これは、期待していいのでは。 ヴェラーといえば、昔FMのライブで、スラブもの（ドヴォルザークとグラズノフ）を聴いたことがあるが、早いテンポで、躍動感にあふれ、色彩感豊かな指揮ぶりが、強く印象に残っている。 シャンドス　レーベルで、ベートーヴェンやメンデルスゾーンの交響曲全集などの秀逸な演奏もあるが、この人はやはり、スラブものが長けていると思う。 ただ、スメタナの『我が祖国』を聴くと、スタジオ録音は、実演よりも、ややおとなしい印象を受ける。ヴェラーの指揮者としてのポテンシャルは、こんなものではないはず。 欲を言えば、ヴェラー四重奏団時代のデッカ録音も入れて欲しかった。ハイドンのロシア四重奏曲は、楽譜を見ると、かなりの難曲だが、それをいささかも感じさせないで、表情豊かに弾きこなすヴェラーの音楽センスの高さは、敬服に値する。

とにかく音質が素晴らしい。既存盤は影を薄める。音色がエレガントで、音場に奥行きと広がりがある。マゼール・クリーヴランドＯのコンビは好きでよく聴いて来たが、録音は然程ではなかった。特にベートーヴェンは！しかし今回の新盤は、ダイナミックで美感に溢れている。一聴の価値あり。久し振りに、良いマスタリングに出会えた。

フラグスタートやメルヒオールとの録音もあったのですね。 若き日の録音も楽しみです。 第二次大戦後のRCAとの録音の発売も楽しみにしています。