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レインボー さんのレビュー一覧 

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     2023/12/13

    佐渡裕指揮、トーンキュストラー管弦楽団によって録音されたこのCDは、千住明の『Glorious Museum』を収録したシングルです。
    この曲はウィーン美術史美術館とTBSテレビの10年に及ぶパートナーシップのテーマ曲として書かれた作品です。
    曲は平たく言うとワルツですが、千住サウンドが全開で、オーストリアのワルツといえばシュトラウスですが、それとは全く毛色が異なり映画で使えそうな作品となっています。
    演奏も丁寧に演奏されており不満なく聴けます。
    録音も良好。
    1曲だけの収録で7分程の収録時間、3つ折りの紙ジャケ仕様です。

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     2023/12/12

    イギリスのレーベル、トッカータが発売したCDで、カタルーニャの伝統音楽を取り入れた二人の作曲家の幻想曲と小協奏曲という変わった企画です。
    登場する作曲家は、マルク・ミゴとフアン・マネンの2名です。
    ミゴは1993年生まれの今売り出し中の若手作曲家。
    このCDでも3曲も入っているので、トッカータも推しているのでしょう。
    基本的に調性の枠内で動く作風なので、聴きやすい作風。
    カタルーニャらしさを強く感じるのは冒頭の『大衆の幻想曲』ぐらいですが、どの作品も丁寧に書かれており作曲賞受賞者は伊達ではありません。
    対するマネンは1883年生まれとミゴより100年違います。
    ここでは2曲のみですが、ロマンティックでひたすら美しいメロディが出てくる『ヴァイオリン小協奏曲』、シリアスな出だしながらカタルーニャ要素も入った『カタルーニャ狂詩曲』、さすがに100年違うとマネンの作品はロマン派的。
    演奏はヴォロディミール・シレンコ指揮、ウクライナ国立交響楽団。
    ソリストはカリーナ・マクタ、セルジ・パチェコ、ダニエル・ブランチ。
    シレンコ&ウクライナ国立交響楽団の演奏は意外とこじんまりとしている。
    一方でソリストと共演している曲はソリストのサポートに徹しているので、良い。
    2018年10月7日から11日、ウクライナ放送コンサート・ホールで録音された物で、音質は良い。

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     2023/12/11

    スイスの作曲家、リヒャルト・フルーリーの歌劇『破戒の聖僧ヴィターリス』を収録したCDです。
    ポール・マン指揮、ニュルンベルク交響楽団の演奏で収録されています。
    この作品は初演後は本録音まで演奏されなかったと言う作品です。
    作品はフルーリーらしく後期ロマン派ベースの充実したオーケストレーションをしていますが、一部の曲を別にすればこれと言って引き込まれる曲もなく、忘れられていったのも分かる気がします。
    マンはトッカータにフルーリーの作品を録音して、この作曲家の作品の紹介に務めていますが、このCDではニュルンベルク交響楽団の重心の低いドイツ的サウンドを生かした、演奏を聴かせてくれます。
    またシュティアー他の歌手も不足なし。
    またすごいのはセリフ集に加えて、作曲家の息子が作品の解説をしている他、本録音時の写真や初演の指揮者や歌手、それらと一緒に映ったフルーリーらの写真が乗った貴重なブックレットが付いており、これだけでも価値はあるでしょう。
    録音も良好。

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     2023/12/10

    イギリスのレーベル、ポリフォニックの人気シリーズ、グレート・ブリティッシュ・フォー・ミュージック・ウィンド・バンドシリーズの8枚目になります。
    演奏はジェームズ・ガーレイ指揮、王立ノーザン音楽大学ウィンド・オーケストラ。
    現在このシリーズは、王立ノーザン音楽大学が演奏を担当しているが本格的にシリーズに登場するのはこの8枚目から。
    ヴィルフレッド・ジョセフスと、ナイジェル・クラークが1曲ずつ、マーティン・エレビーが3曲収録されています。
    ジョセフスはマイナーな作曲家ですが、クラーク、エレビーは吹奏楽をやっている人にはよく知られています。
    めちゃくちゃ強い個性のある演奏ではありませんが、ドリームスケープス冒頭の柔らかなサウンドや端正な解釈は聴くに充分と言えるでしょう。
    またユーフォニアム協奏曲ではスティーブン・ミードが参加しており、卓越した技術のユーフォニアムを聴かせてくれます。
    2002年9月、王立ノーザン音楽大学にて録音。
    音質は良好です。

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     2023/12/09

    このCDは、レナード・スラトキンが、ナッシュヴィル交響楽団を振った2007年6月のライヴ録音である。
    ムソルグスキーの展覧会の絵をメインにしたプログラムである。
    まず冒頭のリストの『ピアノ協奏曲第1番』は、中国出身のピアニスト、ペン・ペンをソリストに迎えたもの。
    ペンは録音時14歳でアメリカに留学していたそうで、現在は作曲家としても活躍しているようだ。
    録音時の年齢を考えると非常にしっかりとタッチと若者らしい颯爽としたピアノが特徴的な演奏で、この曲の名演とまでは行かなくともなかなか良い演奏なのではと思う。
    メインの展覧会の絵はラヴェル版を含む15人の編曲家によるアレンジをスラトキンが纏めた、いわばスラトキン版とも言える独自の版。
    コンサート・ホール・ソサエティへの録音で有名なワルター・ゲールや、BBCプロムスの指揮者を永く務めたヘンリー・ウッドらラヴェル版に先立って編曲された楽譜から、アシュケナージやボイドら現代の作曲家または指揮者による楽譜まで様々、最後はギャムレイ版によって壮大に閉じる。
    試みとしては面白いが、やはり編曲には良いのも悪いのもあり寄せ集め感は拭えない。
    最後の国歌『星条旗』はマテスによる編曲で最初は静かに始まり徐々に盛り上がっていくという、アレンジである。
    スラトキンとナッシュヴィル響の演奏は特に問題もなく、安心して聴けるだろう。
    先に書いた様にライヴ録音ではあるが音質などは特に問題ないと思う。

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     2023/12/08

    アメリカの作曲家、ハワード・ハンソンが自作を振ったCDです。
    オーケストラは、モルモン・ユース交響楽団&合唱団、及びワールド・ユース交響楽団の2団体を振っています。
    収録曲は、『ベオウルフのための哀歌』交響詩『牧羊神と牧師』『2つの古き讃歌による変奏曲』『交響曲第7番』『交響曲第2番よりアダプテーション』です。
    ハンソンは指揮者としても活躍し、自作自演も多いのですが、本CD音源は1972年ユタ州ソルトレイク・シティで行われたハワード・ハンソン・フェスティバルのライヴと、1977年ミシガン州で録音された晩年の音源です。
    シタデル・レーベルにはハンソンの自作自演が既に一枚あり、これはそれに続くもの。
    どちらもユース・オーケストラを振っているのですが、オーケストラの技量は充分プロに匹敵しており、どの曲も充実した演奏を聴かせてくれています。
    これは合唱団でも同じです。
    録音は前記の通り古いですが、クラヴィア・レコードによりリマスタされており、思った以上に聴きやすくなっています。

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     2023/12/07

    サー・エドワード・ダウンズ指揮、BBCフィルハーモニックの演奏で収録された、レインゴリト・グリエールの交響曲第3番『イリヤー・ムーロメツ』を収録したCD。
    グリエールの作品では代表曲の1つであり、その華麗なるオーケストレーションも手伝い、現在でもグリエールの交響曲で録音される機会の多い作品です。
    このダウンズの演奏は数少ないグリエール交響曲全集の1つで、BBCフィルの優秀なアンサンブルを駆使した、演奏で派手さはないが堅実で手堅い仕上がりの演奏と言えます。
    録音はシャンドスの標準的なもので、不満なく聴けるでしょう。
    グリエールの3番はこれといった決定的名演がなく、どれから聴くか迷いますが、この演奏ならとりあえず作品を知るには十分であり、おすすめできます。

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     2023/12/06

    ニコス・スカルコッタスの管弦楽作品集です。
    バレエ組曲『乙女と死』『ピアノ協奏曲第1番』『協奏曲序曲』を収録している。
    全て世界初録音との事。
    スカルコッタスはギリシャの民族主義的な作品を書いた一方で、ベルリンでユオンや、ヴァイル、更にシェーンベルクなどに教わったこともあり、無調や十二音技法等を駆使した当時の現代的な作品もあります。
    このCDでは乙女と死が前者のスタイルで、たまに伊福部昭を思わせるような力強いオーケストレーションとオリエンタルなメロディが特徴。
    ピアノ協奏曲と協奏曲序曲は後者のスタイルで、作曲当時はそれなりにエッジの効いた作品だったのではと思われるが、現代の耳では既に十分古典と言えるだろう。
    演奏は、ニコス・クリストドゥールー指揮、アイスランド交響楽団。
    ピアノは、ジョフリー・ダグラス・マッジである。
    指揮者はスカルコッタスの録音に力を入れている人物らしく、本CDでも共感豊かな演奏で、作品を知る分には充分。
    録音は1998年で、デジタル録音なので音質は良好である。
    初発売時は恐らくプレス盤であっただろうが、届いた盤はオフィシャルのR盤で、プレス盤が良い人は中古も含めて探した方が良いだろう。

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     2023/12/05

    アメリカの作曲家、ハワード・ハンソンが1972年3月11日に、ユタ州ソルトレイク・シティで開催されたハワード・ハンソン・フェスティバルで自作を振ったライヴ録音です。
    演奏は、ハワード・ハンソン指揮、モルモン・ユース交響楽団&合唱団です。
    『民主主義の歌』『メリー・マウント組曲』『交響曲第2番』が収録されています。
    ハンソンは作曲家の他に指揮者としても活躍しており、マーキュリーにイーストマン=ロチェスター管弦楽団を振ってアメリカの管弦楽作品を録音した事で知られていますが、その中には自作もあり本CD収録曲全てを録音しています。
    この録音は2回目の録音となりますが、全体的にはこちらの方が良いかと思われます。
    イーストマン=ロチェスター管弦楽団はオケの弱さが気になります。
    このCDで演奏しているモルモン・ユース交響楽団も決して最上級とは言えませんが、テンポ設定や音楽の運びは旧盤より良く、自作自演で聴きたいというなら個人的にはこちらがおすすめです。
    クラヴィア・レコードのブルース・レークによるリマスタで音は年代の割に良いです。
    尚、ボーナストラックでハンソンによるコンサート後のスピーチも収録されています。

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     2023/12/04

    ロバート・ウォードの管弦楽作品集です。
    全曲、ポーランド国立放送交響楽団の演奏で収録されたもの。
    指揮は3名の指揮者が振り分けています。
    まず最初に登場するのは『祝祭の頌歌』という作品。
    指揮は、ズジスワフ・ショスタク。
    この作品は11分ほどの作品で、弦楽を中心にゆったりと歌う壮大な作品です。
    指揮のショスタクは1930年生まれのポーランドの指揮者。
    永くウッチ・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督と知られ、音源はバロック音楽の録音が多い。
    この録音は1975年に収録され、珍しく同時代のアメリカの作曲家の作品を振っているが、非常に充実した響きを引き出しており、中々見事な演奏である。
    次に登場するのは『プレーリー序曲』『祈りとトッカータ』で、指揮者は、ボフダン・ヴォディツコ。
    ウォードは、コープランドにも学んでいるのですがそのコープランドのアメリカ的エッセンスの影響を多大に受けたのが、プレーリー序曲。
    ジャケットの様な我々が想像するアメリカを描いた様なわかりやすい作品で、ウォードの代表的な作品と言えるもの。
    元は吹奏楽作品だが、本CDでは管弦楽版を収録。
    祈りとトッカータはプレーリーよりかは純音楽的な作品ですが、旋律は中々美しい。
    指揮のヴォディツコは1911年生まれ、1985年に亡くなったポーランドの指揮者。
    録音はやはり多くなく、CDも数少ない。
    本CDではポーランド国立放送交響楽団から力強く、時に繊細な響き、更に裏メロもしっかりと鳴らし、ベテランらしく隅々まで手の届いた演奏が素晴らしい。
    充分な名演と言えるもの。
    次に収録されているのは『没神論者の宗教歌』という作品。
    指揮者はウィリアム・ストリックランド、ソプラノはシルヴィア・スタールマン。
    指揮のストリックランドはアメリカの指揮者で1960年代に同時代のアメリカ音楽を幾つか残している。
    本CDはポーランド国立放送交響楽団を振っての録音だが、ここでも優秀なオケに支えられて、良く鳴らした充実したサポート。
    スタールマンの歌もなかなか良い。
    次に登場するのはウォードの曲ではなく、クインシー・ポーターの作品で、『ニューイングランドのエピソード』を収録、指揮は再びヴォディツコである。
    この作品はまだ聴きやすい作品であるが、ウォードの作品に比べやや晦渋な上、演奏時間も20強と長い。
    演奏は健闘しているが一度聴けば良いというところ。
    録音は1966年(没神論者の宗教歌)1968年(ニューイングランドのエピソード)1975年(その他)で、それなりに古いがリマスタされている様で音は聴きやすい。

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     2023/12/03

    イギリスの作曲家、アルバート・ケテルビーのピアノ作品集。
    ケテルビーは『ペルシャの市場にて』の様な描写的な小品で知られています。
    作品集もそこそこありますが、それらは大体前記のような軽いライトミュージック的なオーケストラ作品を集めたCDで、ピアノ作品は今まで知られていませんでした。
    このCDには18曲のピアノ曲が収めてありますが、その殆ど曲がサロン的な聴きやすい作品で、中にはクラシックな曲調もありますがいずれにせよ、豊かなメロディはケテルビーならではと言えるでしょう。
    本CDのピアニストはローズマリー・タック。
    ナクソス系列に知られざる作品を録音しているピアニストで、これは1993年に録音されたもの。
    演奏は良くも悪くも堅実な演奏で、作品を知るには十分。
    録音もナクソス品質で特に問題なし。
    録音から発売までに妙な開きがあるが、これは元々マルコポーロで2枚出ていたものを新しく一枚に編集したため。
    残念ながら選曲から漏れた作品もあり、それらを入れた第2弾を出して欲しい。

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     2023/12/02

    本CDはイギリスの作曲家、フィリップ・レーンの管弦楽作品集。
    ギャヴィン・サザーランド指揮、ロイヤル・バレエ・シンフォニアの演奏です。
    レーンは作曲家としての活躍の他に編曲家としても活躍、特に映画音楽のスコアの復元で知られ、レーンが復刻したスコアはシャンドスの映画音楽シリーズ等でも使われており、そちらの活動の方が有名かもしれません。
    レーンの作品集は現在これだけの様ですが、どの作品も親しみやすいメロディと確かなオーケストレーションが施された作品ばかり。
    ブリティッシュ・ライト・ミュージックシリーズの作曲家だけあり、現代の作曲家ながら難解さや晦渋さはありません。
    指揮のサザーランドはバレエ畑の指揮者ですが、映画音楽から協奏曲まで録音のレパートリーは幅広く、どれも水準以上の仕上がりですが、本CDもそうです。
    2001年録音なので、音質も問題ありません。

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     2023/12/01

    アメリカの作曲家、モートン・グールドが、ロンドン交響楽団を振って録音した自作自演集です。
    『行進曲による交響曲からクイックステップ』『コティヨン(フォールリヴァー伝説より)』『フィルハーモニー・ワルツ集』『ラテン・アメリカン・シンフォネット』『祝祭の音楽』『自由のファンファーレ』『ウィンドジャマー』が収録、更にアルベルト・ヒナステラのバレエ組曲『エスタンシア』も収録している。
    このCDの聴きどころは、ラテン・アメリカン・シンフォネットで、グールドはRCAに第2、第3楽章の抜粋ではあるが、自作自演を残しているが、全曲の演奏はこの録音ぐらい。
    シンフォニックかつラテン的なこの演奏は同曲の名演の一つ。
    またその他の曲も、グールドとロンドン交響楽団の演奏は、オケが上手いというのもあるのだが、クラシカルな表現からスウィング感豊かな巧みな演奏を披露している。
    また鳴りの良いサウンドはいかにもロンドン交響楽団といえ、特に録音当時はプレヴィン時代という事もあってか輝いたサウンドをしている。
    要約すると、楽しく聴けるディスクとしておすすめ。
    録音は1978年9月17日から22日。
    年代の割に音質は良く聴きやすい。
    尚、近い時期にグールドはロンドン交響楽団と映画音楽集を制作しており、そちらにもウィンドジャマーが収録されているが、同一の音源の様だ。

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     2023/11/30

    このCDはアメリカの作曲家、ロバート・ウォードの管弦楽作品を集めたCDです。
    本CDは1999年発売のアルバムを今年に再リリースされたものです。
    収録曲で最初に登場するのは、ウィリアム・ストリックランド指揮、日本フィルハーモニー管弦楽団によって録音された『交響曲第2番』です。
    これは1960年に録音され、米CRIレコードに日本フィルが録音した音源の1つだそうです。
    指揮者ストリックランドは、当時日本に頻繁に来日し、アメリカの同時代の音楽を紹介したほか、CRIに日本フィルとアメリカの作品の吹き込みや、EMIには芥川の作品をインペリアル・フィルハーモニーと録音するなど活躍していました。
    この交響曲第2番は中々に良い演奏をしており、当時の日フィルの演奏能力の高さと、ストリックランドのオケのコントロール能力、更に作曲者への共感が感じられる。
    次に登場するのはアラン・バルター指揮、チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団で、『思い出の道を通って』『5×5(5部の主題による4つの変奏)』が収録されています。
    この音源は新しく録音された物で1998年4月にチェコで録音されたもの。
    オケは言わずとも知れたチェコ・フィルのメンバーによるもので、指揮のバルターはアメリカの指揮者。
    録音も他に数えるぐらいしかなく、アメリカを中心に活躍したため日本では知られていないが、意外な所で日本と繋がりがあり1976年の民音コンクールで1位をとっているようだ。
    本録音の4ヶ月後、1998年8月に亡くなっており、本録音は最晩年の恐らく最後の録音であると思われる。
    両曲とも世界初録音との事であるが、オケの合奏力は高く整えられた演奏であり、作品を知るには十分。
    特に弦楽の美しさが聴きどころ。
    次に登場するのは、1曲目に登場したウィリアム・ストリックランドの指揮、シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏で録音された『ピアノ協奏曲』で、ソリストはマージョリー・ミッチェル。
    1968年録音で元は米CRIに録音された音源。
    ミッチェルはCRIに入れた録音ではストリックランドと組んだ録音が多く、本録音でもストリックランドとシュトゥットガルト放送交響楽団のしっかりと支えた伴奏に、クリアなピアノを聴かせてくれます。
    音質は1998年にデジタル録音されたものは良いのはわかりますが、他の1960年代のモノラル音源も時期を考えると良い方だと思います。

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     2023/11/29

    東芝EMIが1990年代に国内外の吹奏楽を起用し録音した音源から、スペインの作曲家、アルベニスとファリャの作品を収録したものです。
    この新・吹奏楽名曲コレクション・ウィンド・スタンダーズシリーズは、観賞用以外に吹奏楽を演奏する演奏者側への模範的音源の意味合いもあり、現在入手出来るかはともかく、出版された譜面を使い、ライナーには使用譜と楽譜の番号まで書かれているというなかなか手の入った作り。
    最初の収録曲はファリャのバレエ組曲『恋は魔術師』で、星出尚志編曲によるEMI音楽出版版での演奏。
    これは国分誠指揮、東京佼成ウインド・オーケストラによる演奏。
    この団体らしい癖のない演奏で、聴きやすくはあるが、ちょっと物足りない。
    ファリャ『三角帽子』アルベニス『スペイン組曲からセヴィーリャ』『組曲スペインからタンゴ』『スペインの歌よりコルドバ』『イベリアよりセヴィーリャの聖体祭』は林紀人指揮、シエナ・ウィンド・オーケストラによる演奏。
    シエナがまだ結成して一年とちょっとの時期の1991年の録音。
    今の威勢と元気の良さが売りのシエナの演奏を想像すると中々びっくり結構丁寧に演奏している。
    セヴィーリャの聖体祭等は音楽の盛り上げ方も良い。
    使用楽譜はオランダのモレナールを筆頭に、サム・フォックス、J &Wチェスター等、海外譜が使われている。
    録音はデジタル時代なので綺麗だが、特筆するような音質ではないだろう。

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