交響曲第4番 カルロス・クライバー&バイエルン国立管弦楽団(1982年ライヴ)
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 2012年01月03日
クライバーは、その実力の割にはレパートリーがあまりにも少ない指揮者であるが、ひとたびレパートリーとした楽曲については、それこそより優れた演奏を志向すべく何度も演奏を繰り返した。ベートーヴェンの交響曲第4番は、そうしたクライバーの数少ないレパートリーの一つであったと言えるが、DVD作品や海賊盤を除けば、本盤におさめられた演奏は、その唯一の録音となったものである。私が、本盤の演奏を聴いたのは大学生の時だったが、それまで今一つ親しめる存在ではなかった同曲の魅力を、本演奏を聴くに及んではじめて知ったことが今となっては懐かしく思い出されるところだ。その後は、同じスタイルの演奏であれば、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる来日時のライヴ録音(1973年)などが高音質で発売(昨年、ついにシングルレイヤーによるSACD化)されたことから、本演奏の存在感は若干色褪せてきていたことは否めないところであったが、今般、高音質化されて発売された本演奏に接すると、あらためてその演奏の凄さを思い知った次第である。全曲を約30分という凄まじいスピードで駆け抜けており、繰り返しなどもすべて省略しているが、それでいて、各旋律の端々に込められた独特のニュアンスの豊かさ、そして、思い切った強弱の変化やテンポの効果的な振幅を駆使して、実に内容豊かな演奏を繰り広げていると言えるだろう。クライバーが本演奏の発売を許可したのは、数多く行ってきた同曲の演奏の中でも、崇敬するベームの追悼コンサートに際しての本演奏を特別視していたからであると思われるが、それも十分に納得することが可能な圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。バイエルン国立歌劇場管弦楽団も、クライバーの統率の下、渾身の名演奏を繰り広げていると言える。第1楽章のヴァイオリン演奏のミスや、とりわけ終楽章など、あまりのテンポの速さにアンサンブルが乱れる箇所も散見されるが、演奏全体に瑕疵を与えるほどのものではなく、むしろ、実演ならではのスリリングさを味わうことができる点を高く評価すべきであろう。音質は、従来CD盤でも十分に満足できるものであったが、今般、シングルレイヤーによるSACD化がなされるに及んで大変驚いた。待望のSACD化が行われることによって、見違えるような鮮明な音質に生まれ変わったと言える。音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。いずれにしても、クライバーによる圧倒的な超名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したいと考える。なお、本盤の価格について一言コメントをしておきたい。前述のように、演奏内容や音質においては超一流である本盤であるが、約30分程度のベートーヴェンの交響曲第4番の演奏を収録したのみのSACDの価格として、3780円という価格がはたして適正と言えるだろうか。同じくシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤を発売しているユニバーサルや日本コロムビアが4500円で発売していることを視野に入れたのであろうが、それでも収録されている楽曲の密度からすれば、そもそも比較の対象にならないと言える。いずれにしても、SACD化に果敢に取り組む姿勢には敬意を表するが、その価格設定については、この場を借りて再考を促しておきたい。14人の方が、このレビューに「共感」しています。
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素人の独白 | 茨城県 | 不明 | 2010年11月23日
昔からこのCDはお気に入りだったが、この欄を見て批判が多いのに驚いた。 何を聴くかは最終的には本人の好みの問題となるのであろうが、この演奏は とびっきりの名演奏に間違いない。クライバーの天性のリズム感、統率力、 4楽章では音楽が破綻するかしないかギリギリの緊張感、これ以上のものはそうそう望めない。フルトヴェングラーの「合唱」に匹敵する出来ばえだと考える。8人の方が、このレビューに「共感」しています。
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かくとしらじ | 愛知県 | 不明 | 2012年01月05日
ファン待望のクライバーのベト4ライブが発売されました。気になる既発のCD(手持ちは1984年発売)との音質の違いをレポートすべく聴き比べしました。音質は明らかに向上していると思います。第1に楽器の直接音とホールトーンが分かれて聞こえるようになり、立体感が増しました。といっても最新の録音にはかないませんし、同じ日の録音のはずの7番の方がスケール感があります。第2に、これはSACD化された盤に共通しますが、低音(ヴィオラ〜コントラバス)がはっきりと聞き取れるようになりました。余計なことですが、冒頭に拍手が入っています。SACDプレーヤーをお持ちのクライバーファンは必聴でしょう。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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masato | 新潟県 | 不明 | 2011年11月18日
観賞歴30年,「ベスト・ライブ・パフォーマンス賞“交響曲部門”」の最終選考に間違いなく残るデスク。このアルバムについて論ずる際,やはりまず“ライブ”であることを考えるべきだろう。美しく整った演奏・落ち着いた演奏が好みなら,最初からセッション録音を聴けばよい。「たとえライブでもセッションなみの質の演奏をしろよ」という人も,最初からセッション録音を聴けばよい。フルトヴェングラーの名演の数々,カラヤンとバーンスタインのマーラーの第9,ムラヴィンスキーのショスタコーヴィチ,クリュイタンスの幻想…数え上げたらきりがないが,このアルバムも間違いなく“一期一会の宝物”の仲間入りだ。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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shiodome | 東京都 | 不明 | 2010年01月23日
猛烈な推進力のある1・4楽章に目を奪われがちだが、このクライバー盤の最もすばらしいところは2楽章にあるのではないか。この緩徐楽章の彼岸美の世界を理解している指揮者は非常に少なくて、付点の動機リズムに惑わされブチ壊してしまう指揮者がほとんどなのにはまいる(オリジナル楽器の人に多い)。特に中間部から弦の静かな伴奏に乗ってクラリネットが長いソロを歌うところがあるが、このクライバー盤は天国を見せてくれて恍惚と聞き惚れてしまいます。本物の指揮者かどうかすぐに解ってしまう曲・・・ベト4は恐ろしい曲です。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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雪ん坊 | 山形 | 不明 | 2008年02月11日
異様な世評の高さだが、これは聴けたものではない。終楽章の何たる馬鹿げたテンポ!血走った若人が突進して来るかと思うと、土埃を上げてあっと言う間に通り過ぎ、ベートーヴェンの顔も何処かへ吹き飛んでしまった。仮令このテンポを善しとしても、その響きに何の旨味もコクも無く、単なる筋肉自慢の肉体競技か、夜明けのハイウェイのスピード狂としか思われない。そんなに急いでクライバーは何処へ行ったのだろう?5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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gaku | 埼玉県蓮田市 | 不明 | 2006年01月14日
クライバーは自分の青春時代の楽壇のヒーローだった。グラモフォンから出るLP1枚1枚が奇跡の演奏のように思えた。カラヤン、ショルテイらレコード産業の恩恵にどっぷりと浸かったような(ずるがしこい?)スター指揮者には求められない、若々しさや、判官贔屓したくなるカッコ良さがあった。でも....。今の自分は、より深くより大きな演奏を聴かせる、彼の大先輩の巨匠達の方がずっとすばらしいと思う。この4番など、結晶化されているというより、雑でスポーツ的ではないか!東独とともに終焉した、あのスイトナーをこそ名指揮者と呼ぶべきである。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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蓮華人 | 千葉県 | 不明 | 2011年12月30日
心沸き立つような名演。白熱する舞台が音響だけで強烈に伝わってくる。ベストだと言える。じゃ、くだんの日に4番をチョイスする際に「これだ」と絶対、マストで手に取るかと言えば…ワルターだったり、ホグウッドだったり、時にはハノーヴァーバンドということもあったりして、クライバーの出番は多くない。再生音楽は、とことん我が儘で楽しめる。必ずしも「感動」のようなものが必要でないこともある。より心の安らぎのようなものを求めて聴くことも少なくない。演奏だけを聴くという対象のような気がする。高音質を求めるアイテムではないような気がする。4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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robin | 兵庫県 | 不明 | 2019年12月03日
いつもながらのスポーツ的演奏。ブラームスでもモーツアルトでもどこかスポーツ的印象が拭えない。言い方を変えれば外面的な感じ。だから聞いていても曲の内部まで気持ちが入っていかない。恰好はいいが中身が薄く芸術までには達してないで音楽で止まっている感じ。だから一回聴いて終わり。繰り返しきく演奏ではなさそう。その点ではチェリビダッケとよく似ている。テンポ、表情等、表れ方は正反対だけどは共に浅っぽいところが見え隠れしている。この4番などムラヴィンスキーの足元にもおよばない。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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うーつん | 東京都 | 不明 | 2013年01月19日
80分は入るCDにわずか一曲。30分そこそこのベト4のみ。それにもかかわらず他のCDより大切に思えてしまうのはなぜだろう。手にしたときに聴く前からワクワクしてしまうのはなぜだろう。 ライナーノートにクライバー自身による一筆にもあるクライバー最良の「スナップショット」に魅せられる気持ちいい1枚。こんなに楽しく演奏しているCD、義務教育の音楽の授業でもこういうCDを聴いてもらえばクラシック音楽への印象も変わってくると思う。さいわいダンス科目が増えてきた現在、「踊りだしたくなるようなベートーヴェン」もぴったりだと思う。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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崖っぷちのシニー | 神奈川県 | 不明 | 2010年07月31日
私が12才の時に初めて買ったクラシックのCDがこれだったんですが、あの時、そして、それ以降の10代の時とはまた異なる感動や発見が今聴くとあり、やっぱりこの演奏は素晴らしいですね。 カルロスってその疾走感や爽快感がより注目されがちですが、決してそれだけではない。 響きが十分にゲルマン的、ドイツ的なのです。 (これはベートーヴェンのシンフォニーの演奏には非常に重要) それが基本にあり、それプラス彼独特のラテン的なリズムの歯切れの良さや心地よさが加わるのです。 そこにカルロスの演奏の魅力があります。 新しい発見としては、若い青二才の時にはわからなかった(逆につまらないと思っていた)2楽章の素晴らしさがあります。 この楽章の、晴れた日の広い草原にある木の下での束の間の休息とでもいいますか、なんともほっとする涼しげなかんじ、心地よさは、あの頃にはわからなかった。 (トスカーナのサマーハウス??) カルロスの演奏の素晴らしさの再発見、プラス、改めてベートーヴェンの偉大さに気づかされました。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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ワルター・メンゲルベルク | 不明 | 2008年06月25日
異様な灼熱ぶりで一気に聴かせる名演として有名な一枚。私自身も以前はよく愛聴しておりました。しかし、人間の聴覚とは恐ろしいもので、聞き込むうちに粗ばかりが目立つようになってくるのです。ベートーヴェン特有の内声、特に木管の巧みな使用に基づく豊かな響きが少しもしません。そもそも、シューマンが「ギリシャの乙女」と評すくらいなのだから、本来ならもっと気品があって然るべきでしょう。何も一気呵成に勢いで突っ走らなくても宜しい。中身が伴っていないとする意見に全く同感です。熱に誤魔化されているうちはまだしも、やがては醒めて聴けなくなる、そんな問題作です。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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あじさい | 東京都 | 不明 | 2013年11月17日
カルロス・クライバーは彼の死後知りましたが、作品を通して生き生きと私の中には生きています。それどころかたまに落ち込み暗くなったとき彼の作品を聴くと私の中に新たな息吹をいただきます。それは音楽以上の存在です。 私はクラシックはさほど詳しくないし、また文章力も乏しいので受けた光を表現することが出来ずもどかしくいますが、皆さんのレビューの言葉の端々に そうそう!と同感しきりです。クラシックは上品な家の人とか頭の固い人とか、何て言えばいいのか、、日本では特殊な層の人が触れるものという空気がまだ少しはあるような気がしますが、、本来は心と体と魂に光を受けることのできるもっと日常のもの、もっとすごい力のあるもの、、もっともっと素晴らしいものだと思うのです。そしてその素晴らしさをこの世に残してくれた一人が私にとってはカルロス・クライバーです。 一度だけですが、彼の音楽に触れていたとき素晴らしい体験をしました。想像するにCDにもLPにもDVDにも残っていない実際の彼の生の演奏会にあった空気、違う次元と演奏が結びついてそこから光が降りてきた皮膚感覚を一度だけ体験させていただき今でも忘れません。その瞬間が天空には残っていてそこから少し分けていただけたような。 すみません、すっかりレビューとそれていますが、私はこのLPを聴きながらその1度の体験を追憶しています。クラシックや音楽に詳しい方は頭で色々と聴いて批判や考えもおありでしょうが、音楽を越えた「体験」をもらったのは私にとってはカルロスクライバーです。それは音と音の間にも感じます。 長々と失礼しました。 アナログからデジタルの時代になり、私が感じさせていただいたような皮膚感覚での体験を若い世代がなかなか出来にくくなっているようで「もったいないよう〜〜〜!」という思いで一杯です。私は個人的に「カルロス・クライバー」を知ってほしいというよりクラシックを通してそのような心、あるいは魂の皮膚感覚での感動を味わってほしいに尽きます。そしてカルロス・クライバーもそれを望んでいるように思っています。 文章が下手で皆様みたいに端的に表現出来ないためにこのような長文失礼いたしました。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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顕 | 岐阜県 | 不明 | 2011年11月30日
鑑賞歴40年。この演奏はただテンポが速いだけ、と断ずることもできる。トスカニーニもセルもカラヤンも速めのテンポで感動は大して違いは無いし、大胆に言わしていただければ「似ている」と思う。でもトスカニーニもセルもカラヤンも名演と思うから、この盤も名盤ということになる。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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影の王子 | 大阪府 | 不明 | 2011年06月19日
カルロス・クライバーは少しも好きな指揮者ではないが、この録音は評価せざるを得ない。昔は音が薄い録音だと思っていたが、最近の複数のコンサート(&ゲネプロ)の編集&イコライジングかけまくりで、濁った抜けの悪い音のCDに比べたら、一発ライブの本盤の方がよほど録音が良い。演奏も決して「スポーツ的」(みなさん、今年81歳の某評論家で毒されていますね)な軽いものではなく、優しく歌う第2楽章など、なかなか一筋縄ではいかない。オリジナル楽器もしくは奏法の演奏は、どうしてもこの楽章の歌いこみがうまくいっていないだけに、やはり当盤を評価せざるを得ない。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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