっても綺麗なだけの演奏に終始する。ブラームスにしろベートーヴェンにしろ、十八番のチャイコフスキーの《悲愴》にしろ、徹頭徹尾華麗で豪快なだけである。本盤でも、例えば第1番なら、ベートーヴェンの影を過剰な程に意識した作曲家の苦悩を感じることは出来ないし、第4番においても、人生の夕映えや寂寥、孤独感といったものが明らかに欠

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     2007/11/04

    ヴァントのブル8は、個人的にはミュンヘンPO盤を筆頭に据えたい。特に第3楽章の神々しさは大宇宙の神秘そのもので、弦楽器の深々とし、それでいて限りない透明感を湛えた響きには、敬虔さすら感じ得る。BPOの演奏には、これ程までの魂の共感を感じることは出来ない。ただし、これはヴァントの力量の所為ではないので、ヴァントの解釈に非を唱えるのはいかささかお門違いであろう。少なくともヴァントは、ブルックナー演奏に絶対の定評があったかのチェリビダッケが、自らの手兵であるミュンヘンPOに招聘する位の、実力の持ち主なのである。試しにミュンヘンPOとの8番や《ロマンティック》などのライヴ盤を聴けば、よく分かると思う。ともかく“最高”とは言えないが、ブルックナー演奏の最高峰に君臨することには異論はない。

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     2007/11/04

    ヴァントの《ロマンティック》は同年に録音されたミュンヘンPO盤が筆頭格だと思うが、ここに聴くNDRとのラスト・レコーディングも確かに素晴らしい。両者の違いは許氏の解説に詳しいので省くが、とにかく当盤は無駄な力が抜けている。だから、人によっては力量不足な演奏に聞こえるかも知れない。あるいは、精緻なアンサンブルを期待すると肩透かしを食らうかも知れない。しかし、淡々と進む演奏には余計な解釈など皆無であり、全てが自然発生的である。あたかも上品な室内楽のように、軽やかでさっぱりとしている。ヴァントは自らの指揮者人生の掉尾を飾る当盤で、力で聴かす演奏とは対極のブルックナー像を表出しているのだ。

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     2007/11/02

    ブルックナーの法悦境、ここに極まれり。それは、銀河の揺らめきにも似て幽玄そのもの。神々の世界、ニルヴァーナの境地の表出だ。演奏は天衣無縫の極み。まるで無から自然に生まれ、壮大な音の伽藍を築き、そして静かに無へと還るようだ。特に第三楽章は、頭を垂れて敬服せずにはいられない。つややかで、無垢で、しかし一方では官能的でロマンティックで、これらが高度な次元で溶け合っている。いくら書いても、私の稚拙な筆では、この演奏の素晴らしさを一隅たりとも表現出来ない。悔しいが、真の音楽とはこういうものなのだろう。ありとあらゆる筆舌を超え、ストレートに心臓を穿つからこそ、“名演”と呼ばれるのだろう。“最高”以上の賛辞を贈りたい。

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     2007/11/02

    全てのブルックナー・ファン必携の一枚だ。ミュンヘンPOは、チェリビダッケが手塩にかけただけあって、透明感や重厚感がこの上ない。そうした美質に、ヴァントならではの隙のないアプローチが高次元で融合している。この盤が収録された2001年、ヴァントはNDRとも《ロマンティック》を録音し、彼の掉尾を飾る一枚として有名になったが、それよりもはるかに良い。全編に渡って連綿たる美しさで、人工的なところなど一つもない。ブルックナーはその長さ故、演奏によっては甚だ疲れるが、これは一気に聴き通せるほどだ。どんな強音も濁らず、どんな弱音も蔑ろにされない。一つ一つが雄弁で確信に満ち、神の世界に聞き手を誘ってしまう。音の大伽藍そのものである。この演奏にまともに勝負できるのは、同じミュンヘンPOの88年EMI盤(指揮は勿論チェリビダッケ)だけだろう。興味のある方は、是非聴き比べてみると良いと思う。

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     2007/10/31

    かつてラヴェルは、トスカニーニの指揮する《ボレロ》の余りの高速ぶりに激怒し、演奏を禁じたことがある。さて、そんなラヴェルが本盤の演奏を聴いてしまったら、一体どう反応するだろうか。恐らく激怒どころではなくなるだろう。せかせかしたテンポといいラスト近くの大袈裟な揺れといい、「極めて中庸を得た速さで」という鉄則を完全に無視している。他の曲もデフォルメのオンパレードだ。何も奇を衒えば名演になるのではない。唯一の救いは、VPOの響きの良さである。フランスのオケのように乾いた音ではなく、適度な湿り気を帯びている。それが、収録曲の一つ一つに秘められた不気味さを表出しているのだ。ただ、マゼールの指揮が邪魔している。マゼールはかつて、VPO特有のピッチ(445!)が耳に馴染めず、標準の440に合わすよう迫ったのがきっかけで、団員との間に亀裂を生んだことがある。そうしたことから、マゼールはVPOの伝統や団員達の自主性を逆撫でするようなことを平気でやるような男と言える。例えば《ラ・ヴァルス》でも、ものが“ウィーン礼讃”なのだから、もっとウィンナ・ワルツのリズムで団員を泳がせた方がよいのではないか。妙な誇張ばかりするからVPOらしさが死ぬのだ。だから敢えて苦言を呈した。どうかご斟酌の程を。

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     2007/10/27

    追記。《展覧会の絵》に聴く世界は独特である。例によって遅いテンポ設定で奏でられ、この曲に秘められた亡き画家に対する哀惜の念と、彼の絵の持つグロテスクさを浮き立たせている。とかく外面的な効果ばかりが出されがちなこの曲で、ここまで掘り下げた演奏も珍しい。チェリビダッケは86年の来日公演でもこの曲を取り上げ、最近Altusから復刻CDも発売されている。聴き比べてみると、例えば「キエフの大門」の最後のクレシェンドの怒濤っぷりは86年盤が一歩上手であるが、「牛車」の重々しさや「雛鳥の踊り」の軽快さなどは、こちらの93年EMI盤が勝るように思われる。アンサンブルも僅差で当盤に軍配が挙がるだろう。明らかな違いは音質だ。Altusの復刻は確かに綺麗なのだが、オケの持つ重厚さ

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2007/10/24

    ヴァントのブラームスと言えば、北ドイツ放送響との新旧両盤が挙げられる。何れも名演であるが、個人的には旧盤が好みだ。新盤は録音がややOFF気味で、オケの緊張感も緩く感じる。さて、ここに聴くミュンヘンPOのライヴは、先の二枚とはまた一味違った魅力に溢れている。チェリビダッケが手塩にかけたミュンヘンPOは、透明感と重厚感に満ちている。その機能美に、ヴァントの詰めの厳しい造形美が相まって、実に素晴らしい音楽を紡いでいく。この演奏からは、ブラームスの限りない歌心を感じるし、特に第二楽章のヴァイオリンのソロは、天高く舞うかのようにロマンティックだ。終楽章も、とかく勢いだけになりそうなところを、しっかりと手綱を締めている辺りがいかにもヴァントだ。ブラームスが20有余年の歳月を費やした交響曲

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