Steve Tyrell 来日記念ロングインタビューA
Wednesday, June 18th 2008
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Steve Tyrell インタビュー
Steve 素顔の彼は、とても謙虚でシャイで、けれど、明るくて人なつっこい。そして、とてもアタマが良く、何をすべきかを全て心得ている素晴らしい人物だよ。 私にとっては、ずっと「師」であり、彼のアレンジだとか、オーケストラを指揮しているところを間近で見て学んだことは、たくさんあったよ。当時は、今のレコーディング方法とは全く異なり、3時間で4曲録音するようなやり方だったんだ。スタジオには、ストリングス・オーケストラ、歌手・・・全ての演者がいて、一発録りなんだ。バカラックは、そこで何かおかしいと思うと、その場ですぐに何がおかしいかを考えて修正できる、素晴らしい能力を持っていたんだ。 彼は、父親としても素晴らしいんだ。息子さんとお嬢さんがいてね。とても大事にしているんだ。息子さんは、スノーボードで全米のチャンピオンになったぐらいのスポーツマンなんだ。もしかしたら、冬季オリンピックの全米代表になるかも知れないね。 --- セプターで働いていたときは、もちろんディオンヌ・ワーウィックとも何度かお仕事をされているんですよね? Steve もちろん、よく知っていたし、仕事もしていたよ。当時のセプターの抱えるアーティスト全てにおいて、誰にプロデュースさせるかだとか、どの曲をシングル・カットするかだとか、どういう方向性に持っていくかだとかを、全て私が任せられていたので、ディオンヌにかぎらず、レーベルのアーティスト全員とつながりがあったよ。 レコードをどれだけラジオ局でプレイしてもらえるかも、私の重要な仕事だったんだ。だから、ディオンヌのレコードに関しては、全てに関わっていたんだ。彼女がコンサートをする時は、必ずプロモーターとしてもその地に同行して、地元のラジオ局のインタビューを受けれるようにしたり、TVに出演できるようセッティングしたりしていたんだ。 --- 正直なところ、そういった販促、A&Rの仕事は辛くて、辞めたいなとお思いになったことはありますか? Steve プロモーションでは、時々ちょっときついなと思うこともあったけど(笑)・・・やっぱり、「かけてくれないか?」って頼む仕事だからね。でも、A&Rの仕事は、全く飽きることはなかったね。クリエイティヴな部分にはとどまりたい気持ちもあったから、セプターを辞めた後は、プロモーターのような仕事は一切しなかったよ。 「Raindrops Keep Fallin On My Head」ってあるだろ?あの曲は、最初は誰もヒットするって思ってなかったんだよ。だけど、私は社内で「絶対ヒットする!」って説得していて、L.A.のある大きなラジオ局のDJも、最初は全く気に入ってくれなかったんだ。私は「ヒットするに決まってるだろ!もしヒットしなかったら、この場でレコードにケチャップをかけて食べてやるよ!」って言ったんだ(笑)。今だったら、テープかなんかで、パスタみたいにして食べやすいんだけどね(笑)。 結局は、かけてくれて大ヒットしてね。そのくらい自信があったんだ。実際、「Let It Be」に続く70年代を代表するヒット曲になったんだよね。つまり、A&Rの仕事っていうのも、なかなか報われないものでさ。ラジオ局に頼んでも、かけてもらえなくて売れなかったら、A&Rのせい。逆に、かけてくれて大ヒットしても、曲がよかったということで片付けられてしまう(笑)。なかなか「感謝」が得られない仕事なんだよね。 Steve スタジオに入ると、スピーカーが二つあるだけで、何もない。だけど、スタジオを出るときには、アルバムが出来上がっている。無から、素晴らしい創作物が出来上がっているということ。その生み出すプロセスに携わるということは、とても素晴らしい瞬間なんだ。こんなゾクゾクするような感動に勝るものはないよ。 例えば、今回のアルバムに入っている「What The World Needs Now」のように、ロッド・スチュアートや、マルティナ・マクブライドや、ジェイムス・テイラー、ディオンヌ・ワーウィック、バート・バカラック・・・彼らが参加してくれたらいいなと思っていたら、それが実現して、思ったとおりのことが出来てしまった。こうなったらいいなと考えていたことが、実現するという感動もあるんだ。 --- 今回のアルバムの中では、私もこの「What The World Needs Now」がハイライトだと思います。 Steve これだけの人たちが一緒に演ってくれて、しかもお互いに敬意を払い合い、誰かが出しゃばるということもなく参加してくれたのは、本当にめずらしいことだし、スペシャルだよ。この曲は、一生に一回あるかないかのコラボレーションだ。とても誇りに思ってるよ。
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スティーヴ・タイレル
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1999年『A New Standard』、50歳でデビューを飾った名スタンダード・シンガー、スティーヴ・タイレルは、フランク・シナトラ、フレッド・アステアらの系譜に名を連ねる。A&R〜音楽プロデューサーとしての豊富なキャリアに裏打ちされたセンスの良いサウンド作りと、南部出身らしい渋味と、イタリア系ならではの温かな陽気さを含んだ歌声が人気を呼び、2nd『Standard Time』は、本国USのジャズ・チャートで最高ランク2位、92週連続チャート・インのロング・セラーとなった。91年、タイレルは、映画「花嫁のパパ」のサウンド・トラックのプロデュースを手掛ける。この作品でケニー・ランキンのスタンダード「今宵の君は」を取り上げることとなり、タイレルは自身が歌ったデモを制作する。これを聴いた同映画のチャールズ・シャイアー監督らが彼の歌声を大いに気に入り、彼の歌ったデモはそのまま、映画のテーマ曲として劇中で使われることとなった。これが、50歳での遅咲きデビューの布石となったことは有名な話。その後も『This Time Of The Year』、『This Guy's In Love』、『Disney Standards』、『Songs Of Sinatra』といった古きアメリカの良心=「Great American Songbook」を今に伝える名スタンダード作品を発表。2008年には、かねてからの念願だったバート・バカラック集『Back To Bacharach』を発表し、人生最良の師であり仲間であると語るバカラックへの想いを歌に乗せる。
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