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Review List of 織工 

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     2024/06/05

    シュヴァルツコップの元帥夫人。熟女の魅力をたたえながらアンビバレンツな慎ましさも内在した貴族主義的な女性。これほど見事に演じることができるのは、(想像の世界ながら)彼女の特質との共通点をリスナーが思わず感じてしまうからではないか。クリスタ・ルートヴィヒの若衆ぶりも初々しく、エーデルマンのオックス男爵もはまり役。

    さて、カラヤンのR.シュトラウスは、どの曲でも冴えた解釈だが本曲では特に、耽美になりすぎぬよう一歩前でとめるような演奏が、独特の品位を保っている。この時代のカラヤンらしいスタイリッシュさが全体に貫かれて実に恰好がいい。

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     2024/06/05

    1950年代の古い音源ながら、カラヤンにあって唯一の全曲盤である。小生は、同時期に録音されたベーム盤を聴いて、改めて同時期に録音されたカラヤン盤を手にとった次第。どちらも優れた演奏で甲乙はつけがたく、あとは好みの問題。

    ベーム盤でフィオルディリージを歌うリーザ・デラ・カーザには特有の妖艶さが漂うが、カラヤン盤のシュワルツコップには貴婦人然とした落着きがある。一方で、ベーム盤のクリスタ・ルートヴィヒには将来の大器を感じさせる表現力があるけれど、カラヤン盤のドン・アルフォンゾ役、ブルスカンティーニの洒脱にして巧緻な詠唱にも唸らされる。

    ベームは本曲を得意としておりDVDを含め多くの音源があるが、カラヤンは、あたかもライヴ盤の如く、この1回に全身をぶつけているような気迫に満ちている。ベームの鷹揚さに比べて、この時代のカラヤンの演奏の顕著な特徴だが、思い切りのよい快速感とちょっと息苦しさもあるくらいの集中度に注目。

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     2024/06/05

    1960年フィルハーモニア管弦楽団との録音のシベリウスの第2番。その響きの<外延的>なひろがりと<内在的>なものを感じさせる音の奥行き、そこから独特の≪立体感≫がうまれてくる。そうした音楽がある種の威圧感をもって迫ってくる。けっして、よくいわれる表面的で軽いサウンドではない。そう簡単には解析できないし、解析できない以上、たやすく真似もできない。カラヤンの音づくりの典型がこの第2番には満ちている。フィルハーモニア管は音質が良くあうシベリウス作品を得意としており、本盤はその典型と思う。

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     2024/06/05

    カラヤンの厖大なライブラリーのなかでもR・シュトラウスは重要であり、はやくも1960年前後にウィーン・フィルを振って集中的にR.シュトラウスの作品を録音した。
    特に、ザルツブルグ祝祭大劇場の柿落とし公演『ばらの騎士』全曲を頂点として、その前後に、DECCAに貴重な足跡(Legendary Decca Recordings)を残している。
    歴史的名演『ツァラトゥストラ…』(1959年3〜4月)が特に有名だが、その直前にベルリン・フィルと収録したのが本曲(1959年3月2〜4日)である。この破竹のR.シュトラウス<集中録音>シリーズの幕開けが本曲であるとともに、晩年にいたるまでライヴを含め多くの再録を行ったカラヤンにあって、本盤はその「初出」音源。
    覇気があり、やや荒くれた表現には凄みがあり(晩年はこれが影をひそめる)、機知にあふれたフレーズ処理も他の追随を許さない。録音もこの時代とは思えないほどクリアである。

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     2024/06/05

    「展覧会の絵」について。1955〜56年の録音ながら、この頃のカラヤンの演奏の切れの良さは、いま聴いてもいささかも古さを感じない。本曲についても後年のベルリン・フィルとの演奏のほうが完成度は高いとは思うけれど、曲想を大胆にイメージさせて、彫琢しすぎぬ、程よいオーケストラ・コントロールの即興的なドライブ感にはぞくぞくとさせるものがある。品位を失わない遊戯感覚(「テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか」)も壮麗な音響空間に佇む感覚(「鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤガー」〜終曲「キエフの大門」)も、カラヤンならではの醍醐味。

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     2024/06/05

    初期カラヤンの魅力。一般に、圧倒的なスピード感、メリハリの利いた解釈、気力溢れる演奏。しかし、力押しばかりでなく、ときに柔らかく溌剌としたフレーズが心に滲みてくる。天才的といっていい「切れ味」である。

    トスカニーニなどの演奏スタイルを(SP音源で)良く研究しつつ、そのディテールを真似するのではなく、各章を均等にみる全体構成力や大胆なリズム感、加速度的なスピード感の重視といった点を意識しているように思う。特に、モーツァルトでは、あまり音が重くならないよう、弦楽器を巧みにコントロールする配慮もなされており、冴え渡った解釈、しかし上質のデリカシーも内在した演奏。
    但し録音時点には十分に留意。SP復刻で演奏の内容が十分わかる程度の音源であることは覚悟すべき。

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     2024/06/05

    カラヤンの主として50年代のフィルハーモニア管弦楽団との演奏。モノラルながら聴きやすい録音。今日聴いても、その明確な解釈、快速な運行、品位ある抒情性に感心する。特にウィーン・フィルとのベートーヴェン「第九」、ヴェルディ「レクイエム」は迫力にあふれた出色のもの。
    40年代のコンセルトヘボウとの共演も興味深く、ブラームス交響曲第1番や「サロメ」でのカラヤンは溌剌とし実に巧い。
    協奏曲では相性のよいギーゼキングとベートーヴェンの第4&5番、グリーグなどを収録。録音こそ古いが、いずれも粒ぞろいの名曲・名演集となっている。

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     2024/06/05

    この壮年期のカラヤンの「エロイカ」には、たぶん現代の若者も唸り、惜しみなく賛辞を送るだろう。1952年の頃のカラヤンは、その実力に比して不遇な時代。イギリスでシュワルツコップの旦那さんのウォルター・レッグにお世話になっていた。

    フルトヴェングラーはドイツでなお王者として君臨し、カラヤンのベルリン復帰を決して許さなかった。それをおそらく強烈に自覚しつつも、カラヤン、この時代のフィルハーモニア管弦楽団との演奏は生気に溢れ素晴らしいものが多い。清新さ、溌剌さの一方、音の陰影のつけ方も巧みである。葬送行進曲の暗い音の「深み」には特有の凄さすらある。テンポは全般に早い。時に自在に動かす場合もあるが恣意的な感じは与えない。リズミックさは抜群で切れ味の鋭さこそカラヤンの身上。カラヤンはこの後、幾度も録音をくり返し、そのディスコグラフィを書き換えていくが、本盤がこの時代にここまで完成された形で残されている意味は覚えておいて良いと思う。

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     2024/06/05

    カラヤンは、ヴエルディ:レクイエムを晩年まで好んで取り上げたが、これはウィーン・フィルとの記念すべき1949年第1回ライヴ盤。規範たる1940年のトスカニーニ盤を彷彿とさせる裂帛の演奏。
    カラヤンは、怒りの日では、切り立った崖のようなスペクタクルな交響美を見事に表現している。その一方、詠嘆的なソプラノのヒルデ・ザデク、バスのボリス・クリストフの独唱パートは実に深き詠唱。そのコントラストの妙味が聴きもの。録音は古いが、カラヤンの本曲”原型”を知るうえでも興味深い音源である。

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     2024/06/05

    カラヤンのバイロイト音楽祭「デビュー戦」の記録。カラヤンの凄まじいまでのプライドと気概が伝わってくる演奏。これはカラヤン・ライブラリーのなかでも、その異質性において、インパクトの強い代物である。カラヤンは自己主張がはっきりしている性格。天下のバイロイトも翌年はでたがその後、演出の考え方の相違で袂をわかって足を運ばず。後にウィーン国立歌劇場とも同様に決裂。「既存」の「権威」に対して、いつでも闘うがゆえの「帝王」の呼称か。しかし、音楽の豊かさ、しなやかさ、抒情性などは別物。素晴らしく純化され、颯爽として立つマイスタージンガーの演奏である。

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     2024/06/05

    終戦後まもなく、いまだアメリカ、イギリス、フランス、そしてソ連の分割支配化のドイツ、オーストリーにあって、ドイツ・レクイエムには演奏者、聴衆ともに言い知れぬ特別の思い入れがあったであろう。シュヴァルツコップはクレンペラー盤でも歌っているが、こちらの方が若き迫真力に富む。ホッターの深い声もじわりと胸に染み渡る。いささかドライブ気味の感もあるが、ウィーン・フィルの全力での臨場もあり鮮烈な印象。カラヤンの非常な集中力に圧倒される歴史的な記録である。

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     2015/11/21

     イーヴォ・ポゴレリチによるショパン「24の前奏曲」、1989年10月のハンブルクでの録音。かつて若き異端児といわれた彼も還暦に近い年代。坊主頭で来日しショパン・ライヴもかつて評判だったので身近に感じられるようになったかも知れないが、この1枚での姿はなかなかの剛の者である。

     ポゴレリチはデビュー当時、音の強弱を譜面外に(逆に)弾くという点で話題になったようだが、むしろテンポの自由さにこそ特色があるように感じる。耳を澄ますと強靭な左手の動きが想像できる。その一方、右手からいくらでも湧き出て零れ落ちるような叙情性がある。そのアンバランスさが言葉での解析を難しくするが、24曲の目くるめく、スリリングな体験は感性に直接訴えなんとも爽快、スカッと心地よい。

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     2015/11/21

    ギュンター・ヴァント(1912ー2002年)は、地元のヴッパータール歌劇場を振り出しに、1934年にポーランドの地方歌劇場、1938年ケルン近くのデトモルト州立歌劇場、その後にケルン歌劇場を足場に一歩一歩、実力を蓄え、こののちケルンを本拠地に1946(ー1974)年同市の音楽総監督に就任。


    1982年にハンブルク北ドイツ放送交響楽団(現NDR交響楽団)首席指揮者となる。晩年はベルリン・フィル、ミュンヘン・フィル等とも素晴らしい演奏を残した。特に、ブルックナーの演奏に優れ、来日での成功もあって日本にも熱心なファンは多い。手兵のケルン放送交響楽団とブルックナー交響曲全集を録音、その後、本団や晩年のベルリン・フィルとも見事な名演を行っている。


    ヴァントの経歴は、シューリヒトに似ている。年ふるに及んで晩成した芸風が光り、名だたるオケから客演招聘されるが、どことの共演でも自身の確固たる解釈を貫き、練りに練った演奏を聴かせる。テンポ・コントロールは常に安定しつつも決して過度に遅くならず、むしろ時に軽快なさばきを見せる(それゆえ、全体に「重すぎる」感じを与えない)点でもシューリヒトを連想させる。
    また、テキストを徹底的に研究し忠実な演奏を目指すことや4楽章間の最適な力配分を常に意識した演奏といった点ではヨッフムに共通する。その一方で、さらに、音の凝縮感をだすためにおそらくは相当な練習で音を練りあげる名トレーナーとしての顔ではベームと二重写しともいえる。

    しかし、そうした印象を持ちながら聴いたとしても、全体の構成力からはやはりヴァントはヴァントであり、右顧左眄しない解釈にこそ彼の独自性がある。頑固一徹な職人気質が磨かれ、珠玉の如き演奏を紡ぎ出す玄人受けするブルックナーといえよう。なお、併録のハイドンやモーツァルトも佳演、ブルックナーに疲れた耳には実に清清しく響く。

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     2012/09/30

    地味ながらブルックナー音楽(交響曲のみならず宗教曲集も秀逸)について、現代への使徒の役割を見事にはたしたヨッフム。ベートーヴェンもブラームスも(本集にはないがハイドンなども)得意の演目であった。できればコンセルトヘボウかベルリン・フィルで両者の全曲録音を残してほしかったとも思うが、ドイツ音楽界の重鎮ヨッフム再評価につながる得がたい集大成である。

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