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3 people agree with this review 2011/03/24
Gouldより出発し、Gouldの切り開いた現代ピアノによるGoldberg演奏の方向を、ある面で極限まで洗練していった演奏ではないでしょうか。その演奏は、同じくGouldを出発点としたSchiff, Serkin, Feltzman, Schepkin, Stadtfeld, 熊本マリ...といった多くのピアニストの、いずれよりも高次元で完成されていると感じられます。ある意味Gouldそのものより完成度は高いかも知れず、Gouldの演奏に色々な不満を感じる方をも満足させられるかも知れません。ただ、この完成度の高い演奏が、Gouldが成し遂げたもの以上(以外?)のものを、Goldberg変奏曲の再現に賦与しているかどうか、自分には判りませんでした。あくまでピアノでGoldbergを聴きたい方に、これ以上の完成度を持つGoldbergはないことは保証できそうですが....。
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1 people agree with this review 2011/03/23
Missa Pange Linguaの新録音は久しぶりでしょうか。このルネサンスを代表するミサ曲は、現在ルネサンス音楽の中で同曲異演盤の比較ができる唯一の曲ではないかと思いますが、初めて聴くKammmerchor Josquin des Prezは、同じく女声を使用するThe Tallis Scholars等と較べて編成がやや多いようで、女声による上声部を中心に各声部が渾然と溶け合う響きを重視した演奏と感じました。個々の声楽家の力量は非常に高いようで、声部が減る部分における清澄さは、ちょっと聴きもの、これだけ響きの美しいMissa Pange Linguaは珍しいかも知れません。一方で各声部間の独立したダイナミックな絡みはやや不明確になる傾向はありますが、これは指揮者の楽曲構成力に起因するかも知れず、それでも一流の再現であることは間違いないでしょう。Pange Lingua以外のMotetは、有名曲はO virgo virginumくらいで、偽作のSit nomen DominiやAve Maria gratia serenaの後半の旋律を誰かが(?)使用したVerbum supernum prodiensなど、Josquin専門の団体らしく、やや凝った選曲ですが、どれも強烈な印象はないものの、堅実で正確な歌唱と思いました。数カ月前にDufay Ensembleの時にも感じたのですが、現在ドイツの古楽合唱団のレベルは本当に素晴らしいですね。
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1 people agree with this review 2011/03/20
数あるチェンバロによるゴルトベルク変奏曲の中で、最も優れたものの一つではないでしょうか。一聴したところでは、特に目新しい特徴がある訳でもなく、昨今多い新規(?)の解釈を主張するような所は皆無。しかしながら、二度三度聴き返すにつれ、この演奏の魅力に確実にとらえられていきます。まずチェンバロの音色が、優秀な録音もあいまってこの上なく清らかで美しく、曲集後半に頻出する技巧的なパッセージでも全く濁りがありません。武久源造のGoldbergは、近年よくみかけるピアノによる軽快な演奏をチェンバロに移したような演奏とは対極にあり、一つ一つのフレーズ・リズムを噛みしめ確かめつつ、その音楽の歴史的・文化的意味を明らかにしながら曲を進めていくもの。あくまで地道ですが、これ程にGoldbergの歴史的位置・Bach音楽としての意味を大切にした演奏は、日本はおろか世界でも近年、珍しいのではないでしょうか。反復を省略せず、どちらかと言えばゆったりした印象ですが、これだけ細部が克明に描かれてるにもかかわらず、曲の全体的な構築もほとんどもたれることがなく、一歩一歩着実にGoldbergの壮大な世界が築かれていきます。日本をベースに活躍されてるようですが、自分はその演奏に日本人特有の、といった印象は全く持たず、この奏者がいかに西洋の幅広い地域・時代の音楽を長年に渡って研究し、演奏し続けておられるかが、よく感じとれると思いました。近年のチェンバロによるGoldbergの中で、間違いなく第一にお薦めできる演奏と思います。遅ればせながら、この奏者の他のCDにもぜひこれから触れていきたいですね。
1 people agree with this review 2011/03/09
現代音楽とルネサンス以前の古楽を組み合わせたCDですが、非常に周到に構成されていると思いました。初めて聴くO’Reganの作品はMachautにinspireされ、Ars Novaのtextと様式を注意深く取り入れたもので、メインのノートル・ダム・ミサへの絶妙な導入になっています。CD終結部のヴィルレーと組み合わせた構成も秀逸で、現代音楽としての評価は正直判りませんが、現代合唱音楽としても演奏機会を持つ価値があるのではないでしょうか。ノートル・ダム・ミサはPaul Hillierとしては、Hilliard Ensembleの名演以来。Hilliard Ensembleの演奏が、スーペリウムの滑らかな響きを強調して古楽としての違和感をほとんど感じさせない美しさであったのに対し、Orlando Consortはことさら響きに拘らず線的対位法をはっきり表現することで、かえって現代音楽と並べても違和感の無い、曲の革新的な存在感が感じられます。しかしながら個人的に最も感銘を受けたのは、そのすぐ後に置かれたGuillaume Dufayの’Ave Regina Caelorum’で、決して演奏が多くはないDufay最期の傑作の演奏としては、Cantica Symphoniaに迫る名演奏ではないでしょうか。演奏時間わずか7-8分のこの小品が、中世からMachautらを経て、ルネサンス〜現代に至る西洋音楽史の数百年をしっかりと繋ぎ合せる、時代を越えた傑作であることが、このような企画の中心に置かれることでまざまざと実感されます。現代音楽に馴染がない古楽愛好家にも、十分お薦めする価値がある好企画ではないかと思われました。
4 people agree with this review 2011/02/16
ヨハネ受難曲は、J.S.Bachの大曲の中で、ある意味最も難しい作品ではないでしょうか。その原因は一にも二にも、同じ受難曲であるマタイと、曲のジャンルが違うとさえ言える程に性格が異なるからで、マタイ受難曲と同じ感覚で演奏し鑑賞しては真価が判らない。4福音書の中で際立って独特な「ヨハネ福音書」は、出だしも違えば書かれてる内容も大きく違い、受難のシーンにしても、時にどうでもよいと思われる程に事件の細部、人物の発言の細部に拘り、他の福音書にない場面も現れる。真にその場(受難の場)に居合わせた者だけが知る真実を後世に伝えようとする、聖ヨハネの意図がまざまざと感じられるのですが、Bachの作曲もこの意図を最大限に伝えるために行われる。つまりこの曲においては(マタイと異なり)、福音史家の言葉以上に重要な部分はなく、アリアも合唱もコラールも、福音史家が語る事実を補完するためにのみ存在する。ブリュッヘンの演奏はまさにこの点において、過去の巨匠の演奏(Richter,Corboz,Eochum等)を含めた、これまでのヨハネ受難曲録音の中で最も優れたもので、おそらくブリュッヘン自身のBach録音中での現在までの最高作ではないでしょうか。決して表層的効果や感情的表現に傾くことなく、ヨハネ福音書の言葉を精確に判りやすく聴衆に伝えることのみに集中しており、そのためにのみ最高の演奏技術が使われる。どこをとっても過剰な表現は皆無、音楽的に限りなく整然とし、一見クールであっさりしているように見えても、声・フレーズの一つ一つは、その内部に尋常でない緊張を孕んでおり、研ぎ澄まされた白刃を思わせるような迫力が感じられる。Heinrich Schutzが頂点まで推し進めた、声のみによる白亜の塔のような受難曲の精神がこのBachのヨハネにも生きていることを、ヨハネ受難曲がマタイと全く異なるルネサンス・バロック以来の受難曲のもう一つの究極であることを、これほどに実感させてくれる演奏はありません。ヨハネ受難曲を知る上で必聴の名盤と思います。まもなく現れるブリュッヘンの、20年ぶりの再録音が限りなく楽しみですね。
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9 people agree with this review 2011/02/10
個人的にこれまで、オルガン演奏による「フーガの技法」は良い印象がありませんでした。何より一音一音、ほんの僅かの響きの協和一つ一つにまで、緻密に編まれたタペストリーのように、隅々まで意味を有するこの作品を、近代以降のオルガンによる大音量と残響の中に放り込まれると、フランドル楽派にも匹敵する繊細な線的対位法が消し飛んでしまうように感じられました。ヴァルヒャやアランなど往年の巨匠の演奏でも、最近の優秀な録音によるいくつかの演奏でも、これは変わりませんでした。Bernard Foccroulleによる演奏は、これまでのオルガンによる「フーガの技法」と全く違う、ペダルと残響を厳密にコントロールし、一つ一つの声部、一音一音が完全に独立しほとんど混濁なく、しかも互いに絡み合い音響を築いて行きます。これはBach時代のチューリンゲン地方の名器を詳細に調べて制作された楽器の功績も大きいでしょう。とにかくこんなにクリアな響きのオルガンは聴いたことがありません。Foccroulleの演奏は「フーガの技法」の音構造を、あくまで厳格にインテンポで構築していくことにのみ的を絞ったもので、音響的な効果や情緒的な表現とは全く無縁ですが、この限りなく客観的で透徹した演奏によってこそ初めて「フーガの技法」の西洋音楽史上類の無い世界が姿を現します。一切の理由付けの無い、ただ「音楽そのもの」の感動としか言いようの無い「フーガの技法」の純粋な世界を、オルガン演奏で実感することができたのは、自分にとって初めてかも知れません。「フーガの技法」の決して多くはない、お薦めできる演奏の一つと思います。Foccroulleによる解説、オルガン製作者によるコメント、各曲の演奏形態の詳細情報から、楽器の美しい写真にいたるまで、CDとしても(輸入盤しか知りませんが)非常に誠実で充実したものです。
9 people agree with this review
10 people agree with this review 2011/02/03
Wilhelm Kempffは自分にとって、命の恩人のような音楽家ですが、その晩年の録音のうちで、これだけは恥ずかしながら未聴でした。正直、年に一度も積極的にLisztを聴かない人間なので、Liszt演奏としての客観的レビューの資格なぞ無い自分ですが、Kempff晩年の演奏としては、Brahmsのピアノ作品集(Original LPで2枚)に匹敵する演奏ではないでしょうか。作品の一つ一つの深奥に沈潜し、作品と一体となり、いつしか聴いている自分も別の世界に連れて行かれてしまう。それでいて、決して人間離れした感覚は微塵もなく、Kempffの築く世界はどこまでも深く人間的で、慈しみに満ちています。ラスト2曲の大らかな感動は、月並みな言い方で恐縮ですが、やはりこの20世紀を代表するピアニストでなければ得られないものと思いました。Kempffによってクラシック音楽の世界に導かれて数十年、Kempffに出会えたことの幸せを今、再び噛みしめています。
10 people agree with this review
5 people agree with this review 2011/02/03
此れ程にピアノが美しい平均律はちょっとありません。録音が優秀なせいもあるでしょうが、音の美しく濁り無い点に関しては、著明なスター・ピアニスト、シフ、アシュケナージ、バレンボイム等のいずれよりも上ではないでしょうか(グールド、ポリーニは除外して)。しかもどこをとっても、全く技巧を披露するような演奏でないのが、逆にこのピアニストの恐ろしく精確な技巧をみせつける結果になっています。El Bachaの平均律は、現代ピアノによる古典派・ロマン派的思考を基礎に置くものですが、ペダルを抑制し、自己中心的表現を避け、可能な限りBachの音楽に自分を寄り添わせようとする、非常に誠実なものです。一部、特に小規模な曲において、もう少し音楽構造の厳格な追求を求めたくなる部分もありますが、24番など精確で美しく真摯な演奏は、なかなか他で得難いものと思いました。十分現代第一級の演奏としてお薦めできると思います。続く第2巻がとても楽しみですね。
5 people agree with this review
2 people agree with this review 2011/01/25
クラヴィコードによる平均律全曲は、Kirkpatrickによるもの(1967年)以来でしょうか?。良い録音で聴ける意義は大変大きいと思いますが、演奏はKirkpatrickの厳格な構造的再現に較べると、やや平板で曖昧に感じられます。諸氏の云われる様な、ゆったりしたテンポは良いのですが、ややもすればロマン派的・恣意的な解釈に傾きがち。従って第2巻のいくつかの前奏曲のような小規模なものは特有の味がありますが、フーガ構造の強い曲は、明らかにまとまりがない。Kirkpatrickによる歴史的名盤が、そこでしか聴けない平均律の姿を垣間見せてくれるのに対して、この盤の奏者は他の楽器を使ったとしても、世界の水準をだいぶ越える演奏となったか、少し疑問です。佳演ですがまだ若いということでしょうか。現時点ではクラヴィコードによる平均律は、録音は古くともKirkipatrickによるArchiv盤(現役盤で値段もこれと同程度)をお薦めするのが妥当かと思われます。
2 people agree with this review
3 people agree with this review 2011/01/10
個人的に、Josquin des Prezの「Stabat Mater」は、西洋音楽史上の数あるStabat Materの頂点に位置する傑作ではないかと思いますが、それだけに満足できる録音に会った事がほとんどなく、この盤も第二部後半の歌詞Inflammatus et accensus..の感情の変化に伴う、劇的なリズム転換がやや不満でした。ただ、他の名曲、Josquinが自分の葬儀のために作曲したPater Noster~Ave Mariaや、Ockeghemを偲ぶ挽歌、長大な難曲Miserere mei Deusなど、遅めのテンポであくまで声の美しさを追求したHilliard Ensembleなどと対称的に、早めのテンポで曲の多声構造の全体をがっちり構築していく演奏で、過去の演奏を凌ぐ名演奏ではないかと思いました。初めて接するドイツの声楽団体ですが、近年の米英の新しい声楽アンサンブルがどうも低音声部が弱いように思えるのに較べ、一つ一つの声部特に低音声部が非常に優れていて、全体に精緻ながら曲構造が明確で充実していると思います。今後団体名のDufayのミサなども、是非聴かせて欲しいですね。
4 people agree with this review 2010/12/22
J.S.Bachの器楽合奏曲録音史上、おそらく最も重要な盤ではないでしょうか。この盤が出た当時、古楽演奏は「未熟」「下手」「学問であって芸術的でない」「博物館」など、評論家にもクラシックファン(を自認する人)にも、まだまともに相手にしてもらえる時代ではなかったと思います。確かにその当時たまに日本で聴けた古楽器演奏は、少数の例外を除き、現代楽器による演奏以上の印象を残すものは稀でしたが、一方で現代楽器によるBachの協奏曲・管弦楽曲は、ガチガチのロック・ジャズ少年だった自分には、古典派・ロマン派のSymphonyなどに比較しても、生ぬるく平板な音楽にしか聞えず、曲の真価など判らないままでした。Leonhardtが盟友達と活動を始めて四半世紀のこの当時(1975年)、ようやく全ての機が熟したのでしょう。とにかく、それ以前の現代楽器演奏によるBrandenburgと、全てが違う。各楽器の音色、その集合体としての響きの織りなす綾が、Bachのポリフォニーと溶け合って渾然一体となる瞬間、楽想に沿って自在に揺れ動くテンポ、古典派・ロマン派では決して聴けないバロック時代特有のリズムと音型、現代楽器演奏では無かった新鮮で刺激的な強弱の変化、Leonhardt,Bruggen,Bylsma,Kuijkenらがちりばめる雅びやかな装飾 ー 西洋音楽史上最も重要な曲集の一つである、Brandenburg協奏曲の歴史的・音楽的価値の一端に、初めて触れることが出来た衝撃的瞬間でした。もちろん、現在からすれば35年前、如何にこの盤が当時の名手を集めたとは言え、その後の若手の古楽団体に較べれば技術的に劣る面はあるでしょうが、その後のBach古楽器演奏の基礎として、この盤に優る歴史的重要性を有するBrandenburugは未だに皆無でしょう。寡黙なLeonhardtが原盤に寄せた、「この録音が決定的なものとか、正統的なものとして、折り紙付きにならないよう、私は願っている」という言葉は、その後の世界のBach演奏の歩みが実現したと言えるのではないでしょうか。細部に触れる訳にはいきませんが、最も有名でしかも最も難曲である(満足できる演奏がない)5番の1楽章のこの盤の演奏は、Leonhardtによって、遥か数百年前のルネサンスから、Bachと同時代の様々な音楽様相を経て、古典派に連なる音楽史の転回点を眼前に彷彿とさせる、奇跡的な名演と思います。Bach演奏史上の歴史的名盤というにつきます。現在のSonyの廉価盤は、値段の安いのは大いに結構ですが、この名盤の重要性を些かも考慮していないお粗末な装丁で、自分の有するSEON原盤の美しい装丁とは比べ物にならず、この点だけは是非今後の再発で改善していただきたいですね。
14 people agree with this review 2010/12/17
実はヘンスラー盤の購入を考えているのですが、4年前にBrilliantを購入した者として投稿します。この大全集の一番の目玉は、Hans Fagiusのオルガン全集ではないでしょうか。へンスラー盤の、各時代毎に奏者を変えるオルガン曲全集も非常に興味深いものですが、どうしても奏者間のバラツキはでてしまう(バラで半分位所有)。Fagiusの全集は、Walchaの新盤の驚異的な透徹ぶりに比較すれば遜色はあるとはいえ、全体に亘ってリズムとテンポを明確にし、非常に構築的ながら新鮮で、他の奏者の全集と比較しても、統一感のある一級品のBach/オルガン全集と思います。ノイマイスター・コラール集など、Walchaの時代には未発見だった作品が網羅されているのも嬉しいですね。英語になりますが、Fagius自身の解説も非常に充実したものと思います。Leusinkの教会カンタータ全集は、他のどれよりも優れているとは言えないかも知れませんが、美しく堅実で非常にまとまりのあるもので自分はBachカンタータの魅力を味わうのに何の不足も感じませんでした。そもそも教会カンタータだけは、Richterの75曲選集の圧倒的な存在のせいか、Harnoncourt/Leonhardtの全集以上の古楽器による全集は(鈴木雅明/Gardiner/Koopman含めて)未だに出てないように思えますので....。Peter Schreierの世俗カンタータ集は、多くのレビュアーの指摘されるように定評ある古典的名盤。Mark Lubotslyの無伴奏Vnは、日本では無名ですが、ちょっと他に超えるもののない現代最高の演奏ですし、前の盤では弱点だった平均律全集もBelderのチェンバロとしては最高レベルの演奏に差し替えられたのも喜ばしい。Asperenのイギリス組曲は、地味ですが傑作の一つです。Belder/Musica Amphionのブランデンブルグも一流の演奏です。若きPinnock/Preston/Savallによるフルート・ソナタの隠れた名演が、他に差し替えられてるのは少し残念ですが....。前回の発売時、あれだけ大絶賛を受けてたのが、競合盤が増えてくると微妙に評価が変わってくるのは、市場だからやむを得ないと思いますが、今回の盤は確実に質の改善が計られ、しかも前回より6000円以上安くなってますので、公平にみてコストパフォーマンスは非常に高いと思います。差し替えられた分は判定できませんし、この手の企画の常としてすべて最高はあり得ませんが、十分にお薦めできるのではないでしょうか。
14 people agree with this review
0 people agree with this review 2010/12/08
指揮者・オーケストラ・一人一人の奏者全て、非常に質の高い、引き締まった演奏と思います。J.S.Bachの管弦楽組曲は、意外に決定的にいい演奏が無いのですが、古楽器・現代楽器、ヨーロッパ・アメリカ含めて、これだけ新鮮で、生命力に溢れ、しかも全く正統的なBachは、そうないのではないでしょうか。不勉強にして初めて耳にする演奏者なのですが、すでに30年以上の歴史を有し、アメリカでは最も伝統ある古楽団体であるとのこと、この真正で安定した演奏に大いに納得しました。もちろん、No.3-Airなどをはじめ、もう少し味があればと思う箇所もあるのですが、実は有名な割に意外に名演がほとんどないSuite No.2などは、素晴らしく美しい演奏ですし、総合的に疑いなく現代最高水準のBachであると思います。各序曲を反復していないのも、学問的な正当性は別にして、個人的には序曲のアーチ構造が明確になって好みですね。
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4 people agree with this review 2010/11/23
このCDが発売される3年少し前、スピッツのメンバーは各所でいろんなインタビューに答えてます。その辺りの発言を聞くと、この時期メンバーの様々な想いが、(おそらく)このCDの全編に影響していることが判って興味深い。おそらく今までのスピッツのアルバムの中で、一番強烈なメッセージ性を持った作品集で、最初から最後までかなり強い一貫した意志を持って作られていると思います。そのことが、時にあまりに綺麗すぎる、同じような曲ばかり、という批判にも頷ける原因になっているのかも知れません。しかしながら、この全編を流れる異常なまでの美しさ、爽やかさは、それが失われた世界を想定して意図的に生み出された部分であると考えると、逆にスピッツのこのアルバムに込められた、ある意味悲痛な想いを裏返しに反映していることに気づかされます。自分たちに、「うた」に、何ができるか、そのことを真摯に考え続ける人間達が贈ってくれた、あまりに美しい、しかし決して軽くはないメッセージが感動的な作品です。
1 people agree with this review 2010/11/22
前作ほどに強いメーッセージ性を持たない、どちらかと言えば一見まとまりは緩いアルバムのようですが、反面非常にSimple&Strongな作品に仕上がってると思います。先行発売された数曲を敢えて意識せずに、最初から最後までじっくり聴くと、先に出された曲がアルバム全体の中にしっくり収まるのが驚きで、彼らが3年の間にこのアルバムの完成を視野に入れて少しずつ作品を作ってきたのがよく判ります。特に7,8,9を越えて、10から11(「若葉」)を頂点に14まで締めくくる流れは、一つ一つの曲の完成度の高さも相まって素晴らしく見事でした。スピッツにつき合ってはや15年以上、もう少しアルバムのリリース間隔が縮まれば、と思いたいけれど、世間の評価に動かされず、あくまで自分たちのペースで着実に作品を作り続けていく彼らの前では、何も言う事はないですね。いつまでも、この調子で素晴らしい作品を届け続けて欲しいです。
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