【連載】 森は生きている 「コラム」 第四回 「影響」(4)-リズムのこと(2)-
2014年12月12日 (金)
連載「コラム」
森は生きている、メンバー全員登場の「無人島〜俺の10枚」が、めでたく完結し、今度はなんとコラムの新連載。アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。
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第四回 「影響」(4)-リズムのこと(2)-
前回の続きになるが、高校生の頃のリズムの発見やヤヒロ氏から受けた感銘を体現すべく、大学入学と同時に東京へ出て来て打楽器の研究を始めた。ジェンベに始まり毎月バイトの給料日に何かしらのパーカションを買った。そして、並行してずっと日本語ロックへの憧憬を忘れなかった。今思うと不思議な気もするが、出鱈目にパーカッションを買い集め、トンチンカンな練習をしている頃から、ドラムに戻りたいという意識があった。パーカッションを学んでドラムに内包したい、それも例えば譜面に起こせばただの8ビートなのに何か違って聴こえるようなビートを得たいと、イメージだけは先行していた。一通り自分自身その時のイメージに辿り着いたと思えたのはそれから6年後になるのだが。そして今も絶賛修行中である。敬意を込めてあえて言うなら、一筋縄の人達と気が合わなかった。それは、自分の自信のなさが原因なことは自明だが、いろんな民族音楽を研究している所に出向いたけれど、飛び込めなかった。学ぶことは、大事だし楽しいけれど、自分が日本人という意識が強くあった。それを言い訳にもしたが、学んで本物に近づくというよりは、ドラムや創作に還元したいと思っていた。今は、そんなに固い考えではないし、ライフワークのように打楽器の練習も(時にあえて視野を狭めたりもしながら)続けているが、「自分らしさ」という言葉に逃げることなく、創作や演奏に取り組めていると思う。
幼少期、いつも車の窓から飛んでいくガードレールの間ごとにリズムを取っていた。それがいけなかったと、リズム研究を始めた頃は思っていた。当然車の速度やガードレールの間隔はランダムで、それが原因かはわからないが、自分のリズムもどうも流れなかったり、狙ったりする癖があったりして悩んだ。殊にアフリカのリズムをひたすら練習しながら、絶対に止まらない感覚を求めた。しかし、今は意外にあれは面白かったのではないかと感じる。確かにリズムは絶対に止まってはいけないという意識は変わらない。でも、その中でもっと自由であったり、何か降ってくる感覚に忠実であったり、わけのわからない瞬間があったり、時空が淀むような瞬間があったりしてもいいように思えてきた。永遠の中の断絶。最近は、矛盾するようなそれにリズムの面白さを感じる。この研究はまだ意識に登っただけの段階なので、また書けたらいいと思う。
高校生の頃、スネアを買うために、わざわざ大分市の楽器屋に出向いた。楽器屋の入っているビルで偶然先輩一行に出会った。「何しよるん?」という問いに、「楽器を買いに来ました。」と答えると、一人の先輩は「タンバリンでも買いに来たん?」と言い放ち、その場の全員が笑った。僕以外の全員が!タンバリンやカスタネットやトライアングルは、全国どの音楽室にあるにも関わらず、至極ぞんざいな役回りを担わされている。これは恐らく日本だけではないか。僕は、世界の民族音楽にも、さまざまな名盤にもリズム的感化を受けたが、もっと身近なものに、雨の日のワイパーに、ウーゴ・ファットルーソの一挙一動に、ジャズ・レジェンドがステージに出てくる場面こそに、『フルハウス』のステファニーのなんでもないダンスに、動物園の白熊、水族館のセイウチの規則正しい動きに、車窓から飛んでいく景色に、リズムを見た。
というわけで、至極自分勝手な名タンバリン集をどうぞ。
〈名タンバリン集〉
・chocolate genius「hangover nine」2:00〜の一発。ドラマーの8ビートも最高。
・the cyrkle「turn down day」
たまらない。画像は謎。
・the city 「now that everything's been said」
たまらない。
・パンデイロ(pandeiro)
ブラジルのタンバリンとも言うべきパンデイロ。そういう言い方をすると怒る人もいるかもしれないが、ここではあえて。日本の教材用タンバリンでパンデイロの奏法をしてみても面白い。動画の胡散臭さについては言及を控える。
(続く)
森は生きている 増村和彦(Dr.etc.)
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『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月19日 発売]
【HMVオリジナル スペシャル音源特典】
森は生きている「early tape of “グッド・ナイト” vol.2」CD-R
[収録内容]1.プレリュード demo
2.青磁色の空 demo
※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。
『グッド・ナイト』収録楽曲
- 01. プレリュード
- 02. 影の問答
- 03. 磨硝子
- 04. 風の仕業
- 05. 痕跡地図
- 06. 気まぐれな朝
- 07. 煙夜の夢 (a,香水壜と少女 / b,空虚な肖像画 / c,煙夜の夢(夜が固まる前))
- 08. 青磁色の空
- 09. グッド・ナイト
森は生きている プロフィール
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岡田拓郎(Gt.,etc.) /竹川悟史(Vo.,etc.) /谷口雄(Pf.,etc.) /増村和彦(Dr.,etc.) /大久保淳也(Flute,Reeds, etc) 柔軟な吸収力と表現力を武器に、滋味豊かでいて瑞々しい独自の音楽を生み出す「純音楽楽団」、森は生きている。 2012年、リーダーの岡田拓郎を中心に東京で活動を開始。その年の末、ファーストCD-R「日々の泡沫」を発表し、自主制作盤にもかかわらず各レコード店にて軒並みソールドアウトを記録。2013年にはP-VINE RECORDS よりファースト・アルバム『森は生きている』をリリース。音楽シーンを代表する作品として各界から高い評価を得、発売を記念して行われた各地でのリリースツアーも大盛況のうちに終える。その後もさまざまなイベントやフェスへ出演するなど活発な活動を繰り広げる中、2014年にはファースト・アルバムのアナログ盤をリリース、それに合わせバンド初となるワンマン公演を東京渋谷WWW にて大盛況のうちに開催。11 月には待望となるセカンド・アルバム『グッド・ナイト』をリリースする。 カントリー、ソフトロック、サイケ、スワンプロック、アンビエント、モンド、トロピカル、ジャズ、ブルース、アフロ、クラシック、現代音楽etc…数々の音楽遺産を深く咀嚼しつつもあくまで現代的な表現として昇華する有機的且つ先鋭的なプロダクション、卓越した演奏、そして仄かに文学の匂いが薫る歌詞世界。森は生きているの奏でる音楽が、時代の心象を儚く切り取るように、そこここへ満たされていく…。 |
無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧はコチラから!
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