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Saiseiji さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/26

    バルビローリのキャリアで、ある意味「黒歴史」なのが、トスカニーニの後任として音楽監督に就任したニューヨーク・フィル時代であることはよく知られている。その理由を、前任があまりに偉大過ぎた、トスカニーニの後任として声をかけたけど断られたフルトヴェングラーより、バルビローリが若くまだ小物だったから…などと早合点する向きには、ぜひ購入いただきたいBOXである。一般的には、トスカニーニ以降、1950年代に入ってバーンスタインが楽団史上初のアメリカ人指揮者として就任するまでは、パッとしないイメージがあるが、本バルビローリBOXや、その後にリリースされたバルビローリの後任のロジンスキBOXを改めて聴いてみると、違う評価になるのではないか(その一方で、40〜50年代のワルターとの録音が日本ではそれなりに高評価なのは同じオケなのに謎である)。オケのレベルは、トスカニーニ時代を引き継いでいて、演奏水準も当時としてはもの凄く高い。バルビローリのニューヨーク時代が不幸なことに「黒歴史」化したのは、よりにもよってトスカニーニがニューヨークに呼び戻され、彼のために新設されたNBC交響楽団を率い、かつ積極的に録音を始めてしまったからである。などという前口上はさておき、このBOXリリースのきっかけとなった、ニューヨーク・フィル175年BOXで評価されたSP期のリマスター技術は、本BOXでも活かされており、SP期の復刻としては非常にクリアな仕上り。Duttonで復刻済の音源も一部含まれているが、マスター音源を使っているだけあって段違いの音質である。後年の録音でも評価を得た、シベリウスやブラームスの交響曲などが若い解釈で聴けるのも魅力だし、リリース時の売り文句の通り、その後、録音しなかった曲も含まれているのも実に魅力。繰り返すが演奏はどれも高水準である。個人的には、自身編曲で十八番だった「エリザベス朝組曲」の編曲後間もない時期の録音が聴けるのが◎。このBOXリリースの数か月後に、109枚組にも及ぶワーナー録音全集がリリースされたが、そちらの録音空白を埋めるのがこのBOXでもある。この手のBOXの廃盤は実に早い。バルビローリが好きな方は入手可能なうちにいかがだろうか。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2020/05/13

    ニューヨーク・フィルが好きなオケなら、今すぐ買えという代物である。このオケは、アメリカはおろか世界トップ・クラスの能力のオケという位置づけなのに、いま一つ最盛期が分からないオケで、1930年代のトスカニーニ時代が最盛期(アメオケとして初めてヨーロッパ楽旅をトスカニーニの指揮で敢行して、ヨーロッパ人に「あれ?ヨーロッパのオケより上手くね?」と度肝を抜かせた)という説すらある。一般に膾炙しているのは、みんな大好きイケイケ時代のバーンスタイン以降であるが、彼以降のニューヨーク・フィルの音源は何だかんだでCD復刻されていることが多い。というわけで、この65枚のCDボックスの真骨頂は、Disc-28以前のバーンスタイン以前にある。さすがにマーラー時代の録音はないが、メンゲルベルク、ストランスキー以降の、これまで正規にCD化されていない音源がバンバン含まれている(トスカニーニとかワルターとか一部例外あるけど)。特にこのオケにポストがあった、ロジンスキ、ミトロプーロス、ストコフスキとか、「次に正規復刻するのいつですかね?」というものばかりで買うなら今しかない。なお蛇足だが、バルビローリのニューヨーク任期時代BOXの発売は、このエディションで彼の世紀初復刻がなされた延長にあることも付記しておきたい。あとセルのニューヨーク・フィル録音がねえよ、という人はセルのWarnerボックスに収録されているのでそちらを。ということでマニアのためのボックスである。だが買って損はない。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/23

    アバドは個人的には感心する録音があまりない。しかし、どうもロンドン響時代が絶頂という人がいて、特にこのムソルグスキー・アルバムをベストの一つと推す人もいるのは知っていた。「でも、ほんとかねえ…」とそんな半信半疑のまま一聴して、このCDがリリースされて以来、なぜ一度もカタログ落ちをしていないのかがよく分かりました。ムソルグスキーの使徒としてのアバドの面目躍如の1枚。全編にわたってムソルスグキーの真価を明らかにしようというアバドの意欲が漲っており(ジャケ写もまさにそんな感じ)、オケもソリストも合唱も、そんな気迫に応えた渾身の演奏。不覚にも「禿山の一夜」の原典版も初めて聴きましたが、こりゃリムスキー=コルサコフ版と全然違いますな。世評のアバドは「ロンドン響時代=最高」、「ムソルグスキー・アルバム=最高」は間違いありません。バカにして聴き逃すと後悔する1枚です。

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     2010/04/22

    HMVでのレビューも好調だったアルプス交響曲に続く第2弾の家庭交響曲。レビューを誰も書かないので、「もしかしたらアルプスはまぐれ当たりだったかもしれない…」と半信半疑で購入した。しかし今回も過不足ない良い仕事で買って正解。強烈な個性はないが曲の魅力を伝えるには十二分な演奏。このコンビニは今後もR.シュトラウスを録音してもらいたい。気になるであろう音質ですが(私自身はけっして恵まれたオーディオ環境では聴いていないが)録音は前回同様に優秀で音の層が団子にならずクリアに聴こえるのもいいです。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/04/03

    灼熱のカンタービレ=トスカニーニの面目躍如の1枚。精妙な演奏を期待すると肩透かしを食らう。「海」はあまりの灼熱っぷりに、「この海は地中海ではなく赤道直下の情景ではないか?」と一瞬思ってしまったほどだ。その意味では曲そのものを楽しむより、トスカニーニの個性を楽しむ演奏かもしれない。個人的にはこれもこれで一つの解釈ではあると評価するが、このアクの強さに抵抗ある人がいるであろうことは想像に難くない(なので星4つ)。ちなみにトスカニーニは作曲者とも親交があって「海」に関してはオーケストレーションの修正の提案もしたと言われており、正規録音が3種も残っている十八番演目であることを付言しておく。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/04/03

    諸氏の高評価を見て購入。知っている限りテミルカーノフの古典交響曲は、81年盤(ソ連国立交響楽団、Brilliant)、90年盤(レンフィル、Leningrad Masters)、91年盤(当盤)の3種も存在する。それだけに本人も得意曲であろうことは想像がつく。当盤はスタジオ録音ならではの整えられた演奏に好感が持てるが、個人的にはライヴならではの感興が加わった91年盤を取りたいので星4つ。どちらも解釈は大きく変わっているわけではないので、その辺は好みかとも思う。いずれにしてもテミルカーノフの古典交響曲の生き生きとした解釈は非常に素晴らしい。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/01/26

    フランツさんの評を参考に購入。これはLiving Stereoの音の良さもあいまった大変な演奏。「真夏の夜の夢」はいろいろな演奏があるが、この演奏を一言で言うならば妖精パックが主人公の「真夏の夜の夢」だろう。活発なパックが夜の森を飛び回り様々ないたずらを仕掛ける。まさにそんな演奏。パレー&デトロイト響らしく響きは明るく、アンサンブルはどこまでも軽く正確(この曲はこの点がとても重要)。そういえばこの戯曲の舞台は霧の国=イギリスでもなく、黒い森の国=ドイツでもなく地中海に面したアテネだったっけ。ちなみに私の好みは、音は悪いがトスカニーニ&フィラデルフィア管の抜粋(RCA)と、全曲盤のプレヴィン&ロンドン響(EMI)。カップリングの「宗教改革」(この小気味よい颯爽さよ)と「奇蹟」も素晴らしい。パレーはメンデルスゾーンとかなり相性が良い気がするが、「イタリア」なんかどこかに録音が残っていないものだろうか。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/26

    マラ9は非常に巨大で異形の交響曲である。しかしそれを気づかせてくれる演奏にはなかなかお目にかかれない。たいていの演奏は指揮者の解釈というフィルターによって、どこか整理されてすっきりさせられたものになってしまうからだ。だがホーレンシュタインのこの演奏は違う。あくまで巨大なものは巨大なまま、異形なものは異形のまま、ありのままを聴き手に提示する。このライヴに実際に立ち会った聴衆は、この交響曲が本質的に持っている、あまりの巨大さ異形さに度肝を抜かれ、圧倒させられたのではないだろうか(その証拠というわけでもなかろうが楽章間に聴衆から拍手が沸き起こるのに納得)。ロンドン響はこの曲をやりなれてないのか、どこか困惑気味な雰囲気を漂わせてはいるものの、ホーレンシュタインの指揮に応えて十分奮闘していて、この曲を堪能するには十分な仕上がり。

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