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2010/10/24
ブレンデル壮年期の代表的な業績の一つ。後のデジタルによる再録が草書風とすれば、こちらは楷書風にかっちりとまとまっている。個人的には、録音面のハンディを差し引いても、こちら(70年代)に好感をもつ演奏が多い。当時は同時期のアシュケナージの全集とよく比較されたものである。参考までに録音データを示すと、23,24,29,32番:70年ザルツブルク モーツァルテウム、7,14,25番:72年ロンドン ウェンブリー、21,31,アンダンテファヴォリ:73年ロンドン ウェンブリー、6,8-10,18,19,27,28,30番:75年ロンドン ウェンブリー 1-5,11-13,15-17,20,22,26番:77年ロンドン ヘンリーウッドホール、ピアノ協奏曲&合唱幻想曲:75-77年 ロンドン ウォルサムストウタウンホール。エラクウェンスからも80年代のピアノ協奏曲全集と組み合わせた12枚組が出るようであるが、70年代のブレンデルの業績を俯瞰する意味では、ソナタ全集と並行して進められたハイティンクとの全集を組んだこちらのセットの方に、企画のセンスの良さを感じる。