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「アフガン ドキュメント」穴沢健郎&村山達哉インタビュー

2008年2月8日 (金)

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アフガン・ドキュメント

「アフガン ドキュメント」
穴沢健郎&村山達哉インタビュー

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「平凡なサラリーマンがアフガニスタンに」 (1/2)


--- 「映像や音楽という共通言語を通して国境を越え、時代を超えてひとりでも多くの人が、心豊かに過ごせるような永続的価値のある、社会資産となるコンテンツを製作・流通する」という理念の下で、クロスアーツとして活動されていますが、穴沢さんは現在もサラリーマンの方で、NPO活動をされたことの一番の強い思いというのはやはり、「伝えたい」という気持ちからですか?

穴沢健郎(以下、穴沢) 自分達が発信源になれば・・・と思いました。彼(村山達哉)とは中学時代からの幼馴染みで、よく会って、お酒を飲んだりしてたんです。お互い全く違う人生を歩んできて、「充実感のある人生を送ってきた」と言えば言えなくもないけど、どこか「何かを成し得てないんじゃないか・・・」という思いを抱えてたんです。
  そんな思いを秘めながらも酒飲み話として、自分達が愛していた音楽や映画や文学の話などをしてました。
  30代の時はお互い、自分の持っている仕事が忙しかったり、結婚して、子供も小さかったりで、そういう自分達の大切にしてきたものが、二の次三の次になってしまっていたんです。そういうことに気付き始めたのが、ちょうど40代になるかならないかの時でした。
  「いいものっていうのは普遍的だから、永続的に価値のあるものとして残るんじゃないか、それが社会への橋渡しになるんじゃないか」という話になったのですが、こういう考え方は、株式会社で実行しようと思うと、実現不可能に思えたので、非営利でやるところに持っていかないと・・・という話になりました。
 今自分達でアウトプット出来る環境になってきたということもありますが、原点は、自分達の本当に好きだった、愛していたもの、人生に影響を与えてくれたものに対して、もう1回僕らが関わって、そのエンターテインメントに恩返しがしたいということです。
 ですが、計画性はなかったです(笑)。

村山達哉(以下、村山) そうですね。計画性は全くなかったです(笑)。NPOを作るっていう段階で、何かやることが決まっていたかというと、それもなかったです。

--- 原点に帰るということだけで、まずは動き始めて・・・。

村山 はい、そうです。例えば、音楽なんかも、HMVさんは充分ご存知かとは思いますが(笑)、あまり売れない状況じゃないですか。その売れてない状況の中に、何故かまた過剰に商業主義を反応するから、またそこの聴衆が離れていくっていう悪循環が起こってると思うんですね。
  10年前から考えると、CDの販売量なんて、5分の1以下じゃないですか。そんな状況の中で、そこで追いかけてるものって何だろう?っていうのにすごく疑問があって。それならむしろ、自分達の原点に近いところで作れる環境があるならば、やってってみようかなって思ったんです。
 映像のデジタル技術の進歩というのは、思わぬほどなされていて、今までの感覚だと音楽で1枚600万でアルバムを作るとしたら、映像は、1億6000万くらいかなって思ってたら、6分の1くらいで映像制作ができるんだということを知って。そこから最大公約数で作れるのが映像だから、まずそこからやってみようということで、今回の「カブール・トライアングル」の制作に至りました。

--- そうなんですね。ありがとうございます。それでは別の質問なのですが、穴沢さんは1週間の有給休暇を取り、株を売って渡航費用を捻出。幼いお子さんを抱え、猛反対する奥さんを置いて、アフガニスタンに行かれた訳ですが、そのお話をお聞きして、私は、ハチドリのお話を思い出したんですね。
  そのハチドリのお話というのは…


南アメリカの先住民に伝わるハチドリの物語

あるとき森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをしていったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は私にできることをしているの」

出典:『私にできること〜地球の冷やし方』(ゆっくり堂)
『ハチドリのひとしずく』(辻信一監修、光文社)

…わたしはこのお話を以前に知って、すごく心に響いたんですけど、このお話で例えると、笑っている動物がご家族やその環境を知らない方だとしたら、このクリキンディの行動「私は私にできること」というのが、穴沢さんにとっては、NPOの活動に参加されて、アフガニスタンに行くということだったのかなあって思ったんです。
  そうやって実際にアフガニスタンに行かれた後、周りの反応や環境の変化など、具体的にありましたら教えて頂きたいのですが・・・。

穴沢 僕がアフガニスタンに行ったからと言って変わることはないとは思うんですが、彼から誘われてなかったら、おそらく行ってないと思うんですね。彼は「サラリーマンがアフガンにいたらおもしろいじゃないか」って言ったんです(笑)。「それはおもしろいかもしれないけど、俺じゃなくても・・・」っていうのは、初めはありましたね。
 でもよくよく考えてみると、アフガニスタンのイメージだったり、実際に行かれた方の意見などを聞いてみても、実際に自分が体験してみないとわからないっていうのがあって。自分みたいな、ある意味まっさらな人間が行った時に「どう見えるのか?」っていう視点でレポートすることには、ちょっとぐらいの意義みたいなものはあるんじゃないかなっていうのは、今思うとですけどね、ありましたね。
 当時はそれよりも、「殺されねえだろうな」っていう怖さの方が強かったですから。みなさん、アフガニスタンにクリエーターがいるなんて、想像もつきませんよね?(笑)

--- そうですね、想像できません(笑)。

穴沢 僕もたまたま行ってレポートをして、本を書いたということが、何らかの架け橋にはなっているかな、という気はしますね。

続く…

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