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nasso さんのレビュー一覧 

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     2010/04/23

    評判は耳にしながらも、装丁がコージーミステリか、ユーモアミステリみたいな感じで、何となく敬遠していたのですが、「犬の力」を読んでその筆力に圧倒され、おくればせながら手にしたこの作品です。読まずにいた日々を後悔させられる、これもとんでもない傑作でした。ある意味、ハリー・ボッシュの青年版というような出自の青年(ナイーブの極み)が否応無く放り込まれる(自分でその道を選んでしまう)苦境苦境の連続の中で、正しいと信じる(意識するにせよ、無意識にせよ)道を辿る位相幾何学的なビルドゥングスロマン、というべきでしょうか。
    なお、本作を読むと自動的に全5部作を読まずにいられなくなり、その旅が終わると、角川文庫より出ているノンシリーズもどうしても読まずにいられなくなると思います。(ノンシリーズですが、一作はケアリーもののスピンオフとなっていますので、なおさらでしょう。)

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     2010/04/23

    4/22時点で詳細が何も伝わってこないので、オリジナルミックスと、オーケストラル版が収録されている事を願うばかりです。パート2オープニングの憂愁に満ちたメロディの素晴らしさ。一般的には、初期3部作の中でいまいち評価が低い作品ですが、永遠にエンドレスで浸り続けたい作品で、深さで言ったら一番ではないでしょうか?ジャケットも作品の世界にとてもマッチしています。(最初にLPで発売された時の副題「夢と幻の地平線」は、まさに言い得て妙という気がします。

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     2010/04/19

    ジェフリー・ディーバーの面白さを手塚治虫に例えるなら、マイクル・コナリーのそれは、サスケや、カムイ外伝を書いていた頃の白土三平に例えたいような、そんな抜群のリーダビリティを持っている傑作シリーズ(ボッシュ・サーガというべきか、LAサーガというべきか)の(日本での)最新刊。例によって、不屈の(正しい)ヒネクレ者、ハリー・ボッシュが声無き犯罪被害者の声を拾い上げるべく戦いに挑みます。早川ミステリマガジンの本年7月号?にコナリー特集が予定されているとのこと。これも楽しみです。

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     2010/04/19

    昨年末に発売される予定(終結者の訳者解説にて予告)が、4ヶ月ずれこんで待望の出版。あまりの面白さに一気読み。次作もあまり待たせない、と予告されているので期待してます。
    他所でも書いていますが、コナリー作品は、第1作のナイトホークスから、ずっと続いているので、可能なら通して読んだ方が、より楽しめます。当地の古書店では、初期作品も入手可能です。(特に講談社文庫は、簡単に絶版になるので、読んでみようという気になった方は、急いで古書店に走った方が宜しいかと思います)・・・ま、可能なら新刊を購入して、コナリー作品の翻訳が途切れないよう読者の声を出版元に届けるのがベターですが。

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     2010/03/01

    なかなか続編がリリースされず「やきもき」させられましたが、やっと届いたシーズン3は、さらに物語の幅が広がった感じで、待った甲斐もあろうかというもの。ギデオンの降板は残念ですが、後任のロッシもギデオンとはまた違った魅力があり、また、復職の動機となるコールドケースと、物語との絡みにも大いにソソラレルところが有ります。
    (本作にしても、FBI失踪者を追えにしても、MI-5にしても、どうも私の好きなシリーズはDVD化がすんなりいかないなぁ・・・)

    早速ですが、シーズン4の発売期待していますよ。

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     2010/02/17

    あのぉ、予想以上にお買い得なので、びっくりしました。
    レーベルを越えて、正規リリースされた全カタログを網羅。一枚一枚も、紙ジャケでは有りませんが、ゲイトフォールド化され、それぞれに新たなライナーノートがつけられ、また、EPポックスもきちんと、BOX仕様で納められています。この価格なので、お手軽な作りかと思っていただけに、嬉しさ倍増です。既存アルバムを全て持っていますが、ファン必携でしょう。
    内容に関しては、言うまでも無いと思います。

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     2010/02/15

    昨年のデニス・ルヘインの「運命の日」上下巻も、圧倒される傑作でしたが、今年の「犬の力」(書名も、作者の意図するところを実に巧に言い表しているものだと(キリスト教文化圏にない自分には、想像するだけですが)思います。主人公を誰に想定するかでいかようにも読み方が変わる重層的な物語のなかで、それぞれの去就に心を引き裂かれながら、現代の内包する巨大な原罪をいやおう無く突きつけられます。そして、その作品の素晴らしさは、これほど膨大なテーマと、多彩な登場人物を描きつくし、見事に面白く仕上げた、作者のものすごい腕力!
    絶対お勧めデス。ミステリを読んでいてよかった、としみじみ感じることができました。

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     2010/02/15

    あまり女流のミステリは読まないのですが、昨年末に発売された某ミステリ関連のBEST本のオールタイム100の中に選ばれていたので、どんなものかと手にとって見ました。ページターナーという感じではないのですが、登場する一人一人が、妙にキャラ立っていて、なんか引き込まれる作品でした。決してハッピーエンドではないはずなのに、読後に、奇妙な安らぎ(ネタバレにならないと思いますが、救済、というべきでしょうか)に包まれました。困ったことに、これを読んでしまったら、「氷の天使」以下の他作品も読みたくてたまらなくなってしまいました。

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     2010/02/13

    こんにちは地球・・・・の(女)神の視座。バックに流れるヒリヤードアンサンブルによるグルジア民謡。(ヘルツォークの名作「ノスフェラトゥ」に使われた音楽をケイトが全曲カバーすると報じられ期待していたが、結局本作に取り入れられていたもの以外には耳にしていない。このような情報すら日本版のライナーには触れられていない。これでは、彼女の描こうとする世界のどれだけを正しく理解できるかが疑問)
    昨年発売された、本作の研究DVDもファンなら押さえるべきでしょう。

    この作品が好きな方は、まだ入手可能なら、ヘルツォークの「ノスフェラトゥ」のDVDを急いで購入されることをお勧めします。これを体験しないと、ある意味でこのアルバムを理解しえたとは言えないと思います。

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     2010/02/13

    彼女の(おそらく、現時点での)最高傑作であると思われるHOUNDS OF LOVEを、アルバムの収録順に解体してゆくドキュメンタリ。字幕が無いので、全て理解するには程遠いのですが、日本にいるだけでは理解し得ないそれぞれの曲のバックボーンなどがうかがい知れます。彼女自身への取材などはなく、あくまでも周辺からの視点での解読ですが、音楽への対し方が違う国のポップカルチャーの厚さ,深さを垣間見る事が出来ます。出来れば字幕付きの国内版の発売を期待したいのですが、無理、ですよね。
    ・・・それにつけても、彼女の日本版につけられているライナーノートの内容の「ちがう方向」を痛感させられます。彼女の音楽の内包するもの、表現したいもの、背景、などなどに全く触れる努力をしていないと感じます。

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     2010/01/14

    世界で最も美しいメロディのうちのいくつもが、この2枚組みのCDの中に。
    映画界には、レオーネとモリコーネ、トリュフォーとドレリュー、フェリーニとロータなどの幸福な出会いがあることは、映画ファンにとってなによりの僥倖ですが、エッダ姐さんとモリコーネおじさんの出会いもその一つとして語られるべきだと思います。
    至福の2時間です。永遠にリピート再生して浸っていたい傑作のなだれうち。
    それにしても、モリコーネのメロディの泉は尽きる事がない!

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     2009/12/26

    美空ひばりに比肩しうる唯一の歌手であるにもかかわらずシーンから忽然と姿を消して多くのファンに「冬隣」の思いをさせているちあきさんの集大成。
    彼女のうならされるそのうまさに、「歌謡一人雑技団」と自分なりに命名しています。単なる流行歌手ではなく、常に自分の立ち位置を手探りで探りながら、(商業的な見地からレコード会社との間に多くの軋轢があったことは予想に難くありません)、歌謡曲、演歌(それも「ど演歌」)、ファド、シャンソン、ニュー・ミュージック(それも極北の友川かずき!!!をとりあげるなんて!!!)まで、音楽の真実に近い(つまり音楽産業で言えば「辺境」にあたる)部分を群を抜いた表現力でうたいつづけた傑作集。
    入門される方にも、BS2で再発見されたかたにもお勧めの、集大成です。
    品切れになる前に、入手をお勧めします。
    評価は5つ星では足りません。

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     2009/12/26

    昭和40年代、雑誌には手塚治虫の傑作群が当たり前のように毎週連載され、TVではちあきなおみさんの歌声が当たり前のように流れていた。本当に贅沢な時代でした。原節子にも似た引き際の潔さ。ファンにとっては余りにももったいない引退でしたが、今でもこのような形でちあきさんの作品群、歌声、息遣い、表現、あえて言えば「生き様」を追体験できることを、ありがたく思うしかありません。それでも、それでも、せめて、歌だけで良いから、カムバックして欲しいと切に思います。

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     2009/12/19

    トリュフォーの芸術性と、娯楽性が最もうまくマッチした傑作。(英語とフランス語のいずれもが吹き替えられているとこが、今見るとちょっとチープ感があるのがご愛嬌ですが)最高にきれいなジャクリーヌ・ビゼットの瞬間を目に出来(このあと何故か、ポルノまがいの作品に出たりして、そのままシーンから消えていった・・・)、最高に美しいジョルジュ・ドレリューの音楽(撮影シーンのたびに流れる「グランドコラール」に心が躍らない映画ファンは居ないと思います)。トリュフォーも監督役で、好演しています。ドレリューも作曲家役でちらっと出演しています。
    突然炎のごとく、恋のエチュードとならぶ、トリュフォー/ドレリューの幸福なコラボレーション3大作品だと,個人的には思っています。

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     2009/12/19

    ジョルジュ・ドルリューの作品との出会いは、映画マニアになりかけていた高校時代、淀川長治さんの作品紹介記事で気になった「アメリカの夜」での素晴らしい「グランドコラール」でした。映画作りの現場を舞台にしたドラマで、様々なエピソードがちりばめられる中で、一本の映画が完成に近づくさまをトリュフォー独特の呼吸のようなリズムで描いてゆく、その折々に挿入されるメロディにすっかりはまってしまいました。(何故か、フルアルバムは発売されず、シングルレコードしか出なかったのが残念)。それ以来、ずっと追いかけてきたドレリュー作品の集大成です。大部分は所持している作品ですが、やっぱり買わずに入られません。アーカイブも楽しみです。
    もっと多く語られて
    いい音楽家だと思います。

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