報道写真家 ジブ・コーレン インタビュー 5
Thursday, July 3rd 2008
『1000の言葉よりも 報道写真家 ジブ・コーレン』 公開記念!
ジブ・コーレンインタビュー
2008年6月14日(土)より、東京都写真美術館ほか、全国順次ロードショー!
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第1回 「"撮る"側から"撮られる"側へ」 第2回 「イスラエルの軍隊で」 第3回 「"トラウマ"を抱えて」 第4回 「カメラは、人々の意識を促すための道具」 第5回 「両足を失ったルアイについて」 第6回 「ポジティブな人間でいて下さい」 |
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第5回 「両足を失ったルアイについて」
報道写真は、全く知らない、面識のない人、事件などを撮影されるわけですが、ルアイさんの写真のように、関係性を築いていく過程で生まれる、カメラを意識することなく、より"素"の表情を見せるようになっていく・・・というような、被写体との関係性をあたためて生まれていく作品からは、どのような感情を得ましたか?そして、そこで得た、彼との"関係性"というものは? ジブ どのような経験であっても、わたしにとっては貴重な体験です。父親になったことも、自分がドキュメンタリーの写真を撮ったこと、そしてもちろん、紛争を撮っている時でも・・・何かが変わる、変わっていると思いますし、常に向上したいと思っています。 ルアイとは1年という期間を一緒に過ごしたので、とても仲のいい友達になりましたし、自分達の間に培われた、非常に強い絆、その親近感というものは、とても感動的なものでした。 彼を撮り始めたきっかけというのは、"インティファーダ"が始まってから、7000人以上の負傷者が、イスラエルで苦しんでいるという現実を知ったからです。そしてそのルアイを通して、それだけ多くの人々が"争い"によって負傷しているということを知ってもらいたかったんです。 ---両足を失ったことで、心身ともに非常に深い傷を負っているルアイさんにとって、世界的に名声のあるジブさんが、「自分に関心を持ってくれている・・・撮られている」ということで、精神的なリハビリ・・・その行為がとても、彼を勇気づけていたと思うのですが・・・。 ジブ わたしとルアイの絆が強くなるにつれて、彼にとって、ルアイの回復にとってのわたしは、「彼の"背骨"のような存在になっている」と、リハビリ心理療法士の方に言われました。 ですから、ある時点から、「撮りたいから」というよりは、「彼が必要としてくれているから、行かなければいけない」という想いに変わっていきました。 わたしは、彼が歩けるようにサポートすることはできませんが、心理的に・・・精神的に彼を支えるためなら、そこに訪れることが出来ます。そして、今でも彼はわたしを、実の兄のように慕ってくれています。 ---人が目を背けたくなるようなものを、時には危険な場所に出向いて写真で伝えられたり、ルアイさんのような人に対して、生きる勇気を与えたりしている、ジブさんのされていることは、本当に素晴らしいと思います。そして、そのような行為は、"社会貢献"とも言えると思います。 ジブ ありがとう!わたしはまずそういった、社会の"弱者"を失くしたいと思っています。 そして、この職業にとって、辛辣になってしまうこと・・・自分の職業を皮肉することが、一番悪いことだと思います。そのような皮肉家になってしまったら、わたしはもう、報道写真家にはなれないと思っています。 ---ジブさんが伝えていくこと・・・"弱者"が少しでも救われるような社会、平和な世の中になることを心から望んでいらっしゃるから、生涯をかけて、そのようなテーマを撮り続けられているんですね。 ジブ 心から、そうなることを願っています。そして、自分の写真によって、人々の注意を促すことが出来なければ、わたしはその仕事をしていく資格がないと思っています。 "暴力の連鎖"が止められて、紛争が解決された日が来たならば、わたしはもっと別の"人道的"な話題、主題を取材したいと思います。 ---ルアイさんのように、これから追っていきたい、捉えていきたい方はいらっしゃいますか? ジブ ルアイを撮るより前に、何本かの長いドキュメンタリーを撮っているのですが、最近、写真集の出版のために、何ヶ月も仕事をしましたし、後は個展・・・世界中を巡回していたこともあり、時間がなかったんですね。 普段わたしは、様々な外国、国内も含めて、新聞や雑誌の写真を撮っているので、そういう合間を縫っての長いスパンでのプロジェクトというものは、今後も続けていきたいと思っています。
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第1回 「"撮る"側から"撮られる"側へ」 第2回 「イスラエルの軍隊で」 第3回 「"トラウマ"を抱えて」 第4回 「カメラは、人々の意識を促すための道具」 第5回 「両足を失ったルアイについて」 第6回 「ポジティブな人間でいて下さい」 |
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ジブ・コーレン プロフィール |
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1992年よりイスラエルの軍隊でカメラマンとしてのキャリアをスタート。後にイェディオット・アハロノット新聞で編集委員会に加わり写真家兼フォトエディターを努める。
1994年から2002年までフランスのフォトエージェンシー「シグマ」「ガンマ」に所属。2003年からは「ポラリス・イメージズ」に所属。
1995年に撮影された、爆破されたイスラエルのバスの写真が、2000年に「ワールド・プレス・フォト・オーガニゼーション」の
"過去45年の中で最も重要な写真200"の中に選ばれた。
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