ここで一句「カン係は持ちつ持たれつダモ鈴木」。ダモの念仏vo.のファンキーさ、線の細さ、恐山のイタコっぽさがなければカンの機械的グルーヴと絶妙にマッチングしたあのサウンドは生まれなかっただろうし、逆にシューカイの気まぐれでバンドに拾われていなければいったいどうなっていたか。前任vo.マルコムのヴードゥー・ヴォイスといい、偶発音楽の理論と民族音楽に造詣の深いシューカイは切れる知能犯、最高の時代にも恵まれた。1st、3rd、5thすべて最高傑作。

なんか巨大なアメーバみたいな音楽。イマジネーション溜めたい人はどうぞ。

その時々でメンバーが奏でるさまざまな音を”Can”に閉じこめたのが、彼らのアルバムということになるのだと思うのですが、とても入りきれずに溢れた音をすくい集めた作品集といえましょうか。ごった煮的な印象だけど、同時にCanの多様な音楽的要素が詰まっているともいえます。それにしても「Connection」カッコイイ！

カンの到達点。ひと言で表せば、そんな気がします。傑作、名盤。カンを聴くなら必ず行き着かなければならない作品ですが、逆に「ここ」から聴いてしまうのは、私も避けていただきたいと思うのです。山は麓から登っていくのが醍醐味であって、いきなり飛行機で山頂に降り立ってもね。確かに素晴らしい眺望が広がっているでしょうが、感動の”深み”が違うはずです。

皆さんもそうだと思うのですが、やはりマルコムもダモも歌っていないカンは何かが物足りない･･･。いや、いいんですよ作品は。それだけに余計に惜しい感じがします。私は90年代初めにカンを聴き始めたクチですが、同様に後追いでカンに入門なさる方は1stから始めてここまでで一区切り、となさったらよいか、とも。

何度聴いても圧巻。1枚目A面（M1〜3）で虜にされてしまうこと請け合い。

軽快。確かにポップ。でも、そのとっつきやすさに油断していると、やっぱり中毒になってしまうのが、さすがカン。

皆さんおっしゃるように、何より素直に「カッコイイ」。そして月並みな表現ながらパワーに圧倒される。いつ聴いても「Uphill」で登りつめています。

実は私、カンを初めて聴いたのは90年代の初め。後追いということもあってまずは1stからいくか、と思ったら･･･。「Father Cannot Yell」が始まって10秒後には、もう取り憑かれていました。しかし、それにしても、このジャケット･･･。

何といっても外せぬ「Mother Sky」。いや〜14分以上もあるんスねぇ。全く冗長さを感じさせない疾走感。もっと一緒に「走って」いたい！　長い曲はどう終わるかが難しいもんなんでしょうけど、その点、ラストが秀逸。いつも遠くへ連れて行かれてしまいます。