Ben Sidran+Georgie FameインタビューC
Monday, April 7th 2008
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Ben Sidran & Georgie Fame インタビュー
Ben 本当に信じられなかったよ。フィルは、ビリー・ジョエルの「Just The Way You Are(素顔のままで)」でソロを吹いているのだけれど、この曲をラジオで聴いた時に、すぐに、フィル・ウッズの曲だって思ったんだよ。シンガーが誰か分からなかったのだけれど、まぁ、ビリー・ジョエルだったのだけれどね(笑)。この曲を聴いた時に、絶対フィルと演りたいと思って、すぐに連絡を取ったら、「僕もL.A.にいるからスタジオに行くよ」と言ってくれたんだ。 ある程度までレコーディングは進んでいたので、その上からサックスをオーヴァー・ダビングするという話になったのだけれど、スタジオに入るなり、私がレコーディングしていた「Moose The Mooch」を聴きながら、いきなりサックスを吹き出したんだ。それが本当に素晴らしかったんだよ!初めて聴いたはずなのに、すごくスムースにやってくれて、演奏が終わった時には、もう、何て言葉を口にしていいか分からなかったんだ。それほど、素晴らしかったんだよ。それで、レコーディングは、好きなように吹いてくれという感じになってね。だけど、テイク1の時には、すごかったんだけれど、次のテイクでは、それほどでもなくて、その次のテイクでは、さらに良くなくて・・・テイクを重ねる度に、悪くなっていく。そこで、分かったんだよ!フィルは、自分で何をやってるか分からない時が、いちばん良いプレイをしているっていうのをね(笑)。本能的になっている時が最も素晴らしい、本当、典型的なジャズメンだよ。 Georgie ヴァン・モリソンも、フィルと全く同じタイプだよ(笑)。 --- 最新作となる『Nick's Bump』は、「原点回帰」と呼べるような内容となっています。しかしながら、テープ・コラージュやサンプリングなどを用いたユニークな手法がとられていますね。所謂、現在の「クラブ・ミュージック」的なアプローチも試みているということでしょうか? Ben 実際、1970年代でも、これらと同じようなことをやっていたんだ。テープを逆回転させて面白い音を出してみたりとか。ただ、そういった行為をレコードに録音するといったところにまではいってなかったんだ。『Nick's Bump』は、息子のリオが、B3オルガンや、ウーリッツァーを録った音源を持ち帰り、あとは、彼の好きなように作らせてみたんだ。クライド・スタブルフィールドの『The Original』というアルバムもリオが手掛けていて、同じように、元々ある素材にサンプリングなどを混ぜたプロダクションをしているんだ。
Georgie そんなに若い人達は知らないんだよ(笑)。しいて言えば、私のバンドで一緒にプレイしている息子ぐらいかな。息子達もそんなに若くはないんだけれどね。若手ではないけれど、この間、佐野元春に会ったよ。コットンクラブに来てくれたんだ。彼とは、15年ぐらい前に、東京で一緒にレコーディングをしたんだ。あの頃、彼も若かったよね。ぱっと見、今もまだ若いなって思ったけれどね(笑)。 Ben 若いミュージシャンだと・・・リオの周りに比較的若い人達がいるのだけれど、例えば、ジェフ・マルダーの娘のクレア・マルダーとか。彼女はすごくいいレコードを作っているよね。大体、一緒に演るような若いミュージシャンというのは、彼らの親もミュージシャンだったりと、似たようなバックグラウンドを持っているよね。私達の次の世代となる子供達が、みんな音楽をやっているんだ。 --- 現在の、ジャズ、R&B、ロック、ポップスを含めた音楽シーンをお二人ともどうお感じでしょうか? Georgie ジャズというのは、まさにジャズ以外の何ものでもない、そこにあるもの。ブルースもそう。人によっては、そういった要素を薄めたりしている場合もあるし、もう少し商業的にした感じの場合もある。そうすると、あまりうまくいかない場合が多いよね。ポップ・ミュージックというのは、ジャズやブルースといった他の音楽から、その要素を少し摘んできて、形態を成している。ブラジリアンであったり、アフリカンであったりと、その時代で味付けは違うのだけれどね。普段は、ほとんど聴かないんだ。 Ben ジャズというのは、生き方なんだ。音楽云々ということだけではなく、人生に対するアプローチそのものを意味すると思うんだ。ブルースもそうだよね。それに対し、ポップ・ミュージックというものは、何というか、プラスチック的なものなんだよね。「作り物」という感じの。もちろん、楽曲そのものが良ければ、ポップ・ミュージックの中にも、私にも好きなものはあるよ。「良い曲」であることは、とても重要で、これはジャズについても同じことが言えるんだ。例えば、ガーシュウィンの曲がベースになっていたりとか、ビリー・ホリディの「Hello My Darling」のコード進行が使われていたりとかね。ジャズは、本当に純粋に、曲として生き続けているんだ。 Georgie ポップ・ミュージックは、あくまで商品なんだ。曲が生きているのではなく、レコードという商品が生きているにすぎないんだよ。でも、人によっては、例えば、リオの様に、ちゃんとしたセンスや考えを持って、作っている人もいるよね。 Ben 最近、ラップ・ミュージックがとても売れているけれど、ああいった音楽を今後カヴァーし続けていく人がいるのかというと、まずいないと思うんだ。「一発屋」というわけではないけれど、そこに生まれ、そこで単に消費されるだけ、その繰り返しに思えるんだ。昔の音楽は、そういう感じではなかった。ずっと聴き続けることができて、まさに歴史として生き続けるものだったんだ。 --- 残念ながら、お時間がなくなってきたようで・・・最後に、HMVオンラインをご覧のファンの方々にメッセージをお願いします。 Ben 今回、日本に来れたことは、とても良かったと思っているんだ。オーディエンスをはじめ、日本のリスナーの皆さんが、私達に、これほどまでに興味を持っているのかというのを知ることができて、嬉しかったよ。本当に感謝しています。ありがとうございます。 Georgie 全く、ベンと一緒だね。自分自身のパフォーマンスをさらに飛躍することができた、本当にいい機会をもらったと思っているよ。皆さんに感謝しています。ありがとう。できれば、すぐにでも日本に戻って来て、その時は、大阪などでもプレイしたいね。 --- 今日は、長い時間ありがとうございました。 Ben・Georgie ありがとう。
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ベン・シドラン
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1943年シカゴ生まれの彼は7歳でピアノを始め、間もなくジャズやロックの虜に。大学時代のバンド仲間には、スティーヴ・ミラーやボズ・スキャッグスもいた。ソロ・アルバムも20枚を超え、プロデューサーとしてもヴァン・モリソン、リッキー・リー・ジョーンズ、クレモンティーヌ、モーズ・アリソンなどのヒット作に関与。90年代には、Go Jazzレーベルを設立して話題の的となり、現在は自らの姓を逆につづった(敬愛するマイルス・デイヴィスの曲名でもある)Nardisを本拠地として活動中。音楽のフィールド以外でも、評論家、作家、テレビ・キャスター、ラジオDJ等の活動を行ない、その見識の広さから「ドクター・ジャズ」の異名をとり、常に時代の一歩先を行くスタイリッシュな音楽をクリエイトしている。
ジョージィ・フェイム
本名・クライヴ・パウエル。1943年6月26日、イングランドのランカシャー州のリーに生まれた。やがて50年代のアメリカン・オリジナル・ロックンロールの数々に刺激され、ロンドンに進出。60年には、ジーン・ヴィンセントとエディ・コクランの英国ツアーに参加。その後、ジョージィ・フェイム&ザ・ブルー・フレイムズとして本格的に活動を開始し、所謂「モッズR&B」の先駆者的存在となる。60〜70年代には、ジャズ志向を打ち出したりと、音楽的領域を広げながらコンスタントに名作をリリース。80年代末からは、モッズの復興やレアグルーヴ・ムーヴメントによる再評価を獲得。89年、ツアー先のオーストラリアで共通の友人を通じ、ベン・シドランと出会う。意気投合した2人は、ベン主宰のGo Jazzレーベルより『クール・キャット・ブルース』、『ザ・ブルース・アンド・ミー』という2枚のアルバムを制作。その後も、敬愛するモーズ・アリソンの作品集『Tell Me Something』で共演したり、再び、Go Jazzレーベルでタッグを組み『ポエット・イン・ニューヨーク』をリリース。ヨーロッパでは、互いの息子たちをサポートに従え、ライブ活動も精力的に行なっている。
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