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Review List of フォアグラ 

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     2021/09/24

    スカルコッタスはシェーンベルクのマスタークラスで学んだということだが、第1集の交響曲集はベタな調性音楽で、あれっという感じだった。この第2集収録の組曲第1番は12音が出てきてシェーンベルクの教え子らしくなってきた。世界初録音とのことだが、なかなかの秀作であり埋もれさせるには惜しい。ギリシャ舞曲は完全な調性音楽であり、エネスクやパンチョ・ヴラディゲロフに通じるエスニックな民族舞曲で楽しめる。ツィアリス/アテネ国立管弦楽団の演奏は第1集では緩く感じたが、1年後のこの録音ははるかに好調。無調の組曲も面白さを引き出すのに成功している。

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     2021/09/04

    67年バイロイト引っ越し公演では、ブーレーズとN響が極めて良好な関係であったのに対しシッパーズはN響から総スカンだったと言われている。このCDに付いている当時のシッパーズのインタビューでもシッパーズはN響より日本フィルのほうがいいと言っているので関係が良くなかったのが伺えるし、インタビュー自体シッパーズが生意気な若造と受け取られるように書かれている。しかし、それを額面通りうけとっていいのか。インタビュアーにはN響の悪評が耳に入っていただろうし、シッパーズの米国人らしいフランクさが失礼な奴と感じられた可能性がある。では演奏はどうか。オペラティックな興奮、白熱度、感動はブーレーズの「トリスタン」を上回ると私は思う。ブーレーズよりシッパーズのほうが年下だが、オペラ経験は比較にならないし、エネルギッシュで瑞々しい音楽はむしろブーレーズより新しく感じられる。歌手もいい。シリヤとデルネシュは20台。若々しくしなやかでありニルソンやギネス・ジョーンズより新鮮だ。この二人のブリュンヒルデとジークリンデがステレオで残されたのはブーレーズ盤以上に重要ではないだろうか。アダムのヴォータンもいいが、「ヴォータンの告別」でシッパーズが折角遅めのテンポで聞かせ場を用意したのに先走ってしまうのは残念。N響は本当によくやっている。N響はテンペラメントな指揮者が嫌いだからシッパーズと合わなかったんだろうが、その演奏ぶりは懸命であり、胸を熱くさせる。

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  • 1 people agree with this review
     2021/08/29

    ヤノフスキは常にオペラティックに音楽を盛り上げることはせず、透明で構築的な演奏を志向する人だ。ドレスデンでもシュターツカペレではなく、普段オペラはやらないフィルハーモニーを起用しているのもヤノフスキの方向性に沿ったものだろう。正直ヤノフスキのワーグナーは透明すぎて毒がなく興奮させてくれないので好みではないが、「フィデリオ」は元々カンタータ的なところのあるオペラなのでヤノフスキの表現と合致しすこぶる優れたものとなった。ドレスデン・フィルはベルリン放送響より響きが硬質で、それもベートーヴェンに合っている。独唱陣も優秀。とりわけダヴィドセンのレオノーレが立派。ツェッペンフェルトのロッコもいい。「レオノーレ」序曲第3番がないのが寂しいが、ペンタトンの録音は優秀であり推奨できる出来栄えだと思う。

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     2021/08/25

    ユニヴァーサルから出たグリュミオー全集は速攻で完売。不良があったということで一時的に再発したがこれも瞬殺。そりゃそうだ。私も買ったもん。ユニヴァーサルはグリュミオー人気を過小評価していたんじゃないか。だって、ヴァイオリンの魅力を突き詰めるとグリュミオーにいくんだから。オリジナルジャケットの問題とかいろいろあるけどやっぱり買っときたい。さて、グリュミオー全集を買えなかった人にメンブランのセットは手頃に見えるが、これはお薦めできないなあ。コリン・デイヴィスとのモーツァルト・コンチェルトとフルネとのフランスものの音が悪すぎる。板起しに使ったレコードの状態が良くなかったのだろう。このセットの音源は全集がなくても国内盤で全て手に入るからそちらを買うべきだ。

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     2021/08/10

    この演奏、新譜で出た時に評論家から酷評されたのをご存知だろうか。曰く、ワルベルクの鈍重な指揮がグリュミオーの足を引っ張り云々。嘘はいかんよ嘘は。ワルベルクのどこが鈍重なの。この曲に必要な要素はちゃんと用意されているしオケも燃えている。グリュミオーはユダヤ系のヴァイオリニストとは違い、音色は脂っこくなく透明で清潔、それでも緊迫した展開も歌心も万全の名演奏である。

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  • 5 people agree with this review
     2021/08/08

    70年代中学生になってから様々な指揮者の実演に接することができた。その中で驚いた指揮トップ3はショルティ、ザンデルリンク、ブーレーズ。ショルティとザンデルリンクはそのヘンテコぶりに思わず笑ってしまった。一方ブーレーズはここまで指揮者が感情的にならず冷静かつスマートに指揮できるものかと感心したのだ。カルロス・クライバーはもちろん凄かったが、クライバー以降は指揮者がかっこよさを相当意識するようになり、その弊害も大きかったと思われる。ショルティ、ザンデルリンク、ブーレーズは自分がどう見られているかは関係なく自分の音楽を表現するとあのスタイルになったのだろう。これが本来の指揮者の有り様だと思うのだが。さてこの大阪での「トリスタン」。実は映像を見ることができる。前奏曲ではアップはないもののブーレーズの指揮ぶりが見れるのだが、これが私が70年代に見たブーレーズとは違い、大きく手を振りときに熱情的なのだ。そして非常にわかりやすい。N響がワーグナーに不慣れなことを知りスタイルを変えたのだろう。N響に非常に好評だったというのはよくわかる。ブーレーズは臨機応変にできた人だとわかるし、ブーレーズには珍しく白熱する場面もある。歌手の出来はバイロイトのベーム盤以上かもしれないしオケもなんとか持ちこたえている。記録的価値を考慮しなくても一聴の価値があると思う。

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  • 3 people agree with this review
     2021/07/29

    クーベリック/シカゴBOXからの流れでロジンスキーコレクションを購入。というのも、シカゴでのクーベリックの前任がロジンスキーでキャシディ女史はロジンスキーを激賞しクーベリックをこき下ろしたからだ。共通するブラームス1番、チャイコフスキー6番、「展覧会の絵」を聴き比べるとクーベリックが断然いい。キャシディには音楽的見識も良心もなかったことがわかるが、こんな人間に23年間評論させ、クーベリック、ショルティ、マルティノンの心に深い傷を負わせたトリビューンの責任は重い(ショルティが最晩年に書いた自伝でもキャシディへの怒りを隠していない)。とはいえそれはロジンスキーに関わりないこと。彼の音楽はテキパキ進行する割にクライマックスはそっけなく淡泊なところが物足りない。オーケストラ・ビルダーとして有名な人だからNYPの状態はいいが紹介されているような熱血、爆演は少ない。これはウェストミンスター盤に共通する感想だ。いいと思ったのは、シベリウス4番、ワーグナー。コロンビア交響楽団を振ったトワイライト・コンサートは随分ごった煮のプログラムだがなかなか楽しめる。SPの音質は驚くばかり。スクラッチノイズもほとんどなく極めて鮮明だ。

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  • 3 people agree with this review
     2021/07/24

    クーベリックの遺産中最高のものがシカゴ響とのマーキュリー録音である。クーベリックのライフワークであった「わが祖国」も第1回録音のシカゴ盤が断然素晴らしく同曲のベストワンだと私は思っている。知と情のバランスが見事でフォルムは崩れず、それでいて白熱的な演奏であり、シカゴも圧倒的な素晴らしさだ。またブラームスの1番、チャイコフスキーの4番、6番も屈指の名演であり、クーベリックが欧州に帰って数年後に録音したウィーン・フィルとのデッカ、EMI録音とは密度も燃焼度もまるで違う。クーベリックはエモーショナルな表現が突然出てフォルムを崩したり、知が勝ちすぎて面白みのない演奏になったり私はあまり評価していないのだが、シカゴ時代はそんなことがないのだ。オケとの関係が良好だったことも伺える。加えてマーキュリーの超優秀録音!ウィルマ・コザート、ロバート・ファイン夫妻との出会いがこの幸福な録音を生み出すことになった。エロクエンス盤の解説が読み応えがある。これを見ると当時クーベリックが意欲満々のプログラムを組んでいたことがわかる。また、クーベリック退任の大きな要素になったシカゴ・トリビューン紙クローディア・キャシディの功罪がまとめられているのも興味深い。彼女の批評の表現はちょっとありえないレベルでありこれだけ優れた演奏をしてこんな叩かれ方をされたらクーベリックが深く傷ついたのもむべなるかなと思わせる。

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     2021/07/22

    私にはもうひとつわからない指揮者であるキリル・ペトレンコの新譜。7番はマーラーの交響曲中最も好きな曲なので評価も厳しくならざるを得ないが、高水準な演奏であることを認めつつトップ5に入るものではないという感想だ。ペトレンコでよくわからないのは表現の一貫性が希薄なことで、ここでも抜群に切れ味鋭い部分と案外サラッと過ぎてしまうところが混在している。そのため部分的には面白いのだが、意外に盛り上がらないのだ。第3楽章も随分明るい音楽になっているが失われたものも多いように思える。

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     2021/06/14

    ベートーヴェンのピアノソナタ全集にはポミエのような楽しく聴けるものもあるが、ポリーニは違う。CD1枚がブルックナーの交響曲3曲分くらいのカロリーがあり疲れ果ててしまう。1音も疎かにせず完璧で息の詰まるポリーニの演奏は苦手であり、ショパン、シューマンは聴き続けられない。しかしベートーヴェンは作曲家の懐の深さが違い、ポリーニの40年の挑戦もがっちり受け止める。奇抜な表現は全くないが、それでもこんなベートーヴェンは唯一無二であり、大変な偉業だと思う。やっと全曲聴き終えたが、これからもまた少しずつ聴き直してみよう。ポリーニの半生かけた全集なのにパッケージが安物くさいのが気に入らない。ポリーニに失礼ではないか。また、通し番号がなくニックネーム表記もないのも不親切だ。作品番号だけでああ、あの曲と分からない人はリスナーにいらないということなのか。

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     2021/06/02

    イギリスを中心に活躍する藤倉大の作品集。多作家らしいがソニーから毎年新作をリリースされているのはコンテンポラリー作曲家としては異例だし幸運とも言えよう。フリー・ジャズ風だったり環境音楽風だったりで肩の凝らない作品群だが、ホルン協奏曲がホルンという楽器の魅力を無視したところを面白いと思うかどうか。その点では笙のための「OBI」が最も楽器に即した音楽になっている。正直もう一度聴きたいとは思わないのだが、最後の「UMI」は少し様相が違い、聴き手のイメージを喚起させる力を持っている。藤倉は映画音楽に力を入れたいそうだが、確かにその方向が合っているかもしれない。

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     2021/05/15

    オリジナルカップリングになっておりバルビローリボックスよりはるかにいいが、裏ジャケットの復刻はしてほしかったな。「ロメジュリ」やチャイコフスキー3大バレエは表裏一体のイラストだったから残念。それはともかくジャケットを眺めていたら70年代録音の80%はLPで持っていたと思い至った。当時中学生から大学生、どうやって資金調達したのか。プレヴィンの大ファンという訳でもなかったのだが、そういえばこの頃のプレヴィンで失望したものはひとつもないのだ。プレヴィンはレコーディングに詳しく、クリストファー・ビショップ、クリストファー・パーカーとのチームは当時のEMIでは別格の良質の録音を提供していたと思う。ラフマニノフ、チャイコフスキー、ウォルトン、ブリテンは今も最高の演奏。合わせ物も大変上手い。ソリストと丁々発止でありながら見事にソリストをたてている。手を出さなかった残り20%はプレヴィンと相性がいいとは思えなかったシリアスな曲でそのショスタコーヴィチを8番から聴いたのだが驚愕。73年にロシア以外でこの曲の真髄にここまで迫った演奏があっただろうか。シカゴとの4番も傑出した出来。ほんとに70年代のプレヴィンは冴えていた。これが80年代RPOとの録音では残念ながらタガが緩んでいる。プレヴィンにとっても、そしてLSOにとっても70年代は黄金時代だったと思うが、たしかプレヴィンはドイツものが弱いとして楽団員、会員からクレームが入り辞任のきっかけになったと聞く。絶頂期は後年になって気が付くものだ。

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     2021/05/11

    2020年3月のライブ。オケ、合唱とも2団体の合同で、写真を見るとステージ上の人数は凄いことになっている。さらに普通に客も入っており、ドイツでは3月にまだこんなコンサートがやれたんだと驚く。グレの歌が上演できるのは次回はいつになるのやら。その意味でも価値ある録音ではある。ティーレマンの練達の指揮、歌手陣及びシュプレッヒゲザングのグルントヘーバーの好演等水準の高い演奏であることは伝わる。ただ、聴き手を巻き込むところまではいかない。マイクが遠く音量が小さいのも一因で、生々しさが足りないのだ。オケもあまり上手く聴こえないし「山鳩の歌」の痛切さ、兵士の合唱の複雑怪奇な魅力ももうひとつ。先の「影のない女」でも録音に不満があったが、折角のキャスティングなんだから、スタッフはちゃんと仕事をしてもらいたいものだ。

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  • 13 people agree with this review
     2021/05/03

    レーグナーの年表をHMVが作ったのを知って大いに驚いた。旧東独で活躍したスイトナー、ケーゲル、レーグナーは欧米では無名なのでこんな詳細な年表を作るのは日本ぐらいなのだろうが、これを無料で見れるのだから深く感謝し未だレビューがないので御礼もかねて書かせていただく。レーグナーは日本と深く関わった人だが、その割によくわからない指揮者と評されることが多い。それはレーグナー応援団であった評論家宇野がクナッパーツブッシュやシューリヒトに例えて賞賛したことが大きかったと思う。まず、クナとシューリヒトでは全く個性が異なるし、大体この評自体が頓珍漢なのだ。レーグナーは音楽の見通しがよく、タメを作らず前へ前へ音楽を推進する腕の立つ職人指揮者であり、タイプとしてはスタインバーグが近い。このブルックナーでも音楽は快調に進み、やるべきことは全てやっているので早いテンポでも不足感はない。むしろブルックナーの音楽が持つアグレッシブな面が出てきて非常に面白い。6曲いずれも出来は安定して優れておりレーグナーの実力がわかるし、読響もそれを認めていたから東独崩壊後も彼を招聘し続けたのだろう。ウェイトブリックから出ているブラームスも優秀であり、昔の変な評に左右されず聴いてほしい音楽家だ。尚、4番はノーヴァク版と紹介されているがハース版だと思うのだが。

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  • 2 people agree with this review
     2021/04/23

    メータ/LAPボックスの7番を聴いた後にクルレンツィスを聴いたのだが、メータのほうがよかった。メータはヴァイオリンを両翼配置にしているがクルレンツィスはやっていない。クルレンツィスは第1楽章で内声の弦の刻みを強調しはっとさせるが、実はメータもやっている。そしてメータにある興奮がクルレンツィスにはないのだ。結局クルレンツィスは表情をどぎつくやっているだけという疑問が湧く。ピリオドでこれだけの精度は瞠目すべきものであるが、徹底的な作りこみがベートーヴェンの音楽が本来持つ爆発力を減退させたのではないか。その点ではロトやエラス=カサドのほうが上だと思う。まあ、こんなことを言って毎回CDを買っている段階でクルレンツィスの術中に嵌っているのだが。彼は元々聴き手を感動させようなどとは考えていない。その手口を検分して議論にしてもらうことが目的なのだ。もしかすると21世紀のクラシックはこうしたものかもしれない。

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