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foolaibounoteba さんのレビュー一覧 

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     2020/04/01

    ラフマニノフのピアノ曲「音の絵」には1曲1曲はっきりとしたイメージがあり、既成の絵画の印象を作品に残したというよりも、逆に人間の感情を豊かに響かせ、ピアノでラフマニノフ自体が絵画(もしくはドラマ)を描いているような作品が多いように感じます。
    もちろんラフマニノフの大好きだった画家「ベックリン」のいくつかの作品が下敷きになっているのもあろうかと存じます。作曲家は絵画名とピアノ作品自体を結びつけることを公表していないのであくまでも聴き手側の想像でむすびつけるしかありません。
    生前ラフマニノフが弾く音の絵のある1曲を聴いたラフマニノフの友人が、「この音楽はベックリンのある作品を思い出す」と本人に伝えたところ、ラフマニノフは驚き、まさにベックリンの絵画の印象をそのまま作品に落とし込んで作曲したものであることを明かし、相手も驚きお互い顔を見合わせた・・。そんなエピソードが評伝として残っています。さらにラフマニノフのベックリン好きは高じて、交響詩「死の島」として同名の絵画を管弦楽作品として残していることは有名です。

    OP33の7の作品は、静かにはじまりますが中間部に極めてドラマチックに、何か大きな絶望感に陥り、頭をかき乱しながら先が見えない現実に慟哭の叫びをあげるような音楽に変貌していきます。この曲を映像的に想像を掻き立て、ものの見事に表した演奏がアシュケナージです。きらびやかで透き通る高音と、腹にずっしり響き渡る圧倒的な音量の低音部の響き。濁ることの無い先鋭でありながら乾燥した感じはなく、しっとりとしながらも突き抜けるような音色。さらにアシュケナージの特徴を最大限に表出させたデッカ録音の技術。そのすべてがそろい、この演奏が世に出たものだと思います。他の演奏は幾多もありますが、「音の絵」1曲1曲にそれぞれのイメージを彷彿とさせるような感動が得られる演奏にはまだ出会えていません。
    アシュケナージがラフマニノフと同国人であるということも、当時のロシアの鍵盤楽器演奏の伝統承継者ということもあるでしょう。いずれにしても、ラフマニノフのこの作品を極めて高いレベルで演奏しているこのCDは、アシュケナージファンのみならず、ピアノ曲を愛好する皆さんに聴いていただきたい1枚となっています。1曲1曲にドラマが感じられ、そのドラマは聞かれる皆様によって、すべて異なるイメージが現れるものと感じます。

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     2020/02/27

    ロジェストヴェンスキーが来日するたび、これが最後ではないかと思い、本当に最後となってしまったライブ録音です。金管の鳴らし方が独特で、時にはパーンとあまりにも軽薄な鳴らし方ではないか…?と疑いの目を向けた(耳を傾けた?)事さえもあるロジェストヴェンスキーの演奏。それが魅力の一つでもあるんですが、金管がこれでもかとなり続くブルックナー5番。どんな演奏するんだろうとわくわくしながら聴きました。シャルク版はカットされているところが多く、短めの演奏・・・と勝手に思っていましたが、この演奏は違いました。そもそもの出だしのスピード感で、何か恐ろしくでかい恐竜が、のそのそ動き出すようなゆっくりさに驚き、これは80分越えるぞ、とライブ会場で思った記憶があります。1音1音噛みしめていくような音楽づくりに、金管の軽薄な音などありませんでした。意味のある、荘重で深淵、人間の寂しさを醸しだす1楽章の音楽の造形に感服しました。この貴重なライブ音源は、5番シャルク版の向こう何年間かの決定版として残ることは間違いなさそうです。

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     2020/02/13

    アシュケナージにシューベルト13番の録音があった事を知らなかった。その原因は録音にあるようです。1966年のデッカスタジオによる録音ですが、録音レベルが低く、またピアノのの音も細く、アシュケナージらしさの発露が録音によって妨げられているようです。これはとても残念です。アシュケナージの名盤50枚の中にも盛り込まれてなく、忘れられた演奏となっていたようです。1966年当時のDGのケンプによるシューベルト13番の録音とは比較になりません。当時のDGの録音技術は優れていて、デッカはここから盛り返していった、その最初の段階だったのでしょう。1969年以降のデッカ録音は、DGの技術に追いつき、追い越した感があります。とはいえ、13番のアシュケナージの演奏に深く耳を傾けると、随所にアシュケナージらしさが感じられます。13番以外の録音の出来はデッカ本来の優良録音です。17番のソナタなど、アシュケナージの力強さをきわめて直接に聞き取ることができます。当時この演奏を以て日本公演を行った時代の元気いっぱいのアシュケナージの演奏をこのCDで聞くことができます。

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     2019/09/20

    ランヌーの演奏の特徴は、演奏の表情の豊かさなのかもしれません。

    ランヌーは作品奥底の作曲家が表に出さない機微を、即興的な演奏の中にさらっと盛り込んでしまう。そんな演奏家でしょうか。
    特におすすめのイギリス組曲2番にそれを感じます。テンポの揺れとかではなく心から出てくるものなのでしょう。音というか「おんがく」そのものに何か有機的な、人の感情がこもる演奏です。
    女性の演奏だから、というものでなく音楽家として良いものを感じ取ることができます。///

    一定のテンポを確保しどっしりとした穏やかさを持つヴァルヒャ。
    ///
    広域に響きながらも直線的なレオンハルト。

    ///このなかに燦然と輝くランヌーが私の心の中に入り込んでいます。

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