ベームの『サロメ』全曲

2014年9月21日 (日)

ご購入はこちら


リヒャルト・シュトラウス:『サロメ』全曲(2CD)
ベーム&ハンブルク国立歌劇場、ジョーンズ、フィッシャー=ディースカウ


1970年11月、ハンブルク国立歌劇場での上演をレコード化前提に収録したステレオ録音。そのため当時のライヴ録音としては音質はたいへん良好なもので、新演出上演初日の興奮をよく伝える仕上がりとなっています。
 主要キャスト4人のうち、唯一正しい人間であるヨカナーン役以外の3人を特にドラマティックなキャラクターの歌手陣で構成したここでの配役は、作品のストーリーと背景を考えると非常に理にかなったものと言えるかも知れません。
 イギリスのドラマティック・ソプラノ、ギネス・ジョーンズは、預言者の生首を欲するという特異なサロメのキャラクターを、迫力ある歌唱で聴かせ、アメリカのドラマティック・テノール、リチャード・キャシリーは、自分が殺した実の兄の娘であるサロメに欲情するものの、聖者を殺すことには気が進まないという小心者のユダヤの王を性格的に演じています。キャシリーはワーグナーの主役級を歌っていた実力者だけに歌唱にも存在感があります。
 アメリカのドラマティック・メゾ・ソプラノ、ミニョン・ダンは、自らの近親婚をなじる預言者ヨカナーンを疎ましく思い、娘のサロメに命じてその命を奪うよう仕向けるという歴史上有名な毒婦でもあるヘロディアスを力強い声で演じています。
 そうした異様な一家と対峙しなければならない預言者ヨカナーン役を演じるのはドイツのバリトン、フィッシャー=ディースカウ。地下牢から道徳的な正しさを説き、やがて殺されてしまう預言者役を、聡明な雰囲気で歌い上げています。
 ベームの指揮は完全に実演モードで、作品が要求する高いテンションを常に維持して最後まで一気に聴かせる一方、ライヴながら乱れのないオーケストラ・コントロールで表現力豊かなシュトラウスのスコアを見事に音化しているのが印象的。
 ベームはサロメは、この1970年のジョーンズ盤のほかに、1972年にウィーン国立歌劇場で放送用にライヴ録音されたリザネク盤と、1974年に映像用にセッション収録されたストラータス盤があり、それぞれに特別な個性が備わっていますが、良好な音質条件で実演の緊迫感を伝えるこのハンブルク盤はやはり魅力的です。
 ちなみにこの時代のハンブルク国立歌劇場は、芸術監督をロルフ・リーバーマン、音楽監督をヴォルフガング・サヴァリッシュが務めており、劇場全体の水準が高く、ここでも脇役にまでクルト・モルやハンス・ゾーティン、フランツ・グルントヘーバーといった、後の大物歌手の名が見られるのが凄いところです。(HMV)

【収録情報】
● R.シュトラウス:『サロメ』全曲

 ギネス・ジョーンズ(サロメ/ソプラノ)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ヨカナーン/バリトン)
 リチャード・キャシリー(ヘロデ/テノール)
 ミニョン・ダン(ヘロディアス/メゾ・ソプラノ)
 ヴィエスワフ・オフマン(ナラボート/テノール)
 ハンス・ゾーティン(第1のナザレ人/バリトン)
 ホルスト・ヴィルヘルム(第2のナザレ人/テノール)
 クルト・モル(第1の兵士/バス)
 カール・シュルツ(第1の兵士/バリトン)
 フランツ・グルントヘーバー(カッパドキア人/バリトン)
 ウルスラ・ベーゼ(小姓/メゾ・ソプラノ)、他
 ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
 カール・ベーム(指揮)

 録音時期:1970年11月4日
 録音場所:ハンブルク国立歌劇場
 録音方式:ステレオ(アナログ/ライヴ)
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

%%header%%閉じる

%%message%%

%%header%%閉じる

%%message%%

featured item

洋楽3点で最大30%オフ このアイコンの商品は、 洋楽3点で最大30%オフ 対象商品です